華やかな広告業界で、陰謀渦巻く審査会に翻弄される主人公の姿を描いた笑いと驚きと感動のコメディ『ジャッジ!』。主人公・太田役の妻夫木聡とヒロイン・ひかり役の北川景子が“偽夫婦”で共演。知られざる広告業界の一面も描き出されている。
本作で、監督を務めた永井聡からインタビューが届いた。永井は、数々の有名CMを手掛け、2012年にACC CM FESTIVAL クラフト部門ディレクター賞を受賞している。
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【監督することになった経緯】
僕が関わったのは1年くらい前です。企画は5年くらい前に、脚本を担当した澤本さんが実際に海外の広告祭で審査員になった時の話を飲み屋で松竹のプロデューサーさんなどにしていた時に「それ面白いから脚本にしてみれば?」と言われたらしいです。でも僕も澤本さんも自分たちの業界の話なので、別に面白いとか特別なことだとは思わなかったんですけど、意外に「こんなことが起こっているんだ」と周りの方の興味を引いたようで。そこからフィクションも織り交ぜて作っていった感じなんですが、僕はほとんどノンフィクションだと思っています(笑)。
【妻夫木さん演じる落ちこぼれ広告マン・太田喜一郎のモデルは?】
脚本の澤本さんです。澤本さんが実際に審査会にアニメのTシャツを着て行っているんですよ。それだけで興味も持ってもらえるし、話しかけてくるみたいです。日本のアニメは完全に独立したアートと捉えられているので、説得力があるようです。
【演出でこだわった部分】
会話のテンポ感。CM監督特有のテンポ感というんですかね。たいした会話じゃなくても、あまり役者さんに間を持たせずにポンポン話が進んでいくというところはこだわってやりました。外国の方のセリフもなるべく早口で言わせてスピード感を出したり。特に、座ったままだったり動きの少ない会話劇が多かったので、なるべく言葉で迫力を出してカットを割っていく、アクションものを撮っているような感じでした。
【演出するうえで難しかったところ】
実は、妻夫木君が用意してきたモノと僕が思い描いているモノでちょっと食い違いがありまして。でも、その時に妻夫木君が言ってくれたのが、話し合いをして50:50で100にしても、それは結局お互いに中途半端な状態だから、それだったら監督に100%任せると言ってくれて、作ってきてくれたプランを全部捨てて現場で変えてくれたのは、すごく助かりましたね。
喜一郎ってすごく難しかったんですよ。別にダサくもないし。妻夫木君は顔がキレイなので、それをどうやってダメ男に仕上げるか…顔はイケてるんだけど「喋らなきゃ良いのに」みたいな、真面目なんだけどなんか気持ち悪い感じの、すごく微妙なキャラクターにしようと思っていたので、そこはすごく難しかったですね。
【CMと映画の違い】
15~30秒のCMの世界だと、どうしても役者のバックボーンとかキャラクターの設定もあまり出せなくて、セリフも「ここのセリフだけ10パターン撮らせてください」とかっていうことがよくあるんですけど、映画だとそれが通用しない。役者さんも全体を覚えてきていらっしゃるし、シーンごとに気持ちを込めて表現したいという役者さんの思いもあるので、そこのやり取りがCMにはないので、自分の演出と向き合う、よい機会になりました。
【長編作品を監督して良かったこと】
音楽業界で例えると、今まではCDを作っている感覚で、ライブをやっていなかったんです。映画ってライブの良さだと思っていて、観客のみなさんも周りの人が笑うと楽しくなるし、独特の雰囲気もあって一体感がある。そういうモノを経験したことがなかったので、それはすごく新鮮で、編集室では面白かったのに劇場の雰囲気ではなにか違う…、そういう違いをすごく感じました。
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【Story】
世界一のテレビCMを決める広告の祭典、サンタモニカ国際広告祭。落ちこぼれ広告マン、太田喜一郎(妻夫木聡)は、社内一のクセモノ上司、大滝一郎(豊川悦司)に押し付けられ審査員として参加することになる。毎夜開かれるパーティに同伴者が必要と知った太田に懇願され、仕事はできるがギャンブル好きの同僚・大田ひかり(北川景子)も“偽の妻”としてイヤイヤながら同行することに…。
配給:松竹
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公式HP『ジャッジ!』
(C)2014「ジャッジ!」製作委員会