ドラギ総裁:国債購入9日開始、QEは最後の措置-政策に自信か
2015/03/06 03:35 JST
(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、債券購入を今月9日に開始すると言明。また、ECB当局者らがデフレリスクの解消に自信を持っていることを示唆した。
総裁は5日キプロスのニコシアでの政策委員会後に記者会見し、資産購入の開始日を明らかにすると同時に、その規模を月600億ユーロ(約8兆円)相当とする計画をあらためて示した。また、ECBは最新の予測で経済成長見通しを上方修正し、インフレ率が同中銀の目指す2%弱の水準へと戻る方向にあることも示唆した。
ドラギ総裁は「金融政策に関するわれわれの決定は効果を上げた。政策委員会はある程度の満足感を持ってこれを認識した」と語った。
これまでのさまざまな措置はユーロ圏のインフレ率を回復させるには至っておらず、ドラギ総裁は1月に量的緩和(QE)を導入する計画を発表した。
この日の記者会見では購入対象証券についてどの程度のマイナス利回りまでを容認するかなど、不明だった点を明瞭にした。「どこまでのマイナス利回りなら購入するのかと言えば、預金金利と同じ水準までだ」と述べた。ECBはこの日、中銀預金金利をマイナス0.2%で据え置いた。リファイナンスオペの最低応札金利は0.05%に維持した。
ECBの最新予測によれば、今年の消費者物価インフレ率はゼロで、来年は1.5%、2017年に1.8%となる見通し。ユーロ圏成長率は今年が1.5%、来年が1.9%、17年が2.1%と予想される。
BNPパリバのエコノミスト、ケン・ワトレット氏は「全体として、新予測と経済全般に関するECBの評価は追加刺激を示唆するものではない」と顧客向けリポートに記述した。
ドラギ総裁は「ユーロ圏の景気見通しをめぐるリスクは引き続き下方向だ」と繰り返したものの、リスクは「金融政策における最近の決定を受けて縮小した」とも述べた。
最新のECB予測は「原油価格の下落とユーロの実効レートの低下および最近のECBの金融政策措置からの好影響」を反映しているとし、政策の効果に満足感をほのめかした総裁は、幅広い資産の購入は昨年6月以降にECBが講じてきた一連の措置の「最後のものだ」と発言。経済状況を改善させる責任は、他のプレーヤーに移ったとの考えを示した。「投資を増やし雇用創出を促し生産性を上げる」ための改革実行と行動がますます必要だと指摘した。
原題:ECB Ready to Buy Bonds as Draghi Signals Price Goal in Reach (2)(抜粋)
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更新日時: 2015/03/06 03:35 JST