Updated: Tokyo  2015/03/06 17:43  |  New York  2015/03/06 03:43  |  London  2015/03/06 08:43
 

野村、大和、SMBC日興が新卒採用枠を拡大-2000人が入社

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  (ブルームバーグ):野村ホールディングス大和証券グループ本社SMBC日興証券 が今春の大学新卒者の採用枠を当初計画より拡大したことが分かった。これにより入社予定者は前年度比2割増の合計約2000人となる。日本の株式相場が約15年ぶりの高値を更新する中、人材確保により業績のさらなる拡大を目指す。

野村HDの山下兼史広報担当によれば、昨年より2割多い約600人が野村証券に4月1日入社する予定。国内営業や投資銀行、グローバルマーケッツなどのホールセール業務のほか、リサーチや財務、コンプライアンス部門などに配属される。当初計画は570人だった。

野村やSMBC日興などの国内証券は日経平均株価 が2000年4月以来の最高値を付ける中、当初の計画を上回る積極的な新卒採用を行っている。優秀な人材を確保することで、中長期的に個人向け(リテール)を中心とした国内営業部門の顧客資産を積み上げ、投資銀行部門など法人向け(ホールセール)業務拡大にもつなげていきたい考えだ。

金融機関向けコンサルティングのエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの小溝勝信代表取締役は「日本の証券会社は業績も良く、株高で国内の景気も回復していることから、強気になっている」と指摘。「ファンダメンタルズが良くなっているという確信度も去年よりも明らかに強い」と述べた。

大和、SMBC日興

SMBC日興では昨年より16%多い600人の新卒が入社予定で、当初計画の560人から40人増やした。採用拡大の理由について、人事部の大熊隆之採用課長は「銀行と証券の一体化戦略の本格展開による国内営業拠点の拡充や、ホールセールビジネス拡大に伴い人員確保が必要だったため」としている。

大和証Gの中川新治広報担当によれば、同社には大手証券で最大規模となる758人の新卒者が入社する見込みで、昨年の610人から24%増と大幅に増える。当初の採用予定は750人だった。

高値更新

野村は若手約3700人を中心に給与を平均で2.3%引き上げると1月に発表した。新入社員の初任給は新年度となる来月から11%アップし23万2300円となる。同社は優秀な新卒者の確保により、顧客のライフプランなど、さまざまなニーズに合わせた提案型の資産運用サービスを強化し、リテール資産の拡大などを目指す。

野村の発表資料によれば、国内営業部門の顧客資産残高は1月末時点で105兆円と14年3月末から15%増加し、過去最高となった。永井浩二最高経営責任者(CEO)は20年に150兆円にすることを目標に掲げている。

日経平均の6日終値は前日比1.2%高の1万8971円と2000年4月19日の終値1万9086円62銭以来の高値水準となった。野村HD の株価は同日2.7%上昇し、今年最大の上げ幅を記録した。

GPIF、公務員共済

株価の上昇基調が続く中、公的運用機関などが日本株での積極的な運用方針を示している。年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)は2014年10月末に実施した資産構成見直しで国内外株式などリスク資産の目標値を従来の2倍近い65%に高めた。

国家公務員共済組合連合会は2月、公的年金の運用一元化を視野に資産構成を見直し、全体の約4分の3を占めていた国内債券の目標値を半分未満にする一方、日本株式と外貨建て資産は3倍超に引き上げると発表した。内外株式の割合はそれぞれ8%から25%となる。

エグセクティブ・サーチ・パートナーズの小溝代表は、「公的な運用機関が株を買う体制を整えてきていることから、日本株は下がりにくく、個人投資家にとっては安心だ」との見方を示した。その上で、こうした環境で証券会社が採用を拡大するのは理にかなっていると語った。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日向貴彦 Takahiko Hyuga thyuga@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Marcus Wright mwright115@bloomberg.net 平野和, 持田譲二

更新日時: 2015/03/06 16:28 JST

 
 
 
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