デンマーク:首都連続乱射2人死亡「表現の自由標的テロ」

毎日新聞 2015年02月15日 21時24分(最終更新 02月15日 23時56分)

銃乱射事件が起きたカフェを調べる捜査員=コペンハーゲンで2015年2月14日、ロイター
銃乱射事件が起きたカフェを調べる捜査員=コペンハーゲンで2015年2月14日、ロイター

 【コペンハーゲン篠田航一】デンマークの首都コペンハーゲン市北部で14日午後、「表現の自由」に関する集会が開かれていたカフェに男が自動小銃を乱射し、参加していた映像作家の男性(55)が死亡、警官3人が負傷した。集会にはイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を2007年に描いたスウェーデン人画家、ラーシュ・ビルクス氏(68)が主要な登壇者として参加していたが、無事だった。当局は同氏が狙われたとみている。15日未明には同市中心部のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が銃撃され、警備のユダヤ人男性(37)が死亡、警官2人が負傷。さらに同日朝、同市北西部の駅で発砲してきた男を警戒中の警官が射殺した。警察は男が両事件を起こしたとみている。

 「芸術、神への冒とく、表現の自由」と題した集会には、パリで先月発生した仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件を報告するため、駐デンマーク仏大使も出席していた。ビルクス氏は「自分が標的だった。仏週刊紙襲撃事件に誘発されたのだろう」と述べた。トーニングシュミット首相は15日、「表現の自由に対するテロだ」と断じた。

 警察はパリで起きた週刊紙本社とユダヤ教徒向けスーパーの襲撃事件を模倣した可能性もあるとみている。容疑者の男はコペンハーゲン出身で、警察に以前からマークされていた。テロ組織との関連は不明という。警察は襲撃に使われたとみられる自動小銃を押収した。

 預言者ムハンマドの風刺画を巡り、「表現の自由」への挑戦が欧州で立て続けに起きた事態を受け、オランド仏大統領はテロを非難、デンマークとの「全面的な連帯」を表明した。

 集会会場となったカフェには約30発の銃弾が撃ち込まれた。参加者を無差別に殺そうとした疑いもある。男はカフェを襲撃後、付近の車を奪って逃走し、近くで乗り捨てた。警察が警戒を強める中、15日未明にカフェから約3キロ南のシナゴーグが襲撃された。当時、約80人が式典に出席していた。男はここから北西約4キロ離れた駅で射殺された。

 ビルクス氏は07年に預言者ムハンマドに犬の胴体を付けた風刺画を掲載し、イスラム過激派から「死刑宣告」を受けるなどテロの標的になっていた。

コペンハーゲンでの連続銃乱射事件
コペンハーゲンでの連続銃乱射事件

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