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岸博幸の政策ウォッチ

国会以上に問題だらけ、地方議会のトンデモ実態

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第3回】 2015年3月6日
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 国会は西川前農水大臣から始まった“政治とカネ”の問題でずっとゴタゴタしていましたが、実は地方統一選まであと1ヵ月と迫っています。そんな今だからこそ、地方議会には国会以上に問題が多いことを思い出すべきではないでしょうか。国会が“政治とカネ”の問題の再発防止に取り組むならば、地方議会についてはそれ以上に抜本的な改革にも取り組まない限り、安倍政権の目指す地方創生は実現困難だからです。

3ヵ月働くだけで2000万円!?
地方議員への驚くべき年間支給額

東京都議会議事堂。知られざる地方議員の業務実態とは?
Photo:M-Fotolia.com

 なぜ地方議会には抜本的な改革が必要なのか。それほど現在の地方議会には問題が山積しているのです。

 昨年は、野々村元兵庫県議の“号泣会見”をきっかけに、地方議員の政務活動費の不正使用が様々な地方で指摘されました。また、先月は、奈良県吉野郡町村議会議長会が、長年にわたって年2回の懇親会に公金で女性コンパニオンを呼んでいたことが明らかになりました。こうしたあまりにレベルの低い公費の不正使用はもちろん論外ですが、それ以上に地方議会の構造自体に問題が多いと言わざるを得ません。

 例えば、“政治とカネ”で国会議員の政治資金のルーズさが改めて明らかになっているとはいえ、国会が開催されている会期日数は毎年200日を超えています。国会議員は1年の半分以上を国会に費やしており、よく働いているとも言えます。

 それと比べると、地方議会の会期日数は、ちょっと古い数字で恐縮ですが2009年度でみると、都道府県議会が98日、市区議会が85日、町村議会に至ってはわずか44日です。

 その一方で、地方議員には多額の公費が支払われています。報酬以外に政務活動費なども加えて試算すると、都道府県議会の議員には年間2026万円、市区議会の議員には年間833万円、そして町村議会の議員には年間370万円が支出されています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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