(神林恵)「女くどき飯」?
(裕子)応募者の男が選んだお店でご飯デートしながら口説いてもらおうっていう企画よ。
私が口説かれるんですか?いいかげん恋愛スイッチ入れとかないと。
でもほんとに食われちゃダメだからね。
食われるかっつうの。
ここは東京か?ん?おいしょ。
はい。
あっもしもし神林?今回もおもしろかった!なんかいい話系だったね〜。
あざま〜す。
(裕子)今次の応募者データ送ったから見てくれる?はい。
カチカチ
(マウス操作音)会社経営者細貝崇彦。
ごじゅう…56歳!?そう!56!私のお父さんと同い年なんですけど…。
あっそうなの?まあ次もおもしろいの期待してるから。
連載延長されるように頑張ります!あとしつこいようだけど…。
分かってます。
ほんとにほんとに食われちゃダメだからね。
うち来週「ブランチ」の取材入るかもしれないから。
えっ!?誰か来るんですか?姫様!?姫様だったらぜひ私に…。
ブチッツーツー…
(電話が切れる音)に…。
はぁ〜…。
50代のおじさんと中華か〜。
どうせ無料ホステス扱いされて麻婆豆腐よそえとか言われんだろ?こんばんは…。
(支配人)いらっしゃいませ。
あの…細貝で予約してる者なんですけど。
(支配人)はいお待ちしておりました。
(店員)どうぞ。
あっどうも。
(心の声)≪まさか父親と同い年の男に口説かれる日が来るとはな…≫≪私もいよいよ若くはないってことなのね≫・
(支配人)いらっしゃいませ。
・
(細貝崇彦)来てる?・
(支配人)いらしております。
神林ちゃん?はい。
いや〜めんごめんご!花金なんでシータク全然つかまんなくて〜。
細貝です。
シクヨロ。
シクヨロ〜…。
≪めちゃめちゃバブってんじゃん!≫≪56歳の会社経営者バブルおじさんが選んだのは麻布十番にある中華料理店「Shi−Fan」≫あっ俺泡で。
(支配人)はい。
≪泡?≫神林ちゃんは?じゃあ私も同じもので…。
(支配人)はい。
≪泡ってなんだ?≫何か苦手な食べ物とかある?あっ酢の物以外ならなんでも食べれます。
じゃあ適当に頼んじゃってケーオツ?ケーオツで〜す…。
≪このおじさん「バブル世代」というよりもはや「スティル・バブル」≫乾杯!乾杯…。
≪「泡」ってシャンパンのことだったのか…≫いや〜まさかこんなピチピチギャルが来るとは思ってなかったから俺今ウハウハ状態よ〜。
ありがとうございま〜す…。
≪私もまさかここまでバブってるおじさんが来るとは思ってなかったよ≫中華って聞いてもっとにぎやかなお店をイメージしてたんですけど大人っぽくてすてきなお店ですね。
だしょ〜?≪「だしょ」?≫俺も中華は好きなんだけどあの大皿でガチャガチャ食う感じが苦手なのよね〜。
分かります〜。
ひと皿でおなかいっぱいになっちゃうし2人だとなかなか来づらいですよね。
だしょだしょ!ふふっ。
ここはね1人で来ても一品一品懐石みたいに出てくるからいろんな味をちょっとずつ食べられていいのよ〜。
へえ〜。
≪女子はそういうの好きなんだよね〜≫≪しかも中華でそういう店を持ってくるあたりさすが50代男子。
プロの「女くどき飯」だわ≫
(支配人)前菜の盛り合わせでございます。
こちらは「逆さ福」と申しまして福が来るようにそういう願いを込めて作っております。
クラゲの冷菜。
菜の花のXO醤あえ。
ホタテの老酒漬け。
塩味のクリスピーチャーシュー。
醤油味のチャーシュー。
烏龍茶で燻製した半熟玉子でございます。
カシャ!
(携帯のシャッター音)わあ〜いいことありそう!私今大殺界なんですよ。
おお〜厄落とし厄落とし!いただきます。
はいいただきます。
んん〜コリコリ!んん〜コリコリ!
(2人)ふふふっ。
神林ちゃんは今彼氏とかいないの?もう5年くらいいないんですよ。
そうなの!?こんなマブい女ほっとくなんて今どきの男は何考えてんだろうね?ふふふっ。
俺が10若かったら即ベッドインしたいけどね。
光栄です。
≪セクハラ発言もバブルのオイニーで和らぐという不思議≫≪そして10若くても46≫前の彼氏はどんな人だったの?映画とか音楽やってる人だったんですけど。
当時私も出版社勤めてて会社員だったんでなんかそういう夢追っかけてる系の人が格好よく見えて。
≪よくよく考えるとただのフリーターだけどな≫で?なんで別れちゃった?「会社辞めてフリーになる」って言ったらめちゃくちゃバカにされてそのままケンカ別れしちゃって…。
「お前にそんな甲斐性ない」って。
ゲロゲロ〜!≪「ゲロゲロ」?≫小さい男だね〜!ふふっ。
その男はあれだね恵ちゃんが自分より先に成功するのが怖かったんだろうね。
ふふっ。
そうなんですかね〜。
まあ今はデキちゃった婚して地元で幸せに暮らしてるみたいですけど。
≪最近元彼たちが続々と結婚していく≫次はもっといい男が見つかるよ。
だといいんですけどね〜。
例えば俺なんかどう?えっ?俺優しいよ〜?大人だからそれなりに余裕もあるしそこそこ金持ってるし。
そ…そうですね〜…。
今は会社いくつか転がしてるだけだから時間融通利くし寂しい思いもさせないよ?電話一本でどこでも会いに行っちゃうぞ。
あはっ…あははっ。
・
(応答メッセージ)はい細貝です。
ただいま留守にしています。
御用の方はメッセージをどうぞ。
めぐは今チョモランマのてっぺんに来ています。
私のこと愛してるなら今すぐ来て!ガチャン!・めぐ!めぐ〜!やっぱり…。
はぁはぁ…。
ここだと思った。
バカ!寂しかったんだぞ!≪どトレンディー…≫
(支配人)自家製の窯で焼き上げました北京ダックでございます。
わあ〜すご〜い!≪このままかぶりつきたい!≫カシャ!2つずつ包んでもらえる?
(支配人)はい。
わざわざ包んでくれるんですね。
(支配人)それではお下げいたします。
≪あとで…ね≫あっ細貝さんはどうしてこの企画に応募してくださったんですか?ああ〜実はうちの会社の若いヤツが勝手に応募しちゃったんだよ。
あっそうなんですか!?「社長が出たら絶対におもしろい」とか言って。
あははっ!まあ俺もおもしろそうなことには首を突っ込みたいタイプだからさ。
まあそいつには感謝しなきゃだね。
すばらしい出会いに。
乾杯。
かんぱ〜い…。
(支配人)自家製の窯で焼き上げました北京ダックでございます。
こちらがふかひれとタラバガニのスープでございます。
カシャ!おいしそう!ここのふかひれおいしいぞ。
じゃあ…いただきます。
≪なんだ!このうまみ爆弾のようなスープは!≫≪鶏のようで豚のようで海鮮っぽいうまみも感じる…≫≪しかも雑味が一切ない!≫≪そしてそのスープをたっぷりと吸い込んだふかひれのちゅるんとしていながら程よい歯応えよ…≫今…私の中でスープ革命が起きてます。
その表現バッチグー!バッチグー?そしてふかひれからの北京ダック。
いただきます!≪ああ…もっちりとした生地と甘味噌の絡んだパリッパリの北京ダックのコントラスト≫≪そしてジューシーなお肉からあふれる肉汁…≫おいしい…。
メグ蔵はさ今フリーでやってんだっけ?はい。
≪メグ蔵?≫この連載以外にはどんなの書いてんの?あっインタビュー記事書いたりあと企業のパンフレットを書いたりあとは家電の説明書を書いたりとか。
おお〜いろいろやってんだね〜。
いろいろやらないと食えないんですよ〜。
じゃあ今は仕事が恋人だ?そうですね…。
そろそろ結婚も考えないとヤバいと思ってるんですけど…。
細貝さんは彼女さんとかいらっしゃらないんですか?いっぱいいるよ。
ふふふっ。
何人くらい?んん〜30人ぐらいかな〜。
30人!?いや俺は今まで一度も別れたつもりないからさ。
みんな勝手にどっか行っちゃうだけで。
なるほど…。
ふふっ。
今までご結婚とかは…。
うん。
あっじゃあバツ1?ふふっ…。
バツ5!?あっごめんなさい。
≪バツ5って…またとんでもないのぶっ込んできたな…≫ちなみにお子さんはいらっしゃるんですか?いるよ7人。
7人!?全員女の子。
母親がいい女ばっかだったからさ〜7人全員かわいくていい子なんだよ〜。
ほほっ。
まだ小さいんですか?ああ〜確かいちばん上が今年で31になったかな。
≪私より年上じゃねぇか≫あといちばん下が前のかみさんとの子で今2歳4か月。
前の奥様お若かったりするんですか?先週25になりました。
≪長女より年下じゃねぇか≫
(支配人)大エビのチリソースとマヨネーズソースでございます。
カシャ!いただきます!んん〜!≪プリップリを通り越してもはやブリッブリのエビ!≫≪そしてそれに絡まるクリーミーでコクのあるソース!≫おいしい…。
≪歯応え抜群のブリッブリのエビにチリソースがたっぷりと絡んで…≫≪甘みのあとに来る辛みの心地よさ!≫ねえフリーライターやってていちばん楽しいことって何?やっぱり書いた記事が表に出て読んだ人のリアクションが返ってきたときですかね。
この連載めちゃんこおもしろいもんね!ふふっほんとですか?うん。
メグミングがちょっとオヤジギャル入ってんのもいいんだよね。
≪メグミング?≫ありがとうございます。
ほんとにうれしいです。
≪いちいち古いけど≫でもしんどいこともいっぱいあるんじゃない?表に発表するってことは批判されることもあるだろうし。
批判も結構うれしかったりしますよ。
しんどいのはやっぱりノーギャラの仕事ですかね。
ノーギャラって何?それ仕事じゃないでしょ!いやそうなんですけど「ある程度分量がたまったら書籍化するから」とか言われてタダでウェブのコラムとか書かされること結構あるんですよ。
あとは連載の企画出せって言われて散々書かされて音沙汰ない人とか結構いますよ。
なんだよそいつ!ふふっ。
俺がぶっ飛ばしてやろうか!?あははっ!機会があったらぜひお願いします。
≪なんかいいな…。
こんなふうに愚痴聞いてくれて一緒になって怒ってくれる男の人って≫世の中には若い子だまして自分だけ得しようとする輩もいるから。
俺そういうヤツらがいちばん嫌いなんだよね。
メグミングも気をつけなきゃだよ。
はい気をつけます。
≪細貝さん超いい人!≫細貝さんきっと社員さんに慕われてるんでしょうね。
そうでなかったらこんな企画に勝手に応募されないですもん。
あははっ!あははっ!使われる側のことをちゃんと考えてる雇い主ってほんとに貴重ですよね。
俺にとって社員は家族みたいなもんだから。
≪この人責任感が強くて情の深い人なんだろうな…≫でも必死になって働いてるうちに俺は本当の家族を失っちゃったんだけどね。
≪金も地位もある強い男がかいま見せる寂しげな表情のセクシーさよ…≫
(支配人)お待たせいたしました。
当店一番人気の四川式麻婆豆腐でございます。
失礼いたします。
いただきます。
≪んん〜!口に入れた瞬間香る中華ならではの油の香ばしさ!≫≪クラクラするような山椒の辛み!≫≪塩気は控えめなのにうまみとコクで濃厚なお味になってる!≫これ超おいしいです!ご飯欲しくなるでしょ?はい…。
でもご飯食べちゃうとシメが食べられなくなりそうで…。
(支配人)失礼いたします。
まさにこれくらい!これくらいが食べたかったんですよ!ここそういう気遣いが絶妙なんだよね?≪しかも女の方が小ぶりなお茶碗っていう心遣い!≫≪支配人「女くどき飯」のプロと見た!≫こうやって食うのがうまいんだよね〜。
いただきます。
いただきます。
んん〜!最高!おいしい〜!んん〜!ふふっ…。
≪ああ〜!白ご飯優勝!≫
(支配人)シメのお食事は小さいサイズの塩味の鶏そばと担々麺をご用意させていただきました。
カシャ!両方ほんとにうまいからどっちも食べてほしかったんだよ。
いただきます。
はぁ〜…。
参りました…。
えっ?こんなお店に連れてこられたら女子はもういちころですよ。
バン!
(机をたたく音)50代男子すてきです。
それじゃあいつか…。
細腕一本で戦うのに疲れたら俺の最後の女になる?メグミング…。
タカフィコさん!メグドリーミング!タカフィコングラチュレーション!俺の最後の女になる?ふふふっ!あははっ…。
いや〜今日は楽しかった!ふふっ。
私もすっごく楽しかったです。
それはよかった。
ふふっ。
これでシータク拾って。
家まで送れなくてごめんね。
いやこんなのもらえませんって!こんなマブい女電車で帰らせるわけにはいかないから。
あ…ありがとうございます。
今日は本当にありがとう。
俺メグミングのことちゃんと口説けたかな?ええ完全に口説かれました。
よかった。
じゃあ気をつけて。
あの!いつか細腕一本で戦うのに疲れたら最後の女にしてくれませんか?えっ?細腕一本で戦うのに疲れたら私をあなたの最後の女にしてください!メグミン…。
私はあなたと辛みの中のうまみに酔いしれ体の中から熱く燃え上がる麻婆豆腐みたいな恋がしたい!俺…これからギロッポンで女子大生と合コンなのよ。
えっ?記事楽しみにしてるよ!じゃあね!バイビー!≪ぶっ飛び〜…≫あのバブルおじさん超元気だったな〜。
あの元気とガッツは見習いたいもんだ。
あとバブル語超おもしろかった〜。
あははっ!はぁ〜。
≪聞き上手な男がモテるというのは古今東西周知の事実である。
しかしいつも一方的に愚痴を聞かされるばかりで一向に女子を落とせない残念な聞き上手がいるのもまた事実である。
両者の違いは一目瞭然≫≪後者が相づちを打つだけなのに対し前者は巧みに女子の話を引き出し彼女がうれしかったことを本人以上に喜び腹の立ったことを本人以上に怒ってやるのだ≫≪男子諸君!聞き上手な男とは愚痴のバキュームカーではない!≫≪彼女を甘えさせ共感し最強の味方になってやれる男なのだ!≫はぁ…。
口説き文句もバブってんな〜。
はぁ〜…ごめんね。
ビタミンC!手冷たいですね。
やだこの人怖い!がっつりいっちゃいましょうか!どういう女性がタイプなんですか?う〜んその口元のホクロも好き。
かわいいのに。
一度はまったらなかなか抜けられない地獄沼系。
応募してよかった。
いかん!本気でときめいてしまった…。
2015/02/23(月) 02:05〜02:35
MBS毎日放送
ドラマ「女くどき飯」 第5話[字]【貫地谷しほり×升毅】
「バブルおじさんと、麻布十番でネオ中華」▽バブル語をバッキバキに使いこなす細貝崇彦(升毅)。見くびる恵(貫地谷しほり)を若い男にはない男気と包容力で次第に…!?
詳細情報
お知らせ
「アラサーちゃん 無修正」がドラマ化され、独自の視点を持つ漫画家として、各方面から注目を集めた峰なゆか。彼女が飲食店情報検索サイト「ぐるなび」内で連載中の「女くどき飯」を原作としたグルメドラマが放送開始!ヒロインは抜群の演技力を誇る若手実力派の貫地谷しほり。
アラサ—のフリーライターが、連載記事のために毎話様々な男性とご飯デートを重ね、理想の男性を追い求める姿を描く新感覚グルメコメディー!!
番組内容
今回、応募してきたのは、見た目は今風チョイ悪オヤジの、陽気でフレンドリーなおじさん・細貝崇彦(升毅)だ。現在は都内でいくつかの会社を経営する彼が選んだのは、麻布十番にある絶品中華料理。世間が忘れ去ったようなバブル語をバッキバキに使いこなし、その古さが逆に新しい。「お父さんと同い年のバブルおじさん」と見くびる恵(貫地谷しほり)を、若い男にはない男気と包容力で、次第に魅了していく。
出演者
神林恵…貫地谷しほり
細貝崇彦…升毅
伏見裕子…安藤玉恵
ほか
原作・脚本
【原作】
峰なゆか「女くどき飯」(ぐるなび「みんなのごはん」で連載中)
【脚本】
北川亜矢子
監督・演出
【監督】
深迫康之
音楽
【主題歌】
[Alexandros]「DraculaLa」(ユニバーサル J)
【エンディングテーマ】
Suzu「虹色color」(ユニバーサル J)
制作
【番組HP】
http://www.mbs.jp/kudokimeshi/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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