(ナツコ)お母ちゃん。
お母ちゃん!
(母)ナツコ!よう帰ってきたな。
戦争終わったんやね?
(母)そうや。
終わったんや。
これからうちぎょうさん働いてお母ちゃんを幸せにしたる。
うちがお母ちゃんを幸せにするんや。
・
(ディレクター)はいカット。
OKでーす。
(メイ)お疲れさまでした。
フフッ。
(スタッフ)撤収です。
(梶原)メイちゃん。
よかったよ。
(メイ)お疲れさまでした。
(留美子)ちょっとやり過ぎだったんじゃない?お疲れさまでした。
(留美子)今どきの視聴者は大げさだとしらけるわよ。
(メイ)お疲れさまでした。
フフフ。
お疲れさまでした。
ちょっとメイ?お母ちゃんを幸せにしたる。
うちがお母ちゃんを幸せにするんや。
(黛)何ていい子なんでしょう。
(服部)天才子役安永メイさんですね。
(黛)メイちゃんにはいっつも泣かされます。
永遠の理想の娘ですね。
(古美門)フン!何か?
(古美門)成功する子役なんて二とおりだろう。
大人の金もうけのためにむち打たれる哀れな操り人形か。
(古美門)大人の顔色を見て手玉に取るませたくそがきか。
彼女はいったいどっちだろうね?どちらでもないと思います。
数年後にはちんぴらタレントとできちゃった結婚するか年寄りの愛人になっていることだろう。
服部さん。
はっはい。
この方は子供のときからこうなんでしょうか?さあ…。
いや私は先生にも無垢なる少年時代があったであろうとそう思いますがね。
無垢なる少年時代?はい。
どうですかね?ウフフフ。
(古美門)《サンタクロースなんているわけないだろ》
(児童)《サンタにプレゼントもらったもん》《4年生にもなって本気で信じてるとは驚きだ》《あんなものはおもちゃメーカーの策略に踊らされたバカな大人たちの自己満足イベントにすぎないんだよ》《じゃあ誰がプレゼントくれたのよ》《愚問だね》《一度寝たふりをして薄目を開けているといい》《忍び足で枕元にプレゼントを置くお父さんのまぬけ面が見られるだろう》
(児童の泣き声)
(児童)《泣かないで》
(児童の泣き声)
(留美子)うん。
(留美子)うーん。
あっ。
メイ。
ママ中央テレビの皆さんと会食ね。
あしたは衣装合わせだから早く寝なさいよ。
(メイ)ハハハ。
ハァー。
・
(ドアの閉まる音)
(呼び出し音)ヒデ君。
来ない?ユウキ君もいいよ。
大学の先輩?いいよ連れてきなよ。
(救急隊員)君たちが来たときはどういう状況だったの?
(ヒデ)俺たち飲ませてないっすよ。
(学生)そうだよ。
(ヒデ)電話で呼び出されて来たときにはもう倒れてて。
・
(梶原)取りあえず当面の間休養とだけ言っておいたけど記者会見は開かないと。
・
(留美子)駄目よ。
急性アルコール中毒なんて言ったら子役生命終わりよ。
体調不良で押し通しなさい。
(梶原)いや無理ですって。
(留美子)私はメイの母親であり所属事務所社長よ。
あなたは社員でしょう!・
(あくび)あー。
飲酒喫煙男遊びのフルコースか。
ませたくそがき説が正解だったな。
週刊誌なんて面白おかしく適当なこと書くものです。
ふーん。
(服部)先生。
お電話です。
安永メイさまから。
安永!?メイ!?どうぞ。
あなたたちもどう?ここクラブハウスサンドイッチだけはいけるのよ。
痛いって!あんた下手!もういい。
行って。
すいません。
もんぺをはいて芋のつるばかりかじっていたが現実はだいぶ違うようだね?あなたが噂の最強弁護士古美門さんね?世間は君が入院中だと思っているがここで何を?
(メイ)なじみの支配人に頼んでかくれんぼ。
私を呼んだ理由は?あなたを雇いたいの。
君が私を?お金ならあるわ。
だろうね。
マスコミを名誉毀損で訴えるおつもりですか?マスコミ?記事は全部本当のことよ。
おとなしいくらい。
(梶原)メイ。
(メイ)マネジャーの梶原。
私が呼んだの。
あの女にはここにいること言ってないでしょうね?今も必死に捜し回ってるよ。
こんなことやめよう。
これ以上マスコミの餌食になってどうする?弁護士を雇ったわ。
あの女にも雇うように言っといて。
メイ。
まだ引き受けたわけじゃないよ。
いったい何を始めるつもりだい?
(メイ)あの女と縁を切らせて。
あの女って?母親よ。
お母さんと縁を切るなんて何をおっしゃってるんですか?親権を取り上げることができるって聞いたわ。
それは虐待などの行為が明らかである場合であって。
この私を見て。
仕事と夜遊びに明け暮れて肺は真っ黒。
肝臓ボロボロ。
12歳よ。
母親による虐待そのものだと言うわけだね?面白い。
面白くありません。
メイさん。
お母さんとよく話し合いましょう。
親子なんだから。
もうそういう段階じゃないのよ。
ねえ梶原。
(梶原)事務所の社長と母親業と一人で頑張っているいいお母さんだよ。
だいたい子供のお前に法的手続きなんか取れるわけないんだ。
それが取れるのです。
くしくもことし改正民法が施行され現在では子供自身が請求権者となって親権喪失や停止を申し立てることが可能なんです。
本件のような事案で適用されるか定かではありません。
だからこそわれわれが最初の審判を勝ち取るのだよ。
親子を引き裂く手伝いをするんですか?古今東西あらゆる子役の悲劇を全て一心に抱え込んだようじゃないか。
ませたくそがきでもあり哀れな操り人形でもあったわけだ。
メイ君。
いささか難しい仕事になりそうなんだが。
2,000万でどう?CM1本分。
家庭裁判所に対しお母さんの親権停止の審判を求める申し立てを行おう。
(留美子)冗談じゃないわよ。
私があの子のためにどれだけ苦労してきたか。
そうでしょ?梶原。
(梶原)そのとおりです。
(沢地)なぜお嬢さんはこのようなこと言いだしたんでしょう?一つはお小遣いの件でしょうね。
あっ。
あの子カードを勝手に使ってブランド品買いまくってたんで欲しいものは私に言って買うことにしたんです。
それが気に入らないのよ。
(梶原)もう一つはあの件を怒ってるんでしょう。
(留美子)ハハッ。
30すぎのスタイリストと付き合ってたんで無理やり別れさせたんです。
当然でしょ?要するに遊ぶお金と好きな男性を自由にするため親の監視下から逃れたいと。
これはいわゆる反抗期ですよね?単なる子供のわがままです。
裁判所が相手にするはずありませんよね?
(三木)通常であれば即座に却下されるでしょう。
ただ本日発売の週刊誌にこのような特集が。
(留美子)ハァー。
(梶原)あっ。
(沢地)ネット上でもアクセスランキングトップに。
向こうの弁護士が早速仕掛けたようです。
弁護士がこんなことを?
(三木)信じられないでしょうが金のためなら平気で親子の絆も踏みにじる弁護士がいるんです。
家庭裁判所はおそらく審問を開くでしょう。
(梶原)審問?
(井手)通常の裁判とは違い非公開で当事者などから話を聞くんです。
ご安心ください。
われわれが責任を持って却下に追い込みます。
ここに置くことはないだろう。
問題が解決するまでです。
児童相談所にも許可を得ました。
服部さん。
(服部)はい。
私も付き添いますのでよろしくお願いします。
(服部)あっはい。
(メイ)また私の勝ち。
蘭丸弱過ぎ。
つまんない。
(蘭丸)あー。
(蘭丸)先生。
俺子守のために呼ばれたわけ?大先輩のお相手なら光栄だろうと思ってね。
子役じゃないっすか。
芸歴は大ベテランだよ。
蘭丸君って役者志望なんですってね。
チチチッ。
志望じゃなくて役者。
来月も劇団の舞台に立つしね。
(メイ)何の役?えっ。
シャイロック。
(メイ)ベニスの商人ね。
やってみて。
(蘭丸)はあ?見てあげるわ。
こんな機会めったにないぞ。
自信がないのかしら?
(服部)ハハハ。
しょうがないな。
1回だけだかんな。
「やつは俺をバカにした」「ことごとく俺の邪魔をして俺の損をあざ笑い…」はいはいはいはい。
陥りがちな失敗ね。
シャイロックは悪役だけど血の通った人間でもあるの。
そこがシェークスピアの深いところよ。
はい服部さん。
はっ?「ハハハ…。
あーあーやつは俺をバカにした」
(メイ)うまい。
(服部)はっ?いやいや…。
・
(清蔵の気合)・
(清蔵)はっ!はっ!・
(清蔵の気合)・また三木先生たちが相手なんてもつれそうですね。
フン。
手ごわいの?まさか。
私に手ごわい敵などいない。
(三木)やあ。
よろしくお願いします。
もはや皆さんは私のことが好きなんじゃないかと思えてきましたよ。
(三木)こちらは本案件を手伝ってくださる古美門清蔵先生。
古美門…。
初めまして。
黛です。
(清蔵)古美門清蔵です。
古美門研介です。
(井手)そういえばお二人同じ名字でいらっしゃいますね。
あらホントだ。
こりゃ奇遇だな。
(井手)古美門清蔵先生は長年九州地方を中心に検察官として辣腕を振るってこられた方だそうです。
九州の法曹界では知らない者がいないほど鬼検事でらした。
今回は無理言ってご協力願ったんだ。
親権問題は慎重を期さねばならないからね。
申立人安永メイによる安永留美子の親権停止審判申し立てについて審問を始めます。
(清蔵)《佐藤真弓ちゃんのお母さんが抗議にみえました》《君は「サンタクロースはいない」と言ったそうですね?》《はい》《なぜそんなことを言ったんですか?》《本当のことだからです》《嘘を信じてる方がバカだからです》《サンタクロースが存在しないという根拠は?》《だって嘘だから》《いないものはいない》《根拠を示しなさいと言ってます》《見たことないし》《自分が見たことがないものは存在しないというわけですか?》《僕だけじゃなくて世界中誰も見たことないです》《世界中の人にインタビューしたんですか?》《サンタクロースが存在しないという根拠は?》《君は根拠もなしに勝手な見解でクラスメートを傷つけたわけですね?》《文天堂に行ってカステラを買って今すぐ謝罪してきなさい》《ちなみにそのお金は君のお年玉のために用意してたものなのでそのつもりで》メイさんは実に生後7カ月から芸能界で馬車馬のごとく働かされてきました。
母留美子さんにはご自身も女優として活動したが挫折した過去があります。
その無念をわが子に託したのです。
ご主人との離婚によりいっそうメイさんを芸能界で成功させることに傾倒していきました。
一卵性親子と称されることも。
4年前主題歌も歌ったドラマ『パパの恋人』が大ヒット。
メイさんが大ブレークすると梶原マネジャーを引き抜き自身が社長の個人事務所を設立。
メイさんはほとんど学校へ行けなくなりました。
産業革命時代炭鉱で働かされていた子供たちを想起するのは私だけでしょうか?翻って留美子さんは素行がどんどん派手になっていきました。
メイさんの稼いだお金でブランド品を買いあさり毎晩のように遊び歩く。
《最高!》時には多感な年頃のメイさんのいる自宅で様々な男性と様々なことを楽しみました。
(留美子)《朝まで楽しむわよ》メイさんには友達がいません。
父親もすでに再婚し家庭がある。
頼れる相手はいないのです。
孤独の中で苦しみとうとう急性アルコール中毒で命を落とすところだった。
まさに悲劇です。
民法第834条の2第1項に基づき母親である安永留美子の親権停止の審判を申し立てるものです。
ちょっと。
(三木)おいおいおい。
私には娘と共に必死で人生を切り開いてきた美談だと思えますが。
娘を吉原に売った金で遊びほうけるのが美談ですか?留美子さんは芸能活動を強要したことはなく全てメイさんの意思だったそうですよ。
九九さえあやふやなようでは親の義務違反です。
家庭教師を雇って勉強させていました。
イケメンの慶應の学生といちゃつきたかっただけじゃない。
何ですって!?
(メイ)あなたは金と男のために私を利用してきたのよ。
ビッチ!
(留美子)ビッチはどっちよ?共演者の男の子と手当たりしだい。
私がどれだけイメージ守るために火消しをしてきたと思ってるの!
(メイ)私が稼げなくなると自分が困るからでしょ?
(留美子)あなたあのスタイリストとのことを恨んでるだけじゃない!自分も狙ってたからね。
まあまあ落ち着きましょう。
裁判官。
このような親子関係で健全な発達が望めると思いますか。
前例のないケースではありますが裁判所には子供の福祉の観点から思い切ったご判断をしていただきたいのです。
(井手)あの…。
古美門清蔵先生のご意見を伺ってはいかがでしょうか?そうだな。
親権を停止させてどうしたいのか?メイさんは更正したいのです。
芸能活動を休止し勉学に励み通常の人間関係と社会を学びたいのです。
留美子さん。
それは受け入れられないんですか?いえ。
メイが望むなら受け入れます。
私はこれまでも仕事が嫌なら辞めてもいいと言ってきたんです。
ああ。
これで済んだ。
メイさんにとって「辞めてもいい」という母の言葉は「辞めたら許さない」という脅迫に他なりません。
なぜそうなる?理解に苦しむね。
メイさんは物心付く前から留美子さんの求める幸せこそ自分の幸せなのだと教え込まれてきたんです。
一種の洗脳教育です。
洗脳?メイさんは今その洗脳から賢明に抜けだそうとしている。
留美子さんの元でそれはかないません。
洗脳の定義とは?一般常識と異なる価値観や思想を植え付けることです。
黛先生でしたね?あっはい。
(清蔵)ご家族だけの習慣はおありですか?えっ?
(清蔵)黛家だけのルール。
あー…。
アハハ。
あっうち誕生日の人にはおめでとうって言ってほっぺにチュッてやるルールだったんです。
だからみんなそうなんだと思ってクラスのお誕生日の男の子にチューしようとしてすっごい引かれたんです。
アハハハ。
何ですか?このぬるいあるある話は。
黛先生も洗脳教育を受けておられる。
こんなものは洗脳とは言いません。
しかしあなたがおっしゃった定義に合致します。
あなたは言葉をよく知らないで使ってらっしゃるようだ。
洗脳とは暴力など外圧を用いて特殊な思想を植え付けることであって子供の教育に対して行われる場合にはマインドコントロールという言葉を使います。
もう少し勉強なすっては?親が自分の信じる幸せを子に求めることはごく自然なことです。
そしてそれから脱却するためにもがくことも自然なことです。
メイさんは極めて正常に発達されていると思われます。
喜ばしいことだ。
以上。
(三木)まったくもってごもっとも!
(服部)あっ。
おかえりなさいませ。
信じられないわ!何が最強弁護士よ!君の態度だって悪がきそのものだったじゃないか!天才子役なら無垢なる子供を演じたまえ!責任転嫁しないでくれる!?芳しくなかったようですね?古美門先生のあんな姿を見たのは初めてです。
いつもは一言われたら十言い返すのに防戦一方というかぐうの音も出ないというかサンドバッグ状態というか蛇ににらまれたカエル…。
例えが多過ぎないか?古美門清蔵先生とはどういうご関係ですか?関係などない。
続き柄としては私の父だがね。
お父さま…。
やっぱり。
関係あり過ぎじゃないですか。
父と思ったことはない。
私は正直言ってお父さまのご意見に心を打たれました。
お父さまと言うな。
それに私思うんです。
親子の問題を解決するのは法ではなく親と子の絆であるはずだと。
やはりご子息と戦うのはお嫌ですか?相手も案件もくだらな過ぎます。
91年。
大日証券脱税事件。
駆け出しの検事であった私はあなたに魅了されました。
以来目標でした。
(三木)私が彼を採用したのもあなたのご子息であれば育ててみたいと思ったからです。
しかしその結果どんな悲劇を招いたかは…。
申しません。
古美門研介という法律家はあなたが生み私が完成させた化け物です。
私たちは共犯なのです。
ご子息を葬りましょう。
《なぜ君がそれを食べてるのか説明しなさい》《何でもいい。
私を説得してみせなさい》《真弓ちゃんはカステラが苦手なので持って帰りなさいと言われたからです》《真弓ちゃんの大好物はカステラだという情報を得たから君にカステラを持っていかせたんですよ》《それくらいの予想つきませんでしたか?》《頭の悪い子は嫌いです》《どうせ中途半端な人生を送るなら家名を傷つけないようにどこか遠くへ消えなさい》《いないのに》《サンタクロースはいないのに》メイさまはまだお目覚めにならないんでしょうかね?完全に昼夜逆転です。
勉強も見てあげたんですがだいぶ遅れてますね。
気にすることはない。
九九はあやふやでも出演料と源泉徴収の計算はできる。
それが不健全だと言うんです。
いらっしゃいませ。
先生。
お客さまです。
どうぞ。
何のご用ですか?古美門先生。
スカイツリー見物のついでに。
朝食がまだでしたらご一緒にどうぞ。
すぐお帰りになるそうですよ。
服部さん。
古美門先生。
はい。
申し立てを取り下げなさい。
お断りします。
服部さん。
お帰りです。
君はメイさんに自分を重ねているようだ。
10代であなたと縁を絶ち自力で人生を切り開いてきたからこそ今の私があります。
今の君とは?まさか君は自分が成功者だと思ってるわけじゃないだろうね?ドブネズミが高級スーツを着てるようにしか見えない。
弁護士なんかになるべきじゃなかった。
昔から君はひきょうで卑屈でそして何よりも頭が悪過ぎた。
むろん君を徹底的にしつけ教え込むことを怠ってきた私の責任だ。
君はもう手遅れだ。
しかしあの親子はまだ間に合う。
よく考えなさい。
スカイツリーは大きいですよ。
昭和の電波塔よりはるかにね。
時代は変わったんです。
見てみることにしましょう。
見送りは結構。
先生とお父さまも問題の根が深いようですね。
サンタクロースを幾つまで信じていた?えっ?夜中に不法侵入してきて荷物を置いていくという老人のことだよ。
私は今も信じてます。
何だって!?今もサンタクロースはいると思っています。
君の愚かさはいつも予想の上をいくね。
ホントにいます。
もういい。
朝ドラの家庭はくだらないな。
服部さんはいかがです?アハハ。
私の少年時代にはサンタクロースというシステムがございませんでした。
それは失礼。
・
(メイ)私は信じたことない。
私はサンタなんて一度も信じたことない。
必ず勝とう。
お呼び立てしてすみません。
お忙しそうですね。
(梶原)マスコミの対応に追われっ放しで。
梶原さん。
次回の審問に出席してもらえませんか?ずっとメイちゃんと留美子さんを間近で見てきた梶原さんに率直な意見を言っていただきたいんです。
(梶原)そう言われても私には…。
留美子さんとメイさんの関係はもう元には戻りません。
どちらと手を組むべきかよく考えましょう。
金を生みだす天才子役とそれを管理しているだけの母親と。
そういう言い方。
メイがずっとかわいそうでした。
この子は幸せなのかなっていつも…。
留美子さんは確かにひどい。
そう述べていただけますか?分かりました。
(一同)乾杯!
(ホスト)ここのお酒おいしいっすよね。
今日は前祝いよ。
じゃんじゃんお酒持ってきて。
(一同)フゥー!
(裁判官)メイさんの担当マネジャーになってどれくらいですか?
(梶原)かれこれ7年です。
留美子さんとメイさん親子を最も間近で見てきた方なわけですね。
裁判官。
率直なご意見を聞かせてください。
親権の停止なんてあり得ないと思います。
梶原さん?
(梶原)留美子さんは深く子供を愛する真面目な母親です。
強いて悪かった点があるとすればメイをわがままに育て過ぎたことでしょう。
今後しっかりとしつけるべきです。
梶原さん。
これが真面目な母親の姿ですか?今日は前祝いよ。
じゃんじゃんお酒持ってきて。
(一同)フゥー!
(ホスト)何かいいことあったんだ?
(留美子)私の美貌で男を一人落としてきたのよ。
(一同)うー!
(ホスト)やるね!いい男?加齢臭のひどいおっさんよ。
裁判に勝つために芝居打っただけなのにころっとその気になっちゃって。
(一同)ハハハ。
(ホスト)俺も応援してるよ。
だって勝ってくれなきゃここにも遊びに来れなくなっちゃうもんね。
えー。
蘭丸ちゃんに会えなくなったら困る!留美ちゃん。
俺はどこにも行かないよ。
シャンパン持ってきて!
(一同)イェーイ!梶原さん。
発言に訂正はありませんか?あります。
ひどい女です。
(留美子)梶原!
(裁判官)もう一度だけ開きましょう。
ご本人たちの主張を聞いて最終的に判断します。
どうしたらいいんですか?メイを失ったら私はどうしたらいいんですか!?そんなことにはなりません。
裁判所が親子を引き裂く決断をそんな簡単にするはずがないんですから。
気休めはやめましょう。
形勢は逆転されたとみるべきです。
古美門先生。
何をおっしゃるんですか。
姑息な手を使うから墓穴を掘る。
あなたはご子息を分かってない。
正攻法でやり合ってどうにかなる相手じゃないんだ!
(沢地)このまま留美子さんが母親失格と見られてしまうかどうか最終的には裁判官の心証です。
相手は天才子役ですからね。
(三木)留美子さん。
こちらで台本を用意します。
徹底的にたたき込んで裁判官の心を揺さぶっていただきたい。
私は…。
(三木)あなたもかつて女優を目指したんでしょう。
ここが頑張りどこです!
(留美子)えっ…。
「必ず親子関係は…」「親子関係を修復できます」「どうか私たち親子の絆を…」メイ…。
メイ…。
(梶原)留美子さん!留美子さん!留美子さん!留美子さん!
(梶原)傷は浅く心配ありません。
メイは?何でメイは来ないのよ?知らせましたが「知ったこっちゃない」と。
(留美子)えっ?
(井手)ひどい。
審問には出られそうですか?酷なようですがここが踏ん張りどころです。
思いのままを言えばいい。
やっぱり行った方がいいんじゃない?
(メイ)命に別条ないから。
お母さんが自殺未遂したのよ?そんな大げさなものじゃないって。
でも親子なんだから。
(メイ)うるさい!私は行かない。
絶対に行かない!12歳の子が母親と断絶しようとしている。
内心どれほどの苦悩を抱え血を吐く思いをしているか君に分かるか?二度と薄っぺらい言葉を吐くな。
(服部)しかしメイさんはお母さまの状態が分かっているようなおっしゃり方でしたね。
まるでもう見たかのような…。
「なぜなら母は…娘の私を愛していないからです」「母が愛しているのは…」「お金を稼ぐ人気子役安永メイなんです」今日でお父さまとも決着ですね。
「お仕事は大好きです」「これからも続けていきたいです」黛さん。
お水ある?水分取っとくと涙出やすいから。
はい。
台本は忘れろ。
えっ?演技はなしだ。
自分が覚えろって。
いくらうまくても演技は演技だ。
本心をむき出しにしてぶつかってこられたらとても勝てない。
お父さまならそうする。
君は思いのままを言いなさい。
(裁判官)家庭裁判所調査官の報告も検討した上で当事者の主張を聞いて結論を出したいと思います。
申立人安永メイさんから。
いいのよ。
今の率直な気持ちを言えば。
子役安永メイを演じてきた君は自分の言葉を持たないのかな?そんなんじゃないけど。
私が代弁しよう。
お母さんにこのような仕打ちをしたことをずっと後悔しているね?常に思い悩み心が折れそうになるのを必死に耐えている。
だったら取り下げればいい。
心を鬼にして申し立てているのです。
愛する母のために。
(三木)そんなものは詭弁だ。
いいですか。
留美子さんは手首を切った。
メイさん。
あなたその事実ご存じですよね?あなたの仕打ちが彼女を追い込んだんです。
なのにあなたは見舞いにも来ようとしない。
それが母を愛する娘の振る舞いですか?会いに行けば元のもくあみだからです。
留美子さんは過去に少なくとも二度同じ行動をしています。
そうだね?メイ君。
一度目は2年前人気絶頂期だったメイさんはそれ故アンチファンが増え一時期ひどいバッシングを受けました。
メイさんは引退すら考え留美子さんはその心労から自傷行為をした。
二度目は昨年新たな人気子役が台頭し世代交代が叫ばれメイさんの仕事が激減した時期。
同じく自傷行為をしました。
違っていたら訂正してください。
留美子さん。
メイさんはその都度激しく動揺し母のために必死に仕事に取り組み危機を乗り越えてきたんです。
今回もそうなると思いましたか?留美子さん。
そんな計算で自傷行為をしたと言いたいんですか?いいえ。
問題はもっと深刻です。
留美子さんにとってメイさんの成功はご自身の成功。
メイさんの苦しみはご自身の苦しみ。
一心同体という比喩表現を超えた危険な領域です。
留美子さんは病んでいます。
そして中毒症状で倒れるまで飲むのも一種の自傷行為。
メイさんもまた病んでいるんです。
親子手を取り互いに更正する道を探るべきです。
不可能です。
お互いの依存関係を断ち切らなければ治療も更正も図れません。
親子の絆は深くて強い。
深くて強い絆だから困難なんです!成功は欲望を呼び欲望は破滅を呼ぶ。
自らの存在が母を不幸にすることをメイさんは知っています。
メイさんは会いに行きたい気持ちを必死に押し殺して留美子さんを無視しました。
留美子さんを救いたいからです。
大好きなお母さんを。
お母さんには…。
私のこと忘れて…。
自分の人生を歩んでほしいんです。
でもいつかまた…。
一緒に暮らしたい。
私のお母さんは…。
宇宙に一人だけだから。
以上です。
(裁判官)では留美子さんのお話を聞かせていただけますか?留美子さん。
ありません。
(裁判官)今回で審問を終わりとします。
留美子さん。
どのような結果になったとしても親子の縁を切ることはどんな法律にもできません。
思い合っていれば親子です。
(井手)安永さん。
じゃあ私もこれで。
もう帰られるのですか?
(清蔵)新幹線の時間なんです。
飛行機は嫌いなもので。
(三木)結果はお知らせします。
いや結構。
東京駅なら逆方向ですよ。
スカイツリー見てきましたよ。
想像よりずっと大きかったでしょう。
いや…。
東京タワーの方が大きかった。
はるかに。
また東京へいらしてください。
色々ご案内します。
息子さんと。
息子はいません。
(服部)ロンドンへ?
(メイ)うん。
父親のお姉さんって人が置いてくれるって言うから。
カッコイイじゃん。
ロンドン留学なんて。
アハハハ。
後見人がすんなり見つかってよかった。
私はあなたたちでもよかったんだけど。
断る。
では芸能界をこのまま引退されるんで?
(メイ)そうだね。
どうせイメージがた落ちだもん。
でももったいない気もするな。
子役はさ賞味期限の短い消耗品だよ。
やるだけやったらはい次の人生。
視聴者の皆さん今までありがとうございました。
メイはとっても楽しかったです。
「いつかまた一緒に暮らしたい」「私のお母さんは宇宙に一人だけだから」どこかで聞いた記憶があるんだがね。
えっ?『パパの恋人』第3話の名せりふですよね。
ドラマではお母さんではなくパパ。
宇宙ではなく世界でしたけど。
ああ。
君は根っからの女優だよ。
必ずカムバックするさ。
シェークスピアの国で思う存分学んでくるといい。
じゃあね!
(服部)ああ持ちましょう。
(メイ)あっありがとうございます。
(井手)父親を持ってしても倒せず…。
ですか?あんな老いぼれはなから期待してなかったよ。
(井手)えっ?
(三木)全ては布石だ。
(清蔵)はっ!はっ!・・はい。
あああなたでしたか。
いやーわざわざ東京まで出てって恥をかくとは思いませんでしたよ。
うれしい?私が?ハハハ。
まさか。
ところであなたのことはまだバレてないんでしょうね?・
(服部)はい。
今でもこちらの古美門先生は私のことを一般公募で応募してきたとそう思ってらっしゃいます。
・
(清蔵)そう。
嫌ならいつでも辞めていいんですからね。
・いいえ。
先生に拾っていただいた命です。
せめてご子息に奉仕させてくださいませ。
それに先生。
こっちは楽しゅうございます。
(清蔵)フフフ。
うん。
ようやくあの老人たちが動き始めたようです。
サンタクロースの起源は恵まれない子に無償で穀物などを配っていた4世紀の司教ニコラスとされています。
おそらく彼の行いを弟子が受け継ぎやがて一般家庭にも広がっていったんです。
だからどうした?つまりサンタクロースは無数にいるんです。
親が子にプレゼントをした瞬間その人はサンタクロースなんです。
サンタクロースとは誰かが誰かを思う心そのものなんです。
よってサンタクロースは存在します。
詭弁だね。
私はそんなもの見たことがない。
先生の場合は例外かもしれませんね。
いや。
古美門先生にも素晴らしいプレゼントを送り続けているサンタクロースがいるかもしれませんよ。
私がどんなプレゼントを受け取ってるって言うんです?大変頼りになる素晴らしいプレゼントが目の前に。
えっ私!?嫌だ服部さん。
やめてくださいよ。
こんなサンタならいなくていい。
いやいてほしくない!だいたい君が来てからろくなことはない。
君は最悪のサンタだ!だから指ささないでください!失礼です!お前だって指してるじゃないか!先生が指したからじゃないですか!何だとこの野郎。
このこの…。
やめてください。
危ないな。
2015/02/23(月) 15:53〜16:48
関西テレビ1
リーガル・ハイ #08[再][字]
親権を奪え!天才子役と母の縁切り裁判!?最後の刺客は、父親! 堺雅人 新垣結衣 生瀬勝久 中村敦夫 里見浩太朗
詳細情報
番組内容
古美門(堺雅人)、黛(新垣結衣)、服部(里見浩太朗)が事務所でくつろいでいると、テレビに天才子役・安永メイ(吉田里琴)のドラマが流れる。感動的な親子再会のシーンに、素直に涙する黛。しかし、いつものことながら古美門は「成功する子役は、哀れな操り人形か、マセたクソガキのどっちかだ」と冷めている。
その頃、メイは母親の留美子(小沢真珠)が出かけたのを良いことに、
番組内容2
まだ12歳の子供にもかかわらず、ビールを飲み、男友達を家に連れ込む。結果、急性アルコール中毒になったメイは病院へ搬送されることに。病院の廊下では留美子とマネジャーの梶原(おかやまはじめ)が、今回の件のマスコミ対応で口論となる。メイは彼らに気付かれることなく、病室から抜け出してしまう。
マスコミにもメイの荒れた私生活が暴かれるなか、古美門法律事務所に一本の電話が。
番組内容3
ホテルのスイートルームに呼び出された古美門と黛。そこに待っていたのは、エステティシャンにマッサージをされながら、ルームサービスを食べるメイだった。ドラマで視聴者の涙をさそう演技を見せるメイとは、かけ離れた印象に面を食らう2人。メイは無敗の古美門の噂を聞いて依頼したという。「マスコミを名誉棄損で訴えるつもり?」と聞く黛。しかし、メイの依頼内容は、想像を超えた驚くべきものだった・・・。
出演者
堺雅人
新垣結衣
生瀬勝久
小池栄子
田口淳之介
矢野聖人
●
里見浩太朗
原作・脚本
【脚本】
古沢良太
【編成企画】
成河広明(フジテレビ)
加藤達也(フジテレビ)
監督・演出
【プロデュース】
稲田秀樹
【監督】
城宝秀則
音楽
林ゆうき
制作
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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