きょうの健康 メディカルジャーナル「アルツハイマー病は 脳の糖尿病!?」 2015.02.23


(テーマ音楽)「きょうの健康」です。
今日は月に1度最新の医療についてお伝えしている「メディカルジャーナル」です。
今日は…今アルツハイマー病と糖尿病の関係が注目されています。
こちらをご覧下さい。
2013年九州大学はアルツハイマー病患者の脳の遺伝子解析を行い脳が糖尿病と似た状態である事を明らかにしました。
そして2014年アメリカで糖尿病の薬インスリンをアルツハイマー病の治療薬にする臨床試験が始まりました。
今アルツハイマー病の原因と治療の両面から糖尿病特にインスリンとの関係が注目されています。
今日は最先端の研究についてお伝えしていきます。
ではお話を伺う方をご紹介致しましょう。
脳の遺伝子の研究がご専門です。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
ではまずアルツハイマー病とはどのような病気なのかという事から教えて頂けますか?はい。
アルツハイマー病は脳の神経細胞が死んでいく病気です。
アルツハイマー病の患者さんの脳にはこうした老人斑という染みみたいなものがたくさんある事が古くから分かっていました。
この老人斑にはアミロイドβという物質がたまっています。
アミロイドβという物質ですね。
アルツハイマー病はアミロイドβがたまっていくと神経細胞が障害を受けて死んでいくというふうに考えられてきました。
アミロイドβがたまる事で神経細胞が障害されそして死んでしまうという事なんですが今回の研究で新たに分かった事というのはどのような事なんでしょうか?このアルツハイマー病の進行にあるものが関わってるという事を明らかに致しました。
あるもの。
つまりこのXですね?これは何ですか?私たちが注目したのはインスリンです。
インスリンといいますと糖尿病の時によく耳にするホルモンですがインスリンがアルツハイマー病に関係しているという事なんですか?はい。
実は脳のエネルギー源のほとんどはブドウ糖です。
脂肪などは使わないのです。
この糖分を細胞が吸収する時に大切なのがインスリンです。
このインスリンがアルツハイマー病でも鍵を握ってる事が分かってきました。
ではここでインスリンの働きについて見ていきましょう。
はい。
インスリンは細胞の鍵にまず結合します。
そして糖を取り込む扉を開けます。
そうしますと糖が細胞の中に吸収されてこの糖がエネルギーに変換していく訳です。
インスリンが働く事で細胞がこの糖をエネルギーとして取り込む事ができるという事ですね。
糖尿病というのはインスリンの効きが悪くなったり出なくなってしまうという病気ですよね。
そしてインスリンは膵臓で作られているんですよね?インスリンは実は膵臓で作られるだけではないんです。
最近脳でも作られる事が明らかになってきました。
インスリンが脳で作られていると。
それはどういう事なんでしょうか?こちらを見て頂きましょう。
これは私たちの脳の中を見たものです。
これが神経細胞です。
そしてここを電気信号が伝わって神経が働いていく訳ですが脳の中では神経細胞だけじゃなくてその神経細胞の世話をするグリアという細胞もあります。
世話をしている細胞という事ですね。
このグリア細胞がまず血液中のグルコースを取り込んでそれを神経細胞に渡すという事でエネルギーを供給していると考えられています。
グリア細胞がまず糖を取り込んでそれを神経細胞に渡しているという事なんですね。
インスリンはどう関わっているんですか?実はこの神経細胞がインスリンを作る事が分かっているんです。
神経細胞でインスリンが作られている。
このインスリンはグリア細胞に働きかけるんです。
そうするとこのグリア細胞が血液中の糖を取り込む事ができると。
そしてそれを神経細胞に渡していって神経細胞がエネルギーを獲得して神経が機能するという事が分かってます。
つまりこの神経細胞でインスリンが作られそれが働く事でこのグリア細胞が糖を取り込んでそれを神経細胞に渡しているという事なんですね。
脳の神経細胞がインスリンを作っているという事は驚きましたがアルツハイマー病と脳で作られているインスリンこれはどう関係しているんでしょうか?アルツハイマー病の方の脳では神経細胞がインスリンをうまく作れないという事が分かってきました。
そうしますとグリア細胞に働きかけませんからグリア細胞は糖を取り込めないという事になります。
インスリンがうまく作られなくなっているという事なんですね。
はい。
そうしますとエネルギー源がうまく取り込めなくなってしまうという事で神経細胞の働きが非常に低下してしまうという事なんですね?はい。
インスリンがうまく作られなくなって糖が取り込めなくなるというのは糖尿病と非常に似た状態ですね。
そうですね。
どうやって脳でこのインスリンが作られなくなっているという事が分かったんでしょうか?そのために私たちは脳の細胞の遺伝子の働きを詳しく調べました。
九州大学では福岡市の隣町久山町の住民の方を50年以上にわたって追跡調査をさせて頂いてます。
今回亡くなった方の脳を頂いてその脳を用いて遺伝子の働きを調べました。
ここにその結果を示しますがアルツハイマーの方の遺伝子の働きと正常の方の遺伝子の働きを比べると1,387の遺伝子の働きが大きく変わってる事が分かりました。
ここには正常な方の遺伝子の働き具合を示していますが約半分以上の遺伝子がよく働いてるのは赤色で示してます。
残りはあまり働いてない状態を青色で示してます。
これが正常の方の場合ですね?はい。
次にアルツハイマー病の方の遺伝子の働きの具合ですが正常の方でよく働いていた遺伝子がほとんど働かなくなってると。
青くなってるのが分かります。
一方もともと正常の方では働いてなかった遺伝子がよく働いてるという事が分かってきた訳です。
こうやって見ますと正常の方とアルツハイマー病の方本当に逆ですよね。
正常の方でよく働いている遺伝子が働いていないという事。
そして正常ではよく働いていない遺伝子がアルツハイマー病では働いているという事なんですね。
この中にはインスリンに関係する遺伝子というのもあるんですか?はい。
まずこちらアルツハイマーの方で働かなくなった遺伝子の中にインスリンを作ったりあるいはインスリンが働く時に必要な遺伝子が含まれてましてその働きが非常に落ちているという事が分かりました。
一方で働きが上がってる方こちらにはインスリンの働きを邪魔するような遺伝子が多数含まれてる事も分かってきました。
ではアルツハイマー病の方の脳の中ではこちらのインスリンを作るあるいは利用する遺伝子の働きが落ちていてそしてインスリンの働きを妨害するような遺伝子がむしろ活発に働いているという事なんでしょうか?はい。
このような遺伝子の変化というのは糖尿病の人に起きているという事ですか?いえ。
糖尿病の方も調べましたが糖尿病の方ではこういった変化はほとんど見られませんでした。
こういった遺伝子の働きの変化というのはアルツハイマー病の方に特徴的な変化でした。
アルツハイマー病の方で特徴的にインスリンが作られずまたそれが使われにくくなってると考える事ができます。
つまりこれは糖尿病になったからこういう変化が起こっているという事ではなくてアルツハイマー病で起こる変化だという事なんですか?アルツハイマー病に特徴的な特別な変化だと考えてます。
こうした結果からアルツハイマー病ではインスリンを作る時に働く遺伝子の働きが大きく低下してる事が分かりました。
特にこれは記憶をつかさどる海馬というとこで調べた遺伝子初の解析なんですがこの結果海馬でインスリンが働かないと糖をうまく使えないために神経細胞が機能できないであろうと考えられます。
それが記憶障害や認知障害につながっていると考えていいと思います。
では遺伝子の異常というのは脳全体の中で起こっているという事ではなく…?はい。
私たちは海馬以外も調べましたがこういった遺伝子の発現は海馬で一番顕著でほかの部分ではそんなには見られないようです。
海馬で特に著しく起こっているという事なんですね。
このインスリンをうまく使えないという事はつまり脳の神経細胞で糖がうまく使われていないという事なんですね?はい。
その結果エネルギーが神経細胞に供給できないという事になりますので実際に糖がうまく使えてないという事はほかの研究でも報告されています。
これはアメリカの研究チームが人の脳で調べた糖の取り込みを調べた研究です。
まず正常な方では年齢が上がってもあんまり糖の取り込みは変化しないんですがアルツハイマー病の方では認知症を発症する約10年ぐらい前から顕著に低下するという事が報告されています。
つまりアルツハイマー病では糖を利用できないという状態が随分早くから起こっているという事なんですね。
こういった変化というのは糖尿病だから起きているという事ではないという事なんですね?はい。
これは脳の特に海馬だけの問題で全身で起こっている訳ではありません。
このようなアルツハイマー病の患者さんの脳ではインスリンの働きが低下し糖をうまく取り込めず神経細胞が飢餓状態となってその働きが低下していると。
その結果発症に至ると考えられます。
これは脳にとっては大きなストレスです。
このような状態が長く続くと神経細胞の働きが悪くなりアルツハイマー病に見られる神経細胞死に至ると。
またその悪化も更新するんだろうと考えてます。
こうやってインスリンがアルツハイマー病と関係しているという事分かりましたがこれがやはり治療につながっていくんでしょうか?これで新しい治療の可能性が出てきたと思います。
これまでアルツハイマー病の治療のターゲットは主にアミロイドβでした。
しかし今回明らかになったインスリンの事を対象に考えますとこのインスリンをターゲットにした治療が可能になると思います。
実際ここに示してますようにアメリカではインスリンを鼻から投与するという方法の研究が進んでます。
鼻から直接脳にインスリンを送り込んで神経細胞の働きを改善しようという試みです。
ほかにもインスリンの働きをよくする糖尿病の薬を使うという方法も考えられています。
この場合ですと既に糖尿病に使っている薬ですから副作用も分かってますし開発期間も非常に短期間で済むと期待されています。
こうやって脳の中のインスリン研究していく事で病気の全容原因の究明にもつながっていくんでしょうか?はい。
まずアルツハイマー病の患者さんの脳でなぜインスリンをうまく使えなくなるのかを明らかにする事やアルツハイマー病の進行のメカニズムやその原因が詳しく分かってくると思います。
そうしますとこのアルツハイマー病根本的に治すという治療にもつながっていきますか?そうですね。
脳のインスリンはアルツハイマー病を克服する上で大きな突破口になると考えています。
今までのアミロイドβのアプローチとまた違ったインスリンからのアプローチで治療というのが開けてくるかもしれないという事ですね。
そのとおりです。
この遺伝子解析という手法も含めてこれから根本的な治療法につながっていく事を大いに期待したいと思います。
今日はお話どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/02/23(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 メディカルジャーナル「アルツハイマー病は 脳の糖尿病!?」[解][字]

認知症で最も多いアルツハイマー病。脳の細胞の遺伝子解析から、エネルギー源の糖をうまく使えない状況にあることがわかってきた。アルツハイマー病研究の最前線を紹介する

詳細情報
番組内容
認知症で最も多い病がアルツハイマー病。九州大学ではアルツハイマ−病になった人の脳の細胞で遺伝子解析を行った。その結果、エネルギー源「糖」をうまく使えない状況であることがわかってきた。いわば脳が糖尿病の状態に陥っているというのだ。こうした背景から糖尿病の薬をアルツハイマー病治療薬にする研究もアメリカで始まっている。今注目を集めるアルツハイマー病研究の最前線を紹介する。
出演者
【講師】九州大学教授…中別府雄作,【キャスター】久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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