〇概要
サブカルチャーと、それに関するオカルトについて色々と
今後の記事で参照したりする
〇反文明思想
グローバル資本主義・環境破壊・工業化・管理社会へのアンチテーゼ。
反文明的な思想は、日本のサブカルチャーの創世記からあって、
手塚治虫等や藤子不二雄がそういったテイストの作品を描いていた。
〇非日常への憧れ(逃避)
MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 浦沢直樹,勝鹿北星,長崎尚志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/08/30
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いつの時代にも生活や人間関係に不満を持っている人間はいて、
つまらない日常からの脱出したいという欲望に、サブカルチャーは応えてきた。
少年向きのトールキン的な世界を冒険するゲームやアニメ・漫画が氾濫する。
ゼロ年代より前は、やたら勇者だの転生だのといった言葉の登場するアニメが多かった。
そして転生は割といい感じの要素として用いられてきた。
青年誌で脱日常の欲望に応えた作品の例として、マスターキートンが挙げられる。
しがない大学講師のキートンが実は、元SASサバイバル部隊教官で、世界中を放浪して事件を解決する探偵という支離滅裂な話。
キートンは仕事の為に世界中の史跡や自然を回るのだが、当時のつまらない日常を生きる大人達の大自然や歴史遺産といった非日常への渇望が感じられる。
〇科学と対になるもの
MMR?マガジンミステリー調査班?(1) MMR-マガジンミステリー調査班-
- 作者: 石垣ゆうき
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科学や管理社会へのアンチテーゼは、サブカルのモチーフとして特定のものを選んでいく。
自然・宗教・超能力、そしてオカルト、この四つはサブカルチャーの題材として多く用いられていく。
小説『帝都物語』には、上の四つの全てが揃っており、後のサブカルチャーに影響を与えていく。
帝都物語が出るまで、陰陽師って何それみたいな感じだったらしい。
あとMMRを読むと、当時のオカルトブームが分かる。
〇脱日常(逃避)とオカルトの集合体『X』
逃避の対象として、オカルトが選ばれた。
オカルトに裏付けされた権威で逃避が行われる。
90年代の独特の雰囲気の作品として『創竜伝』と『X』が挙げられる。
創竜伝は、自然・宗教・超能力・オカルト全てが揃った作品。
竜堂四兄弟は、中国の昔の神様の転生で、超能力が使える。
竜堂四兄弟の災害レベルの暴れっぷりは、現代社会に対する、アンチテーゼである。
CLAMPの漫画『X』
地球を汚染する人類を皆殺ししようとする、選ばれた超能力者?七人『地の龍』と、それを阻止しようとする主人公率いる『天の龍』が戦う。
当時らしさのある絵柄もあって、独特の気持ち悪さのある漫画。
この二作品は時代の独特の雰囲気を持っていて、それで、登場人物が『選ばれる』作品である。
〇ドラッグカルチャー
90年代、世界的に脱日常・逃避の手段としてドラッグが用いられる。
ドラッグは自然や呪術とのつながりが深い。
ドラッグの一種幻覚サボテンは、インディアンの儀式に用いられる。
日本のドラマや純文学では、ドラッグは割とよく用いられていた。
ただなぜかは知らないが、90年代以前の漫画やアニメなどでは、あまり取り上げられていないよう。
〇エネルギーの爆発
90年代は普通に大手の出版社が、オカルト本を出してた。
カルト宗教に理解を示す哲学者とか評論家がいた。
サブカルも後押しして、日本はオカルトに許容のある社会になっていた。
そんな中、1995年、サリン事件が起きる。
結果、日本全体にオカルトに対するアレルギーが生じる。
創竜伝は、だんだんオカルトに対して自嘲的な作品となり、ゼロ年代に入って続編が出なくなる。
そして『X』は連載が中止となる。
〇アンチオカルト
オカルトに対するアレルギーは、アンチオカルトな作品を生んでいく。
『TRICK』は、仲間由紀恵が阿部寛と共にインチキ霊媒師達を成敗していくドラマ。
漫画『鋼の錬金術師』には、『人は生き返らない』『死を望む不死のホムンクルス』といったアンチオカルト的な要素が登場する。
〇アンチ脱日常(アンチ逃避)、普通に敗北するオカルト
涼宮ハルヒの憂鬱は、オカルト現象を望む少女ハルヒをSOS団の面々が満足させる話だ。
オカルト現象を望む少女涼宮ハルヒは、実は世界を滅ぼしかねない力を秘めていて、日常に満足しないと、世界を滅ぼしてしまうかもしれない、それを防ぐ為、主人公キョン達SOS団が奔走する。
オカルトではなくSOS団との日常によってハルヒは、そしてキョンは満たされていく。
オカルトや超能力に対して、普通や日常・友情を描く作品はゼロ年代には少なくない。
『遊戯王』は、表遊戯に乗り移った古代エジプトのファラオにして、闇のゲームの番人裏遊戯が、超能力や神のカードを使う強敵とカードゲームやボードゲームで戦う漫画だ。
裏遊戯は、敵の超能力の前に苦戦するが、弱い表遊戯や、馬鹿の城之内、背景軍団ら、超能力を持たない普通の仲間との結束の力で、ピンチを打開していく。
そして物語の最後に、裏遊戯は表遊戯との戦いに敗れ、死後の世界へと旅立つ。
〇遅れてきたドラッグカルチャー
Dクラッカーズ〈1〉接触‐touch (富士見ファンタジア文庫)
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『ブギーポップは笑わない』が登場して以降、現代日本の路地裏を舞台にした作品が多く登場するようになる。
そういった作品には、ドラッグが登場するようになる。
ただ、正直遅かったように思う。
脱逃避の流れが出てきたのに、今更ドラッグを取り上げるのは、正直美味しくなかった。
2000年代前半のライトノベルは、ドラッグとかミリタリーとかダメな題材をたくさんつかまされていた。
Dクラッカーズは、飲むと悪魔を召喚するカプセルが密かに流通している世界で、悪魔持ちの少年たちが抗争を繰り広げる話である。
90年代的な雰囲気から始まるが、最終的に登場人物たちは社会に向き合い、カプセルは世界から消滅する。
〇逃避せずに日常を生きる
逃避する事をやめた人々は、日常に価値を見出す。
他愛ない日常を描く日常モノや、孤独な少女がリア充のイケメンによってリア充になる少女漫画が読者の琴線に触れ、量産される。
オカルトに逃避する事でなく、他人と思い出を共有し、日常を生きることが推奨される。
〇中二病要員
僕は友達が少ないNEXT 羽瀬川小鳩 (1/8スケール PVC塗装済み完成品)
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ハーレム系ライトノベルやアイドルアニメには、中二病キャラが多いがしばしば登場する。
はがないの小鳩とかデレマスの蘭子ちゃんとかだ。
彼女達は、邪気眼発言をしたりして、笑いものになってるんだけど、
かつてこうした邪気眼を本気で信じてた人達が、洒落にならな事件を起こした事を考えると、あんまり笑えない。
〇友情・強迫観念
『他人と何かを共有するのはいい』の対偶は『他人と何かを共有しないのは悪い』であり、友達の少ない・いない人間へのパッシングにつながり、友達の少ない・人間にとって生きにくい社会となる。
日常モノや少女漫画は、友達は多くないと・いないといけないという強迫観念を生み出す。
『僕は友達が少ない』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』『アオハライド』といった作品んでは、そういった社会の雰囲気が皮肉られている。
〇逃避の復活
- 作者: 川原礫,abec
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ソードアートオンラインはオンラインゲームが舞台の作品だ。
本来オンラインゲームは、みんなで仲良く仲間の為にプレーし、体験を共有するのが魅力である。
だが、『仲間の為に貢献できるのはいい』の対偶は『仲間の為に貢献できないのは悪い』であり、みんなの足を引っ張らない為にしないといけないという強迫観念がつきまとうのもオンラインゲームというものである。
ソードアートオンラインにおいて、役割分担による集団バトルは描かれず、主人公キリトの無双が描かれる。
キリトは、他人の足を引っ張るかどうかなんて考えなくてもいいような、強く独りで行動するキャラクターで、女の子に対してくさいセリフを言う。
その一方で、かつて仲間達が死ぬのを防げなかった自責の念に苛まされ、心の奥底ではつながりを求めるキャラクターとしても描かれている。
ソードアートオンラインのような俺tueee系のライトノベルが人気を得ている背景には、他人とのつながりを重視する現代社会のシビアな現実があるのだと思う。
〇今の逃避・オカルト
10年代も半ばの今、90年代みたいな雰囲気が来てるのかに関してはよく分からない。
なろう作品に代表される、勇者や転生といったキーワードを持つ作品の増加、それらの作品の転生に関する好意的な印象に関しては、90年代ぽいなと。
なんだけど、マスターキートンに見られるような大自然や史跡、自分達のまだ見ぬ世界に対する憧憬が感じられない事に関しては、90年代ぽくないなと
〇聖剣使いの禁呪詠唱
今、一番笑われているアニメ『聖剣使いの禁呪詠唱』
聖剣使いの禁呪詠唱に関しては
笑いがこみあげる以上に
転生の用い方に、恐怖を感じた
前世があると自称してるやつらが、学校に集まって、戦闘訓練してるとか、真面目に考えると割と怖い。
個人的には、聖剣使いの世界に仲間由紀恵を放り込みたい。
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〇過去関連記事