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財務省が2月18日に「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」なる試算を発表した。これを見ると、国債の利払い費が'24年度に約24兆円と、'15年度の2・4倍にまで膨らむことになっており、ただ事ではない。この試算はどのように計算され、この結果をどう考えればいいのか。

財務省は「仮定計算」を30年くらい前から公表している。その当時から、基本的な計算方法は変わっていない。財務省はこの試算と同時に、「後年度歳出・歳入への影響試算」という別の試算も発表しているが、「仮定計算」は「影響試算」の結果を前渡しして計算されているのが実態である。

そのため、「仮定計算」について考えるには、まずは「影響試算」がどのような仕組みになっているのかを読み解くことが重要だ。

「影響試算」の考え方はシンプル。現状の制度を前提として、「歳出は一定比率で伸びる」、「歳入は経済成長率に応じて伸びる」という機械計算によって算出している。

「影響試算」と「仮定計算」を始めた当初は、現在のようなコンピュータがない時代。大蔵省の若手官僚が「人間計算機」となって、何週間も計算し、これらの試算が作られていたという。噂によれば、あまりに過酷な計算作業のために、勤務時間中に倒れて生死をさまよった若手官僚もいたらしい。

何が言いたいかと言えば、「影響試算」はこのように手作業でも計算できるほどにごまかしがきかない。

というのも、「影響試算」は前述したような方法で試算されるため、経済成長率が高くなると、歳入(税収)はいくら低めに見積もっても、高い比率で伸びていく。一方で、歳出は一定比率なのでそこまででもない。その結果、「影響試算」を長期で計算すると、いつしか財政再建ができてしまうことになるのである。

しかし、これは「財政危機を煽りたい」財務省にとっては不都合。そのため、財務省は「影響試算」を5年程度先までしか計算しない。今回発表されたのも'20年度までだ。

その上、財務省は成長率を低い前提にすることまでやっている。経済財政諮問会議で行う「中長期財政試算」では、'20年度の経済成長率は3・6%だが、財務省の「影響試算」では3%とさらに低い。結果、この'20年度までの「影響試算」では、低成長&財政赤字という財政危機状態が演出されている。

そこで、その歳入と歳出の差額をすべて国債で賄うとして、利払い費などを計算したのが「仮定計算」。当然、「影響試算」が財政危機をアピールするモノであるから、「仮定計算」も同じく財政危機を強調するモノとなる。

かつては「影響試算」と「仮定計算」はそれなりに意味があったが、いまや無駄。もうこのあたりで、「中長期財政試算」よりも低めの成長率を使って、財務省が独自に試算して財政危機をアピールするのはやめたほうがいいのではないか。

そもそも財政問題は、政府全体の問題なのだから、財務省ではなく経済財政諮問会議で議論する「中長期財政試算」だけでいい。財務省の「試算」は二重行政の典型ではないか。こうしたムダも排除できずに、財政再建をいうこと自体が変だ。

『週刊現代』2015年3月14日号より

 


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