リーガル・ハイ #09 2015.02.24


(たね)・「えんやこらどっこいせ」・「どっこいこらこらよーいよい」・「えんやこらどっこいせ」・「うんとこせーのさっさ」・
(春夫)精が出るね。
(久子)これからふれあいセンターでパソコン教室なんです。
(三郎)たまにはどうです?ウオーキングがてら。
(たね)早く行っちまえ。
鎌で首かっ切るぞ!
(春夫)うわっ。
(さと子)あっもう。
(たね)うっ…。
うっ。
うっ…。
(たね)帰れ。
じき死ぬ。
(春夫)そんなこと言って。
(たね)お前らもだよ。
やめましょうよ。
(たね)三郎。
てめえも長患いだろ。
原因不明のだるさ。
さと子。
丈夫さだけが取りえだったてめえの亭主は何で急にぽっくり逝っちまったんだ?春夫。
てめえだっていつ自分もぶっ倒れるかドキドキしてんだろ?
(譲二)敦夫さんじゃねえか俺たちを説得したのは。
あんたの亭主じゃねえか。
(たね)ああ。
だから罰が当たって真っ先に死んじまったんだ。
どのみち俺たちにはもうどうすることもできないんだ。
(さと子)ヘッ。
こんな年寄りが何言ってもね。
弁護士…。
雇うっていうのはどうだ?
(春夫)5年前も無駄だったじゃねえか。
地元のは駄目だ。
どうせずぶずぶだからな。
東京に行って一番腕の立つ弁護士捕まえるんだ。
それができれば戦争をおっ始めることができる。
(霊媒師)ヨウヨミジクウヨカ。
ヨウヨミジクウヨカ。
ヨウヨミジクウヨカ。
出ていけ!出ていかんかー!あっ。
これ一緒にお願いします。
出ていかんかバカ者!
(黛)出ていかんかバカ者!このたわけが!このたわけが!
(霊媒師)えい!えい!えい!えい!えい!
(霊媒師)いやー!いやー!こんな感じで除霊をいたしました。
(古美門)ありがとうございます。
大変よく分かりました。
これで取りついていた生き霊はいなくなり素晴らしい恋人に巡り会える。
そう浜村さんにおっしゃったわけですね?正確には素晴らしい恋人に巡り会えるでしょうと言いました。
「でしょう」とは「です」の未然形プラス推量の助動詞「う」「だろう」の丁寧な表現。
つまり恋人に巡り会えるだろうと推し量ったまでであって断定したわけではない。
そうですね?はい。
(浜村)私はあの霊媒師に合計500万円近く支払ったんですよ!なのに結局50回目の見合いに失敗したんです!あなたはお正月に初詣に行きますか?初詣?まあ毎年。
おさい銭を投げ願い事をしますね?どんなことを?
(浜村)僕の場合はやっぱり恋人ができますようにって。
では当然神社にもおさい銭を返還するよう請求してるんですよね?
(浜村)えっ?いやそんなことは…。
なぜしないんです?おさい銭を払ったのに恋人ができなかった。
これも詐取なのでは?そんなふうに考えたことはなかった。
浜村さん。
除霊の効果が出るのはそもそもこれからかもしれません。
51回目いえ今日にでも運命の女性と出会えるかもしれない。
どうでしょう?お帰りになる前に傍聴席のご婦人に声を掛けてみては?裁判所の喫茶室でお茶でもどう?と。
ありがとうございました。
礼は結構。
教祖さまには約束の成功報酬を早めにご用意するようお伝えください。
実演する必要絶対になかったと思うんですけど?髪の毛ふけがすごいぞ!塩です!・
(春夫)あっあっあの!
(譲二)何だよ!あっ…ご…ご…ご…。
俺たちの村をお助けください!
(一同)お願いします!
(譲二)お願いします!野武士に襲われましたか?それでご相談とは?
(春夫)5年ほど前に大きな工場ができまして。
工場?
(三郎)仙羽化学の化学工場なんです。
(久子)当時必死に反対運動したんですが結局出来上がってしまって。
強行されてしまったんですか?ひどい話ですね。
最近ここ1〜2年ですが病気になる者が多いような気がしてるんです。
えっ?
(春夫)何だか分からないがぽっくり死んじまう者も。
あらあら。
(久子)私らにしてもだいたいどこかしらね。
待ってください。
それはつまり公害問題が発生しているということですか?
(春夫)私たちはそう思っています。
(譲二)チクショー。
だとしたら大変な事態ですね。
大変だ大変だ。
(春夫)元村長の奥さんに東京で一番の弁護士を連れてこいと言われました。
いろんな弁護士に会って相談したんですがみんな手に負えないと断られました。
まっ仙羽化学といえば天下の大企業。
恐れるのも無理はないかと。
ええ。
しかも仙羽化学の顧問弁護士はあの方ですし。
ひょっとして三木先生?はい。
(春夫)いろんな弁護士先生から古美門先生と黛先生を推薦されました。
私もですか?
(三郎)ええ。
お二人に相談するのが一番いいだろうと。
(服部)黛先生。
名をとどろかせましたな。
いや…。
私なんかとんでもない。
フッ。
(服部)フッ。
(春夫)今日法廷で見て確かにお二人しかいないと確信しました。
お願いします。
助けてください!
(一同)お願いします!もちろん!お断りします!えっ?理由は4つ。
1つ。
人口よりイノシシの方が多いような田舎には二度と行かないと決めたから。
何をおっしゃってるんですか!2つ。
私の弁護士費用は皆さんの染みったれた年金のへそくりくらいでは賄えないから。
よくお考えください。
これは巨額の損害賠償請求訴訟になります。
勝てば莫大な賠償金が得られます!3つ。
どうせ勝てない。
分かんないじゃないですか。
絶対に勝てっこない。
がっかりですね。
そりゃ難しい仕事になることは私だって分かってます。
仙羽化学だけでなく仙羽自動車仙羽造船仙羽金融。
明治以来この国を支えてきた巨大グループ全体と…。
4つ。
私は皆さんのような惨めな老人たちが大嫌いだから。
吐き気がするほど。
以上。
どうぞはとバスツアーでも楽しんでお帰りください。
おい!何だよそりゃ!おい!まあまあまあ…。
お邪魔してすみませんでした!先生が絶望的人格者であることは分かってましたけど今のはあまりにひど過ぎませんか?だいぶオブラートに包んだつもりだがね。
服部さん。
僕お風呂入る。
はい。
先生沸いております。
うん。
私しばらく留守にします。
ご健闘お祈りします。
あれが工場です。
ふるさとふれあいセンター。
(春夫)まあ公民館みたいなもんです。
ああ。
おいみんな!
(一同)おーい!
(男性)先生さまが着いたぞ!
(春夫)東京から来てくださった黛先生だ。
(一同)あー!
(男性)ずいぶん若いが東京で一番の先生かい?あっ…。
一番は後から来ます。
が…私もそこそこやります。
黛真知子です。
よろしくお願いします。
(拍手)関節が痛くて曲がらない。
症状が出始めたのはいつごろですか?
(女性)工場ができたころだと思いますけど。
じゃあ病院で詳しい検査を受けて診断書をもらってきてください。
それから普段食べているものを教えて…。
(男性)お姉さん俺は去年心筋梗塞をやってね。
(女性)私は白内障。
(男性)俺はね…。
(女性)私もせきが止まらなくて。
(譲二)おいおい!お前らうるさい!井戸水を使っている方は多いんですか?
(春夫)ええ。
もともとここは水が奇麗な所ですから。
(譲二)おーい!ここで取れた米だ。
ほらこれ。
野菜。
ありがとうございます。
出ました!あれ!?あっ!出ました!何をしてるんですか?フェイシャルマッサージでございます。
昔エステティシャンをやっていたんですね?いや。
これはつい最近身に付けました。
ああそうですか。
私の貴重なリフレッシュタイムを邪魔する者は首だ!ついに出たんです。
クロロタスムハリオサプロピレン。
それは何だ?通称ヘルムート38です。
それも何だ?ヒ素化合物の一種でまだよく分かってない新物質らしいんですけど。
これが原因で間違いないです!なぜそう言い切れる?他にあり得ないからですよ。
これで公害訴訟を起こせます。
というか起こさなければなりません。
服部さん。
リフトアップもお願いします。
はい。
これでもまだやる気にならないんですか?言ったはずだ。
田舎も年寄りも嫌いだと。
いつまで駄々こねるんですか?私はみんなに報告しないといけないので村に戻りますけど絶対に諦めませんからね。
じゃ。
(服部)古美門先生私も年寄りでございます。
服部さんは別です。
(服部)はあ。
やっぱり有害物質は出てたんですね?チクショー。
立ち上がりましょう。
断固戦いましょう!よーし!みんな仙羽化学を倒すぞ!
(一同)おー!えいえい…。
(一同)おー!えいえいおー!
(池部)古美門ってあの古美門君?彼が出てきたらそりゃまずいじゃん。
(三木)ご心配なく。
あの男は私が仕込みました。
手の内は知り尽くしているからかえってやりやすい。
(清川)わが第四工場が万が一操業停止のような事態に追い込まれたら?
(三木)仙羽化学だけでなく日本国全体の損失。
いや…沈没でしょうね。
ヘヘッ。
まっしかし打つべき手は全て打ってあります。
赤子の手ならぬ老人の手をひねるようなもの。
(池部)まあ三木先生に任せるよ。
皆さまにおかれましては何ら憂慮されることなく開発にまい進しこの国の未来を切り開いてください。

(男性)「殺人工場を止めろ!」
(女性)止めろ!
(男性)いいね!あしたこれ持って工場の前で座り込みだ。
お弁当持ってね。
(女性)毛布も持っていこうかしら。
(笑い声)だから私はね知りたければやめろっつったのよ!
(譲二)俺はよ死ぬまでで1回でいいからこの間できた浅草のよ世界ツリー行って…。
(春夫)古美門先生はやっぱり参加してくれそうもないですか?気分屋なのでちょっとめんどくさがってるだけです。
必ず説得します。
これ黛先生宛てに届いてたそうですよ。
はい。
私に?
(三郎)うん。
どうも。
匿名で送られてきました。
いかがです?間違いなく私が5年前に作ったリポートだ。
先生は三木事務所にいたころ第四工場建設問題に裏で関わっていたわけですね?言ってなかったっけ?ちゃんと説明してください。
ああいいとも。
5年前絹美村で第四工場が建設反対にあったとき矢面に立ったのは三木だがその裏でひそかに暗躍し当時の村長を見事籠絡。
着工に結び付けたのはこの私古美門研介なのである。
フハハハハ。
自慢してる場合ですか?あなたのせいで公害が起きてるんですよ?寝言を言うな。
私が公害を引き起こしたわけではない。
ええ。
でも村の皆さんにとっては同然ですよ。
そりゃこの仕事引き受けられませんよね?利益相反にもなりかねませんしだがしかーし!うるさいな。
考えてみてください。
これは逆に過ちを償うチャンスだと思いませんか?何だと?今度は村のために戦って5年前の罪滅ぼしをするんです。
さあ何らかの形で協力してください!バカもここまでくると殺意を覚えるね。
私に償うべき罪など一つもないし老人たちに許しを得たいとも思わない。
村がどうなろうと興味はない。
もういいです。
私が弁護団を組織します。
勝手に張り切って負けるがいい。
そして介護士に転職することをお勧めする。
戦ってみなければ分かりません。
分かるんだよ!戦うということの意味をあの老人どもは分かっていないから。
「ふれあいときずなの里南モンブラン市」素晴らしい標語じゃないか。
この美しき文化を壊すことなど彼らにはできない。
おっしゃっている意味が分かりません。
そうか。
ホントは気付き始めているんじゃないのか。
あの老人どもの本性に。
彼らには戦争とズワイガニ食べ放題付きバスツアーとの区別がまったくついていない。
私が何とかします。
(沢地)光栄ですわ。
先生のお誘いを受けるなんて。
どういう魂胆ですか?君しかいないだろう。
老人たちに私の所へ来るようしむけたのも君だね?三木の指図か?
(沢地)私の独断です。
つくづく腹の底の見えない人だね。
こんなやり方をする意図は何だ?
(沢地)私は三木の秘書ですよ。
表立って動けるはずないでしょう。
私はただ…。
絹美のお年寄りたちを助けたい。
その一心です。
君にそんな正義感がおありだと思わなかったよ。
(沢地)何と思われようとそれが私の本心です。
三木に勝てるとしたら古美門先生しかいないのですから。
君がこちらについてくれるのなら勝てるかもしれませんがね。
三木を裏切れるんですか?
(沢地)時々思うんです。
3年前のあのとき古美門先生と一緒に事務所を出ていたら今頃どうなっていたのかなって。
三木も知らない私の電話番号です。
私にハニートラップを仕掛けているつもりか?
(沢地)信じてもらえなくて当然ですよね。
私はそれだけのことをしたんですから。
いくら後悔しても時間は戻ってはくれない。
(沢地)自分のはしたなさが恥ずかしいです。
黛とフェロモンレベルが違い過ぎる!なじみ過ぎだな?がに股によーく似合っている。
チッ。
うわー!マチャアキをほうふつとさせる見事なこけ方だ!老人たちに会わせたまえ。
よくここへ来られたもんだ。
(一同)何しに来たんだ!黛先生から全て聞いた。
あんたが村長を説得して工場を建てさせた張本人だったんだろ?皆さん。
ひとまず古美門先生の話を聞いてあげてください。
皆さんに謝罪したいそうです。
謝罪?なぜ私が謝らなければならないんです?はっ?私は自分の仕事を完遂したまでです。
そして今度は私のこの能力を皆さんのために使って差し上げて構わなくってよとそう言いに来たんです。
ここにいるうざいだけの無能なバカ女ではお役に立たないでしょうからね。
むろん報酬しだいですが。
(一同)ふざけるんじゃねえよ!この野郎!あったねさん!たねさん!大丈夫なのかい?
(さと子)どうしても参加したいって。
どけどけどけどけどけー!ご無沙汰しております。
元絹美村村長夫人有馬たねさん。
覚えておいでですか?そのふてぶてしい顔。
嫌みな髪形。
忘れもしねえ。
私の亭主をたぶらかしたくそ弁護士じゃねえか。
す…すまねえたねさん。
こんなやつ連れてきちまって。
(久子)私たち知らなかったの。
(三郎)すぐ帰しますから。
(譲二)二度とこの土地に足を踏み入れさせねえ!
(たね)お前らよくやった!
(一同)えっ?確かにこの男しかいねえだろうな。
仙羽倒すにゃ。
(春夫)で…でも。
戦に勝つには飛び切り強力な武器を持たねば。
いい武器は高いですよ。
フッ。
仙羽から分捕った金の3割でどうだ?5年前ご主人ではなくあなたが村長だったら私はしくじっていたことでしょう。
ハハハ。
当たり前よ。
ハハハ。
では取りあえず相手の弁護士にご挨拶でもしてきましょうか!
(譲二)あれフジテレビじゃねえか。
(久子)えっ?どれどれ?
(譲二)あの丸いのが付いてる。
(久子)あっホントだ。
タモリさんいるかしら?
(譲二)バカ。
(三木)この件は5年前にすでに話がついているはずです。
皆さまのご理解を得てかの地に工場を建てた。
当時厳正なる検査を行いましたが有毒物質も検出されなかった。
しかし今回クロロタスマニア…。
ヘルムート38が検出されたんです。
健康を害された皆さまにはお気の毒なかぎりですが本当に工場が原因なのかどうか…。
(譲二)な…な…何を言ってるんだ!
(三木)仙羽化学は未来をつくっている会社です。
未来には常にリスクが存在する。
そのリスクも皆さまに説明した上で合意されたはずですが。
水質汚濁防止法に無過失責任主義があります。
過失であろうとなかろうと企業側は責任を取らなければなりません。
(三木)そこでご提案ですがお見舞金として1,000万円をご用意させていただきます。
それでいかがですか?ゼロが2つ足りません。
こちらの請求は損害賠償11億飛んで370万2,500円。
および工場の操業停止。
それは受け入れかねます。
はい!では開戦ということで。
今度は恥をかくだけじゃ済みませんよ。
この事務所つぶしちゃうかも!
(一同)先生先生!先生先生!これが検出された化学物質クロロタスムハリオサプロピレン。
通称ヘルムート38のデータです。
当該地域の地下水米その他の作物の一部から検出されました。
微量ではありますが恒常的に摂取したことによって様々な健康被害が表れたものと思われます。
中には命を落とした者さえ。
仙羽化学第四工場では当該物質の発生を認識してはおりません。
発生源がどこなのか慎重に検証する必要があると思います。
世界を変えるともいわれる通称カーボンX。
あらゆる金属の代わりとなり半導体などに用いればコンピューターなどの性能を飛躍的にアップさせる夢の新素材。
そうですね?そうです。
まさに未知なる研究であるならば誰にも予見できない様々な物質が発生する可能性は大いにあるんじゃありませんか?私は研究の専門家ではないので。
しかし技術者ではあるでしょう?その矜持に従ってお答えください。
発生している可能性はありますか?ないとは言い切れません。
裁判長。
被告に対し仙羽化学第四工場の大気土壌水質の検査結果文書を提出するよう命じられることを求めます。
(春夫)とにかくすごいの何の!相手に付け入る隙与えねえんだ。
(久子)相手の弁護士手も足も出ない。
(譲二)これならよホント勝てるかもしれねえな。
うるせえよ!ここは病室だよ!いちいち報告なんかしなくていいから出ていけ!
(譲二)世界ツリーだろ世界ツリー!《彼らには戦争とズワイガニ食べ放題付きバスツアーとの区別がまったくついていない》
(沢地)これ以上お会いするのは危険です。
三木が落とそうとしてるのは誰だ?君の後悔がホントなら行動で示してほしい。
もし三木先生の元を追われるようなことになったら古美門先生。
私を先生のおそばに置いてくださいますか?優秀な秘書ならいつだって欲しいと思っているよ。
ありがとう。
(沢地)今夜はいけませんわ。
うん。
そうだね。
(錦野)これチェックイン15分遅れるらしいから。
分かりました。
(錦野)よろしく。
(錦野)おっ!こんにちは。
考えていただけましたか?錦野副支配人。
こんなことは言いたくないんです。
こちらとうちとは長い付き合いですから。
(錦野)いやそれはもう。
(エレベーターの到着音)
(係長)ただグループの中にはこういうことになってしまった以上こちらとのご縁はもういいんじゃないかという声もありまして。
(錦野)いやそれは…。
お父さんと話し合ってはいかがでしょうか?
(係長)ひとつよろしくお願いします。
(錦野)俺の立場も考えてくれよ。
うちのホテルは仙羽グループがお得意さまだってことぐらい分かってるだろ?原告団のリーダーなんかに祭り上げられて。
何やってんだよ!親父。
すまん。
(錦野)仙羽化学さんから預かった。
前金だって。
みんなをうまく説得してくれれば倍払うって。
(シャッター音)
(春夫)裁判は何年もかかるかもしれないだろ?長引けばそれだけ経費も掛かるし先の短い人だっている。
しかも必ず勝てるって保障はない。
弁護士なんてしょせん人ごとだからな。
1,000万ってのは少ないがもう少し上げてもらえるならその辺で手を打つってのも。
訴訟中ではありますがぜひ原告団の皆さんにお話がしたいと三木が申しておりまして。
来たぞ。
和解の申し込みだ。
では南モンブラン市にお越しください。
皆さんの地元でお話ししましょう。

(男性)社長だ!
(女性)社長自らだよ!
(女性)社長自ら。
(三木)えー本日は訴訟中にもかかわらずこのような席を設けていただき誠に…。
固い挨拶は抜きにしてお昼でも召し上がってください。
ここで取れたお米。
新鮮な野菜。
おいしい井戸水です。
ここの皆さんが毎日口にしてきたものです。
さあ遠慮なさらず。
皆さま申し訳ありませんでした!
(一同)申し訳ありませんでした!原因につきましては現在調査中ではありますが皆さんにつらい思いをおかけしたこと心よりおわび申し上げます!
(村民たちのどよめき)つまらないものですがお納めください。
ようかんと仙羽グループ全体で使える商品券10万円分です。
守口さん。
目まいはどうですか?ご主人は?私たちもこんなことが起きているなんてホントに驚いてるんです。
私たちにとって皆さんは家族です。
春にはお花見。
夏には花火大会。
冬の餅つき大会。
私たちは折に触れ皆さんとの絆を育んできたつもりです。
どうかこの難局も手に手を取り合って共に乗り切っていきましょう!ねえ。
心を一つに。
仙羽化学さんは総額2,000万円をお見舞金として用意するそうです。
(男性)安いじゃねえか。
(三木)これを和解金としてこの裁判を終結させていただくのが私たちのお願いでございます。
雨降って地固まる。
仙羽化学と皆さんは家族としてより強い絆で結ばれていくことを期待いたします。
んなことできるわけねえだろうが。
(春夫)どうだろうか?みんな。
俺は率直に言って仙羽化学さんの誠意は感じることができた。
この辺で争いをやめてもいいんじゃないかと思ってる。
えっ?
(一同)えっ?何だ?おい?これおい春夫さんじゃねえか。
錦野春夫さん。
仙羽化学から幾らほどもらったんですか?先生…。
申し訳ありません。
皆さん。
残念ながら錦野さんは仙羽化学と通じていました。
(一同)えっ!?錦野さんに説得された方もたくさんいらっしゃると思いますがこれは相手側の策略です。
すまなかった。
息子に頼まれて…。
残念でしたね三木先生。
出直そう。
私のせいです!申し訳ありませんでした!ですからサメだけは!
(沢地)いいのよ。
あれで。
はっ?今後も様々な手段で皆さんに懐柔してくると思われます。
気を引き締めてください。
(一同)はい。
あなたを原告団から排除しようとは思いません。
これからも皆さんを引っ張っていってください。
はあ…。
(久子)あの…。
はい。
(久子)私は和解でいいかなっと思うんだけど。
はっ?
(久子)ねえ。
あなた。
(三郎)うん。
そうだね。
待ってください。
仙羽化学は皆さんをだまそうとしたんですよ?
(三郎)だますなんて言い方しちゃ仙羽化学さんかわいそうですよ。
(久子)私たちも娘にね「裁判なんてやめた方がいいんじゃないか」って言われてるのよ。
(三郎)2,000万もあればみんなで分けても一人頭100万近くにはなる。
私たちには分相応なんじゃないかな。
公害訴訟なんですよ?もっともらって当然なんです!
(久子)そんなにあったって。
ねえ?私たちが望んでいたのは仙羽化学さんの誠意なんです。
今回それがよく感じられました。
そう。
絆を再確認できたもんね?金が全てじゃないんですよ。
(久子)そうよね。
(拍手)素晴らしい!皆さんのお考えに感服いたしました。
さすが「ふれあいときずなの里」だ。
それではそのように手続きしましょう。
黛君。
あとは頼んだ。
さようなら。
先生。
これでいいんですか?いいんだよ。
でも…。
彼らがいいと言ってるんだから。
ですよね?皆さん。
ええ。
この世には金よりも大事なものがありますから。
なあ?
(一同)そうだそうだ。
見たまえ。
彼らの満足そうなこの表情を。
ズワイガニ食べ放題ツアーの帰りのバスの中そのものじゃないか。
黛君。
よく覚えときたまえ。
これがこの国のなれ合いという文化の根深さだ。
人間は長い年月飼い慣らされるとかくもダニのような生き物になるのだよ。
ダニ?俺たちのこと言ったのか?他に誰かいますか?自覚すらないとはホントにうらやましい。
こけにされているのも気付かないまま墓に入れるなんて幸せな人生だ。
(三郎)あんた。
ちょっとひどいんじゃないか!申し訳ありません。
最初に申し上げたとおり皆さんのような惨めな老人どもが大嫌いなもんでして。
(譲二)おい若造。
お前何なんだよ!お前そんなに偉いのか!
(女性)そうよ。
(久子)目上の人を敬うってことがないの?私たちは君の倍は生きてるんだ!倍も生きていらっしゃるのにご自分のことも分かっていらっしゃらないようなので教えて差し上げているんです。
いいですか?皆さんは国に見捨てられた民。
棄民なんです。
国の発展のためには年金をむさぼるだけの老人なんて無価値ですからちり取りで集めて端っこに寄せてようかんを食わせて黙らせているんです。
大企業に寄生する心優しいダニ。
それが皆さんだ!先生。
もうやめてください。
てめえだってダニに寄生してるばい菌じゃねえか!私たちの何が気に入らないの!かつてこの地は一面に桑畑が広がっていたそうですよ。
どの家でも蚕を飼っていたからだ。
それはそれは美しい絹を紡いだそうです。
それをたたえて人々はいつしかこの地を「絹美」と呼ぶようになりました。
養蚕業が衰退してからは稲作に転じました。
日本酒に適した素晴らしい米を作ったそうですが政府の農地改革によってそれも衰退した。
その後はこれといった産業もなく過疎化の一途をたどりました。
市町村合併を繰り返し補助金でしのぎました。
5年前に化学工場がやって来ましたね。
反対運動をしてみたらお小遣いがもらえた。
多くは農業すら放棄した。
ふれあいセンターなどという中身のない立派な箱物も建ててもらえた。
使いもしない光ファイバーも引いてもらえた。
ありがたいですね。
「絹美」という古臭い名前を捨てたら南モンブラン市というファッショナブルな名前になりました。
何てナウでヤングでトレンディーなんでしょう!そして今土を汚され水を汚され病に侵されこの土地にももはや住めない可能性だってあるけれどでも商品券もくれたし誠意も絆も感じられた。
ありがたいことです!本当によかったよかった!これで土地も水も蘇るんでしょう!病気も治るんでしょう!工場は汚染物質を垂れ流し続けるけれどきっともう問題は起こらないんでしょう!だって絆があるから!
(譲二)がー!ちょっと皆さん!落ち着いてください!先生!ちょっと離れてください。
放せ!大丈夫ですか?
(譲二)てめえなんかてめえなんかぶっ殺してやる!
(三郎)譲二の気持ちはもっともだ。
そうよ。
どうしてそんなひどいことが言えるの!あんたは悪魔よ!
(春夫)あんたなんかに俺たちの苦しみが分かってたまるか!俺たちだってあんたの言ったことぐらい嫌というほど分かってる。
みんな悔しくて悔しくて仕方ねんだ。
だけど必死に気持ちを押し殺して納得しようとしてるんじゃねえか!なぜ?なぜ?ごみくず扱いされているのを分かっているのになぜ納得しようとしてるんです?
(春夫)俺たちはもう年寄りなんだよ。
年寄りだから何なんですか?
(春夫)具合が悪いのにみんな頑張ってきたんだ!だから何だってんだ!だからいたわってほしいんですか?だから慰めてほしいんですか?だから優しくされたらすぐにうれしくなってしまうんですか?先人たちに申し訳ないとは子々孫々に恥ずかしいと思わないんですか?何が南モンブランだ。
絹美村は本物のモンブランよりはるかに美しいとどうして思わないんですか!誰にも責任を取らせず見たくないものを見ずみんな仲良しで暮らしていけば楽でしょう。
しかしもし誇りある生き方を取り戻したいのなら見たくない現実を見なければならない。
深い傷を負う覚悟で前に進まなければならない。
戦うということはそういうことだ!愚痴なら墓場で言えばいい!金が全てではない?金なんですよ。
あなた方が相手に一矢報い意気地を見せつける方法は。
奪われたものと踏みにじられた尊厳にふさわしい対価を勝ち取ることだけなんだ!それ以外にないんだ!錦野春夫さん。
あなたは元郵便局長だ。
幾度となく閉鎖されそうになった村の郵便局を最後まで守り抜いた!守口三郎さんは小学校の校長先生。
村にいた子供たちはみんなあなたの教え子だ!奥さんの久子さんは街のデパートの化粧品売り場で月間売り上げの記録の保持者!郷田譲二さんは実に100haもの田畑を開墾した!鎌田さと子さんとご主人は田んぼをやりながら日雇いの仕事を幾つも幾つも掛け持った!富田康弘さんは商店街の会長。
毎年祭りを盛り上げてあのクリスタルキングを呼んだこともある!板倉初枝さんは女だてらにクレーン車を動かし6人の子供を育て上げた!敗戦のどん底からこの国の最繁栄期を築き上げたあなた方ならその魂をきっとどこかに残してる!…はずだと期待した私が愚かでした。
いいですか?二度と老後の暇つぶしに私を巻き込まないでいただきたい。
心優しいダニ同士お互い傷をなめ合いながら穏やかに健やかにどうぞくたばっていってください。
それでは皆さんさようなら!たねさん。
今息引き取った。
(一同)えっ!?たねさんの遺言。
「死んだら全員で遺影を持って傍聴席を埋め尽くせ」「裁判長にアピールするだろうから」って。
1人で頑張ってたな。
田んぼ。
(さと子)・「えんやこらどっこいせ」・「どっこいこらこらよーいよい」
(一同)・「えんやこらどっこいせ」・「うんとこせーのさっさ」・「えんやこらどっこいせ」・「わんさかわんさかしゅっしゅっ!」・「えんやこらどっこいせ」・「どっこいこらこらよーいよい」・「えんやこらどっこいせ」・「うんとこせーのさっさ」・「えんやこらどっこいせ」・「わんさかわんさかしゅっしゅっ!」
(一同の笑い声)
(春夫)先生よ。
あんたなら幾ら取れるっていうんだ?それを決めるのはあなた方だ。
好きな金額を言えばいい。
私が取ってごらんに入れよう。
負けたらあんた責任取れんのか?責任取るわけないでしょう!はした金あの世へ持っていっても仕方ねえか。
ハハッ。
(久子)絹美の者の意地。
見せてやるかね。
どうせ死ぬなら仙羽化学道連れだ!先生。
もう投げ出したりなんかしねえ。
最後まで俺たちと戦ってくれよ。
少しはましな目になられましたね。
いよいよ始まりですね?本当の戦いが。

(沢地)先生。
(三木)絶対に敵を取る!古美門を地獄へ落とす!はい。
先生。
必ず勝ちましょうね。
簡単に言うな。
どうなるか分かるものか。
えっ?三木は沢地を巧みに使って君と私を操っている。
ここまで全て三木の思惑どおりに動いているはずだ。
思惑どおり?まさか今日のことも?途中で裁判から降りさせないための仕掛けだろう。
先生はわなと分かっていて乗ってるんですか?三木が私と決着をつけようとしてる。
受けて立つしかない。
先生…。
おそらくわが人生最悪の戦いになるだろうよ。
(服部)人には誰しも過去というものがあります。
あなたにはあり過ぎますがね。
目を背けたい過去にも立ち向かわねばならないときも。
もし打ち明けることでお心が軽くなるのであればこの服部がお聞きします。
聞いていただけますか?服部さん。
何なりと。
足踏んでます。
失礼いたしました。
2015/02/24(火) 15:53〜16:48
関西テレビ1
リーガル・ハイ #09[再][字]

恩讐の村人よ…美しき故郷を取り戻せ!史上最大の賠償金をかけて、公害裁判!巨大企業が隠す嘘とは?堺雅人 新垣結衣 生瀬勝久 小池栄子 里見浩太朗ほか

詳細情報
番組内容
 古美門(堺雅人)と黛(新垣結衣)は、東京地方裁判所で女性霊媒師(千葉雅子)の弁護をしている。原告の浜村(古澤裕介)は、女性霊媒師に合計500万円近くも支払ったにもかかわらず、見合いは失敗続きで恋人ができないと訴える。いつもの弁舌で浜村の訴えを退け、女性霊媒師に勝利をもたらす古美門。その様子を老人たちが見つめていた。法廷を後にする古美門と黛。そこに現れたのは、春夫(二瓶鮫一)、譲二(丹古母鬼馬二)
番組内容2
ら老人たち。譲二は突然、古美門に土下座をし、「俺たちの村をお助け下さい」と懇願する。
 事務所に戻り、老人たちから話を聞く古美門。彼らは南モンブラン市という、昔は絹美村と呼ばれていた山々に囲まれた美しい集落の出身。必死な反対運動にもかかわらず、5年前に仙羽化学という大企業の化学工場ができてから、住民に健康被害が出ており、裁判で戦うために古美門の元を訪れたという。大企業相手の公害問題訴訟、さらには
番組内容3
顧問弁護士が三木(生瀬勝久)ということもあり、これまで依頼した弁護士には全て断られていた。
 依頼を受けた古美門は、絶対に勝てない裁判だと断言し、老人たちの依頼をきっぱりと断る。古美門特有の毒の効いた断り方にあぜんとし、怒って席を立つ老人たち。いつもの通り、黛がひとり南モンブラン市に赴くことに。非協力的な古美門を批判する黛だったが、古美門はこの依頼を受けることができない深い理由を抱えていた・・・。
出演者
堺雅人 

新垣結衣 

生瀬勝久 

小池栄子 

田口淳之介 

矢野聖人

 ● 

里見浩太朗
原作・脚本
【脚本】
古沢良太 

【編成企画】
成河広明(フジテレビ) 
加藤達也(フジテレビ)
監督・演出
【プロデュース】
稲田秀樹 

【監督】
石川淳一
音楽
林ゆうき
制作
フジテレビ 
【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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