今日は「35歳の教科書」を読みました。
本書は、これからの時代である「成熟社会」での生き方について書かれた本です。思考停止して組織に埋没しておけばいい時代が終わり、個々一人ひとりが独自の価値観、人生観を持ち、自立した個人として人生を設計しなければいけない「成熟社会」に入った今、僕たちは何をモデルにして生きていけばよいのでしょうか?そうした問いに本書は実に示唆に富みます。
「成長社会」から「成熟社会」へ
「みんな一緒」の時代から「それぞれ一人一人」の時代へ
良い高校に進み、良い大学に入り、一流企業に就職。会社に入ると年功序列で給与と地位が自然に上がり、また終身雇用でクビになる心配もない。そんな目指すべき明確なモデルがかつてはありました。
社会全体が成長していた時代では、「みんな一緒」になって何も考える必要もなく、そのような単一のモデルを目指しておけば幸せになれる時代でした。
けれど、もはやそのような時代は終わりを告げようとしています。パイが増えない「成熟社会」では、これまでのモデルを目指しても幸せになれません。ルールが変わったからです。「与えられた問いの中で正解を出す」というルールから、「自ら問いを立て、最適解を導き出す」というルールに変化しています。ルールが変わると戦い方も変えなくてはいけません。
成熟社会の中では、人々の価値観は「多様化」し、「複雑化」し、そしてこれまでにないスピードで「変化」しています。
そのような成熟社会では、個々一人ひとりが自らの価値観に基づいて、自らの頭で考えて、自らの人生を設計していかなければいけません。
そのために「戦略的に」人生を考えていく必要性を本書は説いてます。
時間を大切にする
経済が成長していた時代では、「モノ」が人を幸せにしてくれました。テレビが、冷蔵庫が、洗濯機が、車が、パソコンが、人を確実に幸せにしました。だから、経済的に豊かになることを「みんな一緒に」目指して、一生懸命に働いてモノを買ったのです。
しかし時代は変わりました。
モノがあふれ、日用品はコモディティ化が激しくなり、もはやモノは僕たちを幸せにしてくれません。テレビが5ミリ薄くなっただけじゃ、僕たちは満足できないのです。
僕は成熟社会で幸せに生きていくためのキーは「時間」になってくると思います。自分の時間を大切にするということです。自分の時間といっても、自分が一人で過ごす時間ではありません。自分にとっての「効用度が最大化する時間」のことです。それは、家族や友達との談笑の時間かもしれません。仕事や趣味に打ち込む時間かもしれません。それは一人一人違うものだと思います。
そうした時間の中で、充実感、達成感、満足感、存在感、感動などを得ることが、これからの時代のロールモデルになってくると思います。
ここを起点にして人生を逆算して考えていくことが、「戦略的に」人生を考えるヒントになってくると思うのです。