ちょっと難しい内容ですが、大切なお金の話です。ヨーロッパサッカーリーグの大きな資金源は、世界各国に販売される放送権料です。なかでもプレミアリーグの放送権料が高騰(3年で95億ユーロ)したことが報道されています。これらの分配のやり方が不平等であると長らく問題視されています。
スポーツビジネス先進国であるアメリカでは、放送権料は基本的には平等に分配する事が当たり前となっています。それによって各チームの競争力を均等にし、リーグそのものを盛り上げようという考え方です。リーグを盛り上げる是非で言えばアメリカ流の考え方が正しいのは間違いありません。
NBA、NFL、MLB、NHLといったメジャースポーツがそれを証明しています。では何故ヨーロッパのサッカーリーグはそうならないのでしょうか。3つの観点で理由を分析します。
昇格・降格が存在する
アメリカのスポーツリーグとヨーロッパサッカーの大きく異なる点は、2部リーグの存在です。2部リーグがあり昇格降格がある以上、リーグ機構が管理するチームは1部リーグだけに留まりません。そうなると平等な放送権料の配布と言っても、非常に困難になります。2部リーグ、3部リーグはどのようにすれば良いのでしょうか。この点で大きな格差がついた場合には、昇格チームの戦力はトップリーグで通用しないものになってしまいます。この点における平等の基準が無ければ、均等配分は夢のまた夢ということになるでしょう。
実際に大きな問題に直面しているのがプレミアリーグです。2部リーグとトップリーグの予算差が大きすぎるため、降格チームが倒産するという事態が相次ぎました。この結果降格チームには補助金をつけることになったのですが、それが2部リーグの競争の公平性を阻害されていると言われています。
こういった問題を解決するために、欧州のトップクラブが集まったリーグ戦が計画されたこともありますが、当然ですが各国リーグの猛反対により消滅しました。もし実現していれば、チャンピオンズリーグを超える、メガコンテンツとなったはずです。
もしヨーロッパの各国リーグが放送権料の均等配分を目指せば、当然トップチームは独立リーグの設立を再検討する事になるはずです。
移籍金の存在
アメリカのスポーツと、ヨーロッパサッカーの最も大きな違いは、移籍金の有無と言ってもよいでしょう。アメリカのスポーツでも実際には金銭トレードが無いわけではないのですが、ほとんどはトレードがフリーエージェントでの移籍となります。
移籍金を支払うだけの財力を持っているチームだけが、ビッグクラブになることができます。またビッグクラブは人気のある選手を抱えるため、それらの選手に年棒を支払う事が可能なだけな収益を得る必要があります。
ヨーロッパのサッカーがビッグクラブを中心として成り立っている以上、ビッグクラブにはそれだけの収益体質が必要で、小さなクラブにはビッグクラブから得られる移籍金が必要という、共生関係が成り立ってしまっています。
また、ビッグクラブはトーナメント戦を勝ち上がる事と、チャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグへの参戦があるため、試合数そのものが非常に多くなります。それに対応できる選手層を維持することもビッグクラブには求められるのです。
アメリカのスポーツリーグはサラリーキャップ制を導入することで、チームの合計年棒に制限を加えています。それによってチームの運営のためのコストを、限りなく均一化することで競争力を維持していると言われます。勿論母体となるチームにより、予算は大きく異なりますが、リーグ内の競争を維持するために一役買っています。
ヨーロッパでは優れた選手を集めたチームが存在するためには、年棒の不均一を受け入れなければいけないという、非常に難しい問題があるのです。やはり誰が何というと、レアルマドリードやバイエルンの試合を見て、たくさんのスター選手を見ることは喜びなのです。
資金調達力の差
ヨーロッパのサッカークラブには様々な資金調達方法があります。スポンサー契約、オーナー資金、チケット販売、ユニフォーム等グッズ販売、公式ファンクラブからの収益等です。アメリカのスポーツリーグではこれらは全て一括管理をされるのが原則です。様々な抜け道はありますが、基本的な理念はその通りです。
では、人気がありマネジメントがうまくいっているチームが、それ以外のチームよりも高い報酬を受け取ることは本当に不平等なのでしょうか。ちなみにアメリカでは収益が十分ではない場合、チームそのものが売りに出され、本拠地を移転するようなケースもあります。ヨーロッパのような、歴史ある地元のチームが多い場合には、そういった決断というのは非常に難しいでしょう。
様々述べましたが、最初に述べた通り、ヨーロッパでは放送権の均等販売は難しいでしょう。しかし、プレミアリーグの成功が見せるように、リーグの統一機構が大きな力を持つことで、リーグ全体をプロモーションしていくという流れは必然のように思います。少しづつ、ヨーロッパなりの配分システムが完成していくのではないでしょうか。
差があるからこそ、ジャイアントキリングの面白さもあるということも、ヨーロッパサッカーの魅力の一つと考えると、不平等もまた一つの面白さなのかもしれません。
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