(依子)当然私が引き取ります。
(巧)駄目だ!絶対駄目だ!親権は渡さない。
僕の子だぞ!
(依子)おなかを痛めて産んだのは私ですよ。
だけど育児を受け持ったのは僕なんだぞ!あなたには経済力がないから育てられないでしょ。
だから養育費をくれよ!おむつ替えしたのも離乳食を与えたのも幼稚園に送り迎えしたのも僕なんだぞ!頼むよ!お願いだから僕から子供を奪わないでくれよ!
(ため息)仕方ない…。
分かりました。
では親権についてはそのときに協議するということにしましょう。
よろしいですね?ていうか今から離婚したときのこと決める必要ある?・
(呼び出し音)・
(アナウンス)大変お待たせいたしました。
14番のカードをお持ちのお客さま2番の窓口までお越しください。
婚姻届を1部下さい。
(男性)お待ちください。
(女性)お大事に。
(留美)あら来てくれたの?お加減はいかがですか?ちょっと緊張してきちゃった。
手術なんて初めてだから。
ここの外科は水準が高いですから大丈夫ですよ。
ありがとう。
あっ巧さっきまでそこにいたんだけどおなかすいたなんて言って食堂行っちゃった。
(泣き声)具体的な症状としては貧血と体重の減少ということですね。
そうです。
それと胸焼けがひどくて全然食欲がないの。
症状と行動が合ってないよ。
ううん。
今日は調子がいいのよ。
前に検査を受けたときには何もないって言われたんだけど。
セカンドオピニオンを受診すべきですね。
僕もそう思っていい病院を探してるんです。
ううん。
宗太郎君が紹介してくれた病院でいいわよ。
駄目だよあいつが見つけてきたとこなんか。
藪下さんは内閣府の人だから政府高官なんかが行く所知ってるんじゃないかと思って。
1日下さい。
リサーチします。
(男性)では1回転回ってください。
結果から申し上げますと…。
・
(留美)ただいま〜。
・
(ドアの閉まる音)
(留美)あっただいま。
どうだった?うん。
胃潰瘍だった。
胃潰瘍?うん。
場所が良くないから一応手術はするけど簡単なものだって。
あっそうか…。
よかったね。
うん…。
(佳織)ホントよかった〜。
兄貴留美さんただの胃潰瘍だったって。
(宗太郎)そうか。
一安心だな。
それはよかったですね。
お役に立てて光栄です。
では。
(通話を切る音)お父さん。
(俊雄)んっ?お母さんが倒れる前の症状覚えていたら教えて。
(俊雄)症状?あ〜とにかく胸焼けがひどいって言ってたな。
食欲がなくて貧血気味だって。
胃がんだと判明したときどんな気持ちだった?
(俊雄)目の前が真っ暗になったよ。
なかなか受け入れられなかった。
今でも受け入れられてないのかもしれないな。
今でも?
(俊雄)毎日のように思うよ。
あのときああしてあげればよかったこうしてあげればよかったって。
お父さんときたらショックで右往左往するばっかりでね。
何にもしてあげられなかった。
情けないよ。
後悔ばっかりだ。
やっぱり生きてる間にしてあげられることはしてあげないとね。
まだ起きてたんだ。
あっ…もう寝るわ。
あっおやすみ。
おやすみ。
(留美)佳織ちゃん。
はい。
(留美)この教室いずれは佳織ちゃんが継いでくれたらうれしいんだけど。
えっ?嫌ですよ私現役ですもん。
まだまだ教えるの本業にしたくないです。
俺たちだって嫌だよ!こんな怖い先生。
何だと〜。
もう早く座って。
(店員)いらっしゃいませ。
あっ何にする?結構です。
今日は自炊の日なので帰って食べます。
あっそう。
じゃあ天ぷらぐらいつつき合う?結構です天ぷらの日ではないので。
ご用件は?うっうん…。
藪下さん本当に息子と結婚するつもりなのかなと思って。
検討中です。
結婚の契約内容をまだ精査できていないので。
でも好きじゃないのよね?それは問題ではありません。
結婚に恋愛は不必要だと考えているので。
でもあなたにも好きな人が現れるかもしれない。
その可能性に期待するほど愚かではありません。
(店員)お待たせいたしました。
そりゃねもしあなたが巧と結婚してくれるならこんなありがたいことはない。
もう何も思い残すことなく安心してあっちに行ける。
でも何だか申し訳ない気持ちになっちゃって。
ニートを押し付けるわけだし。
ホントにいいのかな〜って。
依子さんの所に会いに行ったんだ。
思い残すことはないとおっしゃいました。
これは死に直面している人物が使う表現のはずです。
私も教室受け継いでほしいなんて言われてちょっと変だなって思った。
昼間葬儀屋から出てくるとこ見たよ。
見積もりでも出してもらったのかな…。
留美さんの症状は胃がんのそれと酷似しています。
以上の点から考えても彼女は嘘をついている可能性が高いです。
医者に会って確かめようぜ。
医師には守秘義務がありたとえ身内であっても本人の許可なく情報公開はできません。
フッ…。
みんな考え過ぎだって。
胃がんを胃潰瘍と偽るなんてそんなの昔からもうドラマや映画で使い古された安っぽい手でさ。
フィクションの影響受け過ぎだよ。
現実にはそうそうないって。
ハハ…。
私の母も胃潰瘍と偽りました。
留美さんとまったく同じ症状でした。
検査では発見されにくい場所にあり判明したときには手遅れでした。
(依子)《胃潰瘍って言ったわよね》
(小夜子)《言ったわね》《簡単な手術ですぐ治るって言ったわよね》
(小夜子)《言ったわ》《お母さんは私に嘘をついたの?》
(小夜子)《そうよ》《どうして?》
(小夜子)《あなたのためを思ってよ》《お母さんもうすぐいなくなるって言ったらあなたショック受けるでしょ》《そんなことないか》《あなたお母さんいなくなってもどうってことないか》《おいで》《違うね》《あなたのためを思ってなんかじゃないや》《ホントはさこんなふうに泣かれると私がめんどくさいから》《あなたに嘘をついてる方が私が楽ちんだったのよ》《ごめんね》《お母さんの自分勝手で》《最後までだまされてくれてればよかったのに》一応手術はしましたが手の施しようはなく間もなく亡くなりました。
これはフィクションではなく現実です。
ゆうべ家の権利書関係を整理してた。
認めるしかありません。
留美さんは人生の終末を迎える準備をしています。
合理的結論は1つ。
留美さんは末期がんです。
どこ行くの?母さんを問い詰める。
巧。
何で僕に嘘つくんだよ!たった1人の家族だぞ!それは巧君に心配かけまいと…。
余計なお世話だよ!あなたのためではありません。
嘘をついていた方が留美さんご自身が楽だからです。
人の気持ちは複雑です。
特に病人はナーバスになります。
本人にとって一番楽な精神状態を維持してあげるよう努めるべきです。
君に人の気持ちの複雑さを教わるとは思わなかったよ。
経験に基づく知識です。
巧…留美さんが自分で打ち明けるときまでだまされててやろうぜ。
私もつらいけどさ私たちが明るく振る舞ってることが留美さんのためなんだよ。
谷口さん落ち込んでいる場合ではありません。
私たちにはやるべきことが他にあります。
生きているうちにしてあげられることをすることです。
でなければ今後の人生に禍根を残します。
手術はいつですか?19日。
3日後ですか。
時間がありませんね。
さあ各人やるべきことをやりましょう。
佳織さんもしやぶさかでないなら美術教室を継ぐことを留美さんに伝えてあげてはいかがでしょう。
そうだね。
宗太郎さんは葬儀関連の手配を引き受けて差し上げたら。
はい。
これは私が作成した結婚に関する契約条件の草案です。
これに合意してくださるなら結婚をしても構いません。
私が留美さんにしてあげられることがあるとすればこれです。
「基本的に家事全般は乙の担当とする」乙って僕のこと?はい。
「朝食のメニューは以下のとおりとする」「月曜日米飯豆腐とワカメの味噌汁サケの塩焼き納豆。
火曜日トーストサラダヨーグルト」こんなことまで決めんの?もちろんです。
僕の小遣いが月5,000円ってどういうことだよ。
中学生じゃないんだぞ!本を買うだけでしょう?文庫本の平均価格が560円。
8冊から9冊は買えますよ。
この重労働の対価が5,000円ってことはないだろう。
じゃあそちらで見積もりを出して計上してくださいよ。
こんな項目必要ないでしょう。
決めておいた方がいいでしょう。
性交渉のペースなんて決めるもんじゃないよ!じゃあ月に何回だったらできるんですか?あっもう回数の問題じゃないって。
あ〜もう話が進まない。
お手洗いお借りします。
だっだっ…だって週に2回って…21時からって…。
もう時間まで決めること…。
やだ。
あ〜恥ずかしい。
お手伝いすることありますか?
(留美)あっ大丈夫よ。
巧さんですか?サッカーやってたなんて予想外です。
うん。
結構上手だったのよ。
ご主人はいつごろ亡くなられたんですか?えっ?この方はご主人ですよね。
あっ…死んでないわよ。
えっ?離婚しただけ。
あっいや正確には籍を抜いてないから別居状態ね。
死んだようなものって意味だよ。
もう13年も絶縁してるんだから。
13年というとあなたがニートの引きこもり生活を開始した時期と一致しますね。
高等遊民だ。
あなたが原因で家庭が壊れたと推察されます。
事情を詳しく話してください。
もう過去のことだよ。
あっ…。
籍が残っている以上法的には私の義理の父親になる可能性がある人物です。
正確に知る必要があります。
でなければ結婚はできません。
谷口努教育評論家だったんだ。
本も何冊か出してて当時はテレビにもちょくちょく出てた。
子供はこう育てろって偉そうに語ってたわけだ。
ところが自分の子供がこうなった。
プライドの高いあの男が受け入れられるわけがない。
修羅場さ。
(努)《来い!》
(留美)《やめて》《あなたやめて》《お父さん!》《うわあっ…》《お父さんやめて!巧…》
(努)《どけ!》
(留美)《あっ!痛っ…》
(努)《だいたいお前が甘やかし過ぎるからこんなに…》《てめえ何しやがんだよ!》《あっ何だと…》警察も駆け付ける大騒ぎになってさ。
で彼は姿を消した。
以来名前も聞かないから仕事も辞めたんだろ。
おしまい。
今どこで何をしているかは。
知らないし知りたくもない。
本当に死んでるかもね。
生きています。
どうかな。
ブログやってますから。
えっ?ブログ?これそうですよね?「世捨て人の晴耕雨読」?何だこれ。
「プロフィール谷口努元教育評論家」本や映画のレビューをたくさん書いています。
くそのようなやつだな!あっチャットできる。
あっチャットしないで。
やめてよ。
私はご挨拶しなければなりません。
絶縁してるって言ってるだろ!留美さんのことは伝えなくていいんですか?もうすぐ死んじゃうんですよ。
死んじゃうとか言うなよ。
あいつはお母さんに暴力振るったんだぞ。
最低の男だよ。
でも夫婦でしょう。
13年も会ってない。
もう夫婦じゃない。
法的にはまだ夫婦です。
生命に関する情報を配偶者は知る権利があります。
この問題をクリアしないかぎり結婚話は進められません。
あっちょちょっ…。
ここですね。
谷口努さんですね。
(努)入りなさい。
適当に座りなさい。
お邪魔します。
隙間風がひどくてね。
外より寒い。
ラッカセイしかなくてすまんが。
初めまして。
私藪下依子と申します。
別にね私に挨拶する必要なんかないんだよ。
見てのとおり日雇い暮らしの独居老人だ。
教育の世界からは身を引かれたんですか?私に教育を語る資格はないからね。
世間から身を隠して生きることがかつての教え子やその親たちへのせめてもの贖罪だ。
本日伺ったのは奥さまの留美さんのことでお伝えしたいことが…。
言わなくていい。
こんなやつに何も言う必要ない!失礼します。
谷口さん。
女と暮らしてる。
若い女とよろしくやってるんだ。
母さんはずっと1人で…。
ずっと…。
あいつを母さんには会わせない。
絶対だ!分かりました。
(鷲尾)末期がん…。
まあそういうわけだからあの2人は急ピッチで結婚を決めようとしてる。
あしたが手術だからそれまでに決めて留美さんに報告するつもりだろう。
あっ…。
(宗太郎)でもさだからってお前が遠慮する必要ねえんだ。
結婚なんて親のためにするもんじゃねえんだから。
(鷲尾)あっ…まあそりゃそうですけど…。
まあいずれにしてもあしたがタイムリミットだってことだけは伝えてやろうと思ってな。
ちょっと小便。
(ドアの開閉音)佳織さんはいいんですか?何が?巧さんが結婚して。
はっ?だって…好きなんですよね?はあ?あれニートだよ?最低の男だよ?どこをどう勘違いしたらそうなるわけ?分かりますよ。
あんなキス見たら。
ただのキスじゃん。
巧さんは依子さんを愛してるわけじゃない。
自分の生活のために結婚したいだけなんです。
だから相手は誰でもいいんだ。
あなたでも。
それを分かっててどうして2人を応援してるんですか?答えは簡単だよ。
あっちはこっちを別に好きじゃないから。
私愛されたいんだわ。
いくらこっちが好きでも向こうがそうじゃないなら一緒にいたって惨めだよ。
だべ?まあ君は君で頑張れ。
すいません急に呼び出しちゃって。
構いませんが用件は手短にお願いします。
谷口さんと結婚に向けて話し合ってるって聞きました。
だから今日がラストチャンスだと思って…。
ラストチャンス?もうとっくにバレバレでしょうけどあらためてちゃんと告白します。
自分は…依子さんが好きです!好き?恋してるってことです。
誰が?自分が。
誰に?依子さんに!えっ?そうだったんですか?気付いてなかったんですか?だってそんな通達受けてませんから。
あっ…。
そっ…とっとにかくそうなんです。
自分は依子さんとお付き合いがしたいんです。
困りましたね。
今谷口さんとの契約内容を詰めているところなので…。
分かってます。
だからもし…もしあしたまでに谷口さんとの契約が合意に達しなかったら自分にチャンスを下さい。
駄目なら依子さんのこときっぱり諦めます。
それだけです。
ある女性が言ってました。
愛されたいって。
依子さんだってそのはずです。
でも慰謝料は欲しいな僕は生活力がないわけだから。
少しは妥協してください。
お母さん死んじゃうんですよ。
だから死んじゃうとか言うなよ。
では次に離婚した際の子供の親権ですが当然私が引き取ります。
駄目だ!絶対に駄目だ!親権は渡さない。
僕の子だぞ!では契約成立ということで。
お互いに1部ずつ保管しましょう。
はい。
手術は夕方の4時だから仮眠を取ってから病院に行きます。
私も帰ってわずかの時間でも仮眠を取り出勤します。
午前中で早引けして病院に向かいますので2人揃って結婚が合意に達したことを留美さんに報告しましょう。
分かった。
あっ…。
区役所に行って婚姻届も取得してきます。
ではお疲れさまでした。
お疲れさまでした。
婚姻届を1部下さい。
(男性)お待ちください。
(留美)巧。
んっ?
(留美)司法書士の望月さん分かる?ああ。
あの人に全部伝えてあるから家のこととかお金のこととか。
だからもしこのまま母さんに何かあったら望月さんに相談するように。
そしたら全部ちゃんと…。
何言ってんだよ。
ただの胃潰瘍なんだろ?それはそうなんだけどさ。
何があるか分からないから一応念のため。
バカバカしい。
心配し過ぎなんだよ。
あっ何か腹減っちゃったな。
食堂でも行ってくるわ。
(泣き声)お母さん…。
死なないで…。
あら来てくれたの?お加減はいかがですか?ちょっと緊張してきちゃった。
手術なんて初めてだから。
ここの外科は水準が高いですから大丈夫ですよ。
ありがとう。
あっ巧さっきまでそこにいたんだけどおなかすいたなんて言って食堂行っちゃった。
・
(看護師)谷口さん。
(留美)はい。
(看護師)麻酔医の問診があるので来ていただけますか。
あっはい。
あっどうぞ掛けて。
はい。
(バイブレーターの音)はい。
依子です。
職務中にすいません。
急を要することなので。
どうした?お父さんの推論でいいので教えてほしいの。
13年前に離別した配偶者の写真を今も大事に保管し見詰めている人物の気持ちを。
んっ?もう一度言ってくれないか。
13年前に離別した配偶者の写真を今も大事に保管し見詰めている人物の気持ち。
もう一度言ってくれ。
13年前に離別した配偶者の…。
巧。
現場が長引いちゃってさ。
藪下依子とはどうなったんだよ。
一応合意に達したよ。
彼女が来たら2人で伝えようと思う。
そうか。
よかったじゃん。
留美さんも一安心だよ。
よかったよかった。
うん…。
ぼちぼち時間だよな。
あっ来た来た依子さん。
先ほど参りました藪下です。
はい。
谷口留美さんのご家族もう1人お連れしましたので入ってもよろしいでしょうか?
(宗太郎)んっ?誰かと一緒だな。
(看護師)はい。
かしこまりました。
あれ誰だっけ?何かすげえよく知ってる人のような…。
あれは巧君の…。
あっ…。
何しに来たんだよ。
私が頼んだんです。
全て事情をお話しして。
何余計なことしてんだよ!留美さんは今でも努さんに会いたがっている可能性が高いからです。
そんなわけないだろ!いやたとえ万が一そうだとしてもこんなやつを母さんに会わせないよ!
(努)私もねいまさらどの面下げてと思うよ。
だが私は私なりに苦しみを背負った13年を過ごしてきたつもりだ。
世捨て人のようにね。
留美は…母さんは私の生涯最愛の女性だ。
その人が末期がんの手術を受けると知って頭が真っ白になった。
そして私がみとらなければならない。
そう思った。
頼む!このとおりだ。
母さんに会わせてくれ。
会わせてあげたら?土下座までしてんだぜ。
こいつのこういうところがもう大っ嫌いなんだよ!全部芝居がかってんだ!必要以上にぼろいアパートに住んでエアコン付いてるのに石油ストーブ使ってケーキでもようかんでも用意できるのにラッカセイ出してやがんだぞ!挫折した自分に酔ってるだけなんだ!何が「苦しみを背負った13年」だ!ホントの世捨て人はなブログなんかやったりしないんだよ!『パシフィック・リム』に35点とか付けてんじゃねえよ!何点ならよかったんだ?そういうこと言ってんじゃないんだよ!あんたはえせ世捨て人だって言ってんだよ!何か…すげえそっくりだなこの2人。
この世捨て人にしてこの高等遊民ありだな。
こんなやつと一緒にすんな!あんたが若い女とよろしくやってる間母さんがどれだけ苦労したと思ってんだよ!1人でどんだけ…!あなたのせいでしょう!彼が教育学者としての道を捨てたのも夫婦関係が壊れたのも留美さんが1人で苦労し続けてきたのも本はといえば全てあなたが原因じゃないですか!あなたの方こそ面会を拒否する資格はありません。
フッ…。
偉そうに…。
人の家族を修復しようとしてんのか?そういうのをな善意の押し付けっていうんだよ!私は末期がんで間もなく死を迎える妻に夫を会わせない権利など誰にもないと言ってるんです!死を迎えるとか言うな!努さんを留美さんに会わせるならここにサインをしてください。
会わせないならこの場で破きます。
君はまるで…母が死ぬのを待ち望んでるかのようだよ。
何ですって…。
何でもかんでもてきぱきやりやがって!生き生きしちゃってるじゃないか!悲しくないのかよ!私はただ悲しんでぼう然としているのは時間の無駄なのでやるべき…。
悲しくてぼう然としてやるべきこともできなくてただただ途方に暮れてばかり。
それが人間だよ!大切な人の死ってそうやって迎えるもんだろ!その方が母さんだってよっぽどうれしいはずだよ。
ねえ母さん。
おっお〜母さん!聞いていたのか…。
さっきから末期がんとか死を迎えるとか何なのよ。
誰か死んじゃうの?お母さん…。
(留美)んっ?もういいよ。
僕たちみんな分かってるんだよ。
もう嘘つかないでよ。
はっ?私?私は胃潰瘍よ。
もういいって!僕も一緒に苦しむから!母さん藪下さんとの結婚なくなったから。
すいませんご期待に沿えず。
僕は結婚なんかしない。
まだまだ僕には母さんが必要だよ。
だから死なないでよ…。
もっともっと長生きして僕を寄生させてよ!私は死なないと思うけど…。
・
(看護師)谷口さん。
(留美)はい。
(看護師)お時間ですよ。
(留美)あっ…。
(看護師)行きましょう。
(留美)はい。
(留美)ねえ私って胃潰瘍よね?
(看護師)はい。
胃潰瘍ですよ。
頑固ですね留美さん。
看護師まで…。
守秘義務がありますから。
(宗太郎)あっ終わった。
んっ?もう?早いな。
まずいですね。
手の施しようがなかったのかもしれません。
そんな…。
先生!あっどうも。
無事終わりましたんで。
せっ成功したってことですか?もちろん。
ずいぶん早かったですが…。
(医師)あっそりゃあ腹腔鏡でちょっと取るだけなんでね。
他の臓器に転移はしていなかったんですか?
(医師)転移?転移ってのはないね胃潰瘍だから。
まっ数日もあれば退院できますんで。
どうも。
どうだい?今夜一杯これ。
(男性)ああぜひ行きましょう。
(医師)あっ君も?
(女性)じゃあぜひお願いします。
守秘義務が徹底していますね。
あのさみんなうすうす思ってるだろうけど…これってやっぱ胃潰瘍じゃね?胃潰瘍だな。
末期がんって言いだしたのは誰なんだ!君だよ。
だって留美さんが…。
私は胃潰瘍って言ったわよ。
ホントのこと言ったのになぜ責められなきゃいけないのよ。
何か憂いを含んだ感じで言ってたじゃないか。
憂いを含もうが含むまいが私の勝手でしょ。
人生の終末の準備みたいなことしてたのは?葬儀屋行ったり教室や家のこととか整理したり。
それはそんな気分になったからよ。
紛らわしいなあ。
もうたかだか胃潰瘍で人騒がせな。
たかだか胃潰瘍ってのは違うな。
決して軽い病気じゃないし手術となれば一大事だ。
(留美)そうよ。
(努)ましてや一度はがんが疑われたわけだから本人はいろんなことを考える。
もちろん最悪のケースも想定したろう。
死というものを初めて間近に実感するんだ。
人生を畳む準備をしておこうと考えても少しもおかしくない。
むしろごく自然なことだ。
いや君ら若い人たちも同じなんだよ。
人間いつ何があるか分からない。
今日ある命はあしたあるとは限らないんだ。
いつ人生が終わってもいいように準備しておく。
それは誰しも必要なことなんじゃないかな。
そういうことよ。
さすがあなた。
分かってるわね。
まあ何はともあれ手術が無事済んでよかった。
ほっとしたら何だかおなかがすいてきちゃった。
あなたの所にあった…あっラッカセイ。
あれ食べたいわ。
(努)あああれうまいだろ。
(留美)うん。
やめられなくなるのよね。
あれどこの?
(努)千葉だよ。
(留美)あ〜。
フフ…。
(努)あれうまいんだよな。
今の会話の意味を解釈できずにいるんですが。
僕も。
13年ぶり感が2人からまったく感じられないのは俺だけ?私も。
つまり努さんのアパートに通っている女性というのは…。
嘘だ…嘘だ嘘だ。
それはない。
それはないよ。
(宗太郎・巧の笑い声)そうなの?
(留美)んっ?まあね。
(留美・努の笑い声)嘘だと言ってくれ!
(留美)巧ごめんね。
悪夢だ…。
いつごろから?ん〜?4〜5年前かな。
電車でばったり会ったりしてね。
まあ何となく喫茶店で話して。
(留美)うん。
何となくアパート行くようになって。
しょっちゅう行ってたんすか?
(留美)ううん。
そうでもないわよ。
せいぜい月に1回か2回か…。
(努)んっ…。
3回?13年絶縁してたの僕だけか!末期がんより衝撃だよ!何で黙ってたわけ?
(留美)う〜ん…。
だっていまさら恥ずかしいじゃない。
まあ家を出るとき近所中の人が見てたしな。
あの家に帰るわけには…。
だんだん学生のころ思い出してほらこっそりとあなたのアパートに通ったの思い出してこうわくわくした気持ちになっちゃったりして。
(留美・努)フフフ…。
フフフじゃねえよ!気持ち悪いよ!あんたら気持ち悪いよ!母さん何ちゅうブラジャー着けてんだよ!
(留美)いいじゃん。
(努)あああれは私が買ったものだよ。
うるさい!もう勝手にしろ!いいじゃないか。
なあ?
(留美)ねえ。
似合ってたよ。
(留美)うん。
うれしい。
(宗太郎)帰るぞ。
(留美)どうして分かるの?私の好み。
・
(俊雄)もしもし。
・お父さん。
(俊雄)どうした?頭が真っ白になってやるべきこともできなくてただただぼう然とするばかり…。
人は大切な人の死に直面すると得てしてそうなるものよ。
そしてそのことをおそらくお母さんも恨んではいないわ。
それもまた見送り方の1つなの。
・だからお父さんは後悔する必要はないわ。
うん。
それだけ。
ありがとう。
おやすみなさい。
ありがとう。
70点はいくよ。
『パシフィック・リム』は。
あり得ない。
40点は絶対に超えない。
『アバター』は40点。
あれこそ85点だ。
センス疑うね。
母さんから色々聞いてたよ。
働きたくないから稼ぎのある女性と結婚する…。
ふらちだ。
ふらちだが…それもまた生き方だ。
ただ1つ言っておく。
妻を支えて家庭を守る…。
きっと外で働く方が楽だぞ。
そうだろ?母さん。
面会時間終わりだよ。
・
(チャイム)・
(チャイム)返事を聞きたくて。
谷口さんとはどうなりましたか?谷口さんは婚姻届を破棄しました。
じゃあ自分と付き合ってくれますか?自分は真剣です。
結婚を前提に付き合ってください!・
(足音)2015/03/02(月) 21:00〜21:54
関西テレビ1
デート〜恋とはどんなものかしら〜 #07[字]【母入院!!結婚に向けて急ピッチ!?】
巧の母留美は胃潰瘍のため入院することに。一方、依子は母小夜子を胃ガンで亡くした過去を思い出し巧と結婚契約書を完成すべく急ピッチで作業を進めようとする。
詳細情報
番組内容
藪下依子(杏)と谷口巧(長谷川博己)は、「結婚契約書」の作成を急ピッチで進めていた。ふたりが急ぐのは、谷口留美(風吹ジュン)が体調を崩したからだった。以前の検査では異常はないと言われたが、最近、貧血と体重の減少があると言う。依子に紹介された病院で検査を受けた留美は、胃潰瘍と診断され手術が行われることになった。
結果を聞いた巧、島田佳織(国仲涼子)、島田宗太郎(松尾諭)も安堵するが、不安が
番組内容2
よぎった依子は、藪下俊雄(松重豊)に胃がんで亡くなった藪下小夜子(和久井映見)の当時の症状を尋ねる。
そんな日の深夜、巧がリビングに下りてくると、留美が読んでいた書類を引き出しに片づけて去っていった。巧が取り出して見ると、それは、家や土地の権利書だった。さらに、佳織や宗太郎も、留美が身辺整理らしいことをしている言動を目撃。小夜子のことで後悔がある依子は、自分たちが出来ることを速やかに実行しよう、
番組内容3
と巧らに呼びかける。
その裏で宗太郎は、鷲尾豊(中島裕翔)に、依子と巧が結婚を合意するタイムリミットが迫っている、とハッパをかける。
ある日、谷口家で「結婚契約書」の作成をしていた依子がリビングに下りると、留美が不要品の整理をしていた。そこで依子は、巧の父親の写真を目にする。留美の夫でもあるこの男性がいつ亡くなったのか、と依子が尋ねると、留美は意外な事実を告げた。それを聞いた依子は…。
出演者
藪下依子: 杏
谷口巧: 長谷川博己
島田佳織: 国仲涼子
鷲尾豊: 中島裕翔(Hey!Say!JUMP)
島田宗太郎: 松尾諭
藪下小夜子: 和久井映見
谷口留美: 風吹ジュン
藪下俊雄: 松重豊
スタッフ
【脚本】
古沢良太(『リーガルハイ』シリーズ、『相棒』シリーズ、『外事警察』『ゴンゾウ』、映画『エイプリルフールズ』、映画『寄生獣』シリーズ、映画『三丁目の夕日』シリーズ、映画『少年H』、映画『キサラギ』など)
【企画】
成河広明(『リーガルハイ』シリーズ、『すべてがFになる』『ラストホープ』『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』
スタッフ2
『ストロベリーナイト』シリーズ、『謎解きはディナーのあとで』シリーズなど)
狩野雄太(『大使閣下の料理人』『世界一即戦力な男』など)
【プロデュース】
山崎淳子(『リーガルハイ』『マルモのおきて』シリーズなど)
【演出】
武内英樹(映画『テルマエ・ロマエ』シリーズ、『のだめカンタービレ』シリーズ、『電車男』『カバチタレ!』など)
スタッフ3
石川淳一(『リーガルハイ』シリーズ、『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』『ストロベリーナイト』『謎解きはディナーのあとで』『ジョーカー 許されざる捜査官』など)
【音楽】
住友紀人
【主題歌】
chay「あなたに恋をしてみました」(ワーナーミュージック・ジャパン)
【制作】
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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