ソウル・米大使刺傷 男は2010年に日本大使襲撃した過去も

03/05 20:25
韓国・ソウルでアメリカ大使が刃物で顔などを切られ、その場で、韓国人の男が取り押さえられた。
男は、5年前にも、当時の日本大使にコンクリート片を投げつけ、有罪判決を受けていた。
顔から流れる血を手で押さえるのは、アメリカのマーク・リッパート駐韓大使。
額やシャツ、さらに、左手も血で真っ赤に染まっている。
襲撃事件は5日朝、およそ200人が集まる、ソウル市内の講演会場で起きた。
男は6番のテーブルに座っていて、大使が到着したら、すぐに押さえつけるように襲ったという。
会場で、リッパート大使が、出席者と名刺交換をするなど、あいさつをしていた時、刃物を持った男が近づき、突然、大使に切りつけた。
現場にいた人は「柔道か何かの技をかけたのか、(リッパート大使を倒して)顔を刃物で切りつけた。血がサッと出た」と話した
切りつけられたリッパート大使は、右頬を80針縫う大けがをした。
アメリカ大使館側から、講演会の主催者への警備の要請はなかった。
その場で、警察に取り押さえられたのは、キム・ギジョン容疑者(55)。
キム容疑者は、連行される際などに、今週から始まった米韓軍事演習の中止を叫んでいた。
実は、このキム容疑者、2010年に日本大使を襲撃した過去があった。
2010年7月に、ソウル市内で行われた、当時の重家駐韓大使の講演会。
キム容疑者はその時、竹島問題を抗議するため、大使にコンクリートの塊を投げつけた。
この事件で、キム容疑者は逮捕され、有罪判決を受けている。
最大の同盟国・アメリカの大使を襲うという、前代未聞の事件。
2014年10月、リッパート大使は「韓国で新しい友人ができ、アメリカ大使館で、良いチームに会えて、とてもうれしく思う」と話していた。
2014年10月に駐韓大使に就任したリッパート大使は、オバマ大統領の側近として知られている。
事件後、オバマ大統領は、リッパート大使に、電話で、「早く回復するように願っている」と、見舞いの言葉を伝えたという。
中東歴訪中の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、現地で報告を受け、「米韓同盟に対する攻撃として、決して許されることではない」と、すぐさまコメントを発表した。
なぜ事件は起きたのか。
実は、韓国国内では、アメリカ高官のある発言が波紋を広げていた。
シャーマン米国務次官は2月27日、「国家主義的な感情につけ込み、政治のリーダーが昔の敵を批判して、安っぽい拍手を受けることは難しくありません」と述べていた。
シャーマン米国務次官は、2月27日、歴史問題をめぐる、日中韓の対立に触れ、政治家が安易に他国を中傷し、ナショナリズムをあおることに懸念を示していた。
この発言が、日本の肩を持つ内容として、韓国国民は猛反発している。
朴大統領は1日、「地理的隣国にもかかわらず、歴史をめぐる葛藤のせいで、残念にも(日韓は)心の距離を縮めないでいる」と述べた。
日本に対して、かたくなな姿勢を崩さない朴大統領。
そんな中、起こった今回の襲撃事件について、新潟県立大学の浅羽祐樹准教授は「(米政府は)日韓関係全体を台なしにするような、朴大統領のかたくなな姿勢に対しては、苦々しく思っている。(襲撃事件について)アメリカ国民は、強い衝撃を受けると思う。(アメリカ政府の)韓国に対する心証が悪くなるのは、避けられない」と述べた。

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