【モノを作る、伝えるという点で大切にしていること】
毎回1つチャレンジすることかな。見たことのない映像だったり、初めてのカメラマンとちょっとやってみるとか。CMでも、ガチガチに決められたモノもあるんですけど、自分のやったことのないジャンルの音楽をあててみるとか、なにか1つ自分にとって新しい挑戦をするようにしています。自分の経験値だけでやってしまうと、昔の自分をなぞっているだけのような気がして面白くないんですよね。若い頃によく分からないでやっていた勢いみたいなモノもすごく大事だと思うし、今しかできない表現もあると思うので、新しいことを入れ込んで、見たことない、感じたことがない違和感みたいなモノを大事にしたいと思っています。
【モノ作りのゴール】
良いモノを作りたいという漠然としたゴールがみんなの中にあって、良いモノって言葉にはできないですけど、すべてを凌駕できる何かを持っていると思うんですよね。そこに行きつくために、日本人だとどうしても詳しい地図を欲しがるというか、経緯を知りたがるところがあると思うんですが、そういう地図を持たないでみんなで話し合って、いろいろ回り道をして行きつくところがゴールで良いんじゃないかと思っています。最初に思い描いていたゴールと違ってもそれが成功することもあると思いますし。
【監督として現場で意識したこと】
コメディ作品なので、撮影現場も楽しい空気でやりたかったんですが、時間があまりなかったこともあり、空気がピリピリしちゃうこともちょっとありましたね。今回は外国人の方も多くて、カメラを回すとやっぱり緊張しちゃうのもあったんですが、妻夫木君がみんなに話しかけてくれたり、待ち時間も一緒にいてくれたりして、良い空気を作ってくれたので、本当に助かりました。
【お気に入りのシーン】
妻夫木君と北川さんがホテルの一室でケンカするシーン。そこは唯一ギャグがないシーンで、テストの時から「100%の力でやらないで、本番で一気にやってほしい」と伝えていました。ほとんどワンカットで撮ろうとしていたので、カメラワークも失敗できないし、苦労したところもあるんですが、自分の中では良いモノが撮れたと思ったし、役者さんたちも良い芝居ができたみたいで、お互いに分かり合う瞬間がありました。
【作品に込めた思い・メッセージ】
人って好きなモノと得意なモノが一致するとは限らないと思います。でも1つのことを続けることってすごく大事で、それは好きという気持ちでしかないと思います。この作品でいうと、喜一郎は才能もないし、この仕事には向いていないと思うんです。でも、好きだからこそ続けていられるし、そこを信じないとモノを作っている人間として人様に見せる資格はないと思います。才能があって、器用にうまくやる人もいると思うんですが、好きなんだからとにかくやり続けるしかないかなって。
今回、撮影前にスタッフから「広告賞ってなにを判断するんですか? CMに良いとか悪いとかあるんですか?」と質問されました。CMはショートフィルムではなく、宣伝のための映像でしょという風に見られているんですよね。それでもプライドを持って喜んで欲しいという気持ちで映像を作っているので、やっぱりこういう意識を変えていきたいですね。
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【Story】
世界一のテレビCMを決める広告の祭典、サンタモニカ国際広告祭。落ちこぼれ広告マン、太田喜一郎(妻夫木聡)は、社内一のクセモノ上司、大滝一郎(豊川悦司)に押し付けられ審査員として参加することになる。毎夜開かれるパーティに同伴者が必要と知った太田に懇願され、仕事はできるがギャンブル好きの同僚・大田ひかり(北川景子)も“偽の妻”としてイヤイヤながら同行することに…。
配給:松竹
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