sillyfish

140字では書けなかったので。

id:the_sun_also_rises


>>特別永住者はみなし再入国制度(http://goo.gl/z1T32k)があり2年以内なら手続き不要なのだが?また強制退去も入管特例法で事由が極めて限定される(http://goo.gl/5mRhnL)。それを特権とは思わないが誤った情報を流すのはよくない。<<
[http://b.hatena.ne.jp/entry/242996262/comment/the_sun_also_rises]


>>鄭 (・・・)たとえば、「特別永住者」の資格について「特権」と言われることがあります。私自身も特別永住者ですが、実際にこれが「権利」なのかと言われると実際にはそのような扱いを受けることはできていません。あくまで「許可」であって、強制退去の対象にもなりますし、再入国許可の対象にもなります。

荻上 再入国許可とはなんでしょうか。

鄭 日本にいる外国人が出国する際には、在留資格を継続するために、再入国許可を得る必要があります。再入国許可を取らずに外国に出ると、在留資格を失ってしまうんです。<<


おそらく、この部分へのご指摘かと思われますが。


1.
該当部分で鄭さんがおっしゃっているのは、実際に手続きがどれほど面倒か、あるいは許可されない確率がどのくらいかということではありません。その行為を誰にも禁止しえない、あるいは届け出さえすれば自動的に認められる場合と異なり、たとえ実際に不許可になる確率が低かったとしても、許可する権限が他者にあり、裁量によって不許可になる可能性のある制度は性質上「権利」とは呼べない、という話です。
たとえばみなし再入国制度でいえば、外形的な基準以外で適用されないケースとして「日本国の利益又は公安を害するおそれがあること その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由があるとして法務大臣が認定する者」という例外事項があります。
彼は「自分たちの許認可の基準は、特別永住でない外国人と同等に運用されている」という話など一切していません。また、手続きの細部について記述してもいません。本質的に手続きに対する許可は権利と呼べない、という議論に対し、みなし再入国の手続きの簡易さや、強制退去の運用が特別永住でない外国人に比して抑制されていることがどうして反論になりうるのか、理解に苦しみます。


2.
ご存知のように、みなし再入国制度は特別永住者に限られたものではありません。在留資格の種類と期間によって有効期限こそまちまちですが、3か月以上の在留資格と有効な旅券を持ち、例外とされる事項に当てはまらない外国人であれば、全員が利用可能です。


>>id:maangie 厳密にいえばそうだけど出国時に将来日本に再入国する人が全員出す書類にレ点を入れるだけなんだよ(http://goo.gl/lwUqCK)。それに特別永住者以外は1年限度だけどやはり同じみなし再入国が適用されている。 <<
[http://b.hatena.ne.jp/entry/243033307/comment/the_sun_also_rises]


とあるように、あなたは明らかにそのことをご存知ですが、いったいどうして、「制度が変わってそのような手続きはいらなくなった」ではなく、「特別永住者はみなし再入国制度があり」と、あたかも特別永住者だけの制度のように書かれたのでしょうか。ひょっとしてブックマークの時点では、特別永住者以外にも適用される制度であることをご存じなく、メタブをした際に調べられたのでしょうか?「再入国出国記録にレ点を打つ」という手続きの内容と一緒に?
いずれにせよ、メタブを読んでいない方には「特別永住者だけが何か特別な措置を受けている」と誤解を招く書き方になっていますし、あなたにスターを付けているうちの何人かはおそらく実際に誤解してしまっていますので、今からでも訂正なり補足なりされるのがいいかと存じます。


3.
上記にも書いたように、みなし再入国制度の適用となるのは、3か月以上の在留資格と「有効な旅券」を持つ外国人です。そのことは、あなたが提示された、特別永住者のみなし再入国についてのWebページにも明記されています。


>>有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する特別永住者の方が,出国の際に,出国後2年以内に再入国する意図を表明する場合は,原則として再入国許可を受ける必要がなくなります(この制度を「みなし再入国許可」といいます。)。<<
[http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_2/]


一方で、鄭さんはシノドスの記事中にあるように、朝鮮籍の在日コリアンです。


>>荻上 「強制送還」と言われても、日本で生まれた在日朝鮮人の方はどこに送還される事になるのでしょうか。

鄭 たとえば、韓国籍者の場合、韓国に送られることになるでしょう。しかし、韓国政府は受け取りを拒否するでしょう。さらに、私の場合は韓国籍者ですらなく、朝鮮籍のままなので、どこに行くのか、私も分かりません。<<


記事中にあるように「朝鮮籍」は国籍ではなく、まだ韓国政府も「北朝鮮」政府も存在していなかった時代に、在日コリアンを日本国籍のまま外国人登録の対象とした際に便宜的に行われた分類です。韓国籍ではないので韓国の旅券はなく、日本国籍を喪失しているので当然ながら日本の旅券もありません。現在の「北朝鮮」と直接のつながりはありませんから、通常「北朝鮮」の旅券も持ち合わせていませんし、仮に持っていたとしても、日本国内では有効とみなされません。
つまり朝鮮籍の在日コリアンは、「有効な旅券を持つ」という条件に当てはまらず、みなし再入国制度の対象となりません。たとえば鄭さんが一度日本を離れ、また戻ってこようとしている場合は、たとえその期間が2年以内であっても、旧来の再入国許可申請手続きをとる必要があります。仮に旧来の面倒な手続きが必要だと彼が主張していたとしても(していませんが)、全く間違いではないのです。
有効な国籍がなければ通常は有効な旅券もなく、ということは「有効な旅券」を条件とする制度を使用する際に何らかの支障が発生するのではないか、というのは特に予備知識がなくても推測可能な範囲ではないかと思いますが、いかがでしょうか。


「有効な旅券」もしくは「日本国と国交のある国の国籍」を持ち~、というのは、外国人に便宜をはかる諸制度において、それと名指さずに朝鮮籍の在日コリアンを除外する際に使用される、常套句のような言い回しです。選択の余地なく日本国籍を失った旧植民地出身の日本定住者で、他国の国籍を取得してもいないという、在留外国人のための制度で真っ先に想定されるべき人々でありながら、かれらはしばしば制度の埒外に措かれます。
知っている人には一目でピンとくるフレーズなのですが、あなたはおそらく特別永住者ではないのでしょうから、もし何かのきっかけでたまたまみなし再入国制度を調べたのなら、見落としてしまっても無理はないかもしれません。
しかし一般論として、ある文章が不正確であると指摘して、その根拠として別の資料を提示する場合は、もとの文章が確かに不正確であることと、代わりに提示した資料が正確でかつ反論として適切であることを確認するために、双方を精読する責任があるのではないでしょうか。老婆心ながら、人様にツッコミを入れる際には、もう少し気を付けられたほうがいいのではないかと思います。

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It is a silly fish that is caught twice with the same bait.

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