缶コーヒーが“復活”する可能性は? ネスレ日本の高岡社長が明らかに
Business Media 誠 3月5日(木)20時20分配信
コーヒーブランドで知られるネスレ日本が、自動販売機とコンビニでの缶コーヒー事業から撤退する。同社はこれまで、大塚製薬グループの自販機で「ネスカフェ ゴールドブレンド」など5種類を販売してきたが、3月末で缶コーヒーの生産を終了する。
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ネスレ日本は1974年に缶コーヒー市場に参入。1990年に大塚ベバレジ(現・大塚食品)と販売の独占契約を結び、同社を通じて缶コーヒーを販売してきた。しかし「グループの大塚製薬が自社の自販機でアサヒ飲料の缶コーヒーを販売することになり、大塚側からネスレに契約終了を申し入れてきた」という報道があったが、本当にそうなのか。
また、ネット上では「ネスレの缶コーヒーはクオリティが高くて一番好きだったのに……」といった声が出ているが、なぜ撤退を決意したのか。ネスレ日本の高岡浩三社長兼CEOは、3月5日に開かれた「2015年事業戦略発表会」でその理由について語った。
●缶コーヒーの売り上げが拡大した理由
――缶コーヒーを撤退することで、ネスレ日本のポートフォリオはどのように変化するのでしょうか?
高岡: 社長に就任(2011年)する少し前から、缶コーヒーは重要なポートフォリオの中から外していた。缶コーヒーのビジネスがなぜ成功したかというと、マーケティングによるものではなくて、自販機メーカーが30年以上前に自販機でホットを飲める機能を開発したことが大きい。当時、自販機でホットを飲めるのは缶コーヒーしかなかった。
缶コーヒーの売り上げが拡大したのは、自販機のイノベーションによるところが大きい。しかしコンビニが広がったので、自販機の役割が後退していった。特に路上から消えていき、今ではオフィスの中に入るようになった。それでも自販機の数は右肩下がり。そうした環境の中で、弊社は自販機のオペレーションを持っていないので、どうあがいても勝つことができない。
大リストラをするのは簡単。しかし長い歴史の中で、大塚製薬さんと弊社はパートナーシップを組んできたので、私たちのほうからきちんと説明させていただき、先方は慎重に新しいパートナーを選ばれた。
缶コーヒーの事業から撤退することになるが、それに替わるモノとして「ネスカフェ アンバサダー」(無料でマシンを借りて、オフィスなどでコーヒーを飲むことができる。アンバサダーにマシン専用のコーヒーパックを販売して、ネスレ日本は収益を得ている)が急成長している。正直に申し上げて、ネスカフェ アンバサダーをやりながら缶コーヒーをやるということは、互いに競合するビジネスを自社内でやることになる。ネスカフェ アンバサダーのコーヒーは1杯20円なので、価格勝負で圧倒的に勝ってしまう。ネスカフェ アンバサダーやレギュラーソリュブルコーヒーなどを中心に、今後の5年、10年を進んでいくつもりだ。
●缶コーヒーを発売する可能性
――缶コーヒーが普及した要因として「自販機のイノベーションによるところが大きい」と話されました。今は昔ほど缶コーヒーが生活に溶け込んでいないということでしょうか?
高岡: コンビニがここまで増えると、さまざまなビジネスチャンスが広がってくる。なので100円のコンビニコーヒーが生まれたことに、私は驚かなかった。というのも、とある会社の社長から「ネスレさん、手伝ってほしい」と相談を受けていたからだ。ただ、断わってきた。なぜなら「ウチはブランドにならない商品は出さない」と考えているからだ。
大事なのは、Product Availability(製品入手可能性)をどうしたらいいのかということ。「ここでないと飲めない」といった環境にならないと、ブランドは根付かない。
――消費者からは「ネスレの缶コーヒーは好きだったのに……」といった声があります。一部の缶コーヒーはネット上で販売するということですが、今後力を入れて販売する可能性はあるのでしょうか?
高岡: その可能性は残されていない。弊社は自社工場を持っていないので、いま提携しているサプライヤー(商品製造業者)さんに少量でもつくっていただいて、「ネスレの缶コーヒーが欲しい」というお客さまに、少し高い値段でも買っていただけるのであれば供給していく。ただ、ビジネスモデルを変えてまで「缶コーヒーをやる」という考えはない。
最終更新:3月5日(木)20時20分
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