地方発 ドキュメンタリー「笑顔で生きる仮設住宅〜震災4年 岩手・陸前高田で〜」 2015.02.24


カモンベイビー。
カモンカモン。
仮設住宅。
東日本大震災のあと建てられました。
今日はここに暮らす人たちの物語です。
(スタートの合図の音)結束力で乗り込んできたチームがいました。
米中仮設と名乗る皆さん。
今日の主人公です。
皆さんの地元…4年前の3月に大きな被害を受けました。
東日本大震災です。
今町は復興のための工事が行われています。
でもまだ4,000人以上が仮設住宅で暮らしています。
その一室をのぞいてみると…。
こちら米中仮設は朝から晩まで大忙し。
そして皆さん笑顔。
せ〜の…。
(一同)火の用心。
なぜこんな関係に?同じ仲間。
笑顔で生きる。
そんな仮設住宅の毎日をご覧下さい。
こんにちは。
中学校の校庭に皆さんは暮らしています。
入居しているのは200人。
市内5つの地区から集まってきました。
皆さんが向かったかわいらしい建物は集会所。
(笑い声)平日は毎日開かれているこの集まり。
健康サロンと呼ばれています。
とみこさんにはいお茶一杯。
お座布団いっぱい。
お上手を言うとお茶一杯。
その差配を任されるのがサロン当番です。
この日は石井和子さん67歳。
本当の仕事は血圧測定。
そのやり方は元看護師の住民に教わったそうです。
どんな気持ちっていうか普通。
ごめんなさい。
毎日の生活の中に住民活動。
例えば不審者を撃退する「防犯隊」に農家の住民が指導する「野菜を作り隊」。
金曜夜に開かれる居酒屋です。
米中仮設に暮らして4年。
生まれた活動全部で15。
その特徴は誰でも参加できる事なんです。
そのきっかけをつくったのがこの方。
入居した時から自治会長を務める…金野さん初めはみんなが途方に暮れていたと振り返ります。
みんなが同じ境遇でした。
でも目標はここを出て次の人生をスタートさせる事のはず。
年齢性別問わずに集まって盛り上がったんです。
話も弾みました。
自分の仕事や趣味特技の事。
着物に着替えて参加する活動も生まれました。
おはようございます。
茶道教室です。
もう一度茶しゃくを…。
主宰するのは…表千家の教授です。
生徒はここに来てからお茶を始めたという初心者ばかり。
基本から稽古をつけていきました。
この人もね…お茶の道に入って40年。
お茶の心を大勢の人に伝えるのが菅原さんの夢。
震災に遭ったのは市民のための大規模なお茶会を企画していたやさきの事でした。
教室を開いていた自宅は全壊しました。
そんな時ここでお茶会を開いてほしいと頼まれました。
集まってくれたのは30人以上。
苦い!みんな喜んでくれました。
子どもたちがリーダーを務める活動も。
家族5人で暮らす…中学3年生です。
朝6時半。
入居したての頃体操したいという声が上がりましたが担当する人がいませんでした。
そこに手を挙げたのが子どもたちだったんです。
4年前の夏小学6年生だった龍之介君。
89世帯全てのお宅を訪ね「ラジオ体操始めます!」と挨拶して回りました。
最初は夏休みならではの行事のつもりでしたが…。
冬になりみんなで雪かきをしてから体操した日も。
月日は流れ中3に。
制服姿で体操をするとそのまま修学旅行に向かいました。
体操を続けるために龍之介君たちが考えたのが出席カードです。
健康サロンの石井さん。
皆勤賞も受賞している常連です。
石井さん体調を崩した時龍之介君から年賀状をもらった事がありました。
こうして皆さんが目指す仮設の卒業。
米中仮設では3年の間にまだ2割の人しか卒業できていません。
町では新しい住宅地の造成が始まったばかり。
土地をかさ上げし山を切り開く工事は時間がかかります。
家を失った人のための公営住宅も建ち始めたばかりです。
そんな中…卒業する事になったのがラジオ体操の龍之介君でした。
一家は土地を自ら探し買い求めて家を新築したのです。
へい!龍之介君パス!実は受験を控えた龍之介君に落ち着いた環境を整えてあげたいと自宅再建を急いだのです。
米中仮設で仲良くなった子どもたちとも離れる事になります。
引っ越しを終えたこの日。
(一同)万歳!万歳!万歳!龍之介君一家の米中仮設卒業を祝う会が開かれました。
(拍手)卒業する家族をみんな笑顔で送り出します。
今もかわいい。
成長がもうほんと…。
背も大きくなったしね。
ありがとうございました。
お疲れさん。
ありがとうございました。
ほとんど荷物が無くなった部屋に戻ってきた龍之介君。
気にしていたのはラジオ体操の今後の事。
龍之介君を見送った石井さん。
ここを卒業するにはまだまだ時間がかかりそうです。
夫とこれまで話してきたのは元いた地域の人たちと一緒にそろって新しい住宅地に移住する事。
しかし住宅地の造成が終わるのはこの先早くても4年後です。
龍之介君はその後も新居からラジオ体操に通い続けていました。
ところがこの日かけられた言葉は…。
龍之介君の将来を考え一家は決断したはずです。
卒業したら次の人生がある。
一緒に体操を続けてきた皆さんからのメッセージです。
それでもラジオ体操をやってあげたい。
龍之介君話し合いを始めました。
こんにちは〜。
龍之介君たち後継者探しに乗り出しました。
うん?こちょこちょこちょ〜!話聞いて。
お〜格好いい何か。
来れるのか〜?格好いいじゃん。
ラジオ体操継続のために探し続けます。
朝6時半おなじみの音楽に合わせて後継者登場!龍之介君たちの思いを引き継ぐのは小学6年生の…小学3年生の…新しいラジオ体操が始まりました。
2人は皆さんとどんな関係を築いていくのでしょうか?シールも皆さんに貼ってあげていました。
ありがとう。
ありがとう。
すいません。
どうもどうもありがとうございました。
体操を終えておうちに戻ってきた愛斗君。
みんなにあげるシール。
自分で貼っていました。
自分が体操に出続ける事が愛斗君の目標のよう。
(達子)おいしい?うん。
声をかけたのはおばあちゃんの達子さんです。
どうしたら朝寝坊を防げるのか?大きな課題です。
こちらには迷っている方が。
茶道教室の菅原さんです。
ここを卒業してどこで暮らすのか決めかねていました。
夫とは元いた地域の人たちと一緒に暮らすのが一番だと話してきました。
新しい住宅地はあと1年で造成が終わります。
問題は菅原さん自身の健康の事。
体調がすぐれないと感じる日が増えてきたのです。
そこに宮城県にいる娘から声をかけられました。
宮城に引っ越して一緒に住んではどうかと。
この日行われたのは米中仮設最大の行事米中仮設文化祭。
会場は中学校の体育館を借りました。
趣味や特技を生かして作った皆さんの作品が並びました。
はいどうぞ。
菅原さんは誰でも参加できるお茶会を開きました。
その後も迷い続けてきた菅原さん。
ありがとうございます。
結局決めたのは娘のいる宮城に行く事。
新しく土地を買って家を建て春になったら引っ越す計画です。
ここに来てから3年余り。
みんなと一緒に笑顔でお茶を楽しんできました。
お別れの日がやって来ます。
年が明けました。
トラックからにぎやかなアナウンスが聞こえてきます。
はいよ〜!よいしょよいしょよいしょ!ここ米中仮設のお正月は4度目です。
そりゃ〜よいしょだべ!ハハハハッ。
よいしょ!
(笑い声)愛斗君にとっても4度目の餅つき。
頑張れ!よいしょ!様になっているでしょうか?何か頑張りが足りないような気が…。
びよ〜ん…。
ハハハハッ!アハハハッ!そしてラジオ体操の方はどうでしょう?子どもたちの姿が見えません。
朝は寒いから…休みがちになっているようです。
(達子)お〜いお〜い!あれ朝ごはん。
ほら!
(笑い声)
(達子)あっ多すぎだなそりゃ。
多すぎだな。
うん。
よっしゃ!ねえ頑張ってみよ。
うん。
よ〜し!よいしょ。
愛斗君の成長にとってどこで生活するのが一番いいのか。
家族で考え続けている事です。
この夜愛斗君は張り切っていました。
いつもより1時間早く寝ようというのです。
すごいな〜。
あららららすごいね。
適当…。
(笑い声)計画どおり布団に入るとすぐに眠ってしまいました。
目覚ましを4つもかけて。
そして朝。
見事早起きに成功!おはよう。
どうしたの?おはよう。
お〜偉い偉い偉い。
ラジオ体操に参加したのは10日ぶりの事でした。
初め体の動きは鈍かったようですが…。
よかった愛斗君。
皆さんも安心したのではないでしょうか。
どうも。
ありがとうございました。
(取材者)何がうれしかったの?菅原さんの茶道教室も変わらぬ調子で始まっていました。
右をこう持って前に置きます。
米中仮設からの卒業…順調にいけば5月ごろになりそうです。
じゃどうも〜。
は〜いお世話さまでした。
地元を離れて知らない土地に行ってしまえばもうお茶会を開く事はできないかもしれません。
菅原さんの追いかける夢は?そこで準備を始めました。
初釜新年のお茶会です。
玄関脇に床の間を作りました。
つばきの花を紅白2輪。
花は自宅の跡地に咲いていました。
お茶の心を精いっぱい仮設で。
初釜の日。
どうも。
いらっしゃいどうも。
ご苦労さまですどうも。
ねつばき。
すてきですよ。
30人以上が米中仮設の1室に集いました。
一世一代。
菅原さんがお茶をたてます。
一服の濃いお茶をそれぞれの前に差し出します。

(笑い声)3時間に及んだ初釜。
笑顔で終えました。
そして始まったお片づけに…愛斗君がやって来ました。
いっくぞ〜!テッテレ〜!
(掃除機の音)お手伝いを始めます。
いっぱいこぼれてるし!バラバラこぼれてる!やった〜。
ありがとうね。
あっ!じゃもう一個だな。
行ったり来たりじゃん。
床の間の掛け軸を菅原さんのお宅に運びます。
(取材者)何でお手伝いしてくれるの?米中仮設はお互いさま。
今日も皆さん笑顔。
こりゃトメコの文句だ。
こりゃな。
(笑い声)200人の仲間がいます。
じゃどうもありがとうございます。
どうも〜。
気を付けてね。
はいどうも。
これまでに4年の月日が過ぎました。
(取材者)皆さん笑顔でしたね。
今は笑顔の仲間たちです。

(美晴)腹立ちまぎれに私は決して言ってはいけない事を口走ったの。
2015/02/24(火) 00:40〜01:25
NHK総合1・神戸
地方発 ドキュメンタリー「笑顔で生きる仮設住宅〜震災4年 岩手・陸前高田で〜」[字]

「仮設を元気に卒業しよう」。こんなせりふを合言葉に、盛んに住民活動を続ける仮設住宅がある。お互いを仲間と呼びあう人たち。仮住まいで見せる毎日の笑顔の心情とは。

詳細情報
番組内容
岩手県陸前高田市、中学校のグラウンドに2011年の夏に建てられた仮設住宅。笑いが絶えない年寄りのための「健康サロン」、全住民が当番で参加する「夜回り」、さらには子どもたちがリーダーを務める「ラジオ体操」から「茶道教室」まで、住民たちは活動を通して仮設での毎日を充実させていく。震災から間もなく4年、町の復興の進捗とともに仮設を出る人もいるなか、仲間同士、笑顔で暮らし続ける人たちの姿を描く。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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