(男性)助けてくれー!
(鳥居勘三郎)
16年前京都市の繁華街で「オヤジ狩り」と呼ばれる恐喝事件が相次いだ
ああーっ!
(黒川哲郎)いただきまーす。
(谷本良治)今から帰るよ。
ああ大事に使ってるよ。
じゃあね。
そんな中会社員が殺害され財布を奪われるという事件が発生した
オヤジ狩りを繰り返していた少年たちが逮捕されたがリーダーの黒川哲郎は会社員の殺害については犯行を否認
証拠や目撃者が出ないまま事件は迷宮入りし時効を迎えた
そして…
キャー!泥棒!
(茅野太一)止まれ!待てこら…!待て!
(吉川新平)20時30分現行犯逮捕!
(兵藤兵吾)ハァ…ハァ…お前ら早すぎるよ…。
(七尾洋子)おはようございます!聞きましたよ!お手柄じゃないですか。
連続ひったくり犯現行犯逮捕だって?
(星野康夫)ええ!いや私が駆けつけた時にはもう確保されてたんですよ。
いやぁ兵さんのおかげですよ。
次の犯行は鴨之木通りだって見当をつけてくれたんだから。
すごーい!いやまあこれでみんな少しは安心して街を歩けるでしょう。
そうそう。
世の中平和で警察が暇なのが一番!ですね。
(村井信治の笑い声)
(村井)事件が起きても君たちは暇だろ。
喜べ。
年中暇な君たちに仕事を恵んでやろう。
えっ?張り込み?聞き込み?え…取り調べ?安心しろ。
もっと暗〜くて日の当たらない仕事だ。
(笑い声)くーっ…!
(茅野)ひったくり犯の部屋から押収したバッグです。
被害額は全部でおよそ30万ぐらいですかね。
これから被害届と照合して持ち主に返すんですが…。
なんだよ。
てっきり事件捜査かと思ったのに。
こういう仕事も面白いんじゃないの?
(高岡俊介)ただあの…ひったくり犯が妙なことを言ってるんですよ。
このバッグに入っていた財布だけ中身がもともと空っぽだったっていうんです。
何それ。
自分でお金抜いたんじゃないの?そうだと思うんだけどねぇ…。
被害届出てるの?ああそれがこれだけ出てないんですよ。
犯行はおとといの晩で中身は財布の他にこの雑誌が2冊。
科学雑誌にブライダル雑誌…。
ああー!これスマイリーキャットですよ。
十何年か前に流行ったキャラクター。
「HAPPYBirthday!!fromNaoko」…。
ちょっとおみやさん!どうしたんですか?うーんねぇねぇねぇ…?あった。
「寺川町会社員殺人事件」…。
16年前寺川町の駐車場で近くの会社員谷本良治さんが殺害された。
死因は頭部を鉄パイプで殴られたことによる脳挫傷。
所持品に財布はなくホシが持ち去ったものだと思われる。
当日は雨。
指紋ゲソ痕手がかりはなし。
それと今回のひったくりとどう関係があるんです?これガイシャが持ってたキーホルダー。
ああスマイリーキャット。
ガイシャの娘が父親の誕生日にプレゼントしたもの。
娘は当時中学生。
名前は直子。
ナオコ…?このバースデーカードを書いたのも「Naoko」。
直子さんの母親は事件の翌年に死亡。
母方の親戚に引き取られて落合直子と名前が変わった。
そして1年前ヤマは時効を迎えた…。
時効成立を伝えに行った時直子さん言ってたよ。
犯人が哀れだって。
哀れ?うん。
罪を償うチャンスを一生なくした。
一生苦しみ続けるに違いないって。
せめてそう思いたいって。
(斎藤)直子ちゃんやったら戻るのは夕方ですわ。
なあ木村さん。
今日直子ちゃん小柴さんとこやったやろ?
(木村)そうや。
きっと今頃ケンカしてるで。
えっ…?ケンカ?扱いにくいおじさんがおるんですわ。
(落合直子)ひどいじゃないですか!今さら別のヘルパーに代えてほしいなんて。
あっわかった。
私があんまり美人だからドキドキして血圧上がっちゃうんでしょ?
(小柴圭造)もっと静かなヘルパーがいいって言ったんだ。
そんな…。
私すっごいおとなしい性格なんですよ。
しとやかさが魅力だって。
まあ誰も言ってくれないけど。
自分ではそう思ってるんですから。
(直子)なんて書いてるんです?
(小柴)「ヘルパーの交代再度依頼すること」…。
一体何が不満なんです?せっかく仲良くなれたのに…。
鳥居さん…?お久しぶりです。
散歩中すいません。
あなた方は?えー…鴨川東署の鳥居っていいます。
部下の七尾です。
あ…直子さんに少々お話があって…。
これがひったくりに遭ったカバンで…。
みんな入ってたものなんですが。
財布とバースデーカード見覚えないですか?あ…さあ…。
じゃあ昔お父さんにカードを書いた記憶はありませんか?すいません。
よく覚えてなくて…。
それに…これが父のお財布だとしても意味ないですよね。
…え?だってこれを手がかりに犯人が見つかったとしてももう裁くことも罰することもできない。
(直子)私だってもちろん犯人は憎いです。
でも…。
もう気持ちに区切りはついています。
だからもういいんです。
もういいって?鳥居さんが犯人を捕まえたら余計苦しくなります。
罰することのできない犯人にもしかしたら殺意を抱いて…もしかしたら…。
母のように命を削ってしまうかも…。
生きる力は生きることにだけ使いたいんです。
誰かを憎むことじゃなくて。
失礼します。
(直子)すいません!お待たせしちゃって。
ああ…タバコ。
もう…体大切にしましょうね。
(直子)じゃあ行きましょうか。
(大野)その財布だけ中身が空っぽだったんだよ。
(茅野)あのね8件もひったくりしといてねそんなに威張ってんじゃありませんよ!うわあ!痛い痛い痛い…!くっそーおめえら…。
(吉川)あっおみやさん。
ちょっといい?はい。
あの…この空っぽの財布が入ってたバッグ持ってた人ってどんな人?男だよ。
30歳ぐらいの。
おみやさん男に心当たりあるの?16年前事件発生現場付近で少年グループによるオヤジ狩りが多発した。
グループのリーダーは黒川哲郎高校生。
谷本良治さんも当初はオヤジ狩りに巻き込まれて殺害された可能性もあると考えられた。
だが少年たちの犯行を示す証拠は挙がらなかった。
当時高校生ってことは今は30ちょいですよね。
ひったくりに遭った男も同じ年格好…。
本当にここに勤めてるんですかね?黒川哲郎。
更生後猛勉強して夜間大学をトップ入学。
オヤジ狩り少年が今じゃエリートサラリーマンか。
何読んでるんです?さっきから。
そこの受付でもらった社内報。
黒川哲郎!NPOと連携して地雷撤去装置を開発中と…。
はあ〜エンジニアだったんだ。
あれ?そういえばあのバッグ…。
うん雑誌が2冊入ってたよね。
その1つが『テクノロジートゥデイ』。
科学雑誌。
つながりがありますね彼と。
(黒川)お待たせしました。
知りませんね。
僕のじゃありません。
日本に帰られて1年ですか?アメリカの研究室で2年かけて地雷撤去装置の試作品をお作りになった。
昔から機械いじりだけは得意だったもので。
誰かが憎み合えば誰かが後始末ですよ。
『テクノロジートゥデイ』っていう雑誌ご存じですか?あの4月号に地雷処理技術の最新レポートが掲載されてますが購入されました?さあどうだったかな…。
すいません。
そろそろ戻らないと。
結婚まだですか?今は仕事が恋人みたいなものなんで。
本当ですか?アメリカって。
これに出てた。
国外にいた間は時効が停止するからもし彼が16年前のホシだとしたら…。
公訴時効はまだ成立してない。
だけど気になりませんか?ホシはどうしてガイシャのお財布を16年間も保管してたんでしょう。
普通さっさと捨てません?警察に持っていくつもりだったんじゃないの?警察って…。
自首するつもりだったってこと?当初はその意思があったと思うよ。
勇気が出ないまま時効を迎えてしまった。
ふ〜ん…。
そしてあの晩ホシはお財布を持ったままどこかへ向かっていた。
もしかしてとうとう自首を決意して?ところが思いもかけずひったくりに遭って自首の決意も勇気もバッグとともに奪われた。
…ということじゃないのかな。
そこがひったくりの現場です。
ホシの話だとバッグを持った男性は駅からこっちのほうに向かって行ったと言っています。
あれ交番じゃない?本当だ。
っていうことは男は交番の前を素通りしたってこと?いやだって財布を持って自首しようっていうのに変じゃない?交番まで来たものの勇気が出なかったとか?本屋探すか。
本屋?ひったくられたバッグには雑誌が2種類入ってた。
科学雑誌とブライダル雑誌。
そっちは折り目ひとつついてなかった。
ということはひったくられる寸前にその雑誌を買ったってことだよね。
なるほど。
こんにちは。
鳥居です。
鴨川東署の鳥居です。
ああ…鳥居さん…。
はいはい。
今日落合直子さんは?別の人…。
あ…えーと…。
斎藤です。
ちゃんと書いといてくださいよ。
ああ斎藤…。
そう…。
そうだ斎藤斎藤…。
直子ちゃんねこの人が追い出しはったんですよ。
今頃はフィアンセに慰めてもろてるわきっと。
婚約者いるんですか?ええ。
写真で見ただけやけどなかなかええ男よ。
3日前に結婚情報誌を買った男性?ええ。
歳は30過ぎ。
買ったのは『二人で作るウエディング』って本です。
あっこの雑誌でしたらうちでは取り扱ってませんので。
小柴さんが私をクビにしたのは怖いからかもしれません。
怖いから?あの人去年事故に遭って脊髄と脳に後遺症が残っちゃったんです。
(直子の声)軽い記憶障害もあるみたいで。
だからいつもメモ帳を。
誰かと親しくなればなるほど相手を忘れるかもしれない恐怖が強くなる…。
わかってたはずなのに私…仲良くなりすぎました。
婚約者がいるんだって?同僚の斎藤さんっていう女性から聞いた。
婚約者の名前は黒川哲郎さん。
すいません。
ミーティングの時間なんで。
気持ちの整理はついてる…って言ったよね?あれ本心?どういう意味です?もしかしたら怖いんじゃないの?犯人の正体を知ることが。
いや〜『二人で作るウエディング』?マジすか?マジすか?いやいや…あっ我々が結婚するわけじゃないんだよ。
最近その雑誌を買っていった男性はいませんでした?ああ…。
あっそういやこの間…。
あっいたんですか?直子さんは16年前の殺人事件の被害者遺族。
であなたは当時犯人と疑われた人物です。
不思議でしょうね。
そんな2人がなぜ婚約したのか。
いやそれ以前にどうして会ったのか。
それが不思議です。
出会ったのは僕が最低だったからですよ。
あんたのオヤジの事件で俺が警察に疑われたんだよねぇ。
母ちゃんに伝えてくんない?迷惑料ぐらい払えってさ。
バイトが終わるまで待って。
(黒川の声)あの頃いろいろムシャクシャしてて遊ぶ金欲しくてたかりに行ったんです彼女に。
(黒川)何やってんの〜?
(直子)チェーン外れちゃって…。
(黒川)どけよ。
金いくらもらおうっかなぁ〜。
母さん死んじゃったんだ…先月。
お金なんて払えない…。
あ〜あ来て損した!よし直った!
(直子)ありがとう!いい人なんだね本当は。
(直子)こんな親切に…。
(黒川の声)妙な気分になりました。
彼女の言葉がなぜか心に残って…。
(直子)お待たせしました!
(黒川の声)しばらくしてもう一度あの店に行きました。
彼女の必死に働く姿を見てなんだか自分が恥ずかしくなってきました。
いつまでもガキのままの自分に…。
恥ずかしくて情けなくて…。
それからあの店に行くことはありませんでした。
次に彼女に会ったのは去年です。
時効が成立したと思って…。
ええ。
彼女がどうしてるか気になって。
(直子)犯人は憎いけどもうどうしようもないですよね。
ごめんなさい。
え?あの頃あなたを疑ったんです。
ほんの一瞬だけ。
あの…!今度メシ食いに行きません?
(黒川の声)礼が言いたかったんですよ。
バカな生活に見切りをつけられたのは彼女のおかげですから。
そして直子さんとの交際が始まった。
(携帯電話の振動音)ちょっと失礼。
(携帯電話の振動音)あっおみやさんわかりました。
あの晩現場近くで結婚情報誌を買ったのは黒川哲郎です。
防犯カメラも確認しました。
間違いありません。
わかった。
ありがとう。
(黒川)どうしました?もしあなたが直子さんの父親を殺害した犯人だとしたらあなた自分の罪を隠して直子さんと付き合ってたことになる。
それに2年日本を離れてる。
公訴時効はまだ成立してない。
僕が犯人だと?わかりません。
しかし1つだけ確かなことがある。
やっぱりあの晩ひったくりに遭ったのはあなた。
教えてください。
どうしてあなたが谷本さんの財布を持ってたのか。
真実ってそんなに大切なものですか?真実が誰かを不幸にすることもあります。
真実が誰かを不幸にする…。
ねぇそれって自分がホシだって言ってるようなものじゃありません?けどさ…どうして彼あの晩ガイシャの財布持ってたんだろうね。
それは自首しようって気持ちがあったから。
だって一方でブライダル雑誌買ってる。
結婚への願望と自首への意思…矛盾してない?
(すず)坊ちゃま。
(すず)考え事をなさる時は甘いものを召し上がれ。
糖分が脳を活性化しよいアイデアが浮かびます。
じゃあモナカいただき〜!あなたの場合糖分が脳まで届くとは思えません。
全部体脂肪に早変わりするのが関の山でしょう。
ちょっと…よく見てよ。
このスリムボディーのどこに体脂肪が?大声出さずにさっさと帰って歯磨いて寝なさい!ご心配なく。
歯ブラシもパジャマも持ってきてます。
呆れた。
今夜こそ帰っていただきます!そう。
帰ったほうがいい。
ひどい。
おみやさんまで…。
迷った時は資料に帰ったほうがいい。
(すず)は?資料?資料の中に必ず真実はある。
ねぇ洋子。
財布を持ってたからっていって黒川さんがホシとは限んないよね。
ホシでもないのに殺しの証拠を持っていたっていうんですか?真実が誰かを不幸にすることもある…。
彼はそう言った。
それをあの夜葬り去ろうとしたんじゃないのかな。
葬るって…。
誰かを不幸にする真実を…。
そのために財布持ち歩いてたんじゃないのかな。
そんな…。
なおさらわかりませんよ。
第一彼が葬らなきゃならない真実って一体…。
(ため息)洋子。
うん?これさ16年前の聞き込み捜査対象者リストなんだけどほら…。
あれ?この人って…。
なんなんですか?今度は。
やっと謎が解けました。
あなたが谷本さんの財布を持ち歩いてた謎が…。
あの夜あなたある人のところから財布を持ち帰ろうとしてたんじゃないんですか?ある人とは16年前の事件の犯人。
16年前直子さんの父親を殺害したのはあなたじゃありません。
犯人は恐らく…。
あれ!?直子ちゃん…。
ああ…。
合鍵お返しするのを忘れてて。
それとこれ…。
あの…さっきお宅に行ったら縁側に置きっぱなしでした。
(斎藤)えぇ〜?なんぼ大事なこと書いたかて置き忘れたらしゃあないな。
あっ私が預かっとくわ。
(斎藤)はい預かっとく。
(黒川)小柴さんが犯人だっていうんですか?証拠はありません。
ですが16年前小柴さんが谷本さんと同じ会社に勤めてたことはわかりました。
当時の聞き込み者対象リストに小柴さんの名前が同じ部署にありました。
あなたと直子さんたびたび小柴さんの家を訪ねた。
そして気づいてしまったんじゃないんですか?16年前の真実に…。
直子さんを不幸にする真実に…。
小柴さんは?お散歩なさってたんじゃ?選手交代や。
直子ちゃんと。
あっ…はい?いやなんでも小柴さんに大事な話がある言うて。
あっえらいこっちゃ…。
私がこれ持って帰ってきてしもた…。
ちょっといいですか?小柴さんには家族も友達もいません。
たまに将棋の相手をしてほしい。
直子にそう頼まれました。
だけど何度目か家に行った時新聞記事の切り抜きを見つけました。
(黒川の声)直子の父親が殺された事件の時効を報じる記事でした。
(直子)見つかった?接着剤。
ああ…うん。
(直子)この取っ手すぐ取れちゃうんだよねぇ。
新しいお急須買ったらどうです?これがいいんだ。
(黒川の声)なぜ彼があの事件の記事を切り抜いていたのか…。
もしかしてあの事件になんか関係あるんじゃないかって。
小柴さんは忘れてはいけないことを必ずメモ帳に書いてました。
それをこっそり見たんです。
(黒川)「私は人を殺した」…。
「1994年3月7日同僚の谷本良治さんを殺害した」。
(黒川の声)16年前の犯人は…小柴さんでした。
直子は小柴さんが自分の父親を殺した犯人だと知らずにいる。
そして小柴さんは直子が自分の殺した男の娘だと知らずにいる…。
直子に真実を告げなければ…そう思いました。
初めて「ありがとう」って言われちゃった。
えっ?小柴さんがね今日初めて私に「ありがとう」って言ってくれたんだ。
もうすっごくうれしかった。
死んだお父さんにね雰囲気が似てるの。
(黒川の声)だけど…だけど言えませんでした。
(黒川)どうしても…。
直子さん彼に父親の姿さえ重ねてた…。
考えて…考えて考えて僕の出した結論は直子をあの男から遠ざけることでした。
すべてを秘密にしたまま…。
(黒川)ここに書かれてることは事実ですね?
(ため息)これで決心がついた。
(小柴)16年前の証拠のこの財布を持って遺族に謝罪しなければ…。
罪の記憶が消える前に…。
遺族はあんたのすぐそばにいる。
毎日あんたの世話をしてる。
まさか…!?この手であんたを警察に突き出してやりたいよ!けどもう法律じゃあんたを罰することはできない。
今さら自首なんて俺が許さない!あんたは謝罪して楽になるかもしれない。
でも直子はどうなるんだよ!あんたを憎んで…。
父親みたいに慕ってきたあんたを憎んでこの先苦しむだけだろ!この財布は俺が処分する。
あんたはすぐにヘルパーを代えてくれ。
直子の前から姿を消してくれ!
(携帯電話)もしもし直子?
(黒川)うん外。
帰る途中。
式場の参考に…?ああわかった。
買っとくよ。
(柱時計の音)その帰り道ブライダル雑誌を買ってその直後にひったくりに遭った。
(黒川)待て!僕は直子さんに押収されたバッグの写真を見せた。
彼女はそのバッグが君のものだって気がついたはずだ。
それに父親の財布自分が書いたバースデーカード。
まさか父親を殺した犯人が僕だと勘違いして…。
そう。
そんな…!おかしいですよ。
だって昨日彼女と式の日取りを決めたんですよ。
結婚式?ええ。
もし僕を疑ってるなら結婚の話を進めるはずがありません。
彼女…気づいてるのかもしれない。
小柴さんが犯人だということを直子さん察してるのかもしれない。
そんな…。
(携帯電話の振動音)はい。
あっおみやさん?直子さんが小柴さんをどこかに連れてっちゃったんです。
いつもの公園付近のはずなんですけど見当たらなくって。
直子さん小柴さんが犯人だってことに気づいてる。
そんな…!じゃ復讐するつもりで?とにかく捜して!僕もすぐ行く!
(直子)最後のお散歩がしたかったんです。
それにちゃんとさよならが言いたくて。
覚えてますか?私たちが初めて会った時のことを。
初めまして!落合直子と申します。
失礼します。
またずいぶん元気なのが来たもんだ。
それしか取り柄ないですから。
それどんな花が咲くんですか?うちの庭の木は花は咲かない。
(直子の声)小柴さんは噂で聞いていたとおりの人でした。
心を閉ざした変わり者…。
(直子)だけど少しずつわかってきました。
小柴さんが何かを抱えているってこと…。
(うなされる声)
(直子)小柴さん?小柴さん!小柴さん!うなされてましたよ。
すごい汗。
いいんだ。
いつものことだ。
(直子の声)この人はきっとつらい過去を抱えている。
だから私が少しでも明るい気持ちにしてあげたい。
そう思ってました。
ずっと…。
洋子!あっおみやさん!ダメです。
見つかりません!これ小柴さんのメモ帳?はい。
行き先書いてあるかもしれない。
どうしたの?おみやさん。
直子さん!直子さんここで何を?
(直子)お別れを言おうとしてただけです。
哲郎さんも言ってました。
真実が人を不幸にすることもあるって。
あなたもそう思ってたんですよね小柴さん。
なんにも知らずに君の親切を受けていた。
哲郎君に告げられるまで夢にも思わなかった。
(小柴)まさか君が…。
君のお父さんを殺したのは…私だ。
やっぱり気づいてたんですね。
でもどうやって?あの夜哲郎と電話で話した時…。
ねぇ今会社?
(黒川)「うん外。
帰る途中」ああそう。
ねぇ式場の参考になる本買っといてほしいんだけど。
「うんわかった。
買っとくよ」「
(柱時計の音)」
(直子の声)電話の向こうで柱時計の音が聞こえました。
小柴さんちの柱時計の音が…。
(直子の声)彼どうして小柴さんの家に行ったことを私に隠すのか…。
不思議に思っていた矢先鳥居さんたちが来てひったくりのことを知らされて…。
財布の写真を見せられたあなたはそれがお父さんのものだとすぐわかった。
16年前私と母でプレゼントしたお財布です。
忘れるわけがありません。
だけどあのバッグと雑誌…。
すぐに気がつきました。
ひったくりに遭ったのが哲郎だってことを…。
そして彼が小柴さんの家から帰る途中だったってことを。
さっき小柴さんのメモ帳を見てすべてわかりました。
小柴さん話してください。
16年前何があったのか。
当時妻の病名を宣告されたばかりで…。
新しい治療を受けさせるために私は会社の金に手をつけて…。
それを同僚だった谷本さんに知られてしまった。
ええ。
(小柴)ちょっと谷本さん!ねぇちょっと待ってください。
ねぇ待ってください…。
(谷本)なんですか!
(谷本)明日上にすべて報告します!相応の処分は覚悟してください!あんたなんでも持ってるじゃないか…。
はあ?かわいい子供健康な家族会社での地位…。
私と違ってあんたはなんでも持ってる!頼む。
情けをかけてください。
お願いします!見逃してください!冗談はやめてください!ダメなもんはダメです!本当に情けないです!うああっ!
(小柴の声)大変なことをしてしまった…。
でも今私が捕まったら妻は…。
混乱した私は思わず強盗に見せかけようと…。
そのうちに警察は不良少年たちを疑い始めて私は罪を免れたんです。
だがあなたは自首の思いをずっと胸に秘めてた。
だから谷本さんの財布を保管してたんですよね。
そうだったかもしれません。
けれど2年後に妻が他界した時私はもうすでに警察に行く勇気を失ってました。
そしてそのまんま時間だけが過ぎて…。
事件は時効を迎えその後あなたは事故に遭い軽い記憶障害を持つ身となった。
たまに日常の小さなことがストンと消えてしまうことがあります。
そのたびに私は怖くなるんですよ。
いつか私はこの手で犯した罪さえも忘れてしまうんじゃないかって。
だからあなたはメモ帳に書き記したんですよね。
自分の犯した罪を。
谷本さんを殺した事実を忘れたら私はもう人間じゃありません。
いや本当はもうとっくに人間じゃなくなってるのかもしれませんね。
人の命を奪い逃げた…あの16年前から…。
小柴さんを家まで送ってあげてください。
直子さん…。
復讐したい…そう思いました。
…ほんの一瞬だけ。
(直子)すごくきれいですよ。
あっ見てこれ。
(直子)ああこっちもきれい。
なぜ来たんです?復讐されたかった…。
復讐されたかったんです私は。
これ読んでください。
小柴さんどうしました?「私は人を殺した」。
「1994年3月7日同僚の谷本良治さんを殺害した」。
(直子の声)「その事実を2010年4月16日被害者の娘に告白した」「彼女は私の行為を許してはいない」「しかし私の苦しみを理解している」「そして私が法律によってではなく人間としての良心によって自分の罪と向き合い続けることを望んでいる」「人間としての良心によって償いの方法を見いだすことを望んでいる」「そして待っている」「あの庭の木がいつか満開の花でいっぱいになる日を」きっと幸せになりますよね直子さん。
哲郎君と一緒に前を向いて生きていくさ。
だけど運命って気がするなぁ。
運命…?犯人と被害者遺族がお互いの過去を知らずに出会っていたなんてなんか運命って気がする。
洋子さ…運命って言うタイプだったっけ?いけない?いやいいんじゃない?そうやって信じて生きていけばきっと運命的な出会いがあったりして。
ハハハ…。
なんで笑ってるのよ!2015/02/24(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
おみやさん7[再][字]
「16年後の殺人証拠!!容疑者と婚約した女」
詳細情報
◇番組内容
京都鴨川東署資料課勤務の鳥居勘三郎は、過去の迷宮入り事件の資料を元に、現在起きた難事件を解決に導いていくことから、「おみやさん」と呼ばれている。豪華ゲストを迎え、長い歳月を超えた深い人間ドラマが織り成す極上のミステリーを、京都の情緒たっぷりにお届けします!
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、林泰文、不破万作、片桐竜次、小野寺丈、一條俊、鷲尾真知子 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:22450(0x57B2)