ETV特集 アンコール「生きづらさに向き合って〜ある精神科クリニックの挑戦〜」 2015.02.28


札幌で2年前に出来た精神科のクリニックが何か独自の方法で診察やケアをしているらしい
そんな話を聞いて私は取材を申し込みました。
何度も通ううちにありのままを撮っていいという許可をもらいました
それは何ですか?先生。
(吉田)今週は少ないですね。
すごいそういう所までやっぱりちゃんとケアするんですか?そうですね。
ココアさんはやっぱり特別な存在なんでしますね。
あとまあ内容も見たり…。
普通の精神科クリニックにはないような冗談を言い合う雰囲気にまず私は驚きました
やっぱりそういうところから生活をちゃんと支えていくのが大切なんですかね。
そうですね。
症状を聞いて薬を処方して終わりというよくあるパターンと違ってきめの細かい診察でした
切りたい切りたい切りたい!
そして私が最も驚いたのは患者同士が共に病について語り合い励まし合うクリニック独自のプログラムです
(向谷地)「痛い」じゃないわけ?
(ココア)痛くない気持ちいい。
心の中の苦しみ「生きづらさ」を比喩や寸劇も駆使して仲間と共有し対処法を皆で考えるのだといいます
なのでもしココアさんがこれから先ず〜っと…ありがとうございます。
今の精神科医療また精神保健福祉の大きな一つの目標が…そういう中で……というのは一つの大きな目標になってきてるんですね。
(笑い声)
このクリニックではいつも笑いが絶えません。
「生きづらさ」を抱えながら懸命に生きようとする人々。
そのありのままの姿を記録しました
全国で精神疾患の患者数はおよそ320万人。
がん患者の2倍に達しています。
札幌市内では精神科の診療所の数がこの15年で一気に倍増しました。
その一つが2年前に出来た札幌なかまの杜クリニックです。
(一同)おはようございます。
毎朝必ず開かれるミーティング。
スタッフは総勢30人です。
あした給料日です。
イエーイ!
(拍手)若き院長吉田匡伸さんは精神科医。
患者に寄り添う医療がしたいと2年前大阪からやって来ました。
クリニックを支えているのは医師や看護師だけではありません。
患者の相談に応える精神保健福祉士そしてリハビリに携わる作業療法士などさまざまな立場の人が話し合い知恵を出し合う雰囲気に満ちています。
クリニックに通院する人はおよそ400人。
この日も一人の患者が診察に訪れました。
これまでリストカットを繰り返してきたココアさんです。
10か所以上の医療機関から診察を断られ去年7月からこのクリニックに通っています。
ココアさんは4年前体に異状が無いのに強い痛みを感じる精神疾患の一つ「身体表現性障害」だと診断されました。
今は症状はおさまっています。
はいではまた来週ね。
ちょっと!何さいいじゃん。
アメぐらい食べたって。
このクリニックに通う前一向に痛みが引かない現実から逃れようとリストカットを繰り返していました。
切るともう責めて責めて責めて。
自分を?…ああ。
もうそれ一方で…あそうなんだ。
薬はついに一日30錠にもなりました。
めまい吐き気などの副作用にも苦しみます。
もう何十件といって電話はかけたんですけど。
遺書とかももう全部書いて。
遺書?遺書。
それはどうして?もしその「なかまの杜」が駄目だったらもう行くところがないからもう死のうって決めてたんですよね。
今回番組は札幌にある精神科の医療機関155か所にアンケートを実施しました。
回答を得た55か所のうち12か所がリストカットをする患者や薬を大量にのむ患者の診察を見合わせた事があると答えています。
その理由は対応する人員が確保できない事医療者と患者の信頼関係が保てない事などです。
精神疾患の患者が社会復帰するための活動に長年取り組んできました。
残念なんですけど民間の精神医療で動いてますので医療自体が。
経営的にちゃんとコストというか収益として保証されると丁寧な関わりをしたらその事がちゃんと収益としても保証されるという枠組みが無いと…その中でなかまの杜の位置づけというのはどういう所にあるんでしょうか?30人のスタッフが支えられるデイケアとかいろんなプログラムを使いながら支えるっていう体制自体が非常に画期的だと思うんですね。
…という期待はありますね。
これは何ですか?睦実さんのバースデーケーキでございます。
睦実さんというのは?スタッフの三浦睦実さん今日三十うん歳になりますので。
呼んできたよ。
呼んできた?
取材をしてみて驚いたのはクリニックでのスタッフと患者の垣根の低さです。
お互いに誕生日を祝い合います
じゃあ皆さんで歌を歌いたいと思います。
せ〜の…。
・「HappyBirthdaytoyouHappyBirthday…」
またクリニックの名前にもあるとおり患者同士の仲間意識の強さも他の精神科では見られないものでした
(一同)おめでとうございます!どうもありがとう。
こうした雰囲気はどのようにして培われたのでしょうか。
取材を進めると私はあるケア・プログラムに突き当たる事になりました
ありがとう。
みんなありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
ありがとう。
よろしく。
そのプログラムはクリニックでは毎週行われています。
「デイケア」と呼ばれる患者のリハビリ・プログラムの一つ「当事者研究」です。
スタッフと患者がホワイトボードの前に集合しこの日も当事者研究が始まります。
「当事者」とは精神疾患で苦しむ本人の事です。
今回の当事者はココアさんです。
どうしてリストカットを繰り返したのか今はどうして収まっているのかそのメカニズムを皆で「研究」していきます。
(拍手)司会進行はクリニックの理事を務める向谷地生良さん。
ベテランの精神保健福祉士です。
ココアさんの苦しみ「生きづらさ」の詳細をユーモアを交えながら聞き出していきます。
え〜?ああこっちの方ね。
髪の毛じゃなくて。
ああそうだった。
切りたい切りたい切りたい!まずはリストカットを繰り返していた頃の心境です。
彼女をそそのかすあるえたいの知れない存在が浮かび上がってきました。
(ココア)「カットちゃん」とか「リストカッター」とか。
(向谷地)カットちゃんがこう襲ってくるわけでしょ?それは「カットちゃん」と名付けられました。
「ああそっか。
今日私切ってない」って思って。
(向谷地)これ。
(ココア)ガーッとカットして。
(向谷地)「痛い」じゃないわけ?
(ココア)痛くない。
気持ちいい。
そして現在の状態。
(向谷地)ストップ?こうやって当てるだけでも気持ちいいんだけどそこからはもう引けなくなってる。
(向谷地)まね事をする?そう。
(向谷地)ちょっといい?何か今までだったら半年前はカットちゃんが出てきたらそそのかされたらすぐスパッといっちゃったよね。
気持ちいいだったよね。
だけど今は出てくるから一応まね事はするけどそのあと止まっちゃうよね。
この差は何なんだろう?
(向谷地)何が自分にとってよかったというのあります?当事者研究をやってまず…しばらく来てなくてもここに来ると挨拶してくれたりとかいつもどおりの空気で皆とわいわい話せるからそれも大きいのかな。
(向谷地)自分の居場所。
この今の今日やってくれた当事者研究を自分でも振り返って見てたら…ちょっとマルつけて下さい。
(ココア)花マル。
リストカットをしなくなった自分自身にココアさんはマルをつけました。
まあ困難さを抱えた人たちは大体ああいうのって心にしまっていて…なかなかその人の持っている生きづらさみんなのものになったり…研究という形でその人が自分で考えたりみんながいろいろ知恵を出し合うというこの循環が生まれる事によって…そういう効果があると思いますね。
札幌から車で3時間余り北海道浦河町です。
クリニックで行われている当事者研究はこの町で生まれました。
生みの親は向谷地生良さんです。
35年前大学を卒業後浦河町の病院にソーシャル・ワーカーとして就職しました。
そして病院に勤めながらこの教会の一角で精神疾患の患者たちと一緒に暮らし始めたのです。
同居したのは病院は退院したものの社会になじむ事ができず行き場をなくしていた人たちでした。
79年の4月にここへ住み始めて足かけ3年半ここで暮らしたんですよ。
皆さんと?そうですね。
でも特別ね何かしたというよりも同じ屋根の下で普通に暮らしてたという。
向谷地さんが病院に就職して間もない頃の事です。
退院した患者が言った「これからどうやってこの町で生きていけばいいのか」というひと言が一緒に活動するきっかけとなりました。
実際現場に入ってみたらですねもう例えば今で言えば幻覚や妄想とかその人たちの中における…
(向谷地)その中でやはり…精神疾患の患者は社会とどう関わっていくべきなのか。
それは精神医療の歴史で長年のテーマでした。
日本ではかつて患者の多くが「私宅監置」と呼ばれる状態に置かれていました。
いわゆる座敷牢に閉じ込められたまま一生を終えていたのです。
しかし病院で治療を受けさせるべきという批判が高まり1950年私宅監置は法律で禁止されます。
1960年代に入ると入院施設を備えた精神病院が数多く設立されました。
治療薬も開発され激しい症状は抑えられるようになりました。
ところが今度は入院が長期化し事実上社会から隔離されているのではないかという疑問の声が巻き起こります。
海外に目を転じると1970年代精神病院の閉鎖性を改革していく動きが現実に起き始めていました。
イタリアトリエステでは精神病院を無くそうと1,200人の患者を少しずつ退院させて地域でのケアに切り替えていきました。
そして1978年精神病院を廃止していく法律が制定され世界の先駆けとなりました。
今日は何を?今日はこれから当事者研究。
こうした歴史を背景にして1984年向谷地さんと患者たちによって設立されたのが「浦河べてるの家」です。
・「みんな君が目当てさ」・「とても心配なんだ」どうも。
(拍手)現在も統合失調症の患者などおよそ100人が通う自立支援の活動拠点です。
精神疾患の患者が地域で自立して暮らしていくためにはどうしたらいいのか。
向谷地さんらはまず働く場を作ろうと考えました。
地元特産の日高こんぶを製品化する作業所をつくり販売する事を始めました。
しかしそれぞれが抱える苦しみ生きづらさと向き合う事なく仕事をしてもうまくいきません。
妄想や幻聴などの症状が出てトラブルにつながる事態が頻発しました。
そこで向谷地さんは患者たちと生きづらさに向き合う方法を模索し始めます。
そして試行錯誤の末に作り上げたのが当事者研究でした。
べてるの家では今でも毎週当事者研究が行われています。
これから当事者研究を始めます。
(拍手)今やここを視察で訪れる福祉・医療などの関係者は年間3,000人に上るといいます。
北陸の福井県から参りました。
去年に続いて2度目お邪魔しています。
どうぞよろしくお願いします。
(拍手)最初ですねトップバッター太一さん。
佐藤太一さん。
(拍手)この日の当事者は統合失調症の佐藤太一さん31歳です。
当事者研究の進め方にはポイントがあります。
その一つは自分だけの病名を付ける事です。
(向谷地)水飲みで苦労するタイプ。
佐藤さんは無人島にいるような孤独感から水を飲み過ぎて命に関わるような状態になり入院をした経験がありました。
他の参加者もそれぞれ固有の病名を持っています。
…と最近では名乗っています。
自分いじめられた経験とかすごく昔の事を思い出してしまうと固まって過去の自分と対比してしまって固まってしまうという自己病名を持ってます。
(向谷地)はいありがとうございました。
大体皆さんはべてるの人たちだったら統合失調症とかですねまたは何々病ですというふうに大体こういくつかの病名に分類されちゃう。
ところが当事者研究してみると…それを単純に統合失調症っていうだけで…そうですね。
ああ…見つめないで眺める。
佐藤さんは「ウラチュー」と名付けた幻聴が背後から暴言を吐くので困っていると発表しました。
派手に生きろとかもっと違った生き方をしろとか。
当事者研究の次のポイントは対処法を皆で考えるという事です。
似たような症状で苦しむ人もいます。
共通点を確認し経験を共有していきます。
佐藤さんだったらどんな感じですか?ウラチュー。
これから仲良くしてこう。
後ろ振り向く感じ?うん。
後ろ振り向いて。
更に自分だけが苦しいわけではないと感じ孤独感を解消できる点も重要だとされます。
やっぱり俺は一人でいるとウラチューさんに襲われて大変だからみんなの所に行ってみんなにウラチューさんの事を知ってもらってウラチューさんをみんなで共有しようとか。
どこか出かけるわけ?出かけて…。
ウラチューついてくるよね。
実は一人でいるとウラチューがひどくて水飲みもひどくてたばこもひどいからそれ何とかしたいと思ってるんだけど相談乗ってくれるかいって仲間つくっていったらだんだん独りぼっちの人生よりいい人生になっていくんじゃないかと。
なるほど現実の人のつながりとか友達とか相談相手を増やすという。
やっぱり参考になりますね。
同じ症状の人がいればやっぱり変わっていくんで。
こうしてこれまで医療スタッフに治療を任せきりだった患者が主体性を持ち病気に向き合うようになるといいます。
友達の所に行くと幻聴さんついていくよねウラチューはね。
はい。
(拍手)太一さんね今日浅野君からとてもいいアイデアをもらったような気がするんですけどね。
水って必要な分だけ飲むけどあんまり飲み過ぎると大変になるし結構命懸けなんでそこで結構アドバイスを受けて参考になったんでありがとうございました。
(向谷地)ありがとうございました。
(拍手)べてるの家の設立から今年で30年。
仲間と生きづらさを分かち合いながら病気に向き合い共に回復を目指す。
北海道の浦河町生まれのやり方が今精神医療の世界で注目され多くの医療機関で実践され始めています。
精神科医の伊藤順一郎さんもべてるの家の試みに注目してきました。
しばしば……というスタンスに立ちやすいんですけれどもそれだと…なんだけど実際にはその…どうやってその苦労を抱えながら人生取り戻したかという事については…そこがとても魅力的だなというふうには思いました。
30年にわたる浦河での実績。
それを向谷地さんは札幌の街に広げていきました。
札幌なかまの杜クリニックでは周辺地域の清掃活動に積極的に参加しています。
精神疾患の患者が地域で暮らすためには周辺住民との関係が課題です。
グループホームなどの施設の建設反対運動は今でも全国で起きています。
クリニックでは患者に対する理解を深めてもらうためにも地域とのつながりが重要だと考えているのです。
じゃあこれからもこういった関係というか…。
そうです。
お互いに交流し合おうという事でできるだけ積極的にお互いにという事でやってます。
去年は地域の人をクリニックの行事に招待して交流を深めました。
皆さん町内会の方とメンバーさんが会話してるのを見るとね病気のある人とそうじゃない人との関わりを超えてるじゃないですか。
温かいなと。
これが本当に当たり前になる事が理想だなって思いますね。
ありがとうございます。
このクリニックは精神疾患の患者の働く場にもなっています。
実は30人のスタッフのうちその半数近くが自分自身も精神疾患のある当事者です。
精神保健福祉士の西坂自然さんもその一人です。
体調がすぐれない時もあるため勤務は週2日程度です。
この日西坂さんの司会で行われていたのは「弱さの分かち合い」というプログラム。
自分の内面の弱い部分を互いに語り合います。
西坂さんの病名は統合失調症。
大学卒業後さまざまな仕事に就きましたが長続きしませんでした。
しかし一念発起して精神保健福祉士の資格を取得。
2年前のクリニック開設から働いています。
就職すればやっぱり病気が壁になって人間関係がうまくできなかったりとかうまく作業ができなかったりとかして脱落してきたんですけど…その背景に…最近苦労している事は…。
更にこのクリニックでは精神疾患の当事者が特に資格を持たない「ピアスタッフ」「仲間」のスタッフとして働いています。
現在7人のピアスタッフが障害者雇用の助成制度を利用して勤務しています。
「あいつ島貫頑張ってたな」と評価をされるようにしむける計算をするんですよ。
ピアスタッフの島貫さんは22歳の頃統合失調症と診断されました。
医療器具の販売などの仕事をしていましたが充実感が得られませんでした。
このクリニックに患者として通い始めて1年後ピアスタッフの募集に応募して採用されました。
面白い。
だって充実感がないというのは今までの仕事全部が嫌いだったというか興味無かったわけじゃないけど興味のある仕事もいっぱいしたけど…だからあんまり手応えを感じてなかった。
だからね一日の仕事もそうだし一日の流れもそうだしね…リストカットを繰り返していたココアさん。
彼女も自立を目指して新たな挑戦を始めました。
一度は断念した高校の卒業資格を手に入れようとインターネットの通信教育を始めました。
「『男あり書読む』。
こういうものを訳す時ね『男がいる本を読む』」。
ココアさんの夢は精神保健福祉士になってこのクリニックで働く事です。
つらかった自分の体験を生かして人の役に立ちたいと思うようになったのです。
すばらしい。
ありがとうございます。
こんにちはみずしげさん。
どうも。
クリニックで気になった患者がいました。
みずしげさんは活発に発言し仲間を引っ張るリーダー的な存在だったからです
ところが取材するとみずしげさんは1年前までは精神科の病院に入退院を7回繰り返していました。
うつとアルコール依存症でした
自宅には今でも荒れた生活の跡が残っています
見た目は変わらないんですけど裏を見て頂くとここ割れてるんですよ。
何で割れてるんですか?多分私が記憶がない状態で酔っ払ってこうバタンと倒れてここがもう壊れちゃったんじゃないかな。
首がもう回らないんで。
これ取れちゃうんですよ。
なるほど。
みずしげさんは去年4月お酒と睡眠薬を飲んだあとストーブの傍らで眠り命が危ぶまれるような大やけどを負いました
ここの部分ですね。
これがやけどの。
今ではこうした生きづらさから解放されつつあるというみずしげさん。
この時札幌で開かれる市民マラソンに仲間と参加する事を目標にしていました
社会の一員としてどのような目標を持ってどう生きていけばいいのか?精神疾患でつらい思いをした人たちだからこそ皆それを真剣に考えている。
そんな思いを私は強く抱きました
それが私の場合はたまたまマラソンというものに見つけただけで。
なのでこれを自分だけで楽しんじゃうのはもったいないなと思ってもっとみんなにシェアしてほしい。
マラソンだけじゃなくていろんな事を楽しむという意味でシェアしてほしいなと思ってます。
8月。
浦河町で年に一度のイベントが開かれました。
べてるの家の活動を対外的に発表する「べてるまつり」。
この場に札幌なかまの杜クリニックの人たちも参加しました。
(叫び声)叫び声が響き渡りました。
(ココア)もう家…。
ココアさんは突如パニックになり自分の家に帰りたいと訴えていました。
札幌に帰る〜!いつも札幌なかまの杜クリニックという所で気心知れたメンバーの中で過ごしていて…なかまの杜的に言うと「爆発した」という感じではあるんですけど。
ココアさんはこれまで比較的症状は安定していました。
しかしこの日人前で全く感情がコントロールできなくなってしまったのです。
会場では歌が披露されました。
べてるの家に通う男性の自作の曲です。
サンキュー!歌で盛り上がる中会場に戻ってきたココアさん。
この時期リストカットはおさまっていましたが新たに感情のコントロールという課題に直面していました。
えっ?顔描くの?ココアさんの新たな課題をめぐって当事者研究が再び行われました。
こんな感じ。
ジャックマンという名の何者かが現れその存在に自分の感情が支配されていると発表しました。
ここに何かねやり持ってる。
全部この苦労を自己病名にすると…。
(向谷地)ジャックマンが現れるとどんな現象が起きるんですか?「てめえこの野郎」。
(向谷地)口が…?そうそう「ふざけんなよてめえコラ」とか。
ココアさんはジャックマンに暴言を吐かされていると言うのです。
「てめえこの野郎」を見た事ある人?つらい経験をした他の精神疾患の当事者たちと共に考えます。
(向谷地)「てめえこの野郎」現象を見たらどんな気分になりますか?ああジャックマン来たんだな。
どうですか?
(向谷地)最近これ行かないよね。
(向谷地)残念な事に。
(ココア)うんすごい残念だった。
皆で一緒に研究して皆のパワーもらってるうちにね…リストカットから「てめえこの野郎」へって。
(向谷地)助けに来てるという。
一見ココアさんをおとしめてるようだけど実は和田説では…。
(向谷地)助けに来てくれる説はどうですか?皆さん。
スタッフといざこざがあった時に「後からちょっと話そう」って「今忙しいから後から話そう」って。
最近は「何時だったら時間空いてる?」と聞くように心掛けてはいるんだけど。
(向谷地)ちょっと待ってね。
「てめえこの野郎」現象というのは何かこう人と話したいとか私の話を聞いてって。
そうそう構ってちゃんだから。
(向谷地)…という時に「てめえこの野郎」なんだ。
(向谷地)そうか。
参加者から「他人と話す前に自分とまず向き合う事が必要ではないか」という意見があがりました。
(向谷地)自分を置き去りにして人に「聞いて聞いて」ってやると常に自分が寂しくて自分が置き去りになって自分が満足しなくなるよというのは当事者研究でよく言うよね。
丸投げ。
丸投げっていうんだよね。
(向谷地)という事はなりたくもないのにジャックマンに襲われる苦労の丸投げ症候群。
(向谷地)意外に深いね。
(ココア)意外とね。
自分と話をするというか自分に相談するとかいう習慣をどうやってつけたらいい?和田さんだったらどうやって?悩んで自分で自分と相談して何で私今こういう気持ちなんだろうとか何で私こういうふうに考えてるんだろうという事を自分なりに考えたりしていったりとか…
(向谷地)そしたらまるでもう一人の自分を目の前に置いてるような感じで自分と対話するんだって。
(向谷地)自分と対話する方法について今和田さんみたいにお風呂入った時に自分を目の前に置いてみるとかちょっと書いてみるとかこの辺の…意外にやっとそこまで来てくれたかって意外にねお休みするかもしれないね。
(向谷地)とにかく今日は何が起きてるかっていうのが更に分かったって一番の収穫だね。
そう。
(向谷地)いやそりゃそうだね。
さまざまに形を変えてココアさんを苦しめる症状。
それを自分の事のように考えてくれる仲間の存在がココアさんを前向きな気持ちに変えていきました。
やっぱり薬物医療だけではなく仲間とつながる事だったり自分の人生を考える場をつくる事だったり就労支援がある事だったり生活が整えられるようにする事だったり…これは実は高齢者医療かなんかでも同じで病だけではなくその人の生きがいだったりとか生活全体をどう支えるかというのはポイントになってきてますし。
がん治療においても同じような事が今言われ始めているわけで。
まあ医療というもの自体がそういう包括的な生活を支える事の一部として位置づくというのが意味がある事じゃないかなと思います。
仲間とマラソン大会に参加する事を目指していたみずしげさん。
みんなに呼びかけクリニックでマラソン部を結成しました。
大会を控えておそろいのオリジナルTシャツが出来上がりました。
デザインをする人発注する店を探す人などそれぞれが役割分担をして仲間と共に作り上げたTシャツです。
はい。
(拍手)どう?出来上がってうれしいです。
10月5日札幌マラソンが行われました。
クリニックからはみずしげさんを含めて8人が参加。
応援に駆けつけたココアさん症状はなおも一進一退です。
ではいきます。
なかまの杜頑張るぞ!
(一同)お〜!イェーイ!
(拍手)浦河の教会で生まれ札幌へとつながった精神医療の一つの試み。
そこには生きづらさに向き合い自立への道をひた走る人たちの姿がありました。
よく頑張った。
お疲れさま。
2015/02/28(土) 23:00〜00:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集 アンコール「生きづらさに向き合って〜ある精神科クリニックの挑戦〜」[字]

札幌の精神科クリニックで2年前から始まった独自の取り組みは、患者が自分の苦しみをさらけ出して皆で対処法を考えるというもの。仲間と回復を目指す新たな挑戦を伝える。

詳細情報
番組内容
札幌の精神科クリニックで2年前から始まった独自の取り組み。それは患者が自分自身の苦しみ、「生きづらさ」をさらけ出し皆で対処法を考えるというプログラムである。アイデアを出し合う中で孤独感が解消され、病に向き合うことができるという。精神疾患の患者数は今や320万人でがん患者の2倍に達している。そうした中、仲間と共に回復を目指すという新たなコンセプトに挑戦するクリニックの半年を記録した。

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ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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