アメリカン・スナイパーAmerican Sniper/監督:クリント・イーストウッド/2014年/アメリカ
あー、これはちょっと困りましたね…
丸の内ピカデリー、シアター1 T-19で鑑賞。最近、どんな映画を見てもだいたいは面白いという楽しい脳味噌になっているんですが、今回は困りました。何が困るのかは本文中で。
あらすじ:いっぱい狙撃しました。
海軍特殊部隊のクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、イラクで狙撃手としてがんばってました。いっぽう家では子供が生まれました。
※ネタバレはありません。
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ポイント - 可もなく不可もなしというかんじです。演出は全体的に控えめだと思いました。スピルバーグが監督するって話も出てたらしいんで、スピルバーグで見てみたかったですね。
で、なにが困るかというとですね、実話なのと、演出が控えめなのとで、ちょっと現実との切り離しが難しいなというところです。
先日Twitterを見ていたら「マシンガン・プリーチャー(2011年)」の話題が出ていて、ざっくり説明すると『クズ男が突然キリスト教に目覚めて牧師になるけど活動が攻撃的すぎて頭おかしいようにしか見えないヤバイ(実話)』です。ジェラルド・バトラー主演。存命人物をここまで頭おかしく描いたのは実に立派である。
「アメリカン・スナイパー」のクリスも、ちょっと「マシンガン・プリーチャー」の主人公に似ているところあるんですよね。
ただ、前述のとおり、演出が抑えめでエンターテイメント性は低いと思うのと、愛国心ゆえに何度も戦場へ赴くことと家族を守ることの関係(奥さんからしてみたらたまったもんじゃないが、クリスにとっては国を守る=家族を守るなので彼の中では矛盾が発生していない)とか、一番は、実際にPTSDで苦しんでいる人がいるっていう事実があることを考えると、クリスが人殺しに対して反省とかないっす、って言い放ったりすることに対して『おやおやすっかり頭をやられてしまいましたな』とは言えないですよ、あとあれは自分に言い聞かせているとも思うしね。いくらこれは映画ですとはいえ、わたしもそこまで無配慮な人間では…。
普段はねえ、人がいっぱい死んで楽しい! とか言ってますけど、なんかこれは困った。こうやって、困ったなーって思わせるような作りをした時点でイーストウッドの勝ち(何の勝ち負けかは知らないが)かなあとも思います。
っていうことを差っ引いて、じゃあ遠慮無く言いますと、傷口を不必要なまでにずーっと映しているところとか、斬首された生首がゴロゴロしてるところとか、拷問されて死んだ死体がブラーンってなってるところとか、子供が撃たれるのもそうですし、人がぱっちゅんぱっちゅん死ぬのはね、楽しかったです。すいませんねえ、映画の中で人が死ぬの楽しいです。あと、テレビ見てるシーンは良かったですね。
あ、『シリアスな場面で赤ちゃんがあからさまに人形だった問題』に関しては、シエナ・ミラーがちょっと手を揺らしすぎでプルプルしちゃってるのがよろしくなかったってのと、人形の中に重しを入れたらバレにくかったのではないかと思いました。
- アメリカン・スナイパー (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- クリス・カイル スコット・マキューエン ジム・デフェリス 田口俊樹・他
- 早川書房 2015-02-20
by G-Tools , 2015/02/26