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美濃加茂市長に無罪判決 贈収賄事件で
3月5日 14時09分

美濃加茂市長に無罪判決 贈収賄事件で
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岐阜県美濃加茂市の市長が、浄水設備の導入を巡り、業者から賄賂を受け取ったとして受託収賄などの罪に問われた裁判で、名古屋地方裁判所は「業者の供述には疑問があり、現金の受け渡しがあったと認めるには合理的な疑いが残る」として、市長に無罪の判決を言い渡しました。
岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(30)は、市議会議員だったおととし、浄水設備の導入を巡り、便宜を図った見返りなどとして、名古屋市の業者から2度にわたって現金合わせて30万円の賄賂を受け取ったとして、受託収賄などの罪に問われました。
市長が無罪を主張したのに対して、検察は懲役1年6か月を求刑しました。
5日の判決で、名古屋地方裁判所の鵜飼祐充裁判長は藤井市長に無罪を言い渡しました。
判決の理由の中で、裁判長は、市長に賄賂を渡したとする業者の供述について、「現金を渡したとする回数や同席した人物がいたかどうかが変遷したり、渡すときの会話が2度とも同じだったり、臨場感に欠けて疑問がある」と指摘しました。
そのうえで、「業者は別の詐欺事件で捜査を受けていて、さらに罪に問われるのを避けようと捜査機関の関心を市長に向けさせるため虚偽の供述をすることは十分ありうる。供述以外の証拠を考慮しても現金の受け渡しがあったと認めるには合理的な疑いが残る」と述べました。
裁判長は最後に、「きょうでひと区切りが着いたと思うので、市政に尽力されることを期待します。頑張ってください」と話しかけ、藤井市長は証言台で深く一礼しました。
賄賂を贈った罪などに問われた名古屋市の業者は、みずからの裁判で起訴された内容を認めたため、賄賂を渡したかどうかは争われず、別の裁判長が言い渡した有罪の判決が確定していますが、5日の判決は、賄賂の受け渡し自体があったとは認められないと判断しました。

藤井市長「ほっとしている」

無罪の判決のあと、藤井市長と弁護団が名古屋市内で記者会見しました。
藤井市長は「判決を聞いてほっとしている。市民や多くの方々に支えられ、一貫して主張してきたことが認められてうれしく思う。結果的に、知り合いだった業者が別の犯罪を犯していたことを見抜けなかったのは私の落ち度であり、今後は、しっかりとした目を持ち、市長として頑張っていきたい」と話しました。
弁護団の郷原信郎弁護士は「極めて当然の判決だ。市長に現金を渡したという業者の供述が不合理で疑わしいということを、裁判所が認めてくれて満足している」と話しました。

検察「適切に対応」

無罪の判決について、名古屋地方検察庁の大図明次席検事は「判決の内容をよく検討し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。

判決のポイントは

裁判では市長に現金を渡したとする業者の供述が信用できるかどうかが最大の争点となりました。
5日の判決は、業者の供述について「全体としては具体的かつ詳細であり、一定の裏付けもある」とする一方、「現金を渡すという核心的な場面については、具体的で臨場感がある供述をしているとはいえない」と指摘しました。
特に当初は現金を1度渡したことしか覚えていないと供述していたことについては「賄賂だという認識を持って現金を渡す行為は、非日常的で強い印象に残るはずだ。記憶があいまいだというのは不自然と言わざるをえない」という判断を示しました。
さらに、現金を渡したという場にいたのは市長と業者の2人だけだったという供述から、知人も同席していたと変わったことについても「供述が変遷し、信用性に大きな疑問があると言わざるをえない」としました。
そのうえで、「業者が別の詐欺事件の捜査を受けるなかで、捜査機関の関心をほかの事件に向けさせようと考えた疑いがある」として、業者には、うその供述を行う動機や事情が存在していると指摘し、無罪の判決を言い渡しました。

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