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敦賀原発1号機の廃炉決定へ 日本原電、採算見込めず

福井新聞ONLINE 3月6日(金)8時10分配信

 原発専業の日本原電が、運転開始から約45年が経過した敦賀原発1号機(福井県敦賀市)の廃炉を、今月下旬に開く取締役会で正式決定することが5日、分かった。今月中にまとめる経営改革案に盛り込む方針だ。大阪万博の開会式に電気を送り、日本の原子力政策の先駆けとなった原発が消えることが確定した。

 2016年7月時点で運転40年を超える電力会社の老朽原発は敦賀1号機を含め、全国で7基に上る。関西電力高浜原発1、2号機を除く5基は廃炉について最終決定する方向で調整している。敦賀1号機に続いて残る4基でも今月末にかけて廃炉表明が相次ぎそうだ。

 原発の運転期間は東京電力福島第1原発事故後の新規制基準で原則40年に制限されたが、原子力規制委員会の厳しい審査を通過すれば最大20年の延長が可能。老朽原発を延長する場合、今年7月までに規制委に申請する必要がある。経済産業省は電力各社に老朽原発の対応計画を3月までに提出するよう求めていた。

 原電は原発3基を持つ。敦賀1号機は出力が35万7千キロワットと小さく、多額の費用を掛けて老朽対策の工事をしても採算が見込めないと判断した。敦賀2号機も原子炉直下に活断層があると規制委が認定し、廃炉の判断を迫られる可能性がある。

 東海第2原発(茨城県)は再稼働をさせる方針だが、運転開始から36年が経過しており、防火などの安全対策に課題が指摘されている。

 原電は東日本大震災後の原発停止により、大手電力5社への販売電力量はゼロの状態が続く。原発の維持費として受け取る「基本料金」が経営を支えるが、15年度以降はさらに減少するとみられる。原電は経営改革案に持ち株会社への移行を盛り込む方向。大手電力の廃炉の請け負いや、新興国の原発建設支援を新たな収益源に位置付ける考えだ。

福井新聞社

最終更新:3月6日(金)12時30分

福井新聞ONLINE