(田中山根)よいしょ〜。
さあ「科学と人間生活」もついに最終回です。
(2人)ええ〜!さみしい〜。
さみしい。
さみしいでしょう。
1年間いろんなテーマでね科学と暮らしとの関わりを見てきましたが最終回のテーマはですね……という事で。
ああ〜。
2人はこれから僕たちの生活に科学の進歩は必要だと思います?私は必要だと思いますよ。
必要だと思う。
はい。
1年間科学の現場に訪問して…。
行ったね。
はい。
どの研究も人間生活が豊かになる可能性を感じたんですね。
確かにね。
でも例えばパソコンとかさすごい普及してきてさワープロとか使い過ぎて漢字が出てこないとか…。
ああ〜。
自分が「えっとあれどうだっけ」って字実際書く時に困ったり。
あと字下手になるよね。
そうそう。
そういう弊害もあるし。
必要っちゃ必要だしん〜あんまり進歩してこう困るみたいな。
そういうふうにね字が思い出せないとか。
弊害がね。
だからどっちとも言えないよね。
う〜ん。
正直答え出ませんねこれはね。
(チャイム)あれ?何の音ですか?今日はですね特別にお客様を呼んでるんです。
え?え?最終回という事で。
え〜!こちらに来てるんですね。
何何…。
はいは〜い。
あっどうもいらっしゃいませ。
こちらにどうぞ。
あっ!ええ〜!
(岡野)あ〜えっ!はい。
こちらがですね2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英先生です。
どうもよろしくお願いします。
(岡野)よろしくお願いします。
まさかの!この番組に?ノーベル賞の方が来てくれました。
実は私の母親が結構ファンなんですよ。
おお!
(岡野)お会いできてうれしいです。
立ち話もあれですんで座って頂きましょう。
あちらの青い席の方に。
え〜ちょっと恐れ多いね。
物理学者の益川敏英さん。
2008年に小林誠さんと共にノーベル物理学賞を受賞した。
当時こんな発言が話題になった。
あんまり「うれしい!」なんてやらない。
恥ずかしかったね。
こんな世界中の人が注目してるところで「私は英語がしゃべれません」っちゅうの。
益川先生のノーベル賞受賞といえばですね受賞の事ももちろん記憶に残ってるんですけどあの授賞式の時にスピーチで「英語が苦手だから日本語でスピーチします」って言ったのがすごい印象に残ってるんですけど。
あんまいないんじゃないですか?あの…自然科学系でフランス人がフランス語でやったという例があるらしい。
その1例のみですか?はい。
2人目?はい。
そうだったんですか。
今日はノーベル賞メダルを持ってきて頂いたという事で。
おお!えっ。
そちらが…。
おお!こうですね。
すごいですねええ〜!これか〜。
(益川)出しても…。
先生ちょっと出し方…。
これと…。
そこに描かれてる人がノーベルさん。
(益川)ノーベルです。
裏っ側は…。
何か描いてある。
(益川)だからここに…。
いいんですか?え〜!すんません。
どう?重い?重い!めちゃめちゃ重いですよずっしり。
益川さんの名前は刻印されてますね。
こんなもん見れる事はなかなかないですよね。
一生無理だろうな俺らはね。
益川さんの研究は宇宙はどのようにして生まれたのかを解き明かすものだ。
あらゆる物質を構成している最も小さな単位素粒子。
素粒子の一種にクォークと呼ばれるグループがある。
益川さんが研究を始めた当時3種類ある事が確かめられていた。
しかし3種類では私たちの世界がなぜ存在しているのかがうまく説明ができなかった。
その謎を解いたのが小林さんと益川さんが1973年に発表した理論だ。
2人の理論はクォークが6種類あると仮定し世界の成り立ちを見事に解き明かしていた。
しかし当時残りの3つは見つかっていなかった。
後に実験によってこの3つのクォークの存在が確かめられた。
小林益川理論は正しかったのだ。
ここにありますのがノーベル賞を受賞した論文なんですよね。
6枚しかない。
6枚のみなんですか。
(益川)はい。
え〜。
先生英語が苦手って言ったんですけど全部英語で書いてあるじゃないですかこれ。
(益川)だから僕が日本語で下書きをして小林君が英文化した。
あっそうなんですね。
やっぱり先生は英語にはあんまりノータッチという事で。
これもう全然分かんないですよ。
(岡野)うん。
でもこの6枚目のところに「6−pletmodel」って「6つのモデル」って大事なとこですよね。
(益川)はい。
だから当時クォークは4種類でいけるんじゃないかと思われたものに…我々もそう思っていたからそれに従って分析した訳ね。
それではうまくいかないという事をここまでで示してある。
5ページに今までの仮説が間違ってたという事を…。
6枚目から…。
6個にすればいけるという事が書いてある。
たった1ページなんですね。
ポイントの部分1枚だけなんだね。
小林君がカットして「これはいらん。
これはいらん」。
ここまで。
それでこの枚数にまとまったって事ですか。
素粒子の研究を始める時に将来ノーベル賞取れると思ってました?いや…そ…。
ノーベル賞取るぞといってね研究する人もいます。
しかし私はそういうタイプじゃない。
へえ〜。
物理でこれが面白いからと思ってやってるだけの話であって。
別に賞をもらうとかじゃなくって研究自体が好き…。
面白い。
どういったところに面白さを感じるんですか?一番最初はですね何か原種がある訳ですね。
そうした時に「これはなぜだろう」と思う訳。
…でそれを考えていってこういう具合にやったら説明できるか分からんと思う事がある訳。
その時が一番面白い。
だから論文を書き上げる時が一番楽しくない。
ハハハ。
書き終わって「よっしゃ」ってなるんじゃないんですか?その前にだいぶ…。
その時はもう本当に砂をかむ思いね。
ハハハハ。
へえ〜。
科学のおもしろさって何だろう。
益川さんが実験を見せてくれた。
これ何の実験でしょうか。
え〜っとね算数と理科の違いだと思う。
算数と理科の違い。
1+1は2だというのをね確固不動の真理だと思ってるんだけどもだけども理科になるとねあの〜違う。
違う。
1+1が2になるものが成り立つような現象なのかそうでないのかと。
それは議論の対象になるんです。
…で実際にここにアルコールと水が50ccずつありますけどねこれを混ぜます。
50と50ですよね。
50…50いきました。
(益川)ですね。
これに…。
100でしょ。
(岡野)100になりますよね。
あれ?ん?あれ?
(山根岡野田中)えっ?何でよ。
(益川)これは何かと言ったらアルコールと水は分子から出来てるんだけども…だからアルコールの方が大きい。
だから隙間がいっぱいなの。
その隙間に小さい分子の水が入り込む。
水分子が。
え〜俺そんなん知らなかったよ。
じゃあ1+1が2にならないっていう事なんですね。
そういう現象もある。
理科では。
いや〜これ衝撃だな。
算数や数学は数字を使った抽象的な概念を学ぶ。
一方理科や科学は目の前の現象を「なぜ?」と考え自然の法則を解き明かす学問だ。
世の中は不思議な事だらけ。
益川さんはその謎が解けそうな時の興奮と緊張が楽しいという。
でもどうしてもうまく理論が成立しないとか行き詰まったりする事はないんですか?いやあのね…人それぞれの個性なんでしょうけども「こういう可能性がある」と。
「それを突き詰めていこう」と。
やった結果それでうまくいかなかった時に僕はそれを失敗だと思わない。
なぜか言うとそういう考え方では答えが出ないと。
だったら…あ〜失敗だと思わないで…。
うまくいかなかった時その原因を徹底的に分析します。
はあはあ。
うまくいかなかったら駄目だとかいうんじゃなくてねかなり時間をかけてなぜうまくいかないのかという事を分析します。
益川先生はすごく勉強されるお子さんだったんですか?いやいや。
小学校の時は宿題なんか絶対やってかない訳。
ええ!だから母親が見てね「たまには宿題出して下さい」って先生に文句つけに行ったら「お宅の子だけがやってこない」。
そうなんすか。
子供の頃は外で遊ぶ事が大好きだったという益川さん。
勉強は嫌いだったが本は大量に読んでいたそうだ。
高校時代地元名古屋大学の坂田昌一教授が物理の新しい理論を発表した事を雑誌で目にする。
自分の町で世界最先端の研究をしている人がいる。
その現場を見てみたいという思いに駆られて物理の道へ進んだ。
大学時代はとにかく友人と議論の毎日。
議論の中で自分の考えを深めていったという。
どんぐらい議論とかってするもんなんですか?一日でこれは相当話ししたなみたいなのだと。
そりゃ10時間…。
10時間ですか?10時間十数時間はしますね。
え〜。
コンビ組んでてもさネタで議論なるけどまあ最大でも1時間…。
まあそうですね。
疲れちゃうもんね。
私大学で議論の授業とかがあるととても苦手であまり発言ができなかったりするんですけど議論の楽しさっていうのはどういうところにあるんですか?基本的にはね人間で生活が違うでしょ?だから自分と違う経験をしてる訳相手は。
だから…自分の体験をね疑似的に広める事ができる訳ね。
ああ〜。
(益川)だからね…あいつが間違ってるとか俺の知らん事しゃべってるとかね。
電子回路でもそういう方法があるんだけどあまりにも静かすぎると発信が起こらない。
だから雑音をかぶせる。
へえ〜。
そうすると発信しだす。
だから誰でもいい。
知識のレベルが違ったって構わない。
若手からでも十分議論してればね跳ね返ってくるものはある。
こっちから何を話していいかが出てこないとか緊張しちゃうとか…。
いや僕はおしゃべりだから必ずしゃべってます。
口論になってけんかしたり…。
けんかしますよ。
けんかするんですか。
「もうお前なんかと二度と再び口もきかん!」って。
それで翌週また議論してたとか。
その人と。
それで磨かれるんだろうねお互い人間がね。
だからやっぱり自由に議論ができる友達を見つける事でしょうね。
う〜ん。
友達がいないんじゃないの?そこ言ってしまうんですか?いますよ。
友達と議論はやった方がいいって事ですね。
そうですね。
けんかしてもいいっていう気持ちで…。
ガシガシいきなよ。
分かりました。
「急に今日どうしたんだ?」って多分思われそうだけど。
でも挑戦してみます。
今の科学ってどんどん高度になって私たちの目に見えないものになっているじゃないですか。
そうすると高校生とか私たち文系の大学生一般人はどんどん進歩している科学から何を学んでいけばいいのかなって。
そういうふうに思うんですけど。
それはね僕はあの〜「井の中のかわずの定理」と言ってるんだけどもかわずはね…江戸時代のかわずは寒さに強かったらしくて井戸の中に住んでいた…らしい。
だけどねそのカエルをつまみ上げて横にちょんと置いてあげる。
そしたらどういう事が起こるか。
そうしたらねカエルはね1m^2ぐらいが世界だと思っていた。
しかしここに置かれたらね「あっあれだけが世界じゃないんだ」と思うでしょ。
そうするとね第3の可能性に気が付く。
何か言ったらまだ横に空間があると。
ず〜っと向こう行ったらね井の中と井戸の横の空間とは違うものがあるかも分からないという事に気が付く。
あったかい池があるかもしれないとかっていう事。
(益川)はい。
だから1つのものはある程度極める。
それに対してそれじゃないものをエッセンスが分かる程度にね0.5ぐらいの勢いで勉強してみる。
そうすると膨らみが出来てくる。
じゃあ苦手であっても高校生のうちは基礎の部分を知っておく事が大切という事ですか?はい。
そうすれば世界が広がる。
うん。
いやだけどあんまり強制的に嫌いなものを勉強する必要はないと思う。
特に面白いものがあればねそれはもっと勉強したらいいし0.5でやめといてもいいし。
科学は社会の役に立つ事もあり問題を引き起こす事もある。
科学の進歩はこれからも必要なのだろうか。
科学者はねあの〜社会を発展させてやろうなんて思ってやってる訳じゃないと思うね。
面白いからやってるだけだ。
面白いからやってるだけ。
だから終わりはないと思うね。
科学というのは僕は可能性を示してるだけでねそれをどういう具合に使うかっていう事は人間側の問題なんだ。
だからよく使うのも人間次第だし悪く使うのも人間次第だっていう事ですよね。
一般市民はねこういう性質があるって事が知られてると。
それはひょっとしたら戦争になるかも分からんという知識は持つべきだね。
そういう段階で科学者を連れてきて「あんたには子供もいるだろ。
孫もいるだろ。
戦争好きですか?」って。
そうやって一般市民がそれを有効に使えるかっていうのは知識として僕たちも持っといた方がいいって事。
(益川)でしょうね。
分かりました。
ありがとうございます益川先生。
今日はね本当に貴重なお話をたくさん聞かせて頂きまして…。
(山根岡野田中)ありがとうございました。
う〜ん。
1年間やってきましたけどもどうでしたか?私はお二人には悪いですけど「科学の現場」が一番楽しかった。
あ〜そっか〜。
行ったからね。
行ってたもんね。
はい。
あれがあるから番組に幅が出てよかったよ。
本当ですか?本当に。
すごいよく頑張ってくれた。
プロデューサーみたいな立場でしゃべるね。
何か食べるとかさ見てみるとか実験やりながらさこう勉強していくとさ楽しいねやっぱり科学って。
もっとやっときゃよかったって思ったもん。
田中の実験コーナーも…。
よかったよ。
大活躍でしたね。
オンエアにはないね苦労はありましたよ。
銅線をズ〜ズ〜ってやっても全然水が出ないみたいなね。
いろいろ勉強してきてさ今後は勉強した事をどう使っていこうとかってあるの?やっぱり科学好きを増やしたいよね。
理系出身としては。
せっかく学んだのでちょっと科学のロマンを語れる大人になりたいです。
だからね益川先生今日来てもらってさ話しして「苦手なもんは捨てていい」っていうのを聞いたから一発ギャグとかさものまねとかさお笑いの要素でもだいぶはしょっていこうかなと思ったね。
こういうふうにスタジオとかでいろいろ人数が少ない中でおしゃべりするっていうところだけやってこうかなって。
めっちゃピンポイントじゃん。
もうちょい幅広げてくれよ。
それでノーベル賞取ってやろうと思ってるの。
2015/02/26(木) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 科学と人間生活「これからの科学と人間生活」[字]
私たちの暮らしと科学はどのようにかかわっているのだろうか?素朴な疑問から、人類と科学の長くて深い関わりを明らかにしていく。出演:アンガールズ・岡野真也
詳細情報
番組内容
シリーズ最終回は、スタジオにノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんを迎える。科学の世界に興味を持ったきっかけや、議論に明け暮れたという学生時代のエピソードを通して、科学の世界の面白さを語ってもらう。また、これからの科学のありかたと、それに人間がどう向き合っていけばよいのかを語ってもらう。最先端の科学の世界を極めた益川さんから、若者たちへのメッセージ。
出演者
【出演】岡野真也,【司会】アンガールズ
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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