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 首都圏の高速道路を輪のように結ぶ、首都高速中央環状線、外環(がいかん)道、圏央(けんおう)道の「3環状」で今春、4区間(計43・3キロ)が次々と開通する。東名高速など、都心と地方を結ぶ「9放射」とよばれる高速道路はすでに完成。3環状によるバイパス効果で、都心の渋滞緩和が期待されるが、巨額な事業費がのしかかる。

 中央環状線は7日午後4時、大橋ジャンクション(JCT)―大井JCTの利用が始まり、3環状で初の全線(46・6キロ)開通を迎える。渋谷、新宿、池袋の副都心やベイエリアをつなぎ、東名高速、中央道などにも首都高を通じて接続。関東一円にアクセス向上が見込まれる。首都高は新宿―羽田空港間にかかる時間が約20分に半減すると試算。都心環状線など、内側を通る高速道路の渋滞も約4割減るとしている。

 国土交通省によると、都心の高速道路を走る車の平均時速は42キロで、全国の平均84キロの半分。都心環状線では「約6割が都心に降りずに通過するだけ」との調査もあり、こうした車が慢性的な渋滞の原因とみる。

 国交省は現在、有識者会議で幹線道路の将来像を検討中だ。座長の寺島実郎・日本総研理事長は「3環状で日本のヒトとモノの流れが変わる」と指摘。「2027年には東京―名古屋間でリニア中央新幹線も開通し、『動脈』はできる。アクセス手段の『静脈』も整備し、総合交通体系として考えるべきだ」と話す。