生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」です。
ことし4月から新たな年金抑制策が始まります。
実質的な年金の価値を下げていくこの抑制策で年金はどう変わるのでしょうか?藤野優子解説委員です。
4月から年金はどうなるんでしょう。
藤野⇒実際には4月分の年金が支給される6月から変わります。
新たな抑制策が始まることになりました。
この新抑制策はマクロ経済スライドというものでこれまでの年金制度の考え方を大きく変える転換するものなんです。
これまでは働く世代の生活水準に合わせて、高齢者の生活も維持していこうということで物価や賃金が上がればその分年金額も上げる仕組みでした。
今後は制度を維持するために物価などが上がっても年金の伸びを抑えるということで高齢者に我慢をしてもらうということです。
どれくらいこの状態は続くんですか?これから20年から30年以上続く予定です。
年金の実質価値がだんだんと目減りしていくことになります。
そして、みんなにとって痛みが伴うものですがいちばんの問題は年金が少ない人にも一律にこの抑制がかかってしまうことです。
除外されないんですね。
低年金で生活保護に頼らざるをえない高齢者がこれから増えてくるということが心配されていますね。
きょうは4月分からの年金がどのくらいになるのか。
将来の年金がどの程度目減りするのか、この2つを見ていきます。
まずは4月からの年金はいくらになるんでしょうか。
まずは国民年金です。
40年間保険料をしっかり納めた人、満額でひとつき6万5008円です。
厚生年金の場合は40年間サラリーマンとして働いた夫と専業主婦の妻の世帯の場合標準的なケースで2人分合わせての金額です。
前の年度と比べますとそれぞれ増額しています。
増えているということですか?そこが新しい抑制策の分かりにくいところなんです。
実は年金の実質価値は下がることになるんです。
どういうことでしょう?具体的に国民年金を例に見ていきます。
これまで年金額は物価や働く世代の賃金の変動に合わせて決まっていました。
本来なら今年度は2.3%増えるはずだったんです。
ところが実際には1.4%分下げられて0.9%の増額にとどまりました。
今年度については新抑制策に加えて過去の物価下落のときに年金を下げていなかった年もあるので、その分も合わせて下げたので下げ幅が少し大きいんです。
この1.4%分年金が目減りする。
つまり差額の900円分年金で買えるものが少なくなるということです。
一見金額が増えたように見えますがそれ以上に物価などが上がっているので価値は下がるということですね。
なぜ、こういう抑制策を取るんでしょう。
現役世代や企業が負担する保険料が重くなり過ぎないようにするためです。
2004年の制度改正で、国は3年後2018年から現役世代の支払う保険料を上げないことを決めています。
このため年金という財布に入ってくる収入が頭打ちになってしまうので今度は支出つまり高齢者の受け取る年金を徐々に抑えていくことにしました。
年度ごとの抑制幅は保険料を納める人の減少数や寿命の伸びを計算して決められます。
そうするとこの先、将来年金はどういうふうになっていくんでしょう。
こちらは世代別の厚生年金の給付水準の見通し、推計です。
それぞれ年金を受け取り始める65歳のときにその時代の現役世代の男性の平均的な収入に対して何%の年金を受け取れるかを示したものです。
夫婦2人分で計算しています。
皆さんご自分の年齢の近いところを見てください。
私は1964年生まれの辺りですがだんだん下がっていくんですね。
そうなんです。
なぜかというと物価や賃金の伸びよりも年金の伸びを抑えていくので時間がたちますとその差が広がってそれだけ年金の実質価値も下がっていくことになります。
さらに年金を受け取り始めたあとも目減りしていくんです。
それぞれ90歳になったときにどれくらいの年金の価値になるかといいますと…2、3割も下がってしまいますね。
とても厳しいものになっていきます。
一方、国民年金は世代別の試算はありません。
およそ30年後に3割ほど実質的な価値が下がる見通しを厚生労働省が出しています。
今のお金の価値で計算しますと満額でもひとつき4万円台です。
もちろん経済状況が変わればこの金額も変わってきますが今、国民年金は非正規の人たちも多く入っていますが収入が少なくて保険料を払えない人も多いんです。
保険料免除の期間があるとさらに下がっていくわけです。
とても生活の支えにはならないですね。
年金で暮らせない人は生活保護に頼るしかなくなるわけですか?蓄えがないとそうなってしまいます。
政府はいろいろ対策を考えていまして、低年金低所得の高齢者にひとつき最大5000円を出しましょうという予定だったんですが消費税率10%への引き上げが延期になり、この給付も延期になってしまいました。
また国民年金の加入期間を延ばして年金を上積みさせようという案や、非正規で働く人の大半を比較的受け取り額が多い厚生年金に加入させようという試案も出していますが実現に向けためどは立っていません。
そして今、さらにこの新抑制策をもっと強化しようという案が出てきているんです。
どういうものですか?ざっくり言いますと今の高齢者の年金を抑制するスピードを少し早めようという案です。
今の高齢者ほど高い年金を受け取れて、若い世代ほど低くなる。
このため今の高齢者の年金をもう少し早く抑制していくことで若い世代の年金を底上げしようということなんです。
ただ高齢者にとってはさらなる痛みになりますのでどこまで実現できるのか疑問視する声もあります。
どうしたらいいでしょう?やはりもう一度低所得高齢者の生活を底上げする方法を1から議論し直す必要があると思います。
一律に年金抑制策をかけて年金制度を維持することができても生活が立ち行かなくなる人は増えてくると年金制度の底が抜けていくことと同じです。
年金制度の中でどこまで最低限の生活を保障する必要があるのか早急に検討を進めてほしいと思います。
藤野優子解説委員でした。
次回は二宮徹解説委員とともにお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。
2015/03/04(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「年金抑制策開始でどうなる?」[字]
NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…藤野優子,【司会】岩渕梢
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ニュース/報道 – 解説
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