ハートネットTV ブレイクスルー「File.20 前へ、そして前へ〜千脇貢〜」 2015.02.23


(風間)
激しいぶつかり合い。
巧みなチェアワークが魅力の車いすバスケットボール。
10月日本代表はアジアの頂点を決める大会に出場
(歓声)
その中でひときわ目立つ男がいる
外国人にも当たり負けしない屈強な体
千脇貢選手33歳
千脇選手が両足の自由を失ったのは高校2年生の時。
重すぎる現実を受け入れる事はできなかった
家の中に閉じ籠もりうつ病と診断された
そんな時出会った車いすバスケットボール
勝利を目指し決して諦めない男たち
止まった時間が動き始めた
努力を積み重ね10年越しでつかみ取った日本代表
前へ。
そして前へ。
千脇選手のブレイクスルーに迫ります
今日は車いすバスケットボールなんですがいや〜やはりバスケットボールって接触が当たり前のスポーツじゃないですか。
安藤さんいかがですか?見てて。
とんでもない…。
肉体と車いすがもう一体化して吹っ飛ばされてましたもんね。
さっきバ〜ンと。
いや〜本当にすごいスポーツだと思うんですが車いすバスケットボール1チーム5人でコートの広さゴールの高さは普通のバスケットボールと変わらないという事でそしてまたルールもほぼ変わらないという。
今日はその中で活躍する千脇選手。
33歳で代表というとやっぱ肉体的なスポーツなので少し遅咲きな感じがするのですがどんな選手なのか見ていきたいと思います。
午後6時半。
千脇さんが練習場にやって来た
(取材者)何かネクタイでびしっとされてたから…。
全国に70以上ある車いすバスケットボールのチーム。
千脇さんが所属する千葉ホークスは常に優勝を争う強豪だ
おお!
チームでのポジションはパワーフォワード。
鍛え抜いた肉体で相手の動きを巧みに止めていく
去年32歳で初めて日本代表に選ばれた千脇さん。
その理由はある技術の習得にあった
それがピックと呼ばれる技
ボールを持った味方選手。
それを止めようとする相手2人を車輪で引っ掛け同時に動きを封じる。
マークが外れた味方はフリーでシュートが打てる。
成功の鍵はスピードと的確なポジションをとる判断力
そして相手の車輪を引っ掛けるテクニック
世界で戦うために欠かせないこの技を長い年月をかけて磨いてきた
千脇さんは練習場から僅か3分の所に住んでいる
飾っているのは男くさいキャラクターのフィギュア。
大好きなアーティストはXJAPAN
更にメンバーと同じモデルのギターまで
(取材者)弾けないんですか?
一方この箱は…
去年受賞した全国大会MVPのカップ
映画を見てリラックス…と思いきや画面に映し出されたのは欧米の強豪チームの試合映像
試合を見ながらもひたすら筋トレ。
今生活はバスケットボール一色だ
スタジオには車いすバスケットボール選手の千脇貢さんにお越し頂きました。
(一同)よろしくお願いします。
いや本当に大きいですね。
ありがとうございます。
ちょっとこの筋肉触らせて頂いてもいいですか?これはね…。
おお〜!これはだって…ちょっと私の太ももより太いぞ多分。
本当ですか?胸板もいいですか?はあ〜!アハハハハ!そしてこちらの手なんですが本当にもう硬くて…これが千脇さんの手であり足である訳ですね。
これ足の裏ぐらい分厚いですし。
これやっぱり走ってブレーキかけてっていうのでどんどん。
どんどんマメが出来て。
この握力がスピードに変わる訳ですよね。
そうですね。
はい。
じゃあ乗らせて頂きたいと思うんですけれども。
これを…。
すごいね。
もう一回つけたらなかなか外れない訳ですよね。
でもこれをしっかりしないと簡単に吹っ飛ばされるっていう事ですよね?そうです。
あとやっぱ車いすに乗って対面すると高い選手ってやっぱりこう威圧感あって…。
これでぶつかる訳でしょ?そうですね。
むちゃくちゃだよ。
ハハハ。
いやこれやっぱりあれですね。
勇気も必要ですね。
そうですね。
当たりに行くっていう。
そして今日はゴールも用意して頂いてるんでシュートも打たせて頂きたいんですけれども。
すいません。
ありがとうございます。
さあ。
すごい遠い感じします。
じゃあ両手で。
あ〜!もう。
予想以上にこれ背筋ですね。
体の中心が。
でもぶれますね。
あっ惜しい。
あ〜。
おっ。
ああ!一回もリング届かないの。
先ほどのピックを見せて頂くとしたら…。
こう来た時に…。
引っ掛ける。
あっ全然動かないですね。
で自分はそのままリリースして…。
そうか。
そうすると風間君はバックするしかもう逃げ場がない訳ですよね。
これ一回強めの当たりでもらってもらってもいいですか?けがしないようにするんで。
いきますね。
せ〜の!うお〜!うわ〜お。
浮いた。
千脇さんのバスケットボール人生の原点となった場所が練習場の裏手にある
毎日この坂道を150往復
しかしバスケットに出会うまでは無気力な日々を長く過ごしてきた
千脇さんが事故で脊髄を損傷し下半身不随になったのは高校2年生の時
医師からは一生歩けないと宣告されたがいつか治ると信じていた
ところが3年たっても動かない足。
いらだった千脇さんは…
突きつけられた重い現実。
その後うつ病と診断され薬に頼らざるをえなくなった
事故から5年。
そんな様子を見かねて知人が連れ出したのが千葉ホークスの練習だった
「体を動かすにはちょうどいい」。
軽い気持ちで入団した
この事がある人物との出会いへとつながった。
当時のキャプテン京谷和幸さん
京谷さんは元Jリーガー。
ワールドカップ出場を目指し活躍を始めたやさき交通事故でその夢は絶たれる。
しかし今度は車いすバスケで世界を目指し4大会連続でパラリンピックに出場した
そういう意味ではやっぱり…
常に手を抜かず前を向いて努力を重ねる。
その姿が千脇さんの心に突き刺さった
「一から自分を見つめ直そう」。
そう決めた時千脇さんはこの坂道にいた
それから4年ついにチームのレギュラーの座を獲得
ちょっとでもポジティブになればポジティブになるしネガティブになればネガティブになっちゃう。
その時に自分がバスケットを始めてポジティブになる瞬間っていうのがどんどん増えていったっていうただそれだけです。
そして選ばれた日本代表
10年間の努力が実を結んだ
あの坂を毎日150往復?そうですね。
相当きついと思うんですよ肉体的に。
相当きついですよね。
どうして頑張れたんですかね?障害を負ったつらさっていうのはやはりどう考えてもマイナス方向にいってしまってなかなかプラスにはいかなかったんですけどバスケットでのつらさっていうのは要はゼロ以下にはならないというか。
バスケットのつらさはプラスのつらさっていう認識ですね。
バスケットに出会ってこの10年続けていく中で少しスタートが遅かったな年齢的にって感じた事はありますか?ありますね。
障害を負ったのが17ぐらいだったと思うのでそこから始めてればっていうのはあったんですけれども。
やはり自分を受け止めるにはその空白…空白ではないんですけどつらい日々3年間4年間ぐらいはそこが自分のゼロになるためには必要だったのかなとは。
じゃあやっぱり本当に人生の軸になったっていう感じですかね。
軸ですね。
一つの競技として本気にならないと絶対についていけない世界でもまれていったと思うんですがその世界に飛び込む前と飛び込んだあとって気持ち的な変化って劇的に違うと思うんですけれども。
そうですね。
結局自分自身も33歳であと何年できるか分からない中で多分過去に振り返ってたんではちょっと時間がないんでとにかく前へ前へっていう思いですね。
やはりそのポジティブさはバスケットボールに出会う前にはなかったものですか?そうですね。
さて日本代表は世界でどんな立ち位置なのかこちらをご覧下さい。
今年の夏世界選手権では日本の位置というのが9位という事なんですけれども。
目指していたところはチームとしてはベストセブン以上。
個人としてはベストフォー以内っていうふうには考えてたんですけど全然まだまだ届いていないレベルだなっていうのは認識しましたね。
10月韓国で開かれたアジアパラ競技大会
目指すはアジアチャンピオン。
4年前は金メダルを獲得している
2年後のパラリンピックに向け今の実力を測る舞台。
千脇さんには大きな役割が課せられていた
チーム一のシューター…
ドイツのプロリーグで活躍している
日本の得点のほぼ4割をたたき出す攻撃の要
香西さんがフリーになれれば得点力はアップする。
鍵を握るのは千脇さんのピックの出来だ
男子車いすバスケは10の国と地域が参加。
2つのグループで予選を行い上位2チームが決勝トーナメントに進出する
迎えた初戦
相手は地元韓国。
前回大会は3位。
初優勝を目指す
レディー。
プレーボール!
序盤千脇香西コンビの連係で次々と得点を重ねていく
(歓声)
前半戦日本は10点のリードを奪う
しかし後半戦に入ると日本の守備が乱れ始める
(歓声)
瞬く間に逆転
試合のポイントとなったのはゴール下でのリバウンド
ことごとくボールを拾われる
(歓声)
(終了の合図の音)
試合終了。
僅か1点差で初戦を落とした
ヘッドコーチの及川さんはゴール下での弱さを指摘した
命懸けでボールを勝ち取る。
どれだけ積極的にゴール下に飛び込めるか。
それが一番の課題だ
日本は残りの予選3試合を全勝
準決勝へと勝ち上がった。
相手は日本が3連敗中のイラン
この試合千脇さんは絶妙のポジショニングでリバウンドを奪う
更に大柄な選手にゴール下で仕事をさせない
(終了の合図の音)
延長戦の末決勝進出を決めた
優勝まであと1つ
決勝は初戦と同じ韓国。
借りを返すには絶好の舞台だ
序盤は取られては追いつく展開
千脇さんも確実にリバウンドを押さえる
しかし…
千脇さんのシュートが入らない
立て続けに外したシュートは6本
日本とは対照的にゴールを決め続ける韓国。
点差は徐々に広がっていく
(歓声)
(歓声)
(終了の合図の音)
そして試合終了。
韓国はアジアパラ初優勝
リオパラリンピックに向け大きな課題が残った
今VTRを見て悔しさをにじませてはいましたけれども。
非常に自分としては課題が残るし結果としても悔しい内容しか今はないですね。
そしてスタジオには日本代表ヘッドコーチの及川さんにもお越し頂きました。
よろしくお願いします。
及川さんから見てどのような選手でいらっしゃるんでしょうか?彼がうまくいけば世界に通用するし彼がうまくいかなかったら世界に通用しないっていう事なんですね。
っていうのは何かっていうと日本はそんなに大きな選手もいない中でやっぱり大きな選手を何人か複数そろえるのがすごい重要でそういった中で彼が機能すれば彼の持ち前のチャレンジ精神とパワーで乗り切ってもらうと。
障害が重いからできないと言ってしまえば済んでしまう事はいっぱいあると思うんですけれどもそれは勝つためにはやらなきゃいけないんですね。
だから「できないよ」とは言わない選手だしそれを必要な事を体がどれだけ障害があろうがやると言ってやるっていうところに僕はちょっと未知の可能性を持ってるというか彼を使ってる一番の意図ですよね。
そこで来年10月にリオパラリンピックの予選を控えてるという事で実はリオの予選ではですねアジアオセアニア枠から3チームしか本大会に出場できないという事で日本は4番目なんですね。
ふ〜!怖いよ〜!大丈夫でしょうか?大丈夫です。
もうアジアパラでの失敗は二度としないしもうやるしかないんで進んでいくしかないので自分を高めていきたいと思います。
僕もコーチなので彼を前へ前へ進ませていくっていう事を頑張っていきたいなと思いますね。
いや〜楽しみだな〜リオ。
昨年より120%を目指しているので順調に来てはおります。
2015/02/23(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー「File.20 前へ、そして前へ〜千脇貢〜」[字]

今回の主人公は車いすバスケットボール選手の千脇貢さん。去年32歳で初めて日本代表に選ばれた、“遅咲きのルーキー”。千脇さんの生きざまと世界への挑戦に迫る。

詳細情報
番組内容
車いすバスケットボール選手の千脇貢さんは、一昨年32歳で初めて日本代表に選ばれた、“遅咲きのルーキー”。試合中、千脇さんの屈強な体は、大柄な外国人選手の強烈な当たりにも負けることがない。今でこそ世界を相手に戦う千脇さんだが、かつては歩けなくなった絶望から無気力な日々を送っていた。しかし競技や選手たちとの出会いが、千脇さんの人生を変えていく。今、ひたすら前へと突き進む千脇さんのブレイクスルーに迫る。
出演者
【出演】車いすバスケットボール選手…千脇貢,【司会】風間俊介,安藤桃子

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:10714(0x29DA)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: