美の巨人たち 辰野金吾『東京駅 丸の内駅舎』番組史上初「駅」シリーズその2 2015.02.28


今日は東京で最も有名な駅をご紹介しましょう。
いわば東京の玄関口です。
美しいフォルムの屋根が時代の最先端を感じさせる八重洲口駅舎。
ですが本日の主役は反対側。
何度も建て替えの声があがるなか頑固にレンガ造りにこだわりながらその時を待ち続けた古い駅舎です。
そしてその時が。
3年前保存・復原工事によって新たに生まれ変わったのです。
というより元の姿によみがえりました。
ひと口に復原工事といっても建物の小さな細工一つひとつにまで神経を注ぎ再現していく技術と根気が不可欠でした。
その過程で知られざる美の全貌がわかってきたのです。
では日本が誇るこの駅の壮大な物語へ。
巨大なビル群を周囲にしたがえ威風堂々たる風格を見せる伝統の駅舎。
ビクトリアン・ゴシックと呼ばれる華麗な建築様式。
全長は335m。
東京タワーをそのまま横にしてもまだ余る長さです。
5年にわたる保存・復原工事が完了。
開業100年を迎え現在は駅前広場の整備が進んでいます。
さてこちらの建物をご記憶でしょうか?戦後65年にわたって親しまれてきました。
どこがどう変わったのか?ちょっと比較してみましょう。
まず2階建ての部分がすべて3階建てに。
そして駅舎の南北に配されたドームの屋根は台形の寄せ棟の形から宮殿風の優雅で美しい丸屋根に。
このドームの内側天井も変わりました。
石膏レリーフを使った華やかな装飾が復活。
乗降客を出迎えています。
変わらないのは駅のシンボル外壁の赤レンガ。
3階は新たに造りましたが2階から下は建設当初のレンガをほぼそのまま利用しています。
その赤レンガに美しいアクセントを添える白い柱や窓の縁取り。
擬石と呼ばれるもので当初の技法で復原しました。
この石の秘密はのちほど。
屋根とドームの上部を赤く覆っている旧駅舎のように青く錆びるまでにはまだ10年はかかります。
新旧の建築美が共存し今は移ろいゆく色彩が楽しめる貴重な時期かもしれません。
設計は作品に日銀本店や奈良ホテルなどがある明治を代表する建築家です。
赤レンガに白い帯石をめぐらせる様式は辰野式と呼ばれる独自のスタイルでした。
その辰野が大正3年帝都の中央駅として完成させた東京駅。
しかし太平洋戦争さなかの昭和20年。
大空襲で建物の内装とともにすべての屋根が焼失。
そのときの修理でドームの屋根は創建当初とはまったく違う姿になったのです。
《今日私は田舎から上京してきたひいおじいちゃんのお供で東京駅を見にきた。
私のおすすめはここ丸ビルの5階》ほ〜らすごくよう見えるでしょ。
うん。
《私のひいおじいちゃんこの駅に深く関わっていたそうで死ぬまでにひと目見たいって言い出して。
それで私がお供したってわけ。
でもどんな関わりがあったんだろう?》《おおこりゃ懐かしい。
やはり東京駅はこの姿でなくちゃな。
ああそうだ。
わしが学徒出陣で東京を出発したときはあの丸いドームを見上げてこれが見納めかと思ったもんだった。
そして戦後あの四角い屋根になった。
しかもわしがその修復の設計助手になるとは不思議な縁じゃった。
いやあのときの修復は時間もカネもなかったから思いどおりとはいかなかった。
それに単なる応急処置で4〜5年すれば建て替えるはずだった。
なのに60年以上も放置されてしまった》ねぇひいおじいちゃん。
え?なんだい?それにしても東京駅ってどうして日本の中心の駅なのに和風じゃないの?そうさなぁそれはねぇ…。
東京駅は日本を代表する駅として生まれました。
それにしても辰野はなぜ西洋レンガ建築にこだわったのでしょうか?そこに100年建ち続けた駅の秘密が。
建築家辰野金吾には生涯における三大バンザイなる伝説があります。
バンザイ!バンザイ!そして…。
バンザイ!なぜそこまで東京駅の設計に歓喜したのでしょうか?明治の終わり日露戦争に勝利した日本政府は近代化計画の仕上げとして東京中央停車場建設計画を立てました。
このとき鉄道先進国ドイツからフランツ・バルツァーという技師が呼び寄せられました。
バルツァーの描いた駅舎プランです。
日本建築に魅せられ日本古来の城郭のイメージで東京駅を世界にアピールするという壮大なメッセージが込められていました。
ところが…。
これに真っ先に反対したのが辰野金吾。
バンザイ!バンザイ!結局辰野が設計を依頼されます。
明治41年から6年の歳月をかけまさに日本の顔となる中央停車場の威容が出現しました。
そして竣工から9年後の関東大震災で辰野の力が証明されたのです。
関東大震災では多くのレンガ建築が崩壊したそうだ。
でもね綾ちゃん東京駅は関東大震災でもびくともしなかったんだよ。
へぇ〜頑丈なんだね。
そう別名辰野堅固の異名をとった辰野金吾設計の勝利じゃ。
なあ綾ちゃん。
なに?なぜ他のレンガ造りと違って東京駅が簡単には崩れなかったと思う?う〜んなぜかな。
あっレンガを何か特別な焼き方したとか?フッフッフッフどうかな。
大内田さんは東京駅保存・復原工事を12年間担当した建築家です。
駅舎内にある展示室の壁は当時のままのレンガ壁でその構造がよくわかります。
レンガを鉄骨が支える鉄骨の組み立てから始まった駅舎建設。
使われたその造りは大震災にもびくともせず辰野堅固の名を高めたのです。
ただ堅固なだけではありません。
保存・復原工事に参加した職人たちは東京駅の美の秘密を発見していました。
例えば壁面を美しく見せるために当時の最新技術化粧レンガが使われています。
今でいうタイルです。
特に目をひくのが覆輪目地と呼ばれシャープなラインを見せるかまぼこ型の目地。
ふっくらと仕上げる覆輪目地は根気と手間がかかるため今では使われなくなった技法です。
今回目地を塗るためのコテの製作から塗り方まで現代の職人が試行錯誤を繰り返しその美しいラインを見事再現させたのです。
次はこちら。
レンガの赤を引き締める白い飾り柱と帯は辰野式と呼ばれる独自の装飾です。
実はただの石ではありません。
擬石と呼ばれています。
擬石とは人造石のことでセメントに消石灰や花崗岩の細かい粒などを混ぜて作ります。
コテで塗りハケに水を含ませて表面のセメントを洗い出す特殊技術。
左官ならではの技の連続です。
その擬石で最も複雑な造りがこちら。
カルトゥーシュと呼ばれる紋章風の飾りです。
駅舎の南新橋寄り。
東北新幹線や東海道線のホームから見ることができます。
一度探してみませんか?さて最後は辰野が最もこだわった場所。
ドームの内装です。
辰野は人々が必ず見上げる場所だから日本的な趣を飾るよう命じます。
そこで兜や干支の動物を配しました。
干支は古来方角を表すもの。
旅の起点としての駅舎にふさわしいと考えたのです。
こちらは栴檀板と呼ばれる鎧の一部そして伊勢神宮に奉納されているという宝剣です。
しかしレリーフの多くは復原のための型がなく当時の写真だけが手がかりでした。
例えばこの鳳凰のレリーフも。
ところが写真では鳳凰の足元の丸いものが何かわからずさまざまな文献に当たってようやく機関車の動輪と判明しました。
5年の歳月と延べ78万人もの手をかけた『東京駅丸の内駅舎』の保存・復原工事。
100年前の美しい姿を取り戻し新しい世紀へと歩みだしています。
それにしてもひいおじいちゃん。
うん?東京駅がここまで変わって残念だったんじゃない?いやいや。
やはり若いころ見た堂々たるドームはいいもんじゃ。
おぉそうじゃ。
東京には東京駅よりも大きな赤レンガ建築があるのを知っているかい?えっ何?鉄道のレッドカーペットというんじゃ。
レッドカーペットってハリウッド女優とかがアカデミー賞のときに歩くやつ?あぁそうじゃよ。
えっそんなのある!?どこ?どこに?ハハッハハハハッ…。
そう東京駅はただの駅ではありません。
明治の末北のターミナル駅である上野と南の新橋を鉄道でつなぐ計画がありその起点となる中央駅としての使命がありました。
レッドカーペットの秘密がそこに。
旅立ちと到着の場所。
それにふさわしい施設として駅舎内に造られたのが駅ならではの旅情をかきたてるラウンジやレストランの数々。
そして今回のリニューアル工事で意外な場所にも部屋が。
タワーの中にスイートルーム。
丸窓の眺めもしゃれています。
100mを超える長い廊下も東京駅ならでは。
そしてその奥にはドームサイドルーム。
復原されたレリーフを間近で見ることができます。
さまざまな顔を持つ東京駅。
実は首都東京を取り巻く壮大な計画の一翼を担っていました。
それが…。
明治のはじめ東京の動脈鉄道を整備するために考えられたのが鉄道を道路と交わらないよう高架にし上野と新橋を直結。
東京駅を起点とした環状線を整備する壮大なグランドデザインでした。
その高架橋を赤レンガで造る。
それがレッドカーペット。
鉄道総合技術研究所の小野田さんは長年東京駅を研究してきました。
ネーミングなんですけれども。
首都を取り巻く高架鉄道。
その要が東京駅でした。
辰野がこだわったレンガ造りは近代東京を支える中心でもあったのです。
ようやく元の姿に戻ったんだな。
多くの人々には新しい東京駅かもしれんが。
あ〜この姿をまた見ることができるなんて私は幸せだ。
あれひいおじいちゃん?眠ったの?疲れてたのね。
よいしょよし今日はステーションホテルでゆっくりしようね。
日本の近代化をアピールする壮大な都市計画のなかから生まれました。
支えたのは多くの職人の手です。
辰野金吾作重要文化財『東京駅丸の内駅舎』。
100年の輝きを未来へ。
夜の街を走る1台の車。
2015/02/28(土) 22:00〜22:30
テレビ大阪1
美の巨人たち 辰野金吾『東京駅 丸の内駅舎』番組史上初「駅」シリーズその2[字]

毎回一つの作品にスポットを当てそこに秘められたドラマや謎を探る美術エンターテインメント番組。今日は4週連続世界の駅シリーズ第2弾!重要文化財『東京駅 丸の内駅舎』

詳細情報
番組内容
駅の美と物語に迫る“世界の駅シリーズ”。第2弾は、開業100年を迎えた、辰野金吾設計『東京駅 丸の内駅舎』。数々の明治を代表する建築を手がけた辰野の設計ですが、空襲によって一部が焼失。それらを技術と根気で復原させた過程で、知られざる美の全貌が…さらに西洋式レンガ建築にこだわった理由が明らかに!職人が「百年前の人はこんなに丁寧な仕事をしていたんだ」と言わしめる技術の粋を結集した東京駅。
番組内容の続き
苦難を乗り越え、今なおそびえ立つ駅舎の物語とは?
ナレーター
小林薫
音楽
<オープニング・テーマ曲>
「The Beauty of The Earth」
作曲:陳光榮(チャン・クォン・ウィン)
唄:ジョエル・タン

<エンディング・テーマ曲>
「India Goose」
中島みゆき
お知らせ
【「世界の駅シリーズ」今後の放送予定】
◆3/7 アーサー・B・ヒューバック
「クアラルンプール駅」
※放送時間が変更になります
◆3/14 明石虎雄「日光駅」
ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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