お金の心配なく堂々と風邪を引けるドイツ、病欠がない日本
ドイツの医療保険会社の上部組織であるDKK Dachverbandの統計によれば、2013年のドイツの被雇用者の病欠日数は平均17.6日だったそうだ。
ドイツでは、朝、具合が悪ければ、電話をして会社を休める。会社によって規則が違うが、2~3日はそうして休み、4日以上休む場合は医者の診断書が必要となるケースが多い。診断書には病名は書かれない。何日間の休養が必要かということが書かれるだけだ。
雇用者は、報酬継続支払法という法律に基づいて、6週間までは病欠者に給料を払わなければならない。これは正規雇用の従業員だけでなく、アルバイトもパートも同じだ。
私の知り合いの女性は体が弱く、しょっちゅうあっちが痛かったり、こっちが痛かったりするので、病欠の日数は数えきれない。
一度、「そんなに休んで、職場で肩身が狭くはならないの?」と聞いたことがある。すると彼女は、「昔はそう思ったけど、今は思わない。私以上にたくさん休んでいる人もいるのに、なぜ、私だけが遠慮しなければいけないの?」と言った。日本人とは精神構造が違う。
彼女の職場では、病欠の人の仕事をそのままためておくと、病気が治って復帰してきたあと大変になるので、随時、皆で手分けしてかたづけると決まっているそうだ。ということは、全然病気にならない人は、いつも他人の分の仕事までして、お給料が同じ・・・? それもちょっとかわいそうだ。
いずれにしても、ドイツでは、お金の心配なく堂々と風邪をひける。被雇用者にとってはよい制度だが、雇用者にとっては悩みの種でもある。ドイツの労働者は、そうでなくても、休暇がとても多いからだ。
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