ウクライナ:停戦発効…実態は? 一部で散発的発砲の模様

毎日新聞 2015年02月15日 21時03分(最終更新 02月15日 23時07分)

ウクライナ東部の親露派支配地域
ウクライナ東部の親露派支配地域

 【モスクワ田中洋之、ワシントン和田浩明】ウクライナ東部で激しい戦闘を続けてきた政府軍と親ロシア派武装勢力との停戦が15日午前0時(日本時間同7時)に発効した。同日午後(日本時間同夜)までに本格的な攻撃や交戦は確認されていないが、散発的な発砲は続いた。停戦が守られるのかは不透明な情勢だ。

 ウクライナのポロシェンコ大統領は停戦発効に合わせ、軍や内務省部隊に戦闘中止を命じた。親露派指導者も停戦を表明した。だが、親露派が政府軍兵士を包囲しているドネツク州の要所デバリツェボでは砲撃が伝えられ、緊張が続いた。インタファクス通信によると、ルガンスク州内でも民家が砲弾を受け、住民2人が死亡した。ウクライナ軍当局によると、停戦前日の14日に政府軍兵士9人が死亡、39人が負傷したが、15日になってから犠牲者は出ていないという。

 停戦に先立ち、プーチン露大統領は14日夜、メルケル独首相、オランド仏大統領と電話で協議し、停戦の重要性を確認した。ポロシェンコ大統領もオバマ米大統領や独仏首脳と電話で協議した。この中で、オバマ氏はデバリツェボなどで続く戦闘に懸念を表明した。

 米国務省は14日、デバリツェボの北東に配備されたロシア軍の大砲や多連装ロケット砲だとする衛星写真3枚を公開した。サキ国務省報道官は声明で、露軍による越境活動の「信頼できる証拠」だと主張した。

 今回の停戦合意は独仏露ウクライナの4カ国首脳が12日にまとめ、紛争当事者が署名した。停戦から2日以内に重火器の撤去を開始し、14日以内に完了することになっている。昨年9月の停戦合意は破綻し、先月から戦闘が激化していた。

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