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【長尾一紘先生の中高生のための国民の憲法講座】第82講 象徴天皇制について考える

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【長尾一紘先生の中高生のための国民の憲法講座】
第82講 象徴天皇制について考える

日本国憲法の第1条について考えてみましょう

 象徴天皇制が導入されてから70年近い月日がたっていますが、その具体的なイメージはいまなお定まっておりません。たとえば、天皇は「元首」なのか否か、日本国は「君主国」なのか、「共和国」なのか、というような基本的な問題についても学説は二分されているのです。

 ちなみに、「元首」とは、大統領や国王など、国家を代表する機関のことをいいます。

 ◆「君主制」と「民主制」

 どの国の憲法においても、第1条に、特に重要な事項が定められています。日本国憲法の場合、それが「象徴天皇制」と「国民主権」です。前者は君主制の原理をあらわし、後者は民主制の原理をあらわしています。この2つの原理の関係は、どのように把握されるべきなのでしょうか。学説は多様ですが、典型的な2つの立場を紹介することにしましょう。第1の立場の論者は、つぎのようにいいます。

 「君主原理と民主原理は矛盾する関係にある。日本国憲法には、君主制の原理が残されているが、日本の民主化のためには、これを軽くみる必要がある。天皇の活動の場を広く認めてはならない。天皇は元首ではない。内閣総理大臣こそが日本国の元首である」

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