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電力やガスの市場を改革する政府の関連法案が国会に提出された。 電力に…
電力やガスの市場を改革する政府の関連法案が国会に提出された。
電力については原発事故を機に進めてきた改革の総仕上げとなる法案だ。与野党審議を通じて「新しいエネルギー社会をつくる」改革の趣旨を確かなものにし、今国会ですみやかに成立させてもらいたい。
原発事故とその直後の電力不足を通じて、地域独占・大規模集中立地・発送電一体という電力システムのもろさが露呈した。これを受けて、政府は2013年から段階を踏んで法改正を進めてきた。
今回の改正法案の柱となるのは、発送電分離だ。2020年4月に、電力大手の送配電部門を発電部門から切り離して別会社にすることを義務づける。
電力の販売を新たに始める事業者は利用料を払って送電線を使う。別会社化で、電力大手が自社の小売り部門を優遇することができなくなり、複数の事業者が同じ条件のもとで新しいサービスや事業を競えるようになる。健全な競争が行われているかを監視する、独立性の高い委員会も設ける予定だ。
気になるのは、法案の付則として設けられることになった「検証規定」だ。
発送電分離の前後に、需給状況や電気料金の水準などを検証し、必要があれば「措置を講ずる」ことが盛り込まれた。
電力大手は発送電分離に反対してきた経緯がある。今年1月には業界団体である電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が発送電分離について「問題が生じる場合は、実施時期の見直しを含め、柔軟に改革を進める必要がある」と表明した。原発再稼働が進んでいることなどが前提になるとの立場だ。
宮沢洋一経産相は「実施時期はしっかり守る」と強調するが、八木会長は2月の会見で検証規定について延期も含むものと理解していると述べ、規定の解釈が玉虫色になっているのが現状だ。
言うまでもなく、発送電分離は再生可能エネルギーの割合を増やし、事故で国民の信頼を失った原発を減らしていくうえでも不可欠な政策だ。原発再稼働と引き換えにするようなものではない。
電力改革はこれまで、着実に進められてきている。16年4月には家庭向けの電力小売り分野への参入が全面自由化される。また、電力改革は今国会で「改革断行」を掲げる安倍政権の目玉の一つでもある。法案が骨抜きにならないよう、国会の場で明確な姿勢を見せるべきだ。
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