(満堂潤三郎)面倒なお荷物が50億円で売れるんです。
(森山卓)今すぐこの病院を僕に継がせてくれ。
(堂上たまき)じゃあ卓ちゃんはいいドクターになったわねって私に思わせてちょうだい。
ベーチェット病でしたね。
(淵森拓郎)何回入院したか…。
淵森さん?あーっ!
(宮部佐知)相良先生!すぐ来てください。
森山先生の患者さんが…。
ああイテテテテ…。
(相良浩介)フリーエアも腹水もなし。
穿孔は…ないですね。
とりあえずはよかった。
(相原亜美)痛み止めが効いて今は落ち着かれてます淵森さん。
大騒ぎしやがってあいつ。
どうせ僕は…ああ…!いやいやいや回盲部の潰瘍はいつだって破れる可能性があるんですから森山先生に助けてもらって感謝してますよ淵森さん。
あーいいドクターでよかったって。
いいドクター?ねえ相原さん?え…あ…はい。
ほら。
だとしたら…ちょっとかわいいところあるかもな。
君らナースは淵森君の事をプチ森って呼んでるんだろ?えっ?プチ森?
(吉川みずき)わがままでわがままであれは絶対マザコン。
ですよね!ナースが話してるところを聞いちゃったんだよ。
あれは…。
うまいあだ名だ。
座布団一枚。
ハハハハハッ。
ハハハハハハッ!プチ森。
すみません!不謹慎でした。
まあ患者さんにあだ名付けちゃ駄目とは言わないけど…。
でもあれはかわいいとか言うんじゃなくて…。
じゃなくて?淵森さんの子供みたいにわがままなところが森山先生のちっちゃい版だって。
それでプチ森。
もう言いません!プチ森。
フッ…うまいな。
しばらく食事は控えて栄養は点滴でとって頂きますからね淵森さん。
宮部さんが僕の担当?よろしくお願いします。
はい。
(淵森波子)拓ちゃん今お話聞いてきた。
大した事なくてよかった。
ご気分はいかがですか?淵森さん。
さっきよりはマシ。
ん〜。
ベーチェット病という病気は今日のように小腸の炎症が急に悪化したりするんです。
知ってるよ。
ひどい時には穿孔と言って…。
腸に穴が開くんだろ。
知ってるって。
最初に病気の診断を受けたのは高校の時ですか?はい。
ずっと持病なんです。
それは大変でしたね。
うん。
これまではどんな治療を?腹痛がひどい時にお薬をもらってました。
うーん…でもあまり積極的に治療されてはいないようだ。
他の症状はどうでした?口内炎とか目の炎症とかこの病気はいろいろと…。
あったって!いろんなのが出たり治まったり。
もううんざりだよ。
確かにこれは難しい病気ではあります。
今まで通ってらした病院に転院されてはどうですか?そちらのドクターのほうがプチ森さんの性格もよくわかってらっしゃるでしょうし。
プチ森?あそこは嫌だって言うんです。
ここでいい。
ここがいいよ。
えっ?ドクターはどうでもいいけど!
(波子)拓ちゃん。
どうでもいい…?んん…んんん…んんんっ…!森山先生。
失礼します。
淵森さんのお兄様がいらっしゃいました。
(波子)秀一郎。
(淵森秀一郎)なんだ大丈夫そうじゃないか。
今は薬で治まってます。
(波子)パパは?来るわけないだろう。
俺だって役員会議抜け出して来たんだ。
社長は来ないよ。
どうせ僕は平社員なんだから。
お兄様もお聞きになりますか?弟さんの症状について。
来たんですから一応聞いときます。
病状説明室へ。
(亜美)はいこちらに。
面倒かけるなよ30にもなって。
(波子)拓ちゃんちょっと待っててね。
何かあったら呼んで。
何かあったらでいいから。
…はい。
ずっと入院してていい?ここがいいや俺。
それを僕に聞かれてもねえ。
君の担当は僕じゃなくて森山先生だから。
失礼します。
えっ…!?なんだよあいつも…!どうしてあんな事?何が?相良先生が患者さんにあんな言い方…。
だって森山先生の患者さんだからプチ森君は。
えっ?彼の事は全て森山先生に任せてください。
全て。
(たまき)もがいてる?
(桃井正一)はい。
森山先生が?院長の宿題が難しくて。
堂上の院長になりたければいいドクターになりなさい卓ちゃん!もっともがけばいいんだわ。
でもいいドクターを目指す目的が堂上を満潤会に売っ払うためだなんて情けない。
経営者でもない森山先生にそんな事はさせません。
甥っ子だからって調子に乗らないで!事務長。
はい。
さっきからやってるのは私のものまね?申し訳ございませんでした。
これ前の院長です。
似てねえ。
(瀬戸晃)森山先生お昼どうします?出前取りますか?僕電話…。
ノーサンキュー!美味しい蕎麦屋を見つけたんです。
森山先生も絶対気に入ります。
なんで俺にまとわりつくんだ?君は。
(皆川和枝)森山先生を慕ってるんですものね瀬戸先生は。
はい。
秋田のおばあちゃんにも伝えたんですって森山先生が注射や胃カメラや大腸カメラの練習台になってくれた事。
もう嬉しくって嬉しくって。
あっまたお願いします。
嫌だ!そんなに何度も練習台になってくれるいいドクターなんていないわよ瀬戸先生。
ですよね…。
皆川先生いいドクターいいドクターってみんなよく言いますけどその定義っていうのは一体…。
(佐々井圭)あー森山先生!ちょうどよかった。
(段原保)S状結腸がんのオペについてなんですけども。
(高泉賢也)僕が質問したら先生方がもめ始めちゃって。
(千住義郎)いろいろやり方があるじゃないですか。
(瀬戸)先生方お昼どうします?贅沢禁止の院長命令が出てますからこの中からお選びください。
かけ蕎麦。
(佐々井)俺も。
(千住)もり蕎麦。
(高泉)僕も。
(瀬戸)わかりました。
君たちはいつから健康的なものを食いながら真面目な話をするつまらない人間になったんだ!つまらないって…。
それは違うでしょ。
森山先生は次期院長なんですからみんなの模範にならなきゃ。
いいドクターにはなれませんよ。
(和枝)そう。
(瀬戸)相良先生は…あっサンドイッチ。
きき君ら…。
何か知ってるのか?え?さっきからいいドクターいいドクターって…。
は?なんの事ですか?なんでもない!
(高泉)先生質問…。
(二宮敬次郎)満潤会の二宮です。
その後どうなりましたか?森山先生。
簡単にはいきませんよ。
この病院が僕のものだったらすぐにでもお宅に売ってあげるんですけどね。
今はとにかく…。
「院長を納得させなきゃいけないんだよ」「僕だって頑張ってるんですよ!」研修医に大腸カメラ入れさせてやったり患者のわがままに我慢したりさ!あなた一体何を考えて…。
(通話の切れる音)
(不通音)切られました。
満潤会…。
「バッド・キアリ症候群」…。
(和枝)総合診療科を受診された55歳の女性です。
足のむくみや貧血を訴えて別の病院に行ったところバッド・キアリ症候群とわかったそうです。
肝臓の血管が詰まっていろんな症状が出てくる非常にまれな病気なんです。
(田村戸紀子)どうしてうちに?どこの病院でも手術を勧められてでもそれが嫌だから手術以外の治療法はないかって。
手術は嫌…。
消化器外科の相良と言います。
(久保凜子)どうして外科の先生が?
(和枝)私の判断で来て頂きました。
看護師長の田村も。
(戸紀子)よろしくお願いします。
(久保浩子)手術はしたくないって言ったはずですけど。
久保さんの治療法を検討するには手術しないにしても外科のドクターの意見が必要だと思ったんです。
(久保功)いいよ。
結局どこでもそうなるんだから。
久保さんのカルテとこれまでの治療記録を拝見しました。
これまでいくつかの病院にかかられて放射線科で血管内治療も受けてらっしゃるんですね。
治療の効果は?いいえ。
ありません。
(和枝)バッド・キアリ症候群は肝臓から出る血液の流れをよくする事によって治療出来る病気です。
でも手術しないで治すというのは正直申し上げて難しいと思います。
(凜子)それは何度も聞きました。
このままだと母は肝硬変になるとか食道静脈瘤の吐血で死ぬ事もあるとか散々脅かされてきました。
でも手術は受けたくないんです。
どうしてですか?私の心臓は手術には耐えられません。
えっ?耐えられない?
(和枝)あ…。
心臓に持病がおありなんですね。
(戸紀子)「心房中隔欠損」…。
10代の時治療したんですけど心機能は完全には回復しませんでした。
(久保)ちょっと動いただけでもつらいっていう生活ですよ。
私を産んだ時も母は生死の境をさまよって…。
心臓に爆弾を抱えてるんです母は。
今までのドクターもこれはわかったうえで手術を?
(凜子)でもリスクがあるって絶対に言うじゃないですか。
手術中に心臓が止まっても文句は言えないって。
死んでもらっては困るんですよこいつには…。
(浩子)ごめんなさい。
お母さんは謝る事ないんだって。
確かに手術には…特に久保さんの場合には大きなリスクがあります。
わかりました。
手術以外の治療法を検討してみましょう。
(凜子)きっと無理よ。
(久保)話はちゃんと聞いてくれたじゃないか。
でも評判いいわけじゃないのよここは。
(和枝)うーん手術以外の治療法…。
(戸紀子)患者さんもご家族も頑なになられてますね。
そうさせたのはドクターですよ。
患者さんは悪くないんです。
ええ。
そうですね。
考えてくださいね皆川先生。
僕も考えますから。
はい。
はあー…どうしたらいいんだよ俺は。
今さらいいドクターになれなんてアバウトな宿題出されたって…。
(ナナ)困っちゃうわよね。
俺の今の患者に超面倒くさい奴がいてさ。
ドクターに対する尊敬の念がまるでないんだよ。
悪い患者にいいドクター。
割に合わないだろそんなの!見て今朝のクロタン。
あ〜!
(ナナの声)「クロタ〜ン」君はかわいいな〜。
(秀一郎)それは明日の会議で決めよう。
はい。
うん。
じゃあよろしく。
はい。
(ホステス)お帰りなさいませ。
ありがとう。
社長先ほどの件オッケーです。
(淵森尊之)こいつもいろいろと考えてるようですよ。
(小田雅史)そうですか。
まあ息子さんの代になってもよろしくお付き合いください。
ありがとう。
いやしかしうちとしては当然安くていい生地を使いたいわけですよ。
(小田)ええそれは…。
淵森拓郎さんのお兄さんですよね?は?という事は…こちらがお父さん?誰?堂上総合病院の森山と申します。
息子さんの主治医です。
あー!拓郎を診てくれてる先生だよ。
あっこれはこれはどうも。
これはこれはどうもじゃないでしょお父さん。
息子さんが入院してるんだからお見舞いぐらいいらっしゃったらどうです?あ…ええまあ…。
でも仕事が忙しくてね。
息子の体より仕事が大切。
(秀一郎)は?あいつが入院するのは珍しい事ではないんですよ。
いちいち心配するのもね…。
プライベートな事ですよ。
ちょっと失礼じゃありませんか?先生。
失礼なのはお宅のボンボンだよ!いい歳して子供じみたわがままばかり。
今の症状が治まればとっとと退院してもらいますからね。
僕は息子さんのお守りじゃないんだよ!
(秀一郎)なんだ!?あいつ…。
(小田)どこの医者ですか?あんな態度病院潰れますよ。
ご心配なく。
もうじきなくなりますからうちは。
(ナースコール)どうされました?淵森さん。
チェンジ。
チェンジ?僕は宮部さんに来てほしいんだよ〜!ああ…。
今日の夜勤は…というかここは夜のお店ではありません。
眠れない。
睡眠薬ちょうだい。
(ため息)お待ちください。
ううっ…!プチ森ーっ!あっうう…あっイテェ…。
(佐伯義郎)結構です。
ではこれで契約書を作らせて頂きます。
金は大丈夫か?今月中に振り込ませて頂きます。
(佐伯)…はい。
(満堂)今は簡単に病院が潰れる時代ですよ院長。
お宅の病院は満潤会が再建します。
さあ…あとは堂上や。
はい。
満堂さん。
満堂潤三郎さんですよね?医療法人満潤会会長の。
相良と言います。
堂上総合病院消化器外科の。
(満堂)堂上さんの。
ええ堂上の。
お忙しいようなので手短に。
あっちなみに僕は満潤会の事を否定しているわけではないので。
会長がおっしゃったように今は病院が簡単に潰れてしまう時代です。
大手病院グループがそういったところを買収するのは病院の設備を無駄にしないという意味ではいい事なのかも。
あっすいませんちょっと聞こえちゃって。
でもね満堂会長僕の考えは満堂さんとは違うんです。
堂上が満潤会の傘下に入るなんてもったいない。
そう思ってます。
もったいない?僕は堂上の消化器外科を日本一の消化器外科にします。
そうなれば他の科もそれに引っ張られて成長するでしょう。
一民間病院が他のどこにもない病院になれるかもしれない。
ただ森山先生はまだ堂上の将来性に気づいてないんです。
でも大丈夫。
僕がわからせます。
って事は…今満堂会長がいろいろ動いてらっしゃる事が全部無駄になっちゃうんですよね。
ですから今のうちに言っておいたほうがいいのかなと思って。
それだけです。
失礼しました。
もう一度…。
お名前を。
相良浩介です堂上の。
朝早くからすみません教授。
この患者さんなんですが55歳の女性です。
(神宮寺忠彦)心房中隔欠損の手術歴ありか。
40年前に手術を受けたそうです。
ただ心機能は完全には回復しなかったと。
うん。
恐らくその頃よりも悪くなってるだろうな。
この女性がバッド・キアリ症候群に?でも心臓の心配もあって手術は嫌だとおっしゃっていて。
そりゃそうだろう。
それで今患者さんがちゃんと納得出来る治療法はないかと探していまして。
そこで…。
教えて頂けませんか?神宮寺教授。
フッ何年ぶりかで顔を見せたと思ったら…。
心臓の事は神宮寺教授のレクチャーを受けるのが一番ですから。
もしかしてうちに戻りたいんじゃないだろうね?いえいえそれは…。
君が堂上を去るという噂を聞いたぞ。
君自身がスタッフの前でそういう事を言ったと。
そんな事まで教授の耳に…。
堂上が満潤会に買収されるという噂も聞いた。
だから相良先生は辞めるんだろうって。
まあ火のないところに煙は立たず。
どうなるかわかりませんが…全ては患者さんのためです。
全ては…?君もいろいろ忙しそうだな。
そうなんです。
フフッ…。
じゃあ教授お願いします。
うん。
この女性が手術を怖がっている事を軽く考えてはいけない。
心臓に不安がある患者が抱えている恐怖を医者は理解すべきだ。
はい。
ううーっ!口の中が痛い。
口内炎が悪化した。
口内炎ならベーチェット病の症状ですね。
内科のドクターと相談します。
(拓郎)口内炎だけ治したってしょうがないだろう!いいよもう…。
アイテッイテテテ…。
口の中が痛いのによく喋るな。
喋らないと死んじゃうのかな?君は。
患者になんて事を言うんだよ!ネットに書くぞ!病気の前にまずそのねじ曲がった性格を直しなさい。
はあ?やり手の親父と優秀な兄貴にコンプレックスがあるのか?その鬱憤を周りにぶつけてるんだろ?君と同じ病気の人はたくさんいるんだ。
でも君みたいな甘ったれはいない!ネットに書くぞ!あー書け書け!この病院の評判が落ちても結構。
むしろそのほうがありがたい!意味わかんねえ!親父から見放され兄貴から見下されて悔しいとは思わないのか!頑張ろうとは思わないのかよ!頑張りたくても頑張れないんだよ!僕は病気なんだからしょうがないだろ!ほらまた病気のせいにする!じゃあお前がこの病気になってみろよ!
(泣き声)泣きたいのは俺のほうだよ!うわあー…!
(拓郎の泣き声)えっ…?またケンカ?森山先生とプチ森君が?怖くて逃げてきちゃいました。
もうドクターと患者さんの関係が崩壊してます。
(みずき)もうプチ森君の事は他の先生に相談しよう。
でも宮部先輩が…。
全て森山先生に任せろって相良先生に言われたの淵森さんの事は。
なんで?きっとあの先生には考えが…。
出た。
相良先生に操られているサッちゃん。
惚れた弱みですね。
違う!
(みずき)森山先生に任せたらプチ森君とぶつかるだけじゃない。
私たちはどうすればいいんですか?ナースは…患者さんの味方よ。
え?どんなにわがままでもつらいのは患者さんのほうでしょ。
何があっても私たちは淵森さんの味方!変わるべきは森山先生!森山先生よ。
ほう…。
(満堂)いいドクター?院長が出した条件なんですよ。
いいドクターになれば僕に堂上を譲るって。
それは誰かの入れ知恵なのでは?入れ知恵?いいドクターになってどうするんですか!森山先生。
え…。
今の堂上にいいドクターなんて必要ないでしょう。
堂上が駄目になったから買い取るんですよ私は。
50億で。
目を覚ましてください森山先生。
ハハハハ…そうだった。
ハハハハ…。
(2人の笑い声)ハッハッハッ…そうだったそうだった。
(浦啓一郎)確かに患者さんはやや戻ってきつつあるようですね。
はい!我々は頑張っております!しかし今年度の赤字はもう決定的ですよ。
東京よつば銀行としては対応を考えざるを得ません。
いや堂上はこれからです。
これからV字回復!私の知る限り経営者が変わらないまま病院が立ち直った例はないんですよ事務長。
満潤会から買収を持ちかけられているそうですね院長。
(浦)向こうにその気があるうちに身売りされたほうがいいと思いますが。
えっ!?私どもの考えも希望として伝えましたよ満堂会長。
いやいや堂上さんにとってもいい話なんですからこれは。
銀行さんまで身売りしろだなんて…。
出来ませんよねぇそんな事。
(ノック)はい。
フフフフ…。
どうしたの?やれやれ…。
危うく俺は自分を見失うところだった。
は?俺はいいドクターになんかならない。
え?ええ?伯母さんの口車には乗らないって事さ。
焦らなくてもいずれは俺のものになるんだこの病院は。
なぜなら後継ぎは俺以外いないから。
フフフフ…。
卓ちゃん…。
無理しちゃ駄目だよ伯母さんもういい歳なんだからさ。
事務長も疲れてるなら引退していいからさ。
安心して老後を暮らせる金俺が用意してやるよ。
ハハハハ!ハーッハッハッハ…!森山先生!へーッヘッヘッヘ…。
ハハハハ…。
はあ…。
(桃井)あっ院長!結論から言います。
久保さんの病気を治療するにはやっぱり手術が必要だと思います。
申し訳ありません。
(凜子)帰ろうお母さん。
別の病院探すのよお父さん。
待ってください。
考え方をちょっとだけ変えてみませんか?今のままだといつまでもずっと病院を探し続ける事になりますよ。
治療は出来るだけ早いほうが…。
(凜子)手術の最中に母の心臓は止まってしまうかもしれないんですよ!?出来るわけないじゃない!出来ます。
体外循環を併用して直達手術という方法で行えば久保さんの心臓を守りながら安全に手術する事が出来ます。
直達?
(和枝)こういう字を書きます。
(和枝)直達手術というのは直接患部に手を加える手術です。
今回の場合は症状を起こす原因になっている悪くなった血管に直接手を加えて修復するんです。
もう少し詳しく説明するとこちらのこの遠心ポンプという機械を使って血液を体の外に循環させながら下大静脈と肝静脈に詰まった血栓を全て摘出してこの細くなった血管には心臓の膜を使ったパッチを当てて血流を再開させるんです。
久保さんのバッド・キアリ症候群はこの方法で完全に治す事が出来ると思います。
(凜子)完全に…?
(戸紀子)千住先生を呼びますか?
(和枝)お願いします。
もちろんこれは難易度の高いオペですから準備も含めて慎重に進めなければなりません。
(戸紀子)先生。
まずは久保さんの心臓をしっかりと管理出来る専門のドクターが必要です。
麻酔科医の千住です。
千住先生は東京医療大学病院で心臓手術の麻酔を何度も経験されました。
(千住)久保浩子さんは過去に心房中隔欠損の手術を受けられたんですよね。
心機能が低下している事を考えてオペ中は心臓の動きを常に慎重にモニターしていきます。
患者さんの体を守る事に徹底するのが僕の役目です。
(凜子)本当にそんな手術が出来るんですか?私たちは内科的治療も含めて全ての可能性を検討しました。
相良先生は母校の心臓血管外科の先生にまで…。
あらゆる手を考えた結果久保さんに病気を治すにはこの方法しかないという結論に達したんです。
(戸紀子)もちろん術後のケアも私たちナースが万全を尽くしますよ。
浩子。
でも…怖いです。
大丈夫です。
我々を信じてください。
久保さんを絶対に助けます。
ここまで…ここまで言ってくれたところはなかった。
(凜子)そうね…。
この先生方を信じよう浩子。
手術受けようお母さん。
大丈夫。
絶対大丈夫!はい。
手術受けます。
相良先生よろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
フ〜…よし。
(携帯電話の振動音)
(青柳順平)相良の顔を見るのは1年…いや2年ぶりか。
そうですね。
前にお会いしたのは先生が学会で東京にいらした時ですから。
ゆうべ神宮寺教授にあいさつに行ったよ。
お前の話題が出た。
え?バッド・キアリのオペに挑むんだってな。
ええそうなんですよ。
俺もな大変なオペに関わるかもしれない。
大変なオペ?生体ドミノ肝移植だ。
えっ?北海道に対象の患者がいる。
父親の健康な肝臓を12歳の娘に移植して取り出した娘の肝臓はもう1人の別の患者娘の叔母に移植する。
ドミノ移植…。
しかしスタッフが足りない。
俺はお前を推薦したいと思う。
えっ?実は俺はそのために来たんだ。
生体ドミノ肝移植?ドミノ肝移植…。
東京医療大学の神宮寺教授も賛成してくれたそうです。
相良なら出来るって。
院長が許可してくだされば正式に参加を希望したいんですけれども。
いや許可するも何も…。
相良先生に来たお話ですから。
駄目だよ!一勤務医がそんなスタンドプレーみたいな事。
やりたければ堂上の仕事をしっかりと…。
やってますよ。
自分の患者さんはちゃんと診てます。
僕が参加すると言えばあちらの関係者が僕の腕を見に来るそうです。
月曜日にやるバッド・キアリのオペは参考にするのにぴったりだって。
えっ…。
そこでオペの見学も許可してほしいんですよ院長。
皆さんわざわざ北海道から見にいらっしゃるんですから。
んん…!どうぞ相良先生の腕を披露してください。
(桃井)相良先生なら大丈夫です。
駄目だよ伯母さん。
こいつは自分がいい思いをするつもりだけなんだぜ。
堂上がなくなる前に自分を売り込んで大きな船に乗り移ろうってんだろうが!堂上がなくなる?そんな話があるんですか?ええ。
あるんです。
だったらなおさらやりたいなぁ。
生体ドミノ肝移植ですからね。
外科医としての未来が開ける挑戦だ!んんんん…。
ありがとうございます院長。
頑張ります。
月曜日はちょっと騒がしくなるかもしれませんけどもよろしくお願いしますね事務長。
んんんん…!んんん…じゃないでしょ!ん!?森山先生が興味があるのはオペじゃなくてお金でしょ!ああもう何もかも嫌になった。
私もです。
堂上はもうほとんど満潤会に取り込まれようとしています。
(渋谷翔子)森山先生は完全に向こう側の人間になっちゃったんですか!?「そこですよ」果たして森山先生の中にドクターとしての信念がまだ残ってるかどうか。
相良先生何か私に出来る事は?「もちろんありますよ」最大のミッションが。
皆さんいらっしゃいました!いよいよ始まるのか…相良先生のオペ!バッド・キアリをやっつけたら生体ドミノ肝移植。
ちくしょう!ドリーム感あるな〜!う〜ん見たい!どっちも見たい。
うるさい!ご気分はいかがですか?久保さん。
緊張しています。
手術が始まれば久保さんは眠ってるだけです。
目を覚まされた時にはもう終わっていますよ。
目を覚ますんでしょうか?私は。
心配なさらないでください久保さん。
大丈夫。
相良先生を信じようお母さん。
(久保)そうだ。
(青柳)あれが相良先生です。
これよりバッド・キアリ症候群に対する体外循環を併用した直達手術を始めます。
患者さんは久保浩子さん55歳の女性です。
久保さんは心臓に持病を持っていらっしゃいますから手術中に突然心機能の悪化により致命的となる危険があります。
千住先生循環動態の管理には十分気をつけてくださいね。
はい経食道心エコーで心臓もモニタリングしていきます。
もし予期せぬアクシデントが起きたとしても落ち着いて対応していきましょう。
わかりました。
了解。
頼むぞ相良。
相良先生…。
ではビデオ回してください。
久保さん頑張って。
始めます。
メス。
(看護師)はい。
(電子音)鳴りました!見せてください。
失礼します。
36度4分。
熱はありませんね。
体が火照ってる感じなんだけど…。
火照ってるって?お腹がムズムズするっていうか…。
お腹ですか?キュウってしてきた。
キュウ?ん?…いっ痛っ!ちょ…淵森さん!淵森さん!淵森さん!大丈夫ですか?淵森さん!
(ナースコール)はい。
「森山先生淵森さんが…」淵森?開胸器ください。
(看護師)はい。
(佐々井)思ったよりも肺が癒着していますね。
これは大丈夫でしょう。
千住先生バイタルは?
(千住)今のところ安定しています。
(段原)順調ですね。
では横隔膜を切開していきます。
電気メス。
(見学者)滑らかな動きだ。
(見学者)無駄がありませんね。
彼の頭の中では完全にシミュレーションが出来ていますね。
ええ。
よし。
超音波メス。
(看護師)はい。
お母さん…。
それでは淵森拓郎さんの回盲部切除術を始めます。
はい。
患者はベーチェット病を患っておりその影響で炎症を起こした腸管は全て切除します。
はい。
落ち着け!難しいオペじゃないんだよこんなの。
はい!メス。
(看護師)はい。
森山先生が!?
(桃井)今緊急オペに。
ええ!?大丈夫なの?今の森山先生がちゃんと出来るの?そんな事。
怖い事言わないでください院長!見えないよ!瀬戸先生。
すいません。
相良は今頃注目浴びて気持ちよくやってんだろうな。
電気メス。
(看護師)はい。
それに比べて俺は…。
(瀬戸)先生!それちょっと乱暴じゃ…。
ちくしょう…見えない!すいません…。
バイタルは大丈夫ですか?
(千住)血圧はオーケー。
中心静脈圧も今のところ問題ありません。
患者さんの心臓に負担がかかっていると判断されたらすぐに言ってくださいね。
(千住)はい。
肝臓を授動しましょう。
(佐々井)はい。
(青柳)もうすぐ下大静脈に達しますね。
心臓は…。
大丈夫。
えっ?
(千住)なんですか?
(佐々井)これ腫瘍ですよ相良先生。
確かに肝臓の右葉に右肝静脈を塞ぐような形で腫瘍があります。
えっ…?肝臓がん?がん!?
(佐々井)こんなに横隔膜に近くて血栓の影響もあれば…。
(段原)術前に診断するのは無理ですね。
(佐々井)どうしますか?相良先生。
このまま進めるんですか?
(戸紀子)相良先生…。
どうしたらいいと思いますか?佐々井先生。
えっ?段原先生はどう思われますか?俺!?えっ…?
(見学者)自分で決められないのか?このまま続けたほうがいいと思いますか?切除は患者の負担が大きい。
ラジオ波で腫瘍を焼いてしまったほうがいい。
いやラジオ波の影響で右肝静脈が炎症を起こすかも。
ここは無理せず術後に改めて治療を考えてもいいでしょう。
(心拍音)相良先生!どうしたの?判断出来ないのか?相良!腫瘍の切除を追加しましょう。
(佐々井)えっ?
(千住)追加?確かにこのままラジオ波で焼いてしまったり術後に動脈塞栓術の治療などを追加するという方法もあります。
しかし久保さんはバッド・キアリ症候群です。
この腫瘍を摘出しなければ右肝静脈の血流を妨げてしまいます。
術後に不安を残さないためにも腫瘍摘出を追加しましょう。
これが久保さんにとってベストな方法だと思います。
理解して頂けましたか?はい。
了解。
そうですね。
では再開しましょう。
段原先生遠心ポンプを。
はい!千住先生少し出血が増えるかもしれません。
管理よろしくお願いします。
(千住)はい。
時間のロスは気にせずに落ち着いていきましょう。
わかりました。
では肝部分切除に入ります。
(段原)はい!超音波メス。
(看護師)はい。
そういう事か。
(見学者)素晴らしい。
(凜子)お母さん!
(久保)浩子。
無事に終わりました。
手術は成功です。
ありがとうございます!ありがとうございます相良先生。
よかったねお母さん。
頑張ったな浩子。
じゃあケアをお願いします。
はい。
ご家族もどうぞ。
よし。
相良先生。
(戸紀子)お疲れさまでした。
お疲れさまでした。
素晴らしかったぞ相良。
ありがとうございます。
くっそ…終わらない!この炎症部分を切除すれば患者さんは元気になるんですか?そんなにおめでたくないよこいつの病気は。
3‐0針糸。
はい。
じゃあこれからも病気と付き合っていかなきゃいけないんだ。
僕も子供の頃ずっと入院してたんです。
病気が治らないってつらいですよね。
宇宙の果てに独りぼっちでいるような気になっちゃうんです。
このパジャマ嫌いだって言っただろ?主治医ならちょくちょく顔見せなよ。
どう育てばそんなふうに…。
面倒かけるなよ30にもなって。
あいつが入院するのは珍しい事ではないんですよ。
どうせ戦力にならないし。
(拓郎)頑張りたくても頑張れないんだよ!じゃあお前がこの病気になってみろよ!森山先生。
見えない!すいません!あっ…お疲れさまです。
家族は来てないのか?お母様は間に合わないそうです。
親父と兄貴は?連絡したんですが…。
あの術後管理室に運んでも…?期待されてないっていうのはかわいそうだよな。
えっ?まるで…俺じゃないか。
淵森さんがかわいそう?まるで俺だって。
これが50億…。
一生遊んで暮らせるよな。
まだまだ残ってますよ。
大逆転のチャンスは。
最大のミッションです。
俺はもうお前が作った舞台で踊らされるのは真っ平なんだよ!
(拓郎)トラブル!?
(みずき)森山先生のオペで?
(和枝)この病院に未来はない。
(満堂)堂上一族から取り上げるしかないんです。
ありがとう。
2015/02/26(木) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
DOCTORS 3 最強の名医 #8[字]
いよいよクライマックス!
相良(沢村一樹)の策略により“いいドクター”になるため悪戦苦闘する森山(高嶋政伸)は、わがまま放題の患者・淵森(金井勇太)に振り回される。
詳細情報
◇番組内容
しかし、満潤会の会長・満堂潤三郎(大和田伸也)からのある言葉が、森山の心を180度転換させることになり…。一方、相良は、肝臓と心臓に疾患を持った患者・浩子(阿知波悟美)の手術方法を熟考するが…?
◇出演者
沢村一樹、高嶋政伸、比嘉愛未、黒川智花、宮地雅子、正名僕蔵、滝沢沙織、敦士、斉藤陽一郎、尾崎右宗、阿南敦子、浅利陽介、小野武彦、伊藤蘭、野際陽子 ほか
◇脚本
福田靖
◇演出
常廣丈太(テレビ朝日)
◇主題歌
コブクロ『奇跡』(ワーナーミュージック・ジャパン)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】黒田徹也(テレビ朝日)、三輪祐見子(テレビ朝日)
【プロデューサー】松野千鶴子(アズバーズ)、神馬由季(アズバーズ)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/doctors/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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