昨日、参議院議員会館においてカジノ反対派の集会がありまして、さっそく関連する記事が出ている模様です。以下、BLOGOSより転載。


「日本をカジノ漬けにしないと成立しないビジネス」学者が安倍政権の「解禁論」を批判
http://blogos.com/article/106935/

日弁連は3月3日、東京・永田町の参議院議員会館で、安倍政権が実現を目指している「カジノ解禁」の問題点を議論する集会を開いた。静岡大学人文社会科学部の鳥畑与一教授は基調講演で、「日本全体をカジノ漬けにしないと成立しないビジネスだ」と批判した。


記事のメインとなっているのはカジノ反対派の急先鋒である鳥畑与一氏(@静岡大)の講演部分となっており、この短い記事の中に突っ込みどころが満載で、反論を打つにしてもどこから手を付けていいのやら…というのが本音です。ただ、その前にどうしても言及したい、というか読者の皆様に確認したいのが、鳥畑氏による以下の言及部分。


IRの経済波及効果や投資規模の推計が膨れ上がっており、毎年1兆円のカジノ収益を確保しなければ成立しないレベルになっているという。鳥畑氏は「これはカジノで年間10万円負ける人が1000万人も出てくる計算だ」とたとえを持ち出して、説明した。


ご承知の通り、私自身はカジノ産業の中の人間であって、ひょっとすると私の感覚自体が一般からかけ離れてしまっているのだとするとゴメンナサイと断った上で…

鳥畑氏はカジノ反対派の立場なので、この表現は当然ながらカジノを批判するための表現のはずですが、もし同氏が主張するように日本にカジノが出来たら「年間10万円負ける人が1000万人出てくる」のだとして、それは「日本中をギャンブル漬けにする」など壮大に煽って、反対するような産業なのでしょうか。

正直、年間10万円以上を必要とする「遊興行為」というのは、世の中にゴマンと存在しています。子供が己の小遣いから出す金額としては高すぎるのでしょうが、大の大人が行う遊興行為としてはそんなムチャクチャな数字には感じない。もし、鳥畑氏のカジノ産業への認識が「その程度」のものだとするのなら、私としては正直、何をもって「カジノが出来たら日本が崩壊する」かのような極端な表現で反対論を煽っているのか、ちょっと理解に苦しみます。

繰り返しになりますが、私は産業の中の人間なのであって、少し感覚がズレている可能性があるので、是非この点に関しては読者の皆さんのご意見を聞いてみたいところです。



ちなみに、数学上は「年間10万円の負け」のゲームであったとしても、カジノゲームの実際の結果は必ず偏差が発生し、「極端に勝つ人間」と「極端に負ける人」が出てきます。問題はその極端に負ける人をどれだけ減らすのかという点であって、カジノを合法とする多くの国や地域ではカジノで提供されるゲームの「ギャンブル性」に関して一定の制限を設けているのが実情です。

また、当然ながらこれらゲームに「ハマり込んでしまわない」為の様々な対策も必要です。もっとも、上で鳥畑氏が主張するような「カジノは1000万人が年間10万円ずつ負けるゲームなのだ」という事を、プレイヤー全体が正しく理解をしてくれていれば、カジノゲームに「ハマりこむ」ということ自体が無くなるんですけどね。。

これは、いずれの賭博行為においても同じですが、「賭ける」という行為はそのゲームに参加して楽しむための「場代を支払う」行為なのであって、原則的にそこから「儲けを期待する」ような行為ではありません。この種の非常に基本的な賭博に対する数学的理解が全国民的になされてない事自体が、我が国における最大のギャンブル依存症リスクであるというのは、これまで当ブログにおいて幾度となく申し上げて来たこと。

カジノの合法化云々に係わらず、世の中にはすでに沢山の賭博およびそれに類する行為が存在するのですから、学習指導要領の改定も含めこれら依存症対策に関しては、早急に手を打つ必要があると思われます。詳細に関しては、別エントリで記述した事がありますので、併せてそちらもご覧ください。


有るべきギャンブル依存症対策の形
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8709670.html