英数字に折りたためる展開図 via みたにっき@はてな
夢中に折り紙で遊んだことがある方は多いでしょう。正方形の紙を縦に2つに折り、さらに横に2つに折り、斜めに折り、ということを繰り返していけば、1枚の紙から無数の形を作り出すことができます。では実際にどのくらいの数なのか? それを数え上げたブログが話題です。
ただし、ここでは1枚の紙を縦に四等分、横にも四等分して、格子それぞれに対角線を引いた格子パターンを想定し、そこから折り出すことができる図形とします。さていくつでしょう?
折紙の研究に取り組む、筑波大学大学院システム情報系情報工学域の 三谷純 id:JunMitani 准教授(研究室のWebページ)によると、なんと13万4千もの図形を折りたたむことができ、そこには小さいころから親しんできた「だまし舟」や「かざぐるま」も含まれているそうです。
三谷先生の研究室がこの結論に至るまで、最初の思いつきからなんと3年近い年月が費やされています。その間に書かれた3つのブログエントリーを、順を追って見てみましょう。
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最初のエントリーが書かれたのは2012年5月のこと。出張先で、格子パターン中に「平坦に折りたためるような、折り線のパターン(展開図)がいくつ隠されているか」ということを思いついた三谷先生は、移動中にノートで検討、宿泊先でプログラムを作って数え、約1億6千6百万通りという数字をはじき出しました。
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ところが上記の数字が間違っていたことが判明したのが2年半後。研究室の学生の指摘により、三谷准教授が28種類と考えていた「平坦に折りたためる基本パターン」に、実は8パターンの数え漏れがあったことがわかりました。指摘した山本陽平さんは、実際に折り紙を折って確認したそうです。やはり手を動かすことは大切なんですね。
この結果、折りたためるパターンは、約2億6千万通りになりました。
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そしてこの3月、前の記事で明らかになった折り方のパターンをもとに展開図を全部折りたたむと、どのような形が出てくるだろうか という疑問に山本さんが示した解答が、前述の約13万4千種類という数字です。
2億6千万パターンを折りたたんで13万種類になるということは、とんでもない数の重複があるということ。異なる1,700万パターンもの展開図が同じ1つの図形に折りたたまれたり、逆にたった1パターンの折り方しか存在しない図形があったり、アルファベットや数字の形に折りたためる展開図を見つけたり、このエントリーはとても興味深い内容になっています。ぜひじっくりと時間をかけて読んでみてください。
山本さんのWebページでは折り方を逆算するソフトウェアも公開されており、ここから新しい「何かに見立てられる」折り紙が生まれるかもしれませんね。
Yohei YAMAMOTO(※「45度系格子パターンから作り出される平坦折り形状の列挙」にPDFとJARファイル)
関連エントリー
紙を折るだけでここまでできる!?芸術的な「すごい折り紙」いろいろ - はてなニュース
はてなニュースの4年半前の記事で「“立体”の折り紙」として三谷准教授のブログを取り上げています。
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