防衛省設置法改正案:装備庁で調達一元化 6日閣議決定
毎日新聞 2015年03月05日 23時04分(最終更新 03月06日 03時15分)
◇権限集中、腐敗防止カギ
政府は6日、戦闘機など防衛装備品の研究開発から調達、輸出までを一元的に担う「防衛装備庁」を新設する防衛省設置法改正案を閣議決定する。開発や調達のコスト削減や装備品の輸出などを推進するのが狙いで、今国会に法案を提出し、10月までに事務職員と自衛官の計約1800人体制で発足させる方針だ。だが、権限や予算が集中する組織となるだけに、いかに腐敗を防ぐかが課題となる。【飼手勇介】
装備庁には、これまで別々に調達計画を立案してきた陸・海・空自衛隊の部署を統合。各自衛隊で共通する部品を一括で調達してコスト削減を図り、陸海空の統合運用につながる調達計画の策定も行う。
2013年に台風被害を受けたフィリピンへの自衛隊派遣では、海自の輸送艦に陸自のヘリを一部解体しなければ搭載できず、活動開始が遅れた。防衛省幹部は「各自衛隊の調達では、一体での運用や部品の共通化がおろそかになってきた」と意義を強調する。
また、研究・開発を行う技術研究本部と調達実務を担う装備施設本部も統合。新たな装備品の研究開発▽量産▽維持整備▽廃棄を見越して計画を進める「プロジェクトマネジャー」を設け、無駄の削減を目指す。13年の中期防衛力整備計画(中期防)は5年で7000億円のコスト削減を求めており、「合理化の知恵を寄せ合う体制が整う」(防衛省幹部)としている。
一定の条件を満たせば武器輸出を認める新たな「防衛装備移転三原則」を踏まえ、他国との「交渉窓口」となる装備政策部も設置。国際共同開発などを支援する。
同省ではかつて、旧防衛施設庁が官製談合事件を受けて07年に廃止された。改正案は庁内に新たに約20人の監察監査・評価官を置き、防衛監察本部との二重のチェック体制で腐敗防止を図る内容だ。それでも装備庁は年間2兆円の予算規模となるとみられ、自民党内でも「権限の集中は腐敗を招く」との懸念も出ている。
◇「背広組優位」を見直し
防衛省設置法改正案はまた、防衛官僚(背広組)が自衛官(制服組)を指示する立場にあると解釈されてきた規定を対等に改め、両者が「車の両輪」で防衛相を補佐する体制を強化する。ただ、背広組には制服組との施策の統一化を図る「総合調整」機能が新たに加わるなど、優位性は維持されそうだ。