[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第117回】DSDとは何か? 原理や音の特徴、おすすめソフトまでまるごと紹介
高橋 敦
2015年03月06日
■「DSD」〜PCMの常識が通用しない謎スペック〜
ハイレゾというと「96kHz/24bit」みたいなスペックが浮かぶことも多いと思うが、ご存知のようにそれに当てはまらないハイレゾフォーマットも存在する。「DSD」だ。
DSDの場合のスペックとしては「5.6MHz」とか「11.2MHz」とかまさにPCMとは「桁が違う」数字が並ぶ。しかし「2.8MHz/1bit」となると「…それ96kHz/24bitのPCMとどっちがすごいの?」みたいな疑問も浮かんでくる。
先日moraもDSD配信を開始したことで、ototoy、 e-onkyo music、moraと国内DSD配信も今後さらなる充実が期待されるいま、今回はそんな「DSD」について考えてみよう。
■PCMとDSD、情報量が多いのは?
「ハイレゾとは?」の技術的な説明として基本的なものは、
●記録できる周波数帯域(音の高さの上限)を決めるサンプリング周波数
●記録できるダイナミクス(音の大小の幅や解像度)を決める量子化ビット数
●そのサンプリング周波数と量子化ビット数がCDのそれを上回るのがハイレゾ
…というものだ。しかしこの説明は「PCM」方式でアナログ音声信号をデジタルデータに変換、またはその逆に再生する際の話。今回の主役「DSD」では話が違う。
DSDでは「bit」の方は1bit固定。スペックの違いとしては「Hz」のバリエーションとなるが、そちらは2.8MHz/5.6MHz/11.2MHzといったところがよく見かけられる。単位を揃えると
●PCM 96kHz=9600Hz
●DSD 2.8MHz=2800000Hz
という感じだ。ここだけ見れば、PCM 96kHzよりもDSD 2.8MHzの方が「データ量=情報量が圧倒的に大きく高音質」ぽい。しかし前述のようにDSDはbitの方は「1bit固定」だ。
●PCM 24bit=オンかオフかの2値の24乗=1677万7216値
●DSD 1bit =オンかオフかの2値
と、こちらの「情報量」はPCMの方がさらに圧倒的。結局、仮に「総合的な情報量=kHz×bit」ということにすると、
●PCM 96kHz/24bitとDSD 2.8MHzはだいたい同じ情報量
で、実際、同じ曲ならファイル容量は似通ったものになる。もっと詳しくいうとPCMの方が少し小さめで、さらにFLAC等のロスレス圧縮も可能なので、省スペース性という意味では少し優位だが。
さて、次ページでは“DSDの「1bit」ってどういうこと?”について解説していきたい。
ハイレゾというと「96kHz/24bit」みたいなスペックが浮かぶことも多いと思うが、ご存知のようにそれに当てはまらないハイレゾフォーマットも存在する。「DSD」だ。
DSDの場合のスペックとしては「5.6MHz」とか「11.2MHz」とかまさにPCMとは「桁が違う」数字が並ぶ。しかし「2.8MHz/1bit」となると「…それ96kHz/24bitのPCMとどっちがすごいの?」みたいな疑問も浮かんでくる。
先日moraもDSD配信を開始したことで、ototoy、 e-onkyo music、moraと国内DSD配信も今後さらなる充実が期待されるいま、今回はそんな「DSD」について考えてみよう。
<もくじ> |
● PCMとDSD、情報量が多いのは? |
● DSDの「1bit」ってどういうこと? |
● DSD、どうして少数派? |
● DSDが活躍している場面 |
● DSDのUSB伝送〜DoP〜 |
● ネイティブ再生とPCM変換再生 |
● 高橋敦のオススメDSD音源 |
■PCMとDSD、情報量が多いのは?
「ハイレゾとは?」の技術的な説明として基本的なものは、
●記録できる周波数帯域(音の高さの上限)を決めるサンプリング周波数
●記録できるダイナミクス(音の大小の幅や解像度)を決める量子化ビット数
●そのサンプリング周波数と量子化ビット数がCDのそれを上回るのがハイレゾ
…というものだ。しかしこの説明は「PCM」方式でアナログ音声信号をデジタルデータに変換、またはその逆に再生する際の話。今回の主役「DSD」では話が違う。
DSDでは「bit」の方は1bit固定。スペックの違いとしては「Hz」のバリエーションとなるが、そちらは2.8MHz/5.6MHz/11.2MHzといったところがよく見かけられる。単位を揃えると
●PCM 96kHz=9600Hz
●DSD 2.8MHz=2800000Hz
という感じだ。ここだけ見れば、PCM 96kHzよりもDSD 2.8MHzの方が「データ量=情報量が圧倒的に大きく高音質」ぽい。しかし前述のようにDSDはbitの方は「1bit固定」だ。
●PCM 24bit=オンかオフかの2値の24乗=1677万7216値
●DSD 1bit =オンかオフかの2値
と、こちらの「情報量」はPCMの方がさらに圧倒的。結局、仮に「総合的な情報量=kHz×bit」ということにすると、
●PCM 96kHz/24bitとDSD 2.8MHzはだいたい同じ情報量
で、実際、同じ曲ならファイル容量は似通ったものになる。もっと詳しくいうとPCMの方が少し小さめで、さらにFLAC等のロスレス圧縮も可能なので、省スペース性という意味では少し優位だが。
さて、次ページでは“DSDの「1bit」ってどういうこと?”について解説していきたい。
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