| ドイツのエネルギー関係データ |
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| ドイツの電力輸出入 |
2014年12 月は、前年同月比で輸出が増加したのに対して、輸入が減少し、月間のバランスでは過去最大の出超となった。2014年は年間でもこれまで最大の輸出超過となった。 |
(1) 広域の電力網で安定した電力供給を確保 |
ドイツの電力市場は自由化されており、物理的にもヨーロッパの広域をカバーする電力輸送調整連盟(UCTE)と呼ばれる電力連結網に組み込まれている。多数の国が広域の電力連結網に参加することによって実質的にひとつの大きな電力市場が構成され、国によって相違する発電や需要の変動に対して互いに補完し合い、安定した電力供給を行う体制がとられている。
一般の商品のように保存、在庫ができない電力は絶えず変動する需要に合わせて、過不足のないよう臨機応変に供給していかなければならない。ドイツの電力市場は送電事業会社毎に4つの地域に分けられていて、各地域においてはそれぞれの送電事業会社が需要に見合った安定した電力供給に努める任務を負っている。各送電事業会社は自分の地域内で過不足が生じた場合は他の送電事業会社との間で融通しあって調整している。しかし、国内で調整しきれない場合もあり、その分は周辺国との間で調整されることになり、一般にはこれが周辺国との輸出入となる。 |
| (2) 原発の半分を停止して以降、輸出がむしろ拡大 |
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| (3) 季節で変動する輸出入 |
ドイツの夏はしのぎやすく、冷房を使う家庭がほとんどないことなどから、夏の間は電力需要が低下する。このため、点検整備に入る発電所が多く、基本的な電力供給が低下するため、周辺国からの輸入が増加する傾向にある。冬は電力の需要が増加し、発電所の基本的な電力供給力が高められるが、暖房は石油や石炭が中心で、夜間や休日には余力が生じるため、輸出が増加する傾向がある。(フランスでは原子力を推進する過程で暖房に電力が多く用いられるようになった。)
しかし、この1~2年は以前と比べると夏期の輸出が増加する一方、輸入が減少し、パターンに変化がみられる。太陽光発電等の拡大で、夏場も電力供給があまり減少しないためとみられる。天候による面もあるので、この傾向が続くかはわからない。 |
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| データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、2013年、2014年は速報値。 |
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| (4) 国別輸出入: オランダ向け輸出が増加し、フランスからの輸入が減少する傾向 |
周辺国との関係をみると、ドイツはフランス、チェコ、スウェーデンに対して受け入れ超過となっており、オランダ、オーストリア、スイス、デンマーク、ポーランド、ルクセンブルクに対して供給超過となっている(2013年)。フランスからの輸入は2011年に大きく増加したが、その後は減少傾向にある。
ドイツはスイス、オーストリアに対して余剰電力を揚水発電のための復水用電力などを供給しているほか、両国に対するフランスおよびチェコのからの電力供給の経由地にもなっている。
しかし、貿易統計では輸出、輸入のいずれも第3国経由の取引は明示されていない。貿易統計では一般の商品は原産国、消費国で分類されるが、電力はそうした分類が不可能であるため、国境を接する国ないしは送電線で直接結ばれている国との間を往来する電力が計上されているとみられる。デンマークおよびスウェーデンとの間は海底ケーブルで結ばれている。 |
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| データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値 |
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| (5) 各国との間の取引価格 |
ドイツの電力市場は自由化されていて、ライプツィヒにあるヨーロッパ電力取引所(European Electricity Exchange=EEX)で決まる価格が国内の電力取引全般に対して標準的な価格となる。
EEXはパリにある関連会社EPEXと連携しており、そこでフランス、スイス、オーストリアとの間の取引が取り扱われる。EPEXはさらにオランダの取引所とも連携するなど、国際的な取引ネットワークが形成されている。
EEXおけるベースロード電力の価格は2012年の平均でMWhあたり42.6ユーロであった。これに対して。貿易統計にによって算出した2012年の国別の取引価格は左表のとおりである。
輸出はオランダ向けが最も多く、輸入はフランスからが最も多いが、いずれも取引単価は必ずしも最も低いわけではない。
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| データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、速報値、当サイトによる計算 |
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| (6) .問題点と対策 |
ドイツは2011年央に脱原発をスタートさせた後も、一時期を除けば輸入電力に依存することなく、再生可能エネルギーの拡大によるエネルギー転換を進めている。
周辺国との関係では2012年以降はむしろ出超幅が拡大しているが、これには再生可能エネルギーの増加も要因となっているとみられる。とくに夏場に輸出が増加し、輸入が減少しているのは太陽光発電によるところが大きいとみられる。
一方、2012年末には北部ドイツの風力発電電力が国内の消費地よりもポーランドやチェコへ大量に流れ込み、両国の送電網が不安定になる状況が生じた。このため、北・東部の送電網を運営する50,2
Hertz社は両国との間の電力の流れを制御する装置を設置することになったと伝えられる。高価格で買い取られたグリーン電力が低価格で国外に流出する結果にもなっていたわけである。
自由化された電力市場では供給が過剰になれば(グリーン電力割増を含まない)市場価格が圧迫を受ける。市場価格が低下すればグリーン電力の変動を補完する従来型発電の採算性が悪化し、必要な新型設備への投資も進まなくなるという問題も生じる。
しかし、今後も減少する原発を代替していくためには北部の大規模な海上風力パークを早急に整備していく必要があり、同時にバランスのとれた供給を行っていくことができるよう、送電網の整備、拡充が急がれている。
ノルウェーとの間では大容量の海底ケーブル(NordLink)を敷設し、2018年までに完成させるプロジェクトも進んでいる。ドイツの電力に余剰が生じた際はノルウェーで一般電力用や揚水発電所用に利用し、必要な時に電力をドイツの送るものである。ノルウェーには原子力発電所20基分の潜在的水力発電能力があるとされる。
なお、ドイツは立地条件などから、中・長期的には欧州電力ネットワークの枠内で自国の純輸入量が増加していくことを見込んでいる。 |
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| (資料) 電力輸出入統計 |
| 表 1 ドイツの月別電力輸出入量 (単位:GWh) |
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注)2013年および2014年は速報値
データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、当サイトによる計算 |
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| 表 2 ドイツの国別電力輸出入量 (単位:GkWh) |
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注)2013年は速報値
データ出所:連邦統計庁貿易統計(GENESIS ON LINE)、当サイトによる計算 |
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