くらし☆解説「危機のシリア遺跡を守るために」 2015.02.26


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはシリアです。
内戦が長期化しているシリアでは世界遺産に登録されている古代都市をはじめ数々の遺跡も破壊や盗掘の被害に遭っています。
貴重な文化財をどうやって守るのか二村伸解説委員です。
シリアにはどんな遺跡があるんですか?二村⇒東西文明が交わる重要な場所にあっただけに世界的に有名な遺跡が数多くあります。
こちらの映像はシルクロードの中継都市として栄えたパルミラの遺跡です。
シリア砂漠のオアシスは、かつてキャラバン隊でにぎわったところです。
今もローマ様式の建造物が数多く残され、世界で最も美しい廃墟と言う人もいます。
当時の雰囲気を感じることができる、貴重なものですね。
続いては首都ダマスカスです。
およそ1万年前、世界で最も古くから人が住み続けている都市といわれ1300年前に造られた現存する世界最古のモスクをはじめ旧約聖書や新約聖書ゆかりの教会や道路などもあります。
最近はシリアというと物騒なイメージが強いんですがすばらしい歴史があるんですね。
そうなんです。
シリアを含むこの地域はメソポタミア文明が栄えたところです。
世界で最初に農耕が始まったという学説があります。
文字や冶金術鋼鉄から鉄などを作る技術ですね。
それが発明されてビールやワインもこの地域が起源とされています。
人類の歴史にとって極めて重要な場所で数多くの遺跡が眠っています。
それが、破壊されてしまっているんですね。
パルミラやダマスカス、アレッポなどシリアには6つの世界遺産がありますがすべてが危機にさらされている遺産いわゆる危機遺産のリストに加えられてしまいました。
中でも大きな被害を受けているのが北部の古代都市アレッポです。
紀元前3000年ごろに歴史に登場した商業都市です。
丘の上のアレッポ城は、モンゴル軍や十字軍による攻撃にも耐えた難攻不落の所といわれましたが今銃弾や砲弾による破壊が進んでいます。
この写真は、衛星が捉えた2010年のアレッポ中心部です。
去年10月の写真を見ると、大きな変化が分かります。
2枚を比較すると跡形もなく大きなクレーターがあるのが分かります。
中心の辺りは世界最大規模のスーク、市場がありました。
1500以上あった商店の大半が焼失してしまいました。
こちらが戦闘の最前線です。
西側が政府東側が反政府側の支配下にあります。
市場のすぐ近くにある、ウマイヤド・モスクなんですが町の象徴で有名なモスクです。
ミナレットと言われる先のとがった塔が破壊されてしまいました。
地上から撮影されたモスクの写真です。
ミナレットがなくなったのが分かります。
反政府勢力は政府軍の戦車の砲弾が当たって崩れ落ちて歴史と文明に対する犯罪だと非難していますが政府側はイスラム過激派組織のヌスラ戦線が爆破したと主張しています。
いずれにせよ、失われてしまったものは戻りませんね。
国連は去年12月、衛星写真を分析した結果シリア国内で6か所の世界遺産を含む290もの歴史的建造物が被害を受けていると発表しました。
その半分近くがアレッポに集中しています。
こんなに被害が大きいとは予想を上回りましたが盗掘の被害はということですね。
内戦で遺跡や博物館の警備や管理が難しくなったため盗掘や略奪の被害が相次いでいます。
イスラム過激派組織ISの支配下では文化遺産が盗掘、密売されてそれが収入源になっていると言われています。
この写真は奈良県の橿原考古学研究所が発掘調査を手がけてきたパルミラ遺跡の盗掘の被害です。
地下の墓にあった数々の胸像が削られて持ち去られてしまっています。
具体的にどれだけの被害に遭っているのか、まだ把握していないということなんです。
さらにこの写真は村の住民が磁気探査の機械を使って地中の青銅器や鉄器などを探しているところです。
遺跡を発掘しているんですね。
無許可で掘り起こして欧米の業者に密売しているということであちこちに穴ができてしまっています。
被害を食い止めることはできるんでしょうか。
まず、戦争を止めるしかありません。
ユネスコはシリアの文化財保護のためのプロジェクトを立ち上げシリア国内の専門家を通じて文化遺産を安全な場所に移したり国外に持ち出されないように監視の目を光らせています。
レバノンでは多数の文化財が出回って大量に押収されました。
それでも国外に持ち出されたものの、ほんの一部にすぎません。
こういう状況で日本ができることはあるんでしょうか。
日本もシリア遺跡の発掘や保存に半世紀以上前から取り組んできました。
多くの専門家が現地の専門家と協力して、遺跡の保護に取り組んでいます。
先日、都内でシリアの文化財保護のためのシンポジウムが開かれました。
現地で発掘調査を行ってきた専門家がそれぞれの遺跡の現状を報告しました。
シリアの文化財を管轄する組織の代表からもビデオメッセージが寄せられ戦闘による被害のほか盗掘や略奪さらには遺跡の石材が建築物に使われたり避難民が遺跡に住み着いたりして損傷が進んでいるという内戦の長期化で事態が深刻化していることが伝えられました。
日本の支援にも期待が表明されたんです。
日本の貢献策についてもさまざまな意見が出されました。
具体的に日本にはどういう貢献ができますか。
まだ整理されていない出土品も多く早急に遺跡のリストを作成し被害状況についてデータベース化することそして専門家の養成や人材育成などといった点で日本が貢献できるのではないかということです。
何千年、何百年、何万年も守ってきたものが、今失われてしまうのでそうすると永遠に戻れませんのでもう取り返しがつかないことになってしまうということになります。
日本では例えばさまざまないろんな遺跡を守るためのテクノロジーですねそれから、遺跡を保存したりそれから、保護したりそれを分析したりとかそういうテクノロジーの部分では大変進んでいるところがあるのでそういう部分では、たくさん貢献できることはあると思います。
筑波大学ではシリア人留学生が遺跡の保存について学んでいます。
1日も早く、祖国に平和が訪れ文化財を守る仕事に就きたいと話していました。
日本にも得意分野を生かしてできることがあるわけですね。
人類共通の遺産ですからみんなで守ることが大切ですね。
そのとおりです。
数千年もの歴史を持つ人類全体の遺産がいとも簡単に破壊されてしまう。
戦争の愚かさを感じます。
この紛争終結のめどは立っていません。
イスラム過激派組織の壊滅も時間がかかると見られるだけに残念ながら貴重な文化遺産が失われるのを食い止めることは難しいのが現実です。
シリア国内でも政府側と反政府側の専門家双方が一緒に取り組まないと保護は不可能です。
人類の財産がこれ以上政治や紛争の犠牲にならないように日本をはじめ国際社会全体で声を上げていくことが大切だと思います。
二村伸解説委員でした。
次回は藤野優子解説委員とともにお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2015/02/26(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「危機のシリア遺跡を守るために」[字]

NHK解説委員…二村伸,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…二村伸,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:10950(0x2AC6)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: