日本がエリーの故郷スコットランドを含む連合国との戦争に突入して2年。
女学校を卒業したエマは勤労奉仕で兵隊さんの着る軍服を作っていました。
(ラジオ)・「北海の御楯と立ちて二千余士」
(三郎)はい。
終わったよ。
ありがとうございます。
しっかり頼むよ。
(チエ)体に気を付けてね。
お国のために力いっぱい頑張ってきます。
(一同)万歳万歳万歳!
(ラジオ)・「五月十二日暁こむる霧…」
(熊虎)また一人行っちまったか。
(進)こんなに男がいなくなっちまうと商売もさっぱりだな。
本当だよ。
美容院でも始めるかな。
そんな事言っちゃ駄目。
欲しがりません勝つまでは!
(ラジオ)・「北に撃つ」・「大好きな人々大好きな明け暮れ」・「新しい『大好き』をあなたと探したい」・「私たちは出会い私たちは惑い」・「いつか信じる日を経て1本の麦になる」・「空よ風よ聞かせてよ私は誰に似てるだろう」・「生まれた国育つ国愛する人の国」・「麦は泣き麦は咲き」・「明日へ育ってゆく」・「麦は泣き麦は咲き」・「明日へ育ってゆく」
(鐘)
(俊夫)お坊ちゃま昼飯行きまひょう。
(政春)ああ…先に行っとってくれ。
ん…海軍さんに品質は期待しとらん言われとるのによう気ぃ入れてですのう。
未来のためじゃ。
未来?10年20年もっと未来の樽ん中にゃええ具合に熟成した原酒がようけ出来とるはずじゃ。
その原酒を生かすためにもわしゃブレンドの技術を磨いとかんにゃいかん。
はあ…20年後言やわしら生きとりますかのう?俊兄はまず生きとるわ。
え!?よう言うじゃろうが。
「憎まれっ子世に憚る」いうて。
ほうか…。
へじゃわしは永遠に死ぬ事ができんような気が…。
何でじゃ!たまげるわ!ハハハハハッ…。
…でその20年後誰がブレンドするんでがんす?
(俊夫)お坊ちゃまじゃって年は取る。
舌や鼻の感覚もだんだん衰えてくるなぁ当たり前じゃ。
そん時はどうしんさるおつもりですか?まだそがな事は…。
いずれエマお嬢さんにええ婿取らしてこの工場を継がせるつもりでしょうが。
エマに婿!?
(俊夫)うん。
そがな事はまだまだ。
ああっ…。
ブレンダーは一朝一夕になれるもんじゃありまへん。
婿探しそろそろ考えといた方がええんじゃなぁですか?ご苦労さまでがんす!葡萄酒?急ぎ造ってもらいたい。
いや…今は男手も少のうなってウイスキー造るだけで精いっぱいなんです。
その上葡萄酒までいうんは…。
葡萄酒を飲みたくて言っているのではない。
…と言いますと?必要としているのは酒石酸だ。
葡萄酒を造って酒石を取り出し冬を迎える前に納品してほしい。
シュセキサン?何です?それ。
(一馬)葡萄からワインを醸造する過程で出来る粗酒石という結晶体です。
海軍さんは何でそがなもんを?艦船や潜水艦の音波探知機に使うらしい。
葡萄酒で探知機!?粗酒石に加里ソーダを化合させるとロッシェル塩という少し大きな結晶体が精製されます。
このロッシェル塩には音波を素早く捉える特性があるんです。
つまり海軍さんはのう葡萄酒は造ってほしいが葡萄酒自体は要らん。
その過程で出来る酒石酸だけ欲しい言うとるんじゃ。
なるほどのう!
(ハナ)俊夫さん意味分かってんの?さっぱり分からん!いや…気が進まんのう。
ん?何でですか?ただでさえウイスキー増産で人手が足らん。
冬を迎えるまでに納品なんか間に合うかどうか…。
(ハナ)だけど海軍さんの注文断る訳にはいかねえんだべ?俺に任せてもらえませんか?一馬が!?余市の近くでは山ブドウが取れるし…。
葡萄酒造りに関しては前に本で読んだ事があります。
(俊夫)それじゃったらわしじゃってリンゴワイン造っとった!
(一馬)酒石酸は?冬までにどうやって取るんです?…それが工場長でもあり義理のお兄さんに対する言い方か?だって…。
(俊夫)だって何じゃ!よっしゃ。
(俊夫)ん?一馬に任せてみよう。
ええ〜!?うまい事いくかどうかは二の次じゃ。
何より一馬が自分からやってみたい言うてくれた事がわしゃうれしいんじゃ。
言うだけじゃったら誰にでもできますがのう。
ありがとうございます!じゃあ早速ブドウを仕入れてきます。
(エリー)一馬頑張って!はい!亀山さんまだ出来てないの?
(エマ)すいません…。
(よしえ)今日はミシンの調子がもうひとつで…。
ね?エマ。
精神がたるんでるからじゃない?あなた学生の頃戦争は愚かな行為だと言った事があるそうだけどまさか今でもそう思ってる?そんな事思ってない…。
よしえさんは黙ってて。
どうなの?思っていません。
じゃあ鬼畜米英を一日も早く撃滅する事を心から願ってる?はい願っています。
あっお帰り!ただいま。
どうしたんだ?本当は行きたくない。
戦争で使う服を作るなんて。
そんな事言っちゃいけないよ。
前は何となくだったけど今ははっきり思うの。
私たち家族をあんなに苦しめた戦争なんて嫌い!言いたい事も言えないやりたい事もできないって…じゃあ私は何なの?私もお父さんのように大きな夢を持ちたい。
お母さんのように行動的で強い勇気を持った人になりたい。
でも…何も見つけられない。
夢も希望も持てない自分が情けなくて…。
驚いたな。
エマはまだまだ子どもだと思ってたのに。
ひどい。
一馬さんまでそんな…。
(一馬)どういう事?両親に相談してもお父さんは「勤労奉仕が嫌ならうちの工場を手伝えばいい」。
お母さんは「戦争を言い訳にしちゃ駄目。
英語を勉強したいなら家の中で教えてあげる」ってまるで子ども扱い。
ハハッ…。
そんな事ない。
エマは随分成長してすっかり大人になったさ。
本当に?心からそう思ってる?ああ。
フフフッ…。
それに…エマだけじゃないよ。
今の時代に悩みを抱えて生きてるのは。
一馬さんも?一馬さんはどんな悩みを抱えてるの?ねえこれ何?
(一馬)ああ…葡萄酒を造るんだ。
俺はその責任者に任命された。
(エマ)へえ!一馬さん出世したわね。
生意気言って。
エマ困った事があったら何でも言えよ。
ありがとう。
相談料は一回1円。
もうっ!安すぎるか?一馬さんのバカ!やっぱりエマには笑顔が似合う。
本当?うん。
はい。
笑顔の見物代一回10円。
おいおい…。
安すぎるかしら?
(エマ)ただいま!ただいま!おおえろう元気じゃのう。
何かええ事あったんか?フフフッ…。
ええ?エマ。
何してるの?お帰り。
今机の中片づけてあげてる。
大丈夫!自分でやるから!もう…勝手に引き出し開けないで!エマ…何も見てない。
片づけてただけ。
私もう子どもじゃないんだよ。
そんな事分かってる。
もう出てって!自分の事は自分でやります!ただ片づけてあげてただけ。
エマじゃってもう年頃じゃ。
親に見られとうないもんもあるんじゃろう。
勤労奉仕で嫌な事があったのかも。
帰ってきた時はえろう元気じゃったど。
私エマの事を心配して…。
じゃけど一緒についていく訳にも…。
できる事なら一緒に行きたい。
エリー…表には特高がおるし籠の中の鳥みたいに一日中家ん中でイライラするエリーの気持ちも分かる。
そういう意味じゃない!マッサン!私は平気。
ただエマの事を心配してるだけ。
仲の良い母と娘の間に何やら不穏な空気が漂ってきました。
生字幕放送でお伝えします2015/02/23(月) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 マッサン(121)「物言えば唇寒し秋の風」[解][字][デ]
海軍から酒石酸を採取するよう命じられ、マッサン(玉山鉄二)は一馬(堀井新太)に一任。一方、現状に悩むエマ(優希美青)は一馬に相談するようになって…。
詳細情報
番組内容
1943年(昭和18年)、海軍から酒石酸を採取するためぶどう酒をつくるよう要請され、マッサン(玉山鉄二)はぜひやりたいという一馬(堀井新太)に一任する。一方、勤労奉仕をするエマ(優希美青)は、マッサンやエリー(シャーロット)のように夢を持って強く生きていない自分が情けないと一馬に悩みを相談。いつまでも子ども扱いするエリーにいらだちを感じていたエマは、大人になったという一馬の言葉に喜ぶのだった。
出演者
【出演】玉山鉄二,シャーロット・ケイト・フォックス,八嶋智人,小池栄子,優希美青,堀井新太,酒井若菜,温水洋一,螢雪次朗,風間杜夫
原作・脚本
【作】羽原大介
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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