こんばんは中井貴一です。
本日の「サラメシ」まずはとある方のお弁当からご紹介しましょう。
見て下さいこれ。
運動会でも遠足でもありません。
ふだんのお弁当。
すごいボリューム。
何かたくさん食べなきゃいけない理由でもあるんでしょうかね?趣味!?いい趣味をお持ちだ。
弁当の主は玉乃井里美さん71歳。
毎日このお弁当を手に通っている仕事場がこちら。
愛媛県松山市が運営する公衆浴場です。
道後といえば言わずと知れた日本有数の温泉街。
中でも道後温泉本館はその中心にそびえる町のシンボル。
築120年の建物は映画「千と千尋の神隠し」のモデルになったともいわれています。
かの夏目漱石も松山中学の教師時代足しげく通ったといわれ年間およそ72万人が訪れます。
それだけお客さんが集まるという事は働く人がたくさんいてサラメシだってたくさんあるに違いない!まだ町が闇に包まれた午前5時。
あっおはようございます。
お願いします。
あの弁当の主玉乃井さんが出勤。
玉乃井さんは応接員と呼ばれる接客スタッフ。
館内でお客様を案内したりお茶を出したりするのが仕事です。
この日は朝番。
応接員は貸し出す浴衣やタオルなど6時の開館までにお客様を迎える準備をしなければなりません。
だって…ほら見て!外では毎日一番風呂を待ちわびるお客さんが列を成しているんですから。
開館を告げるのも応接員の大事な仕事の一つ。
(ラジオ)「曇りで昼過ぎから晴れでしょう」。
この日その大事な仕事の担当だったのは上松さん。
あのこれサボってラジオ聞いてる訳じゃないんですよ皆さん。
(時報)
(太鼓の音)これが道後の風物詩刻太鼓。
営業の始まりと同時に町に朝を告げる伝統の音色。
一秒の狂いもなく力強い音を響かせなければなりません。
みんなそうです。
はい。
どうぞこちらお入り下さい。
さあ今日も営業開始!ここでは湯上がりにお茶とお菓子でのんびりくつろいで頂くのがおもてなしの流儀。
営業中玉乃井さんの定位置は火鉢の前。
よいしょ。
古くからお茶を入れるのはベテランの役割。
炭火と鉄釜を使い多い時は300人分。
実は結構体力仕事なんだそうです。
この日は3連休の翌日でお客さんもまばら。
だからといってのんびり座っていられる訳でもなく…。
本館自体…。
本館自体は明治27年に…。
職場そのものが国の重要文化財。
お客様から次々と質問が飛んできます。
勤め始めたのは子育てが一息ついた43歳の時。
それから28年今やリーダーとして後輩の指導も託されています。
忙しい毎日の一番の楽しみがあのお弁当。
行ってきます。
朝風呂のラッシュが一息つくと応接員は順番に30分の休憩へ。
朝が早いからその分ランチも早いんですって。
…にしてもすごいとこ通っていくんですねごはんに。
ほかの階やチケット売り場で働く応接員も一人ずつ休憩。
みんなで食卓を囲みます。
出ましたよあのボリューム弁当。
メインのおかずは得意料理の筑前煮。
前日から煮込んで鶏肉のうまみがたっぷり。
こちらは松山に伝わる炊き込みごはんしょうゆ飯。
有り合わせの具を濃口しょうゆで炊き込みます。
ほかにも野菜やフルーツなど天こ盛り!もうお気付きですよね。
そうこれ全部一人で食べる訳じゃないんです。
実は弁当の半分ほどは同僚へのお裾分け。
玉乃井さんだけではありません。
一緒に休憩に入っていた東倉さんは自家製のハリハリ漬けを差し入れ。
みんながお裾分けを持ち寄って互いにつつき合うのがここでのルール。
なので玉乃井さん自分もお裾分けしたものの…。
おいしい。
その分皆さんからのお裾分けを食べる事食べる事。
ゆで卵にみかんにそしてまた…え〜!ゆで卵いっちゃう!?いや本当見てて気持ちいい!…で玉乃井さんと交代で休憩に入ったこちらの2人。
かぶりついたのは玉乃井さんが作ったしょうゆ飯のおにぎり。
実はひときわ仲のいい後輩には弁当を作らなくてもいいよう毎日おにぎりを持ってきてくれるんですって。
食卓の上には取り放題のお裾分け。
確かにこりゃ弁当要らずだ!食べるのが大好きだからみんなにもおいしく食べてもらいたい。
おなかの神様か…実にいい表現。
ねっ玉乃井さん。
さて120年の歴史を支えているのは応接員だけではありません。
こちらは建物の中にある…市営の温泉だから事務や経理などは市の職員が担当。
温泉に勤める公務員のサラメシ気になりますね。
…という訳で拝見させて頂くのは温泉事務所に異動して3年目という柴田さん。
ランチは専ら外食派。
有名な観光地ですから地元を代表するごちそうがより取り見取りなんでしょうね〜。
ここでも日替わり定食やってたりとかですね。
確かに観光地ってどうしても高くついちゃいますもんね〜。
でも地元の人向けの店数は少ないけどちゃんとあるんです。
この日は異動してすぐに先輩から教えてもらったという小さな喫茶店へ。
旅館やお土産屋さんの人たちにとって憩いの場なんだとか。
週に1回は来るというこちらで必ず注文するのが日替わりランチ。
その日その日でバラエティー豊かなおかずが並ぶから飽きがこないんだそうです。
この日は自家製ごまだれソースの冷しゃぶ定食。
揚げ出し豆腐に松山名物ジャコ天入りの煮物もついてヘルシー!おいしいです。
3年前までは市の予算管理を担当していた柴田さん。
当時は本庁勤務。
ランチも職員食堂や町なかの店から選び放題だったといいます。
でも温泉に異動して仕事もランチも一変!せっかく見つけたお気に入りのランチ。
いつまで食べられるかは人事のみぞ知るってとこでしょうか?市の職員といえばもう一人道後温泉には欠かせない方いらっしゃいました。
休憩時間の楽しみは愛妻弁当。
弁当にはいつも須賀さんの好物がぎっしり。
この日はブロッコリーの肉巻きに鶏のから揚げ。
で一人で弁当を食べていた場所が…。
本館から程近いこちらの建物。
時刻はなんと…分湯場と呼ばれるこの施設。
18の源泉からくみ上げたお湯を集め各浴場へと送り出すいわば温泉の中枢基地。
須賀さんはここでお湯の温度や量を調節する市の技術職。
7人が交代で24時間お湯を管理しています。
夜勤の日最も重要な仕事がこちら。
空になった本館の湯船を朝6時の開館までに満たす事。
何せ道後温泉の顔とも言える湯船。
常に心地よい温度でお湯を満たさなければなりません。
おっと須賀さんどちらへ?これはえ〜…?あ〜温度計ですか?聞けば季節や天候で湯船のお湯の温度を微妙に変えているんだそうです。
確かにね。
だって夏と冬じゃ感じ方変わりますもんね。
湯船に届くまでに冷える分も計算しながら温度の違う源泉を混ぜ合わせ0.1度単位で調節します。
お湯がたまるまでおよそ1時間半。
何度も何度もバルブを開け閉め微調整を繰り返し最後は自ら湯船まで出向きねらった温度になっているかを確認。
(取材者)バッチリ?いや〜のんびり入っていた温泉の裏にこんな真夜中の仕事があったとは。
本当頭が下がります。
(太鼓の音)そしてまた道後温泉の新たな一日が始まります。
120年の歴史ある温泉を支えるサラメシごちそうさまでした。
温泉に続いては皆さんから頂いた投稿をご紹介。
まずは…「私役所勤めの課長は妻の弁当を楽しみに日々の仕事に励んでおります」。
いい事です。
「毎日の弁当が驚きと感激。
しかし部下の手前その喜びの表情はグッと抑えて黙々と食べています」。
なるほどね。
威厳を保つためかわいい弁当は秘密にしてるんだ。
うん。
ところがある日ちょっとした事件が。
いつものように弁当を開けようとしたらなぜか周りの部下たちからの鋭い視線…。
不審に思いつつも弁当箱を開けると部下がひと言。
「うわ〜本当だ!課長にそっくり!」。
実は河野さんの出勤後妻がフェイスブックにアップしていた弁当の写真を部下が見つけちゃったそうです。
気が付けばほかの部署の人たちも集まってきてただただ赤面。
今の時代どこで情報が流出するか…。
怖い時代ですね課長!河野さんテレビに顔映っちゃってますよ〜!続いてこちら「おやじ弁当」はえ〜女子高生のまこりんさんから頂きました。
「うちのお父さんは時々自分でお弁当を作ります。
この間完成したお弁当をのぞいたら顔が描いてありました」。
アハハハ本当だ。
かわいい。
シンプルなキャラ弁。
目玉は梅干しで眉毛はしば漬け!広告代理店で働くお父さん。
晴れた日には公園で一人食べているんだとか。
なるほどね。
あれですよあれあの営業行ったり会議したりね人に会うっていうのはこう気を遣うしパワーがいるもの。
だからたまのお昼ぐらいは一人を満喫したいんです!そうでしょうお父さん?皆さんの投稿お待ちしています。
今回はランチを食べたばかりの皆さんを直撃!
(取材者)その午後イチに僕ら一緒についていきたいんですけど…。
えっそれはちょっと…。
ついていくのは無理やと思うんですけど。
ついていく…怒られないかな?何かごはん食べた後に…。
ご無理言ってすみません!でもねどうしても見てみたいんです!ランチのパワーが一体どこへ向かうのか。
ランチの数だけそれぞれの午後イチがある。
だからのぞかせてあなたの…今回訪れたのは東京は浜松町。
うん?魚とから揚げ?魚のから揚げじゃないんですね。
へえ〜何かボリュームありそうですね。
…ってはい出たこちら。
確かにから揚げ3つに塩サバ。
更におかわり自由で刺身までついて!これはがっつりだ。
いいですね〜!1時半とちょっと遅めのランチだったこちらの男性。
近くの会社にお勤めの営業マンだそうです。
そりゃそうです。
ごもっとも!でも…もしかしたらと思ってとりあえず会社までついていっちゃいました。
ごめんなさい。
本当ご親切にありがとうございます。
それにしてもこちら随分と高いビル。
これはさすがに難しいかな?突撃取材は…。
と思ったらOK頂いちゃいました。
広報ご担当の方急なお願いなのにどうもありがとうございます。
うれしい!という事で早速オフィスへ。
こちらの会社平均年齢は32歳。
若い!介護や医療など高齢化社会に向けた情報サービスを主にインターネットで提供しているそうです。
ちょっと後藤さん後藤さんちょっとだけいいですか?ちょっとだけいいですか?後藤さん…。
「ちょっとだけいいですかちょっとだけ」ってこれど…どなた?えっ?えっ社長!?うわ〜従業員も若けりゃ社長もまた若い!これ何の取材なんですか?何かこう…風通しがいい職場って感じ!では午後イチ拝見。
ランチのパワー今日はデスクワークでフル活用だそうです。
山本さんの仕事は老人ホームなど介護施設への営業。
インターネットの紹介サイトへの掲載を促し施設にとっては入居者が増える事を利用者にとっては選択肢が増える事を目指しているそうです。
現在社内でこの仕事の担当は2人だけ。
全国で数百件ある営業先を東と西で分けているんだそうです。
出張も多く週の半分以上は外回り。
だから内勤の時こそ提案書の作成やお客さんとのアポ取りなどに目いっぱい力を注ぐ。
これが山本さんこの日のランチパワーの使い方。
田舎だったんで…肉も魚も全国へ旅立つためのエネルギーに。
山本さん次の出張は北海道だそうです。
しっかり準備して頑張ってきて下さいね!北海道は肉も魚もうまいですよ!あの人も昼を食べた。
腹をすかせた男は仕事場から1駅平塚のフレンチを目指した。
取材と執筆を繰り返す日々の中でたまにはゆっくりと。
作家城山三郎。
経済小説の開拓者といわれ歴史小説から伝記まで。
常に社会を懸命に生きる人々を描き続けた気骨の人。
愛妻家としても知られた。
そんな彼が30年近く愛した店。
オーダーはいつもシェフのお任せコース。
冬の定番は相模湾で揚がるキンメダイ。
ウロコのままじっくりと火にかけ皮をパリッと香ばしく。
合わせるのはフレンチの定番ブールブランソース。
白ワインとバターの香りが旬の恵みを縁取る。
そして和牛のステーキ。
お任せでも肉料理だけは決まってこれを注文したという。
年を重ねても毎回食べた。
それは彼が持つ力強い筆致の原動力となったに違いない。
原稿から離れるしばしの時間。
いつもここで待ち合わせたのはやっぱりこの人だった。
妻にも味にも一途。
そんな城山には小さな決まり事があったという。
それは新刊が出たら駅ビルの書店に立ち寄ってから店を訪れる事。
自分の本を自分で買ってプレゼント。
(尾鷲)ちょうど僕と城山さんの息子さんがちょうど同い年だったのでね割といろんな事を気さくに相談…話に乗って下さったりもしたので僕にとってはものすごい身近な存在でしたよね。
だからまだその中でももっともっといろいろこういろんな事聞きたかったんですけど何かそれもかなわぬ間に逝ってしまったというかね。
人と真っ正面から向き合った生涯。
それは食事をする穏やかな時間でも変わらず。
これが作家城山三郎が愛したフレンチ。
ごちそうさまでした。
今日もお相手は中井貴一でした。
2015/02/23(月) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
サラメシ[字]
▽愛媛県の道後温泉本館でさまざまな仕事をする人々のランチのぞき見!▽今日食べたランチのパワーはどんな仕事に使われるのか?午後一番のお仕事拝見「午後イチ」▽ほか
詳細情報
番組内容
▽愛媛県の道後温泉本館でさまざまな仕事をする人々の個性豊かなランチをのぞき見する。▽今日食べたランチのパワーはどんな仕事に使われるのか?あなたの午後一番のお仕事をちょっと見せていただけませんか「午後イチ」。今回は東京・浜松町で。▽作家・城山三郎が愛したフランス料理。
出演者
【語り】中井貴一
ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
バラエティ – 料理バラエティ
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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