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【群馬】

「県は表現の自由無視」 「朝鮮人追悼碑」不許可訴訟 初弁論

記者会見で表現の自由を訴える原告の人々=前橋市で

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 高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑をめぐり、県が設置更新を不許可にしたのは表現の自由の侵害に当たるとして、碑を管理する市民団体が県に処分の取り消しなどを求めた訴訟の第一回口頭弁論が四日、前橋地裁(大野和明裁判長)で開かれた。原告側は意見陳述で「県は表現の自由を無視した憲法違反をしている」などと主張し、県側は争う姿勢を見せた。 (菅原洋)

 市民団体は「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を守る会(前橋市)。

 弁論では、原告弁護団事務局長の下山順弁護士が意見陳述し、「公園は表現にとって重要な場所。碑の前での市民の発言も表現の自由として保障される。不許可は表現の自由を弾圧し、侵害するから違憲だ」と指摘した。

 被告側は答弁書を提出したが、報道陣に公表しなかった。県によると、原告の公園と表現の自由をめぐる主張について「独自の解釈であり、論理に飛躍がある」などと反論。原告について訴訟を起こす団体として「当事者の適格を欠く」と訴え自体の却下を求めた上で、請求についても棄却を求めた。

 県は閉廷後、「県は公園の管理者として、利用者の安全・安心を確保しなければならない。許可条件違反の政治的発言があり、憩いの場にふさわしくないと判断した。今後も正当性を訴えたい」とのコメントを出した。

 訴状などによると、碑は二〇〇四年、政治的な行事をしない条件で県が許可し、守る会の前身団体が建立。しかし、県は碑の前で開かれた集会で「強制連行の事実を全国に訴え、正しい歴史認識を持てるようにしたい」などの発言があったことを政治的と判断し、昨年七月に設置更新を不許可とした。

     ◇

 閉廷後、守る会の幹部らは前橋市で記者会見。共同代表で、弁護団長の角田義一弁護士が「今年は戦後七十年の節目。最近の歴史修正主義の中で、裁判所がどう判断するのかを注目したい」と訴訟の意義を強調した。

 さらに「県は憲法解釈に踏み込みたくないのではないか。堂々と憲法の議論をしてほしい」と求めた。

 被告側が守る会について訴訟の「当事者の適格を欠く」と主張したことには、下山弁護士が「県はこれまで守る会を組織として認め、設置更新などの交渉をしてきた。訴訟の本論を離れた主張」と批判した。守る会には二百人以上の個人会員と約八十の団体会員がおり、規約に基づいて組織的に運営しているという。

 守る会によると、県が求めている碑の撤去に反対する署名は現在、全国から約三万一千五百筆となった。

 

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