(エンジン音)
(衝突音)太平洋戦争末期。
10代20代の若者が敵艦に体当たりした特攻作戦。
その戦果は当時の新聞で大々的に伝えられた。
「琉球決戦30隻撃沈」。
「空母など11隻撃沈。
特攻隊出撃。
甚大な損害を与えた」。
特攻の戦果は誰がどこでどのように確認していたのか。
鹿児島の基地でアメリカ軍の通信を傍受。
上官の指揮の下で敵に与えた損害を記録していた。
戦果は上官が誇張して報告していた。
戦後70年初めて口を開いた。
パイロットの目には戦果はどのように映っていたのか。
特攻機の突入を上空から見届け報告する任務に就いていた。
鹿児島の基地から沖縄まで特攻機を誘導した。
軍の上層部は国民の戦意を高めるため特攻を利用し続けた。
海軍の内部文書には次のように記されている。
「特攻隊精神で行け。
必死必中の精神で体当たりだ。
特攻隊の功績は空母何隻撃沈のみにあるのではなく国民に与えた精神的影響こそ真の功績なのである」。
(墜落音)延々と畑が続くこの一帯には70年前特攻作戦の基地があった。
沖縄戦の特攻で命を落とした1,036人の遺影が並べられている。
昭和20年4月1日。
アメリカ軍が沖縄に上陸。
知覧から連日のように特攻機が出撃した。
およそ50機が出撃する大規模な作戦が行われた。
海軍の最高機関軍令部の記録にこの日の戦果が記されている。
海軍は2隻を撃沈。
陸軍は第六航空軍が7隻。
第八飛行師団が12隻に大きな損害を与えたとしている。
一方アメリカ側の損害をまとめた…沖縄で特攻機に沈没させられたのは掃海艇1隻と記録している。
損傷を受けた艦船が6隻。
損害は日本軍が記録した戦果の3分の1にとどまっている。
4月22日の特攻作戦に参加した元パイロットが見つかった。
こんにちは初めまして。
17歳で少年飛行兵に志願。
フィリピン・レイテで航空戦に参加した歴戦のパイロットだった。
作戦の前日特攻機11機を知覧から沖縄まで誘導する任務を命じられたという。
特攻隊員に与えられたのは本来作戦には使われない練習機。
戦闘用の飛行機に乗り込んだのは橋さんだけだった。
橋さんは特攻機を沖縄付近まで誘導し引き返してきた。
その後戦果があったかどうかはあえて確かめなかった。
(墜落音)軍の上層部は戦果をどうやって把握していたのか。
福岡に司令部のあった陸軍第六航空軍。
司令官菅原道大中将は戦後回想録に次のように記している。
「軍としてはおおむね左の方法を併用した」。
1つ目の手段。
飛行機で戦果の確認を行っていた元パイロットが見つかった。
沖縄上空2,000メートルから特攻機の突入を見届けるのが任務だった。
(通信音)戦果を確認する2つ目の手段。
体当たりの直前隊長機が無線機で送信する…元通信兵…70年前沖縄から送られてきた突入報を今も忘れていない。
(通信音)これが「セ」の符号ですね。
(通信音)これを…。
(通信音)これを繰り返しながら行って最後に突入する時にはこう…押しっ放しになる訳ですよね。
(突入報)
(突入報)
(墜落音)
(突入報)
(撃墜音)そういう事もありますから両方ありますからね。
何しろ自分の命を懸けて攻撃に行った訳ですからね。
消えた突入報は成功と判断されたという。
戦果確認の3つ目の手段。
アメリカ軍の無線傍受。
4月22日の特攻作戦でも報告書にその記録が残されていた。
「撃沈艦船種不詳2。
空母の公算大1。
大破空母の公算大1。
右は敵信傍受により判明せるものとす」。
無線を傍受していた通信兵がその真相を明かした。
元陸軍特種情報部松本憲太郎さん。
日系2世で英語が堪能だった。
鹿児島の基地でアメリカ軍の戦闘機と空母などとの交信を傍受していた。
(取材者)傍受によると航空母艦が沈んだ事になっているんですけど…。
(取材者)どんな事聞いてたんですか?聞いてた事ですね。
アメリカ軍の交信を聞こえたとおりに書き取っていた松本さん。
しかし後ろで戦果を判定していた上官はその内容を誇張して報告していたという。
自分の机向かって…ヒットと…ヒットも分からない人が…大本営発表。
総合戦果撃沈。
航空母艦8隻巡洋艦3隻輸送船4隻以上。
歪められた戦果は国民の士気を高めるために利用された。
一方アメリカ海軍は本国に送った映像リポートで異なった戦況を報告している。
(墜落音)航空機による特攻で4,000人の若者が命を落とした。
特攻機を沖縄まで誘導した元パイロット橋増雄さん。
去年戦後一度も足を運ばなかった知覧に行った。
70年前自分が誘導した隊員の遺影と初めて向き合った。
ほんま涙が出た。
その人らが写真載っとったからな。
隊長とそれから5〜6名の何名だったかな。
行ってから…俺が今あるのはこの人らのためやなと思うし本当につらかった。
本当自分じゃ思ったで。
本当。
特攻機の突入を上空から確認していた北島司さん。
戦後同僚の遺族を訪ね歩いた。
一番最初の言葉が……っていう話はちょっとしてくれたんです。
「俺の息子を殺しといてお前が何でこんなとこへ来たんだ」というあのひと言はいまだに忘れちゃいけないし…胸を締めつけられるような思いがしました。
特攻で死んだ仲間にとって戦果とは何だったのか。
戦後70年今も問い続けている。
(北島)「特攻隊員として散った数々の友の死を無駄にするな」。
生涯その気持ちだけは忘れないようにしていかなきゃいけないなと思っております。
犬死になんて絶対にあっちゃいけない言っちゃいけない事だと思うし犬死にじゃないと思っています。
私はそう思ってます。
(突入報)2015/03/01(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「特攻 歪(ゆが)められた戦果〜元兵士 戦後70年の証言〜」[字]
太平洋戦争末期、4000人以上の若者が命を落とした特攻。大々的に報道された戦果は、どのように確認されていたのか。元兵士たちの証言から明らかになってきた…。
詳細情報
番組内容
米軍の通信を傍受する任務についていた90歳の元兵士が、去年初めて証言した。「敵艦がまだ浮いているのに、上官は“ごう沈”と報告していた…」特攻の戦果が、誇張されていたというのだ。出撃したパイロットたちは、「戦果なんてあるわけがない」と口をそろえる。なぜ軍は特攻を続けたのか。軍の内部資料から、その目的が明らかになってきた。特攻の戦果はどう作られ、利用されていったのか。元兵士たちの証言から、実態に迫る。
出演者
【語り】仲村トオル
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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