岐阜古文書は自治会が守る 郡上・和良でデータ化
郡上市和良町の横野自治会が、地元に残る江戸から明治時代の古文書を長期保存するため、デジタルカメラで撮影してDVDに記録する作業を進めている。古文書にはアユに関する興味深い記述もあり、郷土史家は史料価値の高さを指摘する。 ◆江戸−明治の50点床にずらりと並べられた古文書。一枚ずつ慎重に手に取って、カメラのシャッターを切っていく。和良町下洞の和良おこし公民館では、自治会から作業を委託された「アーカイブ郡上」のスタッフ加藤真司さんが、真剣な表情でファインダーをのぞき込んでいた。見守りながら助言をするのは、郷土史家の酒井銀之助さん(90)だ。 古文書は一六六六(寛文六)年から一九〇九(明治四十二)年までの約三百六十点。自治会で所有し、地元の民家の大きな土蔵に保管されていた。年貢の徴収の基礎台帳とするため耕地の面積や持ち主を記録した帳簿、横野地区と隣の地区が山の所有権を主張し合った「山争論」をめぐる史料などがある。 アユに関する記述は一七六〇(宝暦十)年の古文書にある。酒井さんによると、横野地区を流れる川にアユが少し泳いでいたが、専門に捕る漁師はいなかったとの内容だという。「和良村史」によると、和良川に初めてアユが放流されたのは一九三一(昭和六)年。酒井さんは「江戸時代には天然アユが遡上(そじょう)してきたのだろう」と話す。 自治会は市の補助金二十万円を活用し、約三百六十点の古文書のうち、価値のあるものを中心に約五十点を選んでデジタルデータとしてDVDに記録する。三月中旬に完成予定で、同十四日には横野集会所で説明会を開く。 酒井さんは「当時の地域の暮らしを知ることのできる貴重な史料だ。これから過疎が進んでいっても、文化財の散逸は防いでいかなければ」と話している。 ◆市は収蔵施設整備へ
郡上市内には、多くの古文書が個人宅に眠っていると考えられている。今後、家の代替わりなどが進むと、散逸してしまう可能性もある。 市は、こうした古文書や美術工芸品などの収蔵施設を新たに整備する考えだ。個人で管理できなくなった場合、市に寄贈や寄託をしてもらい、市が収蔵施設で適切な温度や湿度で保管する。調査、研究にも取り組む。 施設は八幡町内の市街地に整備する予定で、2015年度当初予算案に実施設計費として約840万円を盛り込んでいる。 (稲垣時太郎) PR情報
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