夜の街を走る1台の車。
その車体には意外な文字が。
動物救急。
到着するやいなや1人が家の中へ。
もう1人は車の後部へと移動。
診察の準備を始めたこの人物が今夜の主人公。
抱えられてきたのはこの家の愛犬。
全開にしちゃっていいです。
はい。
(犬の悲鳴)悲鳴をあげて苦しむ犬。
塩田先生はてんかんと診断。
てんかんは脳神経の異常な興奮で体の痙攣や硬直を起こす病気。
発作を止める注射を打ちます。
果たして。
私もどうしていいかわからなくて…。
ほんとによかったです。
帰ってきた。
主人が…。
家族同然のペットに救いの手を差し伸べる走る動物病院。
14年前始めたのが塩田さんなのです。
杉並区の住宅街。
夜間動物救急の本部はここにあります。
周囲の静けさをよそに常に慌ただしい雰囲気。
ひと晩に舞い込むペットのSOSは電話でのカウンセリングを含めて20〜30件にのぼります。
塩田先生の移動中新たな緊急要請を受けて別の獣医と救急スタッフが出動。
2チームで対応しているのです。
一方塩田先生の車に更なるSOSが飛び込んできました。
移動中もインターネットで情報が送られてくるのです。
腰が抜けてしまったという新宿に住む方からの要請。
ただちに現場へ。
2台の動物救急車はゆっくりで結構です。
そのままどうぞお上がりください。
まだ痛がってます?震えてるんで痛いんだと…。
大丈夫?ほんとに?痛み止めの注射で対処。
後日精密検査を行うことに。
SOSのうち塩田さん自身が出動するのはひと晩に3〜4件。
活動は毎日深夜3時すぎ本部に戻ってきた塩田さん。
夜通し続いた緊張もほぐれちょいと1杯。
と思いきや…。
(スタッフ)夕ご飯これだけなんですか?うん。
(スタッフ)朝も晩も牛乳だけですか?
(スタッフ)こんなにずっと1日中働いてて大丈夫なんですか?牛乳だけで。
命の現場の壮絶な闘い。
一見豪快に見えて実は緻密な診療スタイル。
更に…。
誰もが認める外科手術の達人。
昼夜の別なく奮闘する67歳の獣医師を追いました。
夜は動物救急の本部。
昼間は動物病院も兼ねている塩田さんの自宅。
午前8時。
(スタッフ)いつもこんな早いんですか。
深夜まで走り回っていたというのにすでに起きていた塩田さん。
台所に立って始めたのは買い置きのマグロに包丁を入れること。
主食は牛乳と聞いたはずですが。
(塩田さん)はいご苦労さま。
はい。
96歳になる母栄さんの朝食。
妻はつくばに単身赴任中。
毎日塩田さんが食事を作っています。
ありがとう。
どんなに忙しくともこれだけは人任せにしない日課です。
塩田動物病院の開院。
連日列をなして診てもらいに来る飼い主とペット。
その数1日およそ20〜30件。
それを夜とはまた異なる獣医と2人で担当しています。
他にこちらも昼間専門の看護スタッフが2名。
病院の診療は夕方6時半まで。
そしてその病院の地下が夜間動物救急の事務所。
並んでも塩田先生に診てもらいたい理由は?そうなんです。
この方の猫は悪性リンパ腫を発症。
塩田先生による摘出手術を受けてメキメキと回復を遂げています。
予防接種を受けに来た愛犬。
怯えていますね。
すると塩田先生…。
よいしょどこでうちましょうそこでいい?向こう向かせといて。
あなたはそこでいい。
怖がる診察室でなくその場で注射。
ああ終わった。
ありがとうございましたよかったね。
ペットの気持をくんで対応。
豪快に見えてこのきめ細やかな配慮も持ち味。
続いてはこちらの小型犬。
(塩田さん)偏食だった?不足している栄養分を補うための注射をうつことに。
すると…。
なんと注射器をレンジの中へ。
(スタッフ)電子レンジでチンするんですか?人間と違い注射の意味を理解できない犬。
少しでも違和感をやわらげようとの思いからです。
さしますから。
丁重に外までお見送り。
はいどうも!飼い主さんを安心させるためならTシャツより白衣のほうがよさそうですが。
40枚持ってるんですか!うん。
動物病院にかかったことのあるペットは白衣を覚えていて怖がるというのです。
午後2時手術室を覗くと心配そうに犬を抱えた男性が。
どんな手術を受けるのでしょう?飼い主さんでいらっしゃいますか?違います。
先生ですか?はい。
あっそうなんですか。
はい。
塩田さんを頼って他の獣医からの持ち込み。
先天性の骨の異常個所を除去する手術。
場所は骨頭と呼ばれる骨盤に近い後ろ足の付け根の骨。
ここが異常に大きく骨盤に引っかかり後ろ足を動かせないのです。
削って治すはずがうまくいかなかったとか。
このように他の獣医から持ち込まれる手術や再手術は週に数回。
実は塩田先生はなかでも高く評価されているのはメスの巧みさ。
必要最小限丁寧なメスさばきでペットの体にほとんど負担をかけません。
術後も包帯は不要。
小さなテープを貼るだけですむのです。
その手腕は10年以上前から注目され獣医療の専門誌にも連載していました。
この地で動物病院を開業した父のもと塩田さんが獣医を志したのはしぜんなことでした。
1966年日大の獣医学科に入学。
ところが学生運動が盛んで授業を受けられない日々が。
向かった先は南アジアバングラデシュ。
23歳のときそこは獣医学の最先端アメリカの大学の姉妹校。
猛勉強の日々が続きました。
卒業できたのは塩田さんを含めて…。
帰国後父の後を継ぎ病院経営は順調でした。
しかし…。
苦しんでいるペットたちを助けたい。
とはいえ日本初の試み。
当初はすべてが手探りでした。
この救急車も特注したもの。
検査キットや薬だけでなく手術道具まで積み込んでいます。
更に…。
昼の病院と夜の走る動物病院。
スタッフは入れ替わりますが塩田さんだけは67歳の今も昼夜を通して働き続けています。
趣味とか自分にごほうびとかあげたくなったりするんじゃないかななんて思うんですけど。
(スタッフ)今のお仕事がってことですか?忙しく走り回る塩田さんですが…。
昨年末のこと。
キッチンに女性の姿が…。
単身赴任中の妻満江さんが4か月ぶりに帰宅したのです。
(スタッフ)これ奥さん作ったんですか?そう。
めったに会えない夫のために腕を振るったのは6種類のバングラデシュのカレー。
食卓では懐かしい思い出話が…。
キュッとハグされたときに力いっぱいハグされてコキッて音がして…。
「パパちゃん音がしたよ」って言われて。
「聞こえました。
すみません」。
殺意を感じた。
バングラデシュ時代アジア経済の研究で来ていた満江さんと出会い1年後結婚。
満江さんは現在筑波学院大学の名誉教授。
夫のことをどう見ているのでしょう?その代わり…。
っていうそういうスタンスだから。
すてきなご夫婦の関係です。
深夜0時半塩田先生が緊急出動。
愛犬が危機にあるという飼い主からの要請。
そこはまさに命の現場でした。
愛犬が命の危機にあるという飼い主からの緊急要請。
(吠え声)てんかんの他にも持病がありしかも高齢。
死期が近づいているのは飼い主も理解していますが少しでも楽にしてやりたい。
とはいえ薬もすでに掛かりつけの獣医に処方され更なる投与は危険。
先生はどんな処置をとるのでしょう?
(塩田さん)結局この反応としては…。
暑がっているように見えたのですが冷やすのは逆効果でした。
すぐさまあたためます。
ずっとこうやってたんですよ。
(塩田さん)あぁそうですか。
9時半から狂ったように吠え続けて。
ワンワンもいわないし。
治っちゃいました。
(塩田さん)神通力ありませんよ。
あ〜だってでもなんか…。
(塩田さん)神通力ありませんよ。
なんであんなにワンワンいってたのに。
ありがとうございました。
ひとまず飼い主を安心させることができました。
この時塩田先生の頭の中にあったのは…。
看取るかということ。
飼い主を生死にしっかりと向き合えるようにすることが大事なことなんです。
塩田先生のもとに1通の手紙が届きました。
それは先日診察した13歳のチワワの飼い主からでした。
塩田先生のもとに届いた1通の手紙。
それは1か月前診察したそこにつづられていたのは…。
やはり昼夜の別なくペットはもとより飼い主の心のケアにも力を尽くす獣医師塩田眞さん。
あなたの強く優しい命と向き合う姿を応援します。
2015/02/28(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
クロスロード<獣医師・塩田眞>[字]
日本で最初に夜間動物救急車を始め、今なお最前線で動物の命と向き合う獣医師の塩田眞に密着する。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
日本で最初に夜間動物救急車を始めた塩田眞は、日大の獣医学科に入学。しかし学生紛争が盛んな時期で授業が受けられず、一念発起してバングラデシュの獣医大学に進学した。ここでの経験に加え、豊富な外科の症例を持つ塩田は、獣医師界で手術のスペシャリストとして有名だ。動物のために昼夜を問わず走り続ける姿を追った。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなクロスロード(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
音楽
【エンディングテーマ】
「クローゼット」
Superfly(ワーナーミュージック・ジャパン)
ホームページ
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ドキュメンタリー/教養 – その他
情報/ワイドショー – 健康・医療
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