「発信力=表現力」ではない
以前、小学生向けの作文指導の本を読んで、愕然としました。そこに模範として書かれていた文章が、とんでもなく的外れだったからです。
日本の国語教育では、「表現力」や「感受性」が重視されていると感じます。「この時の、主人公の気持ちを述べよ」「筆者の気持ちとして、最も適切なものはどれか?」というような問題を、多くの方が目にしたことがあるでしょう。
ですが、考えてみてください。みなさんが社会に出て、一度でも「表現力豊かな文章」を書いたことがありますか? もっと言えば、表現力豊かな文章を求められたことがありますか?
会社で、買い物に行ったお店で、その他どこでも構いません。大人になってから、小説以外で、そのような文章を見たことがありますか?
おそらく、ほとんどの方が「ない」でしょう。
これらの文章を書くのは、小説家、脚本やシナリオを書く人だけです。それ以外のぼくら一般人は、おそらく一生書くことがありません。だとしたら、そんな文章を目指してもまったく意味がないんです。
「子どもには、自分の言いたいことを言えるようになってほしい」
そういう意図で、国語教育はされているのかもしれません。ただ、「言いたいことがいえるように」ということを誤解している大人が多いように思います。
表現力が豊かになる=言いたいことが言えるようになる、と考えている大人がじつに多いのです。そして同時に、表現力が豊かになる=きれいな日本語で小説のような言い回しができるようになること、と考えています。
ですが、それは勘違いです。というか、目標を捉え違えています。
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