昨日までの地平線が明日には水平線に変わる。
ここは世界最大の湿原。
水が育む生命の楽園には日本でも人気のあの動物も。
そして世にも珍しい暮らしを送る人々が。
人呼んで…じゃじゃ馬を操り頑固な牛を追い立てる仕事人たちです。
今宵は地球の裏側にあるはるかなる水の大地へご招待しましょう。
舞台は南米ブラジル。
水の大地の玄関口はその名も大草原空港。
はるばるやって来たのは俳優の前川泰之さん。
趣味は釣り。
大の川好きなんだとか。
来ましたね〜。
僕ね結構あれなんですよ川とか好きで旅行するのも結構水辺が好きなので湿原が世界一大きいという事なのでまあその…何だろうな大きさを目の当たりにして…。
あとはそこで暮らす人たちとの触れ合いも楽しみですけどね。
目指すのは「巨大な沼」を意味するパンタナール。
面積はおよそ20万平方キロメートル。
なんと本州がすっぽり入ってしまうくらいの広さという世界最大の湿原です。
そんな場所に暮らす水上のカウボーイたちに会うのが今回の目的。
広大な沼地の中で牛を飼う世界でも珍しい人たちなんです。
もう道路の端っこちょっと川みたいになってますもんね。
12月雨季の始まりに湿原の入り口へと向かいました。
この川こそが湿原の源です。
間もなく雨季本番になるとこの地に日本の1年分の雨が降ります。
川は氾濫し辺りは一面水の世界へと変わるのです。
おはようございます。
カウボーイたちが暮らす場所はこの先。
まずはパンタナールを堪能しましょう。
いや〜釣りしたら気持ちいいだろうな。
湿原には無数の川が網目のように流れ豊かな生態系を育んでいます。
あ〜飛んでった。
早速見つけました。
このオニオオハシはブラジルの国の鳥です。
あ〜立派なくちばし。
あれはねまあ同じじゃないかもしれないですけど動物園とかの鳥の館で見たりするやつ。
あんなきれいなのにやる事えげつないですね。
うん?生息する鳥は650種。
お〜きれい!魚捕ってくれないかな?行け!おっやった?失敗?ここは美しく希少な水鳥たちの楽園です。
それもそのはず。
川の中には260種もの魚がいて餌には困らないんです。
あっ今のカピバラじゃない?どこですか?もう中入っちゃったけど。
見つけた〜!あっほらほら!俺が声出しちゃったからあれだけど。
お〜野生のカピバラですよ。
(鳴き声)おっ鳴いた!この川のほとりによく顔を出すカピバラは実は泳ぐのがとっても得意。
天敵から身を守るため5分間も潜れるんだそうです。
かわいい〜!いや〜面白いな。
日本でも大人気のカピバラが見放題。
豊かな水がもたらすおいしい草を求めて集まってくるのです。
よ〜く見るとすぐそばにワニの群れが。
300万匹も生息するパンタナールの主です。
でも一向に襲う気配がありませんね。
魚をたらふく食べられるこの場所ではワニがカピバラを襲う事はめったにないんだそうです。
わ〜肥えてるな〜。
おなかぱんぱんじゃないですか。
湿原の川の恵みは人間にも。
植物から塩採れるんですね。
あれか。
内陸地だから塩がない訳ですもんね。
花から塩が採れる秘密は川の水にあります。
パンタナールは太古の昔海の底にあったため塩分が溶け出しているのです。
更に奥地へ進むと…。
見えてきたのは高床式の建物。
いや信じられないね。
まさか人が住んでるとは思わないよね。
これがお目当ての水上のカウボーイたちの家です。
それにしてもこんな水辺に住んでいるんですね。
実はこの川の周りは全てが農場。
大湿原の90%以上で放牧が行われているんです。
ほら水浸しの大地で牛が飼われているでしょう?彼らこそが世界でも珍しい水上のカウボーイ。
その歴史は250年にも及びます。
湿原の中に点在する牧草地を求め牛を移動させながら暮らすつわものたち。
その仕事ぶりに敬意を込めヴァッケイロと呼ばれています。
車で奥地に進む事4時間。
すげえ〜。
ようやく出会えました。
ヴァッケイロです。
ちょうど水につからない場所に牛を追い込み集めているところでした。
ここは11人のヴァッケイロが働く農場です。
(鞭を鳴らす音)彼らが扱うのは真っ白な牛。
日ざしを遮るものがない湿原でも生きられる…ヴァッケイロたちは雨季を前に準備に慌ただしくしていました。
おお捕まえた。
(鳴き声)草原が水につかり湿気が多くなると牛の健康管理が大変になってしまいます。
生まれて間もない子牛はへその緒が乾かず虫がわきやすいため早くに治療しなければ死んでしまうのです。
結構やっぱ生まれてすぐああやって虫にやられちゃう事が多いんですかね?草原で逃げ回る牛を捕まえ管理するのは簡単な事ではありません。
そのために欠かせないのが長さ10メートルの投げ縄です。
おっいった!
(鳴き声)はあ〜。
(牛の鳴き声)そのロープちょっと触らせてもらってもいいですか?この…お〜!オブリガード。
これ昔の…僕映画とかでしか見た事ない。
結構全部だと何キロかあると思う。
ずっしりするもん。
…で?こう回すって事?ハハハハハハ!全然無理だよ。
あっこういう…。
こう…あっ分かった!こうか。
こう?
(笑い声)笑われてるけど…。
ねえ。
これ何で出来てるんですかね?手作りなんですね。
彼らが管理する農場の広さは東京ドーム6,400個分。
そこに1万頭もの牛が放牧されています。
このどこかに散らばる牛の全てをたった11人で管理しているんです。
広大な土地でも牛を管理できる秘訣はヴァッケイロたちの連係プレーにあります。
林の向こうにいる子牛200頭を集める仕事を見せてもらいました。
まず数人の男たちが林の奥に向かい子牛を追い出しにかかります。
一方2人の男だけが別の場所へと向かいました。
彼らは大人の牛シヌエッロを連れてくるのが役割。
子牛たちの目印となる牛です。
シヌエッロを集めたいポイントへと誘導すると2人は子牛が怖がらないようにその場を離れます。
すると子牛たちがシヌエッロを目がけて集まってきました。
しかしここでハプニング。
子牛たちが途中で向きを変えてしまったのです。
すかさずヴァッケイロたちが子牛を取り囲み…。
更にシヌエッロを近づけて集団にします。
シヌエッロと一緒になれば子牛たちは離れません。
こうしておよそ1時間の連係プレーで子牛200頭を集める事ができました。
ここは湿原といっても熱帯にあるためとっても暑いんです。
最高気温は40度を超えます。
だからこそ一日2回の休憩がほっとするひとときです。
お楽しみはこれ。
これ何だろう?うわ〜何か入ってる。
マテ茶だ!知ってる名前は。
テレレと呼ばれるマテ茶。
朝6時からぶっ通しで働いたあとはさぞおいしいでしょうね。
僕先もらっていいの?ほかの人から…。
オブリガード。
超喉渇いてた。
頂きま〜す。
うまい!すげえ冷えてておいしい。
俺仕事してないのに申し訳ないから…。
パンタナールで飲まれるマテ茶はビタミンや食物繊維が豊富なんだとか。
粉末のまま飲む事でその栄養を余す事なくとれます。
暑さで野菜が育たないこの地にはありがたい飲み物です。
これ順番はどういう順番で今回るんですか?ああ!時計回りって日本ではいうけどロープを回す回しっていう事なんだ。
1つの容器で回し飲みするのがテレレの決まり。
このお茶会にはもう一つ大事な役割もあります。
仕事のあとのテレレの休憩中に皆さんどういう話するんですか?仲良くするためにみんなでお酒飲んだりとかそういうのもあるんですか?黙々と仕事に打ち込む男たち。
湿原の恵みを分かち合うテレレの時間が連携を生んでいました。
もう一個だけ。
楽しくみんなでチームワークうまくやっていくコツみたいのがあったら教えてほしいんですけど。
すごい…だからやっぱ和を大事にしてる人たちなんですね。
(牛の鳴き声)意外っていったらちょっと…ね。
もっとこうみんなが…何て言うの?強くて。
まあもちろん和は大切だしこう年功序列とかもあるかと思ったらそういう感じじゃないみたいですね。
来た来たみんな。
牛を集め終えた午後ヴァッケイロたちが連れてきたのは馬です。
これから何するんですか?この馬は蹄が強く水辺での移動にも適した…気性の荒い馬を手なずけなければ湿原では生きていけません。
おお…危ないんじゃない?ヴァッケイロを引きずって暴れていたのはまだ一度も人を乗せた事のない若い雌の馬。
(歌声)その調教を買って出たのは…この世界に入って18年。
じゃじゃ馬ならしでは右に出る者はいないという。
(歌声)調教は馬と人との真剣勝負。
振り落とされれば人間の負け。
二度と乗せてくれなくなります。
おお来た!なんとかシジネイが押さえ込み勝負あり。
よくあんな楽しそうに乗れるなと思いますけどね。
すごい楽しそうに乗ってたからびっくりしたんだよね。
(笑い声)怖いでしょ?だってあんなの乗ってたら…。
ヴァッケイロたちはこの大湿原に2,000以上ある農場を渡り歩いています。
シジネイも12歳で家を出てからこれまで20もの農場で仕事をしてきました。
うわ〜!家が貧しく小学校を出ていなくともヴァッケイロの世界では体一つで勝負ができる。
パンタナールでは乗馬の技術こそが身を立てる術なのです。
ヴァッケイロに欠かせないもう一つの技術が仕事の道具作りです。
食料としてさばいた牛の皮を使い投げ縄や鞭を作ります。
ナイフ一本で何でも作る。
これも湿原を渡り歩く彼らの生きる術です。
お〜何か音楽かかって盛り上がってる。
この日農場中の人たち40人が集まっていました。
厳しい雨季を前に開かれるパーティーです。
盛り上がってますよ。
わっすごいよ!棒に刺さってる肉あんまり見ないもんな。
ブラジル伝統の串焼き料理シュラスコでお祝いです。
これちゃんと棒を立てるように穴が開いてるんですよ。
朝さばいた新鮮な子牛の肉。
ごちそうです。
みんなああやって自分で切って皿に盛るんだね。
やった〜!マイス?「もっと?」って事でしょ多分。
特別に仕入れたタマネギとピーマンたっぷりの酸味の利いたソースで頂きます。
頂きます。
うまい。
すっごい軟らかい!うまい。
うまい。
うまい。
ちょっとここ座ってもいいですか?パーティーでこの道40年という最年長のヴァッケイロに出会いました。
おとうさんいつからここで働いてるんですか?あっまだ5年なんですか。
その前はどちらに?へえ〜…。
あの家族はいますか?あっここ?みんな集まってくれたんだ。
(笑い声)今は独り身だというジーコは男手一つで6人の子どもたちを養っています。
どうです?彼は上手?息子のジョジエルは15歳。
ふだんは農場から100キロ近く離れた学校の寮で生活しています。
長い休みの時には農場に帰り乗馬に使う道具の手入れを手伝っています。
幼い頃からそばで見てきたヴァッケイロの仕事に興味津々。
しかし父親から教えてもらった事はまだほとんどありません。
貧しい農家に生まれたジーコ。
13歳の時牛飼いとして農場に働きに出されました。
「ジーコ」とは「やせっぽち」という愛称です。
小柄な体格はハードなヴァッケイロの仕事には決して向いてはいません。
(笑い声)それでも道具作りを誰よりも丁寧にやる事で40年間この世界を生き抜いてきました。
(笑い声)そんな彼を仲間は尊敬と親しみを込めてジーコと呼ぶようになったのです。
あれじゃない?日曜の朝6時。
唯一の休みの日もジーコは一人投げ縄作りに没頭していました。
ああ〜。
それ体重かけるぐらいかなりきつく締めないと駄目なんですか?これ今新しいの作ってるのは今使ってるやつが古くなったからとかそういう理由なんですかね?ヴァッケイロたちの雇用は不安定なもの。
道具が壊れて仕事に出られなければ解雇されてしまう事もあります。
僅かな緩みがあると簡単に切れてしまう縄。
体重をかけ一編み一編み丹念に仕上げていきます。
投げ縄の長さは10メートル。
でも一日に編めるのはたった10センチ。
編み目一つ一つに湿原で生きる覚悟が込められた命綱です。
雨季本番が目前に迫ったこの日最年長のヴァッケイロジーコは大切な道具作りに励んでいました。
牛の皮を細く切って作る投げ縄を編むためのひもです。
いつものように息子のジョジエルはその様子をじっと見つめていました。
ふいにジョジエルが父親のナイフを手に取り皮を削り始めます。
どんな仕事をするにせよ大切な事は同じ。
ジーコは父親として自分の信念を伝える事にしたのです。
農場では年明けの初出荷に向けた準備が始まりました。
年長者のジーコは牛の先導を任されました。
息子のジョジエルも手伝います。
親から子へヴァッケイロの技と心が受け継がれていきます。
湿原の中で1年間かけて健康に育てた200頭の牛たち。
検査場に向けて大移動です。
息子ジョジエルがしんがりを務めます。
ここでしょ?…とそこでジーコが前川さんに粋な計らい。
おお〜!気持ちいい!ヴァッケイロたちの晴れ舞台に参加させてくれたのです。
いやめちゃめちゃうれしい!うわ〜牛がいっぱい来てるよ〜。
(牛の鳴き声)ハハハ!ジーコさん俺大丈夫かな?OK?ベン?アハハ!オブリガード。
しかし慣れない先導のせいか牛たちが歩みを止めてしまいます。
(牛を追う声)すかさず仲間たちがフォロー。
どんな時でもさりげなくお互いを支え合う。
そんな男たちの輪の中で若きヴァッケイロが育っていきます。
湿原で育んできた命は糧となりこの地の伝統を紡ぐ源となっていきます。
大仕事を終えたあとは仲間同士いつものようにテレレでお互いの労をねぎらいます。
本当にこんだけ広い自然の中だけど一緒にいる人たちはすごく密だしそれをいかにみんなでうまく楽しくやっていくかっていうすごくその…和を大事にしてるヴァッケイロの人たちのやり方なんだなっていうのはすごく肌で感じましたね。
…でそこに地球の反対側から来たこういう人間を温かく迎え入れてくれるっていうそういう彼らの気持ちよさみたいのはすごく感じたかな。
ワニいる。
泳いでった。
おお〜!大暴れしてくれましたね最後。
2015/02/26(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
地球イチバン「世界最大の湿原 ブラジル・パンタナール」[字]
カピバラの親子が悠然と泳ぎ、傍らではワニが口を開けてひなたぼっこ。世界でも珍しい「水上のカウボーイ」が暮らす水の大地。地球の裏側、雨季本番を控えたひと夏の物語。
詳細情報
番組内容
地球の裏側にあるという、本州がすっぽり入る巨大な水の大地。カピバラの親子が悠然と泳ぎ、傍らではワニが口を開けてひなたぼっこする生命の楽園。ここには、世界でも珍しい「水上のカウボーイ」たちが暮らしている。東京ドーム6500個分の広大な農場に散らばる牛たちを驚くべき連携で管理する仕事人たち。自ら道具を全て作り上げ、じゃじゃ馬を乗りこなす術と投げ縄の技を受け継ぐ彼らに密着。雨季本番を控えたひと夏の物語。
出演者
【ナビゲーター】役所広司,【旅人】前川泰之
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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