武器を完成させていくのが楽しかった−。殺傷能力のある空気銃を製造したとして、未成年者としては全国で初めて逮捕された少年は、そんな趣旨の供述をしたという。兵庫県警少年捜査課などは2月16日、武器等製造法違反(無許可鉄砲製造)と銃刀法違反(所持)容疑で、同県宝塚市の県立高校1年の少年(16)を逮捕した。まるで「バズーカー砲」を思わせる全長約208センチもある空気銃は、約1メートル離れてもスチール缶を撃ち抜けるだけのすさまじい威力があったようだ。少年は「インターネットで調べてつくった」と供述しているが、昨年5月には、神奈川県で3Dプリンターを使って拳銃をつくり、逮捕された元大学職員の男もネットを参考にしていたとされる。誰もが危険で威力のある「銃」を製造できるようになったのだ。専門家は安易な気持ちによる「武器製造」に警鐘を鳴らしている。 (桑村朋)
「生徒が自宅で大砲のようなものを持っている」
平成26年11月、少年が通う県立高校に、ある保護者から連絡があった。少年は自身で製造した空気銃をスマートフォンで撮影し、その画像を同級生の友人に見せびらかしていたという。友人の親が画像を見て、あわてて高校を通じて伊丹署に通報したことをきっかけに、捜査が始まった。
県警は少年宅を家宅捜索し、空気銃と準空気銃の計3丁を押収した。塩化ビニール製パイプなどを銃口にして、可燃性ガスを爆発させて弾丸を発射させる仕組みだった。
驚いたことに、空気銃に使われた原材料はすべてホームセンターなど、身近なところで市販されているものばかりだった。弾丸も金属製のボルトを加工したもの。少年の部屋からは試射で弾丸が貫通したスチール缶も見つかった。
県警が3丁を鑑定した結果、1丁は殺傷能力が認められる全長約208センチの空気銃で、口径は25ミリ。残る2丁は空気銃に準ずる威力を持つ全長が約139センチと118センチの「準空気銃」だった。
copyright (c) 2015 Sankei Digital All rights reserved.