京都市の北東。
三方を山に囲まれた大原。
(せせらぎ)暦の上では春を迎えたものの山里では厳しい寒さが続き人も動物もじっと暖かくなるのを待っている。
澄んだ朝の空気に包まれた築100年の古民家。
ベニシアさんいつものように薪ストーブに火をつけ部屋を暖める。
今これ使ってるけどこれおすし屋さんでねいっぱい割り箸が出るから捨てるのもったいないから私に「薪ストーブのために使って下さい」。
で1か月1回大きな袋もらってるからすごいこれ貴重なね。
最初は細い木じゃないとなかなかならないから。
おすし屋さんの厚意に感謝。
割り箸にはこんな使い方もあった。
部屋が暖かくなる。
うれしいなぁ。
やっぱり一番起きないといけない人大体私ですから。
これが一番の仕事ですけど。
朝食の支度。
キッチンでショウガたっぷりのチャイを作るのがベニシアさんの冬の日課だ。
ダージリンはちょっと合わないのね。
セイロンティーのほうがいいのね。
普通紅茶はゆでないのね。
でもこういうインドのやり方でインド人がこういうふうに。
で最後牛乳入れるし。
そして最近凝っているのが手づくりのヨーグルト。
あの…今年入ってからヨーグルトの乳酸菌もらってヨーグルト2日おき作ってるから。
まぁ漆の友達言ったのは漆に作ったら乳酸菌が悪くならない。
本当そうよね。
全然きれいになってますから。
友人に教えてもらった漆の器で作るヨーグルト。
フルーツと自家製ブルーベリーソースを添える。
去年のブルーベリーでソース作った。
じゃあ出来ました。
山岳写真家の夫は山に行っていて不在。
こんな日は日ざしが入る縁側の席で庭を眺めながら朝食をとる。
うん…。
寂しいって感じがあるのね。
あんまり緑が無いから。
もしかして無くなったものがあれば新しく何か考えないとあかんなぁと思って。
もうひと月もすれば次々と花が咲きだすはず。
寒さで固まっていた体が徐々にほぐれ元気がみなぎってくる!日が昇ってきたらガーデニング。
去年キブネギクが急に元気なくなって何でしょうねと引っ張ったら下の根っこのほうが白くなっているんですよ。
変な菌が入ったから出さないと庭の中に全部に入る可能性があるから。
でまずこのボレッジ。
去年病気が出てしまったシュウメイギク。
原因は土だった。
春に向けて土の入れ替えをする。
これはミント。
ミントは結構ここら辺に。
植物たちを避難させ花壇の土を30センチほど掘り起こすと石だらけ。
でも思い出す初め来た時。
この1つずつの花壇。
そっちで始まったこう行って。
それだからひとつの庭がだいたい1年かかったんだよね。
こういう石がいっぱい出てきてトラック2ついっぱい!15年前この古民家に越してきた頃の庭は荒れ放題。
ベニシアさんは土を掘り起こし石を取り除いて6年がかりでこの庭を造り上げた。
でも当時もともとあった庭の植物を残すためにこの花壇だけは土起こしをしなかったと言う。
オッケー。
こういうもの入ったら駄目ですね。
これ入ったら植物全然下の方に行けないから。
作業を始めて30分。
あっという間に石が積み上がった。
石を取り除いたら畑から持ってきた新しい土と自家製のコンポストを7対3の割合で入れる。
あの…。
生ゴミとここの庭の葉っぱと草コンフリー入れてます。
これちょっと。
最後に薪ストーブの灰を加え土をアルカリ性にする。
これはちょっとでいいのよ。
あんまり入れすぎたら。
何でも簡単に出来るんじゃないよ。
簡単に出来るものはだいたい長くもたないから。
時間かけてやったらいいものが出来るし。
丹精こめた分だけ植物は応えてくれる。
ベニシアさんは知っている。
昼下がり。
きょうは古い友人が遊びにくる。
やってきたのは京都で豆腐店を営む矢沢裕さん夫妻。
ベニシア久しぶり!きょうはお豆腐いろいろ持ってきたよ。
ありがとう!なんか豆腐食べたい。
楽しみにしてた?うん。
楽しみにしてた。
デザートもあります。
レモングラスとレモンバーベナのお茶。
(裕)バーベナ?まずはハーブティーでお出迎え。
ベニシアさん矢沢さんたちとは20代前半からのつきあい。
35年以上になる。
フフフフ。
いつ初めての会ったの?英語のレッスンも来てたんじゃない?それはもっと前。
その前?ベニシアは知らなかったけども僕らは知ってた。
もうその時ベニシアは有名人やったから。
うそ!有名人じゃないよ。
京都では有名な女の子だった。
30…。
(裕)いや40年。
40年近くたってるもんね。
70年代。
当時はヒッピーや自然食ブームなどアメリカからさまざまな文化が日本に押し寄せた時期。
そんな中ベニシアさんは瞑想教室で矢沢さん夫妻と出会った。
はい。
どうぞ。
手伝ってくれんのはいい…。
わ!すごいいっぱい!ベニシアさんは矢沢さんの作る豆腐が大好き。
きょうの手土産はもちろん豆腐。
アイテムをどんどん増やしていって。
(裕)25年かけて少しずつ。
(裕)これはきょうのお薦め!
(妻)鮓とうふのうん。
ご飯を使ったヨーグルト。
この前ベニシアからレモンバームリカー。
うんうん。
あれも少し入って作ってる。
これデザート?デザート。
甘い?甘い。
少し甘い!
(妻)きれいな器だ。
ヨーグルト好きのベニシアさん。
早速豆腐ヨーグルトを器に移し味見をする。
(夫妻)どうぞまずはひとくち。
いただきます!あこれはイケるね。
イケる?これやったらイケるやと思ったから。
正解正解。
おいしい。
いろんな豆腐を研究するのが好きかな?いろいろ。
いろいろ遊んでるんです。
フフフフ。
矢沢さんの作る豆腐は全て有機栽培の大豆から作られたもの。
味が濃いって感じたわね。
なんかしっかりしてる感じで。
それで知ってる人ですから安心で食べられると思ったのね。
豆腐や豆乳は幼い頃口にした新鮮なチーズやミルクをベニシアさんに思い出させてくれる。
午前0時。
京都府長岡京市にある矢沢さんの豆腐店。
豆腐づくりの作業が始まる時間。
矢沢さんと一緒に作業をしているのは娘婿。
2代目店主の福田さん。
今では豆腐づくりのほとんどを任せるほどの腕前だ。
矢沢さんの豆腐づくり。
こだわりはその素材。
この…一晩水つけて芯がちょっと残るぐらいですね。
このぐらいの状態にまでつけ込んだ分をこうしてすりつぶしていきます。
大体2種類か3種類の大豆をうまいことアイテムごとに合わせたブレンドにしています。
原料となる大豆は今や貴重な国産の無農薬大豆。
何種類かの大豆をブレンドして使っている。
1日水につけられた大豆は機械ですりつぶされ圧力釜で炊かれた後豆乳とおからに分けられる。
豆乳に加えるのは天然のにがり。
にがりを入れるのは今は2代目の担当。
このにがりの分量混ぜ方で豆腐の固まり具合そして味が決まる。
矢沢さん2代目に任せているというもののちょっと気になる様子。
木綿豆腐の場合少し固まったところでもう一度崩し型に持っていく。
ひとつひとつの作業を丁寧にこなしていく矢沢さん。
で少しずつこういうおもしを加えていき木綿できるの大体30分間ぐらいプレスしていくわけです。
待つことがすごく大事なんで豆腐のうまみも出てきますから。
時間を惜しまないという感じで丁寧に作ってます。
材料にこだわり時間をかける事を大事にする矢沢さんの豆腐づくり。
そこには青春時代からの思いが込められている。
もともと自然食に関心があった矢沢さん。
大学卒業後法子さんと2人でアメリカに渡り勉強会に参加。
当時日本では知られていなかった自然食の考え方を学んだ。
食べ物を通じて要は生き方を見つめ直そうという感じで関心を持って。
そこでパンづくりお菓子づくりとかをやったので日本へ帰ったら始められたらいいなぁという感じだったので。
帰国後矢沢さんは自然食品の会社に就職。
そこで出会ったのが無農薬の大豆と昔ながらの製法で豆腐や揚げを作っている店だった。
あこれだっていう感じで頂いたお豆腐がすごくおいしくて思い立ったら即やった方がいいという形の後押しがあったので前の仕事を3月に辞めてもう7月3日に開店になりますわ。
「出どころのはっきりした素材を使えば必ずおいしい豆腐が作れる」。
矢沢さんはすぐさま開業した。
素人のお豆腐屋ですから木綿豆腐と薄揚げしか作れなかったんですよね。
でそういう素人のお豆腐屋さんも受け入れてもらったというかそこで皆さんに食べて頂いたらすごく懐かしいと昔を思い出すという形で最初からお客様から支持を頂きました。
化学調味料やインスタント食品全盛の中自分の考えを貫いてきた。
その矢沢さんに共感し支えてきたのは奥さんの法子さんだ。
凝り性ですね。
何にでも凝るほうでお豆腐屋を始めても独自のものを出したいという意味での凝りは常に持っていたと思いますね。
化学物質を使うようなのが主流になってきてて逆にそっちがいいみたいなあれでなってた時にやっぱり何もそういうものを使わないでやろうと思って大豆にもこだわってというのが多分受け入れられたんだと思う。
ここに矢沢さんが今力を注いでいる新作の豆腐があると言う。
やってきたのはなれずしを作っている料理屋さん。
徳山さんこんにちは!は〜い!迎えてくれたのは新作の豆腐を共同開発したなれずしの職人徳山さん。
早速豆腐の出来具合を確認する。
今これが発酵途中かな。
若干途中段階を見てもらって一度あたりを見てもらいましょうか。
(矢沢)なかなかいい感じにつかってますね。
これは豆腐を炊きあげた御飯でくるみ乳酸発酵させたもの。
「鮓とうふ」と名付けたこの豆腐は熟成が進むとチーズのような味わいになると言う。
はい。
ありがとうございます。
まだ若いね。
若いですね。
発酵がまだ行ってないですね。
うん。
まだ豆腐が残ってますよね。
うまい。
これがもう少し熟成してくるとチーズのように変わってきます。
だからこれの仕上がりは経験から言って春!まぁ「春を呼ぶ豆腐」になるかな?
(笑い声)日本の昔ながらの知恵と食材で作ればおいしいものが出来ると矢沢さんは信じている。
そんな矢沢さんの思いは2代目にも受け継がれている。
福田さんは豆腐に抹茶やえごまを混ぜた「変わり豆腐」と呼ばれるものを開発。
こちらも人々に喜ばれている。
「安全でおいしいものを届けたい」。
その思いはこれからも受け継がれていく。
そろそろ夕食の準備。
ベニシアさん散歩がてら食材の調達に出かける。
家の前の土手で何やら探し物。
見つけたのは早春にはえる春の七草のひとつはこべ。
あたくさん!たくさんありますねここ。
すごいいっぱい。
これすごく栄養がありますから。
昔の人もっとこれ食べたと思うので。
ベニシアさんはこべを使った取って置きのレシピがあると言う。
チックウィードパセリスモークサーモンディップ。
チックウィードはこれですけどはこべ。
今の季節でよくあちこち見ます。
でパセリ。
普通のパセリかフラットリーフパセリ。
イタリアンパセリでもいいし。
ときょうはちょっと初めての豆腐で入れたらどうかなと思って。
やっぱり豆腐も栄養ありますから元気になりそう…のディップ。
最初ははこべ。
ベニシアさんは日本のハーブ春の七草をよく料理に使う。
はこべパセリもそうだけど鉄分とかビタミンたくさん入ってますから。
次はパセリね。
同じようにパセリもみじん切りに。
よく定食のセットとかサンドウィッチの時にパセリが出る。
それ皆飾り物と思って残すのよね。
それちょっともったいない。
もしかしてサンドウィッチより栄養があるかもしれないから。
ぜひ食べたらと言いたいよね。
はいオッケー。
そしたら豆腐ね。
いつもはディップにカッテージチ−ズを使うベニシアさん。
きょうは水切りした矢沢さんの豆腐も加える。
日本来た時豆腐初めて食べた時すごい驚いたね。
煮込み…いろんな料理やったら本当に肉と同じになることが作れるのね。
マッシュしようか。
塩まぶして水切りした豆腐はチーズのような食感になる。
豆腐カッテージチーズをボウルに入れ色と味のアクセントになるスモークサーモンを加えマヨネーズ塩こしょうで味付け。
最後ははこべとパセリ。
最後にみじん切りしたはこべとパセリを加えよく混ぜる。
出来ました!自然の恵みが詰まった栄養たっぷりのディップ。
ひとくち食べれば早春の香りが広がる。
日ごと日が伸びてきた大原。
家族を待ちながらゆっくりと手間をかけて夕食の準備をする。
きょうはどんな顔をして帰ってくるのだろう。
朝に夕に家族への思いを込めて暮らす。
2015/02/24(火) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「丹精こめて」[字][再]
春の息吹を感じ始めた京都・大原。ベニシアさん、庭の土を入れ替える。豆腐屋を営む友人の矢沢さん夫妻が豆腐を持ってやってくる。豆腐を使ってオリジナルディップを作る。
詳細情報
番組内容
春の息吹を感じ始めた京都・大原。朝、手づくりのヨーグルトとジンジャーティーを頂くベニシアさん。春に備えて庭の土を入れ替える。長年の友人で、京都市で豆腐屋を営む矢沢さん夫妻が豆腐を持ってやってくる。矢沢さんは、契約農家が有機農法で育てた大豆を使用して豆腐を作っている。はこべとパセリ、矢沢さんの豆腐を使ってオリジナルディップを作る。みんなが帰ってくるまでの間、まきストーブの前に腰掛けて読書にふける。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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